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インディーズゲームの小部屋:Room#209「Shira Oka: Second Chances」
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印刷2011/12/14 10:00

連載

インディーズゲームの小部屋:Room#209「Shira Oka: Second Chances」



画像集#001のサムネイル/インディーズゲームの小部屋:Room#209「Shira Oka: Second Chances」
 「インディーズゲームの小部屋」の第209回は,いつか取り上げようと思いつつ,すっかり時間が経ってしまった,Okashi Studiosの「Shira Oka: Second Chances」を紹介する。本作は,ひょんなことから,もう一度高校時代をやり直すことになった主人公が,今度こそ理想の青春を取り戻そうと頑張る恋愛アドベンチャーだ。

 本作の主人公は,実に冴えない人生を送っていた。高校時代は友達もおらず,女子からは見向きもされず,むしろ名前すら覚えられていなかった。おまけに勉強はできないし,卒業できたのは奇跡といってもいいほど。もちろん大学にも行けず,ろくな仕事にも就けず,もはや完全に人生の負け犬だ。

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 しかし,いつものようにバーで飲んだくれて自宅に戻った次の朝,彼は原因不明の高熱に襲われ,目が覚めたとき,部屋に見知らぬ天使がいることに気づく。なぜか部屋の隅で「イッサツー,ニサツー……」と本を数えていた(?)その天使はサツコと名乗り,主人公にもう一度高校時代をやり直すチャンスをくれるというのだが……えっ,サツコ? 天使なのにそんな地味な名前でいいの? ていうか,番町皿屋敷なの!?

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 ということで,プレイヤーはそんな主人公となり,再び手に入れたチャンスをものにすべく,恋に勉強にスポーツに,奮闘努力していくことになる。本作を開発したOkashi Studiosはアメリカはカリフォルニアのデベロッパだが,すでに何となくお分かりのとおり,物語の舞台は日本というのが特徴だ。まあ,日本人の目から見ると,ちょっとズレたところはあるが,少なくとも日本をイメージしているのは間違いない。タイトルの“Shira Oka”というのも,漢字で書くと“白丘”となる。うん,まあ,なんだ……間違いではないが,ちょっとそれはないかな……。

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 ゲーム開始時には,主人公の名前や血液型,初期ステータスなどを設定可能で,ステータスはゲーム内のイベントを体験することで得られるポイントを使って成長させられる。またゲーム内にはこの初期ステータスのほかに,スポーツやファッションなど6つのパラメータがあり,これはその週にどんな活動を行ったかによって上がったり下がったりするという仕組みだ。勉強やスポーツなどの活動中はミニアイコンによるアニメーションが表示され,成否が判定されるあたりが「ときめきメモリアル」シリーズを彷彿とさせる。

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 ゲーム内には,日常の他愛もない会話や中間・期末テスト,文化祭やクリスマス,さらに精霊流し(!)など,さまざまなイベントがあり,その数はかなり豊富。もちろん,多彩な女の子との出会いも待っている。ゲーム中に多数登場する女の子のイラストはお世辞にも上手とは言えないが,見慣れてくるとこれはこれで味があり,それぞれに個性もあってなかなかに魅力的。どんな高校生活を過ごし,誰と恋に落ちるかはプレイヤー次第というわけだ。

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 本作は,ひたすら文章を読みつつ,時折表示される選択肢をクリックするだけのアドベンチャーゲームと異なり,そのときのパラメータによってイベントが分岐するなど,かなりゲーム性の高い内容になっている。主にグラフィックス面で見劣りしているという点は否定できないが,ここまでしっかりした恋愛アドベンチャーが海外で制作されたことには大きな意義があるだろう。

 それに何といっても,作品の端々から,彼らがいかに日本好きであるかがうかがえるのが嬉しくもあり,微笑ましくもある。以下に掲載した本作のオープニングムービーの歌詞も日本語だ。でもまあ,なんていうかな。“恋するペンギンだから〜♪”って歌詞はどうかと思うけど……。


 そんな,ところどころ脱力させてくれつつも,かなり遊び応えのある恋愛ゲームに仕上がっている本作は,公式サイトでデモ版が配布されているほか,製品版がImpulseやGamersGateなどで9.99ドルで発売中。製品版は40時間以上のプレイ時間に10種類のエンディングと,かなりのボリュームになっている。周回プレイが前提のゲームなのにスキップ機能がないのが少々つらいが,興味を持った人は腰を据えてじっくり取り組んでみよう。

■「Shira Oka: Second Chances」公式サイト
http://www.shira-oka.com/

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