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インディーズゲームの小部屋:Room#207「Nitronic Rush」
「インディーズゲームの小部屋」の第207回は,DigiPen Institute of Technologyの学生チーム,Team Nitronicが制作した「Nitronic Rush」を紹介する。本作は,独自の意志を持つようになったガーディアンに支配され,ほとんど暴走状態にある未来都市Nitronic Cityを駆け抜けるレーシングゲームだ。
ゲーム内容は,次から次へと行く手に現れる障害物を回避しつつ,アクセル全開でゴールまで駆け抜け,タイムとスコアを競うというもの。どのコースも起伏がかなり激しいだけでなく,路面から壁が競り上がってきたり,丸ノコがコース上を左右に横切っていたりと,さまざまなトラップが仕掛けられているのが特徴で,暗闇の中にネオン調の風景が広がるTRON風のグラフィックスが印象的だ。
コースは途中で途切れていたり,ループ状になっていたりと,奇想天外な作りになっており,並の車では到底走破できそうもないが,心配ご無用。プレイヤーが操作する車には,アクセルやブレーキのほかに,ジャンプ,ブースト,ローリングという特殊機能が備わっており,さらに翼を出して空を飛ぶことまでできるのだ。本作にはライバルカーは登場せず,これらのアクションを駆使してどれだけタイムを縮められるかが肝になっている。
上述したさまざまなアクションの中でやや分かりにくいのがローリングだが,これは車体を左右に傾ける操作のこと。車体を傾けると鋭いコーナーリングが可能になるが,実はローリングにはそれ以上に重要な役割がある。実は本作では,コースの前方が突然途切れ,壁や天井を走行しなければ進めない箇所があり,そんな場所はジャンプしながらのローリングで,壁や天井に張り付いて走り抜けなければならないのだ。
手順としては,まずブーストなどで十分に加速してジャンプし,壁や天井にうまくタイヤが接地するように迅速にローリングを行うのだが,タイミングがシビアで,慣れないうちはかなり難しい。失敗するとそのままコースから落下し,チェックポイントからやり直しとなってしまうので,大きなタイムロスになる。筆者はどうしてもこの操作がうまくできず,もう何度コースから転落したか分からないほどだ。
ゲームモードは,7つのコースを順番にクリアしていく「Story」と,好きなコースを選択してプレイできる「Arcade」の大きく分けて2つ。ArcadeモードにはStoryモードでは登場しなかった,さらにトリッキーで高難度のコースが用意されている。Storyモードはちょっと練習すれば,さほど苦労することなくクリアできる難度だが,Arcadeモードの上級コースは本気で難しく,上述の“壁(天井)走り”をマスターしていなければクリアは不可能といってもいい。
本作は一応キーボードでも遊べるが,Xbox 360コントローラでの操作に最適化されており,使用するボタンも多いので,持っている人は素直にそちらでプレイしたほうがいいだろう。DigiPenの学生チームの作品には完成度の高いものが多く,本作もそのままインディーズゲームとして市販されていてもおかしくない出来栄えの一本だが,公式サイトではフリーゲームとして公開されている。つまり,誰でも無料でプレイできるので,興味を持った人はさっそく公式サイトからダウンロードしてみよう。
■「Nitronic Rush」公式サイト
https://nitronic-rush.com/- この記事のURL:
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