連載
インディーズゲームの小部屋:Room#21「魔砲少女」

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魔界から現れたベリアルという魔人が,地上界を好き放題に荒らしまわっていた大昔のこと。多くの“魔砲”使い達が魔人に挑み,激戦の末に退治に成功した。それから数百年。人々は争いのない平和な世界に暮らし,昔は大勢いたという魔砲使いも,今では数えるくらいになっていた。ところがあるとき,魔人ベリアルが復活し,エーゼル城を占拠したという知らせが世界中を駆けめぐった。数少ない魔砲使い一族の一人であるレベッカは王国からの要請にこたえ,単身,魔人退治に向かうのだった……。
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本作は,トゥーンレンダリングによって表現された3Dキャラクターが魅力的な縦スクロールシューティング。主人公のレベッカを操作して,復活した魔人ベリアルをやっつけるのがゲームの目的だ。ステージ1の途中からは,小動物(?)のラファがお供として登場し,攻撃のサポートをしてくれる。
縦スクロールシューティングというと,即座に思い浮かぶのが弾幕系だが,本作はいわゆる弾幕系シューティングとは一味違う。本作では,弾幕のパターンではなく,個々の敵の出現パターンや,攻撃パターンそのものを覚えて対処していくことに重点が置かれている。したがってボスクラスの敵も,ただ弾幕をばら撒くだけではなく,画面をところ狭しと動き回りながら,多彩な攻撃を仕掛けてくる。
攻撃に使用するのは,通常ショットと攻撃方向切り替えの,二つのボタンのみ。縦スクロールシューティングで多く見られる“ボム”に当たるものは本作には存在しない。その代わり,通常ショットと攻撃方向切り替えの両方のボタンを押しっぱなしにすることで,強力な“魔砲”攻撃をチャージできる。魔砲は敵を貫通するだけでなく,射線軸上の敵弾を消滅させられるので,これによって敵の弾幕を切り開いていくというわけだ。
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魔砲は,敵を倒したときに出現する青いクリスタルを集めることでチャージ可能なレベルが上昇し,最大で4段階までチャージできる。魔砲のチャージを開始すると杖の先端が光り始め,チャージが1段階完了するごとに,キャラクターの前方に魔法陣が一つずつ展開されていく。強力な魔砲ほどチャージに時間がかかるが,魔砲の威力を高め,一気に敵を撃ち落していくときの爽快感はなかなかのもの。しかし,魔砲の使用時にはいくつか注意が必要だ。
まず,魔砲のチャージ中は通常ショットによる攻撃ができない。一応,チャージ中は杖の先端に当たり判定が発生し,小さな敵弾を消し去ることができるのだが,判定自体はそれほど大きくなく(チャージレベルが上がるごとに少しずつ大きくはなるが),敵弾に接触するとチャージがキャンセルされてしまうので,慣れないうちはあまりこれに頼らないほうがいいだろう。さらに,魔砲の発動中は移動できないという点にも注意が必要だ。そのため,多くの敵が飛び交っている場面で発動すると,かえって命取りになる場合もあるので,使いどころの見極めが肝心だ。
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攻撃方向の上下を切り替えられるというのも,一般的な縦スクロールシューティングにはあまり見られない,本作ならではの特徴だ。これは裏返すと,上からも下からも敵が容赦なく襲い掛かってくるということで,素早く的確に攻撃方向を見定める必要がある。注意すべき敵の出現時には,その出現位置にあらかじめ警告マークが表示されるのだが,警告なしでいきなり画面下から敵が現れることもある。普通の縦スクロールシューティングに慣れていると,自機の攻撃方向を切り替えられることをついつい忘れてしまいがちなので,「なんじゃこの攻撃は!」とゲームパッドを放り出す前に,落ち着いて向きを変えて迎撃してほしい。
また自機の通常ショットは,敵を倒すと出現する赤いクリスタルを取ることで威力と攻撃範囲がアップしていくが,攻撃をくらうと下がってしまう。魔砲を使って倒すことを前提にしているためか,全体的に敵の耐久力が高く,一度に出現する敵の数も多いので,威力の低い状態の通常ショットで切り抜けるのは困難だ。そのため,一度ミスをすると立て続けに攻撃をくらってしまい,そのままゲームオーバーになってしまうこともあるなど,見た目の可愛らしさと裏腹に難度は高い。敵の出現パターンを覚え,自分なりの攻略法を確立しなければ,ステージクリアは覚束ないだろう。
KIT-Stationの公式サイトからは,ステージ2までプレイできる体験版がダウンロードできる。攻撃方向の切り替えを駆使してパターンを構築し,ステージを攻略していく楽しみは,弾幕系シューティングとはまた違ったものが味わえる。普通の弾幕系シューティングでは飽き足らないという人は,ぜひ一度お試しあれ。また,製品版は1050円(税込)で発売されており,取り扱いショップは公式サイトで確認できる。なお,KIT-Stationでは本作の続編「大魔砲少女」を制作中で,2008年夏頃の完成予定となっている。次回作はどうやら,本作のエンディングの数年後のお話になるようなので,こちらの完成も楽しみだ。
■KIT-Station公式サイト
http://www.kit-station.com/mcg/![]() |
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