インディーズゲームの小部屋：Room＃277「Zack Zero」

　最近はもっぱら鎮守府に着任し，暁の水平線に勝利を刻み付けている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第277回は，スペインはマドリッドに本拠を置く独立系デベロッパ，Crocodile Entertainmentが開発した「Zack Zero」を紹介する。本作は，炎，氷，岩という3つの属性を持った特殊スーツを着こなし，さらわれた恋人を救うためにワニのような姿の宇宙人と戦う横スクロールアクションだ。ま……まだ，主砲と副砲と魚雷発射管と機関部がやられただけです！（※大破です）


　タイムトラベルを可能にする不思議な鉱石，Kelestiniaを回収するミッションを終え，意気揚々と家に戻ってきた主人公のZack Zero。だが，そこで彼を待っていたのは，驚くべき事態だった。なんとZack Zeroの恋人であるMarleneが，ワニ顔をした悪い宇宙人，Zulrogに誘拐されていたのだ。Zulrogの要求は，彼女と引き換えに，Kelestiniaを持って来いというもの。おのれ，ワニ星人め。Marleneを助け出すため，Zack ZeroはZulrog共の住む惑星に向かう……。


　というわけで，プレイヤーはZack Zeroを操作して，敵だらけの星を探検することに。本作は3Dグラフィックスの横スクロールアクションで，なかなかに凝ったグラフィックスが見どころの一つだ。そして，本作の大きな特徴となっているのが，Zack Zeroが着ている特殊なパワードスーツ。このスーツには通常状態に加え，炎，氷，岩という3つのフォームがあり，属性を切り替えることで，それぞれに用意された特殊能力が使用できるようになる。


　例えば，岩の属性を持ったロックフォームに変化させると，重い物体を動かして足場にしたり，ひびが入った地面や壁を叩き壊して通れるようにしたりできる。また，氷属性のアイスフォームでは時間の流れを遅くし，トラップをたやすく潜り抜けることも可能だ。プレイ中はいつでもフォームの切り替えが行えるが，それぞれの特殊能力を使うたびに画面左上のゲージが減少し，ゲージがなくなると通常状態に戻ってしまう。ゲージは時間と共に回復するが，基本的には通常状態で戦いつつ，ここぞという時にフォームを切り替えるといいだろう。


　しかしこのスーツ，多彩な能力を持っているのはいいが，属性を切り替えるごとに，同じボタンを押してもまったく違ったアクションを行うのが最大の難点。例えば，通常時にはジャンプに割り当てられているボタンが，ロックフォームでは床を叩きつけるパンチ攻撃になっており，ジャンプができなくなるなど，はっきり言って大変混乱する。せめてフォームを変化させても，ジャンプや攻撃などの割り当ては，ボタンごとに統一してもらいたかったところだ。


　ちなみに，このスーツはゲーム開始時こそ全能力が使えるフルパワーアップ状態だが，ゲーム序盤で壊れてしまい，ほとんどの機能が使えなくなってしまう。これ以降，スーツの機能はステージのあちこちに散らばるジェムを集めることで，徐々に回復していく。見つけ次第，忘れずにジェムを回収しておこう。
　操作体系が統一されていない点を除けば，ゲーム難度はそれほど高くなく，気軽に遊べるアクションゲームに仕上がっているので，興味を持った人はお試しあれ。そんな本作の製品版は，Steamにて9.99ドルで発売中だ。

■「Zack Zero」公式サイト

http://zackzero.com/