連載
インディーズゲームの小部屋:Room#229「CreepTD」
すでにご存じのとおり,タワーディフェンスとは進路に沿って進行してくる敵ユニットを,自陣を突破されないようにタワーを建てて迎撃していくストラテジーゲームのこと。通常は一人で遊ぶものだが,それをオンラインマルチプレイゲームにしてしまったのが本作だ。しかし,これだけでは「何だそりゃ?」という印象を持つ人のほうが多いのではないだろうか。筆者も内心,「そんなものが面白いの?」と半信半疑でプレイを始めたくちだが,実際遊んでみるとこれがかなり面白い。
本作の特徴は,最大4人のプレイヤーが同じ形のマップを使って,自分の陣地にタワーを建てたり,相手側に敵を送り込んだりして対戦する,ちょっと変わったゲームシステムにある。ゲームモードとしては,自分以外のプレイヤーすべてが敵となる“All vs. All”や,ペアを組んで2対2で対戦する“2vs2”のほか,力を合わせてどれだけ生き残れるかを競うCo-opモードなど,7種類が用意されている。
各プレイヤーはゲーム開始時に20個ぶんのライフを持っており,すなわち20回,敵に自陣を突破されるとゲームオーバーとなる。対戦型のモードでは,この20個ぶんのライフを守り抜いて最後まで生き残ったプレイヤーの勝ちだ。対戦中は当然,タワーを設置して自陣を防御することになるのだが,本作の大きな特徴となっているのが,上述のとおり相手の陣地に敵ユニットを送り込めること。本作では,いかに自陣を守りつつ,相手側に敵を送り込むかが勝負の鍵を握っているのだ。
とはいえ,タワーを建てるときはもちろん,相手側に敵ユニットを送りつけるときにも先立つものが必要だ。これらに必要な資金(クレジット)は,自陣の敵を破壊したときに入手できるほか,15秒に1回のラウンドごとに自動的に加算される。ここで覚えておきたいのは,自分が相手陣地に送り込んだユニットがたくさん残っているほど,次のラウンドでもらえるクレジットが増えるという点だ。
弱めの(安い)ユニットを大量に送り込むほど,ユニット1体あたりのクレジット増加率は高くなるが,これでは相手に簡単に倒されてしまい,かえって相手のクレジットを増やすことになりかねない。しかし,強いユニットを作成するには高額のクレジットが必要になるため,できるだけ多くのユニットを送り込みたいわけで,このあたりのバランス取りが実に悩ましい。また,攻撃にばかり専念していると,自陣の守りが手薄になってしまう。限られた資金を使って,いかに自陣を防御し,どのタイミングで攻撃を仕掛けるかの駆け引きは,従来のシングルプレイ用タワーディフェンスとはまったく異なるスリルを味わわせてくれる。また,すでに100種類以上と非常に多くのマップが用意されており,毎回,気分を新たに楽しめるのも大きなポイントだ。
ほとんどのゲームモードはマルチプレイ専用(一部シングルプレイで遊べるものもある)だが,現在はアメリカやイギリス,フランス,ドイツ,ブラジル,中国,韓国など,世界中から多数のプレイヤーが参加しており,対戦相手に困ることはないだろう。オンラインマルチプレイゲームということで,言葉の壁に躊躇してしまう人もいるかもしれないが,簡単な英語で挨拶ができればまったく問題ないレベルなので,ぜひ一度プレイしてもらいたい。いやはや,タワーディフェンスをみんなで遊ぶとこんなに面白いなんて,まったく予想できませんでした。
■「CreepTD」公式サイト
http://www.creeptd.com/- この記事のURL:
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