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インディーズゲームの小部屋:Room#237「Cinders」
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印刷2012/07/04 10:00

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インディーズゲームの小部屋:Room#237「Cinders」



 春アニメが最終回を迎えたと思ったら,早くも夏アニメの放映が始まってしまい,一息つく暇もない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第237回は,有名な童話「シンデレラ」をモチーフにしたMoaCubeのノベルゲーム「Cinders」を紹介する。日曜夜の過密スケジュールっぷりが半端じゃないんですけど!

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 さて,タイトルから何となく想像できるように,本作のモチーフとなっているのはディズニー映画でも有名な童話「シンデレラ」。ごく簡単にシンデレラのストーリーを紹介すると,意地悪な継母と,その連れ子の姉達に日々いじめられていた可哀想なシンデレラが,魔法の力を借りてお城の舞踏会に出かけ,そこで王子様に見初められて結婚。やったね! シンデレラちゃん,大勝利! というお話だ。

 ガラスの靴なんか履いてたら足を大怪我しそうだとか,12時(深夜0時)に魔法が解けたのになぜ靴だけは消えなかったのかとか,突っ込みどころはいろいろあるが,そこは魔法の力で万事解決ということだろう。ビビデ・バビデ・ブー! まあ,これは主にディズニー版の設定だが,おおむねそんなふうに記憶している人が多いだろう。

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 本作でも,主人公のCindersは,意地悪な継母Lady Carmosaと,2人の義理の姉,GloriaSophiaに毎日召使いのような扱いを受けて,窮屈な暮らしをしている。いつかこの暮らしを抜け出したいと考えているCinders。そしてある晩,お城からの使いが現れて……というところから,本作の物語はスタートする。ゲームでは,その“運命の夜”に至るまでの1週間を回想する形でストーリーを追っていくのだ。

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 こう書くと,まさにシンデレラのストーリーそのままのように思えるが,本作で描かれるのはディズニー映画のような甘いラブストーリーではないというところが大きなポイント。では,「本当は怖い○○」のような,残酷さをウリにした話なのかというと,それもまた正解ではない。本作のテーマとなっているのは,厳しい現実の中で,本当の意味での自立とは何かを描くことなのだ。より“ビター”になったシンデレラと言えば,分かりやすいかもしれない。

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 そのため,Cindersはシンデレラのような,ただ従順で,いつか王子様と結ばれることを夢見て待つだけの女の子ではなく,賢く活動的で,自分の人生を自分自身の手で切り拓こうとする女性として描かれている。また,意地悪な継母や義理の姉達も,ただ“邪悪”なだけの人物ではなく,その背後には,彼女達なりのそうしなければならなかった理由が隠されている。ゲーム中には,120か所のポイントに300以上の選択肢が用意されており,Cinders(=プレイヤー)がどのような選択を行ったかによって,ストーリーはさまざまに分岐していく。

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 また,こうしたストーリー面だけでなく,まるで絵画のような美麗なビジュアルも本作の魅力の一つ。スクリーンショットからは分かりにくいが,背景の絵の中では,草木が風に揺れたり,ろうそくの炎が揺らめいたりとわずかにアニメーションしており,作りこみの高さに感心させられる。テキストの表示方法ひとつを取っても,キラキラとしたエフェクトと共に文章が流れるなど,演出面でも非常に凝った作りになっているのだ。


 童話のような幸せな結末を迎えるか,あるいはまったく異なる未来が待っているかは,まさにプレイヤー次第という本作。全編英語のテキストを読み進めなければならないため,英語が苦手な人にはちょっとハードルが高いものの,ノベルゲームが好きな人にはぜひ一度プレイしてもらいたい作品に仕上がっている。公式サイトでは,本作の体験版が配布されているので,興味を持った人はまずはこちらを試してみるといいだろう。また,製品版は22.95ドルにて販売中だ。

■MoaCube公式サイト
http://moacube.com/

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