連載
インディーズゲームの小部屋:Room#206「Wizorb」
本作のタイトルでもある秘術“Wizorb”とは,果たしてどんなすごい奥義なのか。生き残った人々の希望を一身に背負うほどの魔術である以上,並大抵の技ではあるまい。その正体とは……なんと自らの肉体をブロック崩しのパドルとボールに変化させる技だった! なんだってー! ということで,プレイヤーはパドル(設定上は“魔法のワンド”)に変身したサイラスを操作して,ブロック崩しで魔物と戦っていくことになる。まあ確かに,いろんな意味で凄い技だ。
さて,秘術“Wizorb”を引っさげて,かろうじて逃げ延びた人々が暮らしているタロットの町へとやって来たサイラス。このタロットの町は,ある意味,本作におけるホームタウンとも呼べる場所だ。市長から「ゴルドー王国を救ってほしい」と頼まれたのち,町を歩き回ってみると,至るところで建物が破壊されている。しかも町の人に話しかけると,会う人会う人いきなり復興費用を無心してくるという始末。いくら切羽詰っているとはいえ,初対面の老人から金をせびろうとするなんて……。
実は本作では,ブロック崩しのステージクリア時などに入手できるお金をこうした人々に寄付することで,町が徐々に復興していく仕掛けになっている。そして,この町を拠点にゴルドー王国の各地で魔物と戦いながら,魔王のもとを目指していくのだ。ゴルドー王国には全部で5つのエリアがあり,それぞれに12ステージが用意されている。ゲームの基本は,パドルでボールを打ち返しブロックを破壊していく,おなじみのあれだが,ストーリーや設定にRPG風の味付けがされているのが本作の特徴だ。
ステージ中にはブロックだけでなく,魔物がウロウロ歩き回っていることがあり,これらにボールをぶつけて残らずやっつければステージクリア。当たり前だが,ボールを受け損ねて落としてしまうとミスになる。また,サイラスは魔法使いだけあり,パドルに変身するだけでなく,火の玉を放って攻撃する“黒魔法”と,風を起こしてボールの軌道を変える“白魔法”の使い手でもある。魔法を使うにはマジックパワーが必要だが,マジックパワーはブロックを壊したときに出現する赤い小瓶で回復できるので,うまく使いこなして効率的にブロックや敵を破壊していこう。
このほか,特定のステージにはショップやボーナスステージへの入り口があり,さらに各エリアの最後にはボスが待ち構えている。ショップではボールを3つに増やしてマルチボールにしたり,パドルを大きくしたり,予備のライフを追加したりといったアイテムが購入できる。町の復興やアイテム購入のための資金はステージクリア時にもらえるほか,ブロックを壊したときに出現するコインや宝石を取ることでも得られるが,あまり欲をかきすぎると肝心のボールをうっかり落としかねないので,ほどほどに。まあ,自分のことですけどね。
一見するとRPGのような雰囲気もある本作だが,実際は各ステージを順番にクリアしていくオーソドックスなブロック崩しで,キャラクターのレベルアップといったRPG要素はない。思った以上に普通でやや拍子抜けしてしまうが,そのぶん安心して楽しめるとも言えるだろう。8bit風のグラフィックスやサウンドも懐かしく,ちょっとだけ遊んでから仕事しようと思っていたのに,つい夢中になってエンディングまでプレイしてしまった。ヤバイよ,ブロック崩し。楽しすぎる……。
そんな本作のPC版はGamersGateなどでダウンロード販売されており,価格も2.99ドルと格安なので,興味を持った人はぜひどうぞ。また,Xbox LIVEではXbox 360版が240マイクロソフトポイントにて発売中。残念ながらPC版には体験版がないようだが,Xbox 360版の体験版はXbox LIVEからダウンロードできるので,Xbox 360を持っている人はまずはそちらからお試しあれ。
■「Wizorb」公式サイト
http://www.wizorb.com/- この記事のURL:
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