連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第445回「レベルファイブに完敗」
……これ,タイミングを間違ったらペンパイナッポーアッポーペンに乗ったんだと思われる可能性があったわね。危ないところだわ。いや,逆に今ならいっそ乗ってしまっていいけども。乗り遅れもはなはだしいっていうギャグとしてね。どうでもいいけど,今,全力でラッスンゴレライをヤれる人がいたら,その人はたぶんすごく才能があると思うよ。
はい男色Pですあらためましてこんにちは。「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」(PlayStation 4 / ニンテンドー3DS)を終えてドラクエロスに陥ってから,早1週間。
私がドラクエのない世の中でたそがれていようとも地球は回り続けているわけで,ゲイムもどんどん発売されているのです。生きていると,つらいことはあるよね。そんなときは立ち止まってもいいと思うのですよ。でも,これだけは忘れないで。地球は回っているってことを。そうこうしている間も時間は過ぎているし,寿命に近付いているし,お腹だって減る。なので,つらいことがあったら,まずは寝るか食べるかすればいいんじゃないかな。結局はどうせしなきゃいけないことだからね。何もしないよりは,いい気はするよ。
ま,そこら辺のマネジメントも自由だから人生は奥深いんだけどな。というわけで,男色プロデューサーがゲイムからプロデュース理論を学んでいく連載「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」,今週もイッてみましょう!
では,ジャラについてもう少し説明しましょうか。このジャラが,スナックワールド トレジャラーズの最大の個性だからね。要は,キーホルダー型の武器を模したおもちゃがあるのよ。あ,現実の世界で。これは実際に宝箱型のパッケージに収められた「トレジャラボックス」という商品として,おもちゃ屋などで買うことができるのね。もちろん武器の種類はいっぱいあるわ。で,それをゲイムに読み込むことでその武器を使用できる(厳密にはその武器が当たるくじを毎日引ける)という仕組み。
イメージとしてまとめると,宝箱から手に入れたキーホルダー型の武器を実際にゲイムで使えるという感じかしらね。もちろんゲイム内だけで手に入る武器でもゲイムは進められるんだけど。ま,分かりやすく言えば,「妖怪ウォッチ」シリーズにおける「妖怪メダル」のようなものね。こういう形で現実世界とゲイムの世界の距離を縮めているの。
レベルファイブって,こういうところが凄いのよね。ゲイムの中だけじゃなく,現実世界を視野に入れてゲイムを作っているわ。アニメ化もそうだけど,それだけじゃない。メディアミックスをより深い形で行っているのよ。前述の妖怪メダルもそうだし,「二ノ国 漆黒の魔導士」の「魔法指南書」(マジックマスター)もそうだったわ。
二ノ国では実際にソフトに付属している本に記載されているルーンを,ニンテンドー3DSのタッチスクリーンに描くことで魔法を発動させる仕様だったんだけど,現実世界での行動や物がゲイムの世界に反映される作りっていうものに,レベルファイブは長いこと取り組んでいるのよね。
そういえば,「レイトン教授」シリーズもその一例かもしれないわ。ゲイム内だけでない,実際に考えさせるパズルやなぞなぞという意味では,世界観がゲイム内だけにとどまっていないのよね。ゲイムだけど,現実世界とリンクしてる。ゲイムはゲイムって割り切り方をしていない。こうした姿勢が,妖怪ウォッチの世間的なブレイクにつながったんだと私は思っているわ。決して偶然じゃない。
妖怪ウォッチの人気の分析として「キャラが可愛い」とか「ダンスに合わせた主題歌」だとか言われていたのを聞いたことあるんだけど,きっとそうじゃないのよね。いや,もちろんそれはそれで正しいんだけど,それらは手段であって本質的なものじゃない。ゲイムと現実世界をリンクさせて楽しませようとした結果なのよ。
キャラクターだけでなく,アニメだけでなく,おもちゃだけでなく,音楽やダンス的なものだけでなく。それらが重層的にリンクしていたのがヒットの要因だったと思うの。そして,そこで欠かせないのがゲイムなのね。あくまでゲイムありき。ありきって言うと語弊があるかもしれないわね。あくまでゲイムが起点。それを,各方面に放っているっていうイメージかしら。
だから,たまたま“ゲイムを原作としたアニメが当たったから,「紅白歌合戦」に出演するほどのブレイクを果たした”ってわけではないの。すべてはレベルファイブというゲイム会社のコンセプト勝ち。実際に,どの事業部がどのような利益を上げているかは分かんないわ。でも,ゲイム畑の出来事だけでなく,いろんな方面から楽しんでもらおうとする会社としての姿勢が,実際に世の中に響いてブームを生み出したんだと私は思っているの。
でも,これってプロデューサー目線で言うと,勇気のあるケツ断なのよね。いや,コンセプトを立てるだけだったら簡単よ。ただ,それを実行するのもゲイム内だけでなく,手を伸ばした各方面の責任やら事情やら現状把握が必要になってくるからね。管理しないといけないポイントが増える。で,それによる破たんを防がなきゃいけない。そこまでする覚悟がないとできない。そのうえで勇気を持って実行して,実際に当てたわけ。こりゃもう,凄いとしか言いようがない。
具体的に言うと,Rボタン押せばすぐにクエストが受注できる。これによって,ゲイムテンポが劇的に上がっているの。このゲイムが見せたい部分は何かというと,結局はストーリーだと思うのよね。そのストーリー展開に没頭させるためにも,削るべき部分を大幅に削る。結果,繰り返し同じクエストをクリアする作業が必要な場合でも,テンポよくプレイできるようになっているのよね。
実際のクエストも長くて10分前後,短ければ数分のプレイ時間だし,テンポをかなり重視して作られているのは間違いないわ。メディアミックスだったりジャラだったりでそつがないゲイムなのかと思いきや,実はこの作品は何気なく実験作じゃないかしらね。で,ちゃんとその実験が功を奏している。
今後,おそらくこういう具合に見せたい部分をしっかり見せて,削るべき部分を簡略化するタイプのゲイムが増えるんじゃないかと思うわ。正直,なんでRPGをドラクエと同時期に発売するんだろう? と思っていたけど,ドラクエとはまったく違う遊びを提供しているのが分かったので,これはこれで納得できたわ。
ゲイム業界内だけが相手だとドラクエは脅威だけど,一般的には夏休みだもん。夏休みは,遊びの季節ですもんね。避ける理由が逆にない。私の視野の狭さを痛感したわ。ともかく,スナックワールド トレジャラーズはとても面白いわよ。ぜひプレイしてほしい作品ね。
ちなみに私,あまりにゲイムにハマりすぎてトレジャラボックスをあちこちで探したんだけど,どこにも売っていない事案が発生中。なんか,調べてみたら各所で売り切れらしいわね……。目撃情報があればぜひ教えていただきたい。とはいえ,売っているのを自分で見つけられたら,きっとすげー嬉しいんだろうとも思っているわ。その喜びも,きっとレベルファイブは織り込み済みなんでしょうな。
40歳でプロレスのプロデューサーになったものの,レベルファイブに完敗しているという8月の終わりでした。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」
PlayStation Vita:「GOD WARS 〜時をこえて〜」
Nintendo Switch:「ARMS」
ニンテンドー3DS:「スナックワールド トレジャラーズ」
iOS:「クラッシュ・ロワイヤル」
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