東京ゲームショウも無事終了し,何だかすっかり1年が終わった気分になっている筆者がお届けする「
インディーズゲームの小部屋」の第198回は,404FAMILYの
「毒魔女遊戯」を紹介する。本作は,魔女の世界にやって来た魔法使いの少女が,魔女界の支配をたくらんで魔女達と“爆殺遊戯”で対戦するというアクションパズル。ダークメルヘンな世界観と,一度見たら忘れられない独特なタッチのイラストが魅力の一本だ。
本作の主人公は,迷い込んだように見せかけて魔女の世界にやって来た女の子・
チコ。可愛い顔して,実は結構ダーティなことを考えているチコの狙いは,魔女界を支配すること。しかし,お城を目指して進むチコの前に,そうはさせじと12人の魔女達が立ちはだかる。うーむ,これは……どう見てもチコが悪者です。本当にありがとうございました。
チコ
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主なゲームモードは,そんなチコの道中が描かれるストーリーモードの
“最初から遊戯”と,好きなキャラクターを選んで魔王様とひたすら戦う
“逝くまで遊戯”の2つ。また,ストーリーモードはオートセーブになっており,
“割り込み遊戯”を選んでストーリーの途中から遊ぶこともできる。そして,チコと魔女達との対戦方法となっているのが,
“魔女のお遊戯”と呼ばれるものだ。
この魔女のお遊戯は,何の罪もない哀れな魔法生物
“ガジガジ君”をカボチャ爆弾で爆殺し,死んだガジガジ君の魔力を集めて相手を攻撃するというもの。自分で書いていても,これはちょっとあんまりだと思うが,とにかくそういうルールだ。
基本操作はマウスのみで可能で,右クリックでカボチャ爆弾を設置し,左クリックで選択したカボチャ爆弾を爆発させるというもの。また,カボチャ爆弾はほかの爆弾の爆風に巻き込むことでも爆発し,連鎖によって大爆発を起こすこともできる。
カボチャ爆弾でガジガジ君を倒すと,その魔力は
“魔法玉”となって自分の魔力ゲージの下に溜まっていく。これを左クリックして相手にぶつけ,相手の体力をゼロにするか,制限時間がなくなったときに自分の体力が相手より大きければ勝利だ。カボチャ爆弾は魔力ゲージの続く限り連続して設置でき,一度に多くのガジガジ君を倒すほど大きな魔法玉を作れるので,遠慮せずにじゃんじゃんヤってしまおう。
一応,冒頭では本作をアクションパズルと紹介したものの,ガジガジ君は倒しても倒してもどんどん出現するため,割と適当にカボチャ爆弾を置いてもオーケーで,パズル要素はそれほど強くない。
それよりもむしろ,いかにスピーディに魔法玉を作り,それを相手にぶつけるかという手数の多さが勝負の鍵を握る,アクション要素の強い内容になっているのが本作の特徴だ。
またゲーム中には,倒すことで
“攻撃力アップ”や
“魔法反射”といった効果が得られる
“ゴースト”がランダムで出現し,あと一歩のところで相手に逆転を許したり,逆に不利な状況から一気に勝負をひっくり返したりといったことも起こる。ただ,これらのゴーストの効果はあまりにも絶大なため,出現したらとにかく相手より先に倒す以外に対処のしようがなく,連鎖に組み込むなど,戦略的に活用するのは難しい。まあ,ほぼ運要素のみで理不尽な負け方をしてしまうこともあるのが本作らしさと言えなくもないが,やや残念に感じられる部分でもある。
しかし,そんなちょっとしたゲームシステムの粗もすべて帳消しにしてくれるのが,イラストレーターの
粉冬ユキヒロ氏による,魅力的なイラストの数々だ。チコを始めとするキャラクターは,どれもメルヘンチックな可愛らしさの中にダークな雰囲気を併せ持っており,一目見たら忘れられない独特の魅力を放っている。本作の世界観やキャラクター設定,ストーリー,音楽などは,すべてこの粉冬氏のイラストを生かすためにデザインされているとのことで,ゲームとの相性も抜群に良い。
公式サイトでは,そんな本作の体験版が公開されているほか,本作の主題歌やBGMの視聴もできる。とくに,主題歌とBGMはどちらも素晴らしい出来なので,ぜひ聴いてみてもらいたい。上述したようなゲームシステムの詰めの甘さは残るものの,ストーリーやイラスト,BGMを含めた一つの作品としての総合的な完成度は高く,ぜひこの世界観を生かし,ゲームシステムをよりブラッシュアップした続編の登場を願わずにはいられない作品だ。
本作の製品版は1365円(税込)で発売中なので,“毒魔女”達のキュートでダークな魅力の虜になってしまった人はぜひどうぞ。
■404FAMILY公式サイト
http://404family.com/
チコ(左)と魔王(右)
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