連載
インディーズゲームの小部屋:Room#24「DieFeen」
無数に分かれた大陸を統一した王,ヨッフム・エルルミュテル。そのヨッフム王の持つ古文書「ヴォルペルディンガー」が,王立科学院によって解読された。古文書によれば,妖精の羽から採れる燐粉を使うことで,伝説の魔獣ヴォルペルディンガーの力を手にできるという。抵抗勢力を一掃する力を欲していた王は,燐粉を得るために妖精の住む森や集落を次々と襲撃させ,ついに残る妖精の里も一つだけになってしまった。さらわれた妖精を助け出し,王の野望を阻止するため,妖精達から魔法を教わったエアリエルとネーベルは王立科学院に奇襲を仕掛けるのだった……。
プレイヤーは,ゲーム開始時にこの2人のどちらかを選択できる。移動速度が速く,敵弾の回避に優れたフォーメーションと妖精ボムを持つエアリエルは「防御型」,移動速度はやや遅いものの,攻撃力が全体的に高く,攻撃に適したフォーメーションを持つネーベルは「攻撃型」のキャラクターだと言える。どちらも一長一短あるが,とっさのときに自機周辺の敵弾を消してしまえるエアリエルのほうが,初心者に向いている……と言いたいところだが,硬い敵が多い本作ではエアリエルのショットの威力の低さがツライところでもある。結局のところ,両方をプレイしてみて,自分に向いているほうを選ぶのがいいだろう。
攻撃に使用するボタンは,ショット,妖精ボム,フォーメーション変更の3種類。妖精はいわゆる“オプション”に当たり,各キャラクターに3種類ずつのフォーメーションが用意されている。妖精のフォーメーションを切り替えることで,自機の移動速度が増減するほか,妖精の攻撃方向や威力,妖精の防御力などが変化する。フォーメーション変更の方法には,ボタンを押すごとにフォーメーションが切り替わる「Roll型」と,ボタンを押している間だけ設定されたフォーメーションに切り替わる「Separate型」の二つがあり,好きなほうを選べる。初期状態はRoll型に設定されているので,両方試してみて,プレイしやすいと感じたほうを設定しよう。
妖精は通常の敵弾には当たらないが,薄い紫色をした「対妖精弾」「捕獲弾」には当たってしまう。そのため,妖精を盾にしてこれらの敵弾をかわすことができる。
妖精には体力が設定されており,弾が当たると徐々に減少し,体力がなくなった妖精はあわれお亡くなりになってしまう。さらに切ないことに,妖精ボムを使用すると,そのとき最も体力が減少している妖精が犠牲になってしまう。一度に呼び出せる妖精は4匹までで,カバンの中にストックがある(というか,いる)場合,画面上の妖精が3匹以下になると一定時間後に自動的に補充される。
スタート時は20匹の妖精がカバンの中におり,そのうちの4匹がオプションとなって出現するので,残りは16匹と結構余裕がある。妖精の体力は時間経過とともに少しずつ回復していくので,よほど酷使しないかぎり,そうそう死ぬことはない。妖精は,ステージ中の特定の地点に弾を撃ち込むと出現する「妖精カプセル」を取ることでストック数を増やせる。
また,マニュアルには書かれていないが,敵を倒したときに出現し,得点倍率に影響する「Rateアイテム」を一定数取ることでも,カプセルが出現する。Rateアイテムは,一定時間ショットを撃たないでいると自動収集できるので,ハイスコアを狙う人も,ゲームのクリアを目指す人も,できる限り取り逃さないようにしたい。
見た目は実にほんわかした本作だが,敵の攻撃はステージ1からかなり激しい。敵は上下左右から現れるうえ,撃ちもらすとこれでもかとばかりに大量の弾幕を吐き散らすのでやっかいだ。敵の出現パターンを頭に叩き込み,それに合わせた最適なフォーメーションに切り替えて迎え撃たねばクリアは覚束ないだろう。それに加えて,ボスの体力が非常に高いというのも,本作の難度を高くしている。エアリエルを使用しているときは,ショットの威力の低さに涙がちょちょ切れそうになるほどだ。
難度はEASY/NORMAL/HARDの3通りから選択できるが,本作はどちらかといえばシューティングゲームに慣れた人向けのゲームだ。ねこみみのかけらの公式サイトからは,ステージ2までプレイできる体験版がダウンロードできる。本作のグラフィックスに魅力を感じた人は,まずはそちらをお試しあれ。また,製品版は1470円(税込)で発売中。続きが気になる人は,公式サイトで取り扱いショップを確認しておこう。
最後に,ねこみみのかけらでは,夏に開催される次回のコミックマーケット74に向けて,本作のサウンドトラックCDと,ごく少量ながらCG画集とフィギュアを準備中とのこと。プレイ中はのんびりと音楽やグラフィックスを楽しんでいる余裕がない筆者としては,こちらも楽しみなところだ。
■ねこみみのかけら公式サイト
http://www.nekomiminokakera.net/- この記事のURL:
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