男色ディーノのゲイムヒヒョー：其の四「刀を研いでいたら使いたくなった」

著者近影

　えー，この間の連休（7月14〜16日）で岡山，名古屋，静岡と，いわゆる地方巡業に行ってきたわ。生でプロレスを見る機会のなかなかない地方の人達の目の前で，対戦相手を殴ったり投げたり吸い付いたりまさぐったりしてきたわけ。うーんプロレスラーっぽーい！
　この手の巡業はバスで移動するのね。車に弱い私はこの3日間死ぬ思いで地方に赴いてきたってわけ。あー，つらかった……。って話ではなく！　バスに乗っている時間が多いということは，必然的にヒマな時間が多いということであり，これすなわちゲームの時間なわけよ。


　そして今回の巡業では，「いただきストリートDS」（以下，いたストDS）で初めて4人対戦ができたの。一応説明しておくと，これはすごろくとマネーゲームをミックスしたボードゲームのシリーズ7作目で，とくに今回はスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト」と任天堂の「マリオ」が夢の共演を果たしたことで話題になっているやつね。
　ボードゲームなんかはけっこう好きなんだけど，私は一人でプレイすることが多いのね（オンラインゲームも一人で遊ぶわ）。昔，「桃太郎電鉄」を99年設定で一人プレイしきったときには，さすがに「友情」という言葉の意味について，人生で最も長く，そして深く考えたものよ。もちろん答えは出なかったけど。
　それはともかく。いたストシリーズは，堀井雄二氏がゲームデザインを手がけたボードゲームということもあって，ドラクエ派の私は当然ひと通りプレイしてるんだけど，齢30にして初の対人戦を行うことができたってわけ。これだけでも生きててよかったって思ったわね。
　結果は，ここまでの人生でコンピュータ相手に一人で刀を研ぎ続けた甲斐もあって，まあ余裕の勝利ってやつ？　一度，あまりにもダイス＆チャンスカードの引きが悪くて，ニンテンドーDS Lite本体の右側にある電源っぽいスイッチをオフにしてひんしゅくを買ったもんだけど，その後のプレイは全戦全勝。プロレスラーいたストキングの座は死守したわ。一人プレイの井の中の蛙が世界を取った瞬間だったわね。
　っていうか，プロレスラーは昼も夜も強引だから，5倍買いのタイミングが早いったらありゃしない。そんなだから巡業先でナンパした女性に飯おごるだけおごって逃げられるのよムヒョヒョヒョ！



　そうこうしていると，いたストDSでは勝てないと悟った今売り出し中の若手レスラー，ローション松永（編注：松永智充。ぷよぷよ体形＆甲高い声が特徴で，中澤マイケルと共に“ヌルヌルブラザーズ”としてヌルヌルしている）が「リング上で『ぷよぷよ！』勝負だ！」とプロレスラーらしい挑戦状を叩きつけてきたわ。でもさすがにリング上ではアレなので，丁重にお断りして，バスの中でぷよぷよ対戦としゃれ込むことに。
　序盤こそブランクと，慣れないっていうかこれまた生まれて初めての4人対戦に苦戦したけど，回を重ねるうちにポイントをつかんで勝ち星を増やしてゆく私。っていうか，大きな連鎖を狙うより，小刻みに3連鎖くらいを重ねていったほうが有利だということに気づいたら，楽勝ね。さてそろそろローション松永を泣かせようかしらと思ったその瞬間！　画面に「通信エラーです」とのインフォメーションが。横を見ると，弱冠25歳の若手レスラーの，この世のものとは思えないほどに透明感のある笑顔が。彼もどうやらDS Lite本体の右側についているスイッチっぽいものをオフにしたらしい。
　それでいて「通算成績は僕のほうが上ですね。ゲームサイトに連載を持っている人の実力ってこんなもんですか？　がっかりだなぁ」。……なんとも腐った男だわ。私のゲーム閻魔帳にまた一人書き加えられることに。いつか試合前にコスチュームのタイツを隠してやるわ。



　あと，特筆すべき巡業中のゲームの思い出といえば，当社の社長レスラーね。またしても「おい，『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』の通信対戦をやるぞファイアー」と脅されたわ。
　前回，「もうFFTなんてやらない」と心に誓い，そしてこの連載でも宣言したのだけど，社長レスラーに何か付き合わされるかも？　と思って，レベル上げはしておいたのね，平均22くらいに。
　そして予想どおり，「おいやるぞファイアー」と言われ……。内心「うわぁ……」と思いながらも，一度付き合ってあげれば収まるだろうと踏んでいたのよ。
　でも，甘かったわ。社長は……いや，あえてここではこう呼ぼう，“奴”は私が思っていたよりもあまりにも童心にあふれていた。言い方を変えれば大人げなかった。これでもかとばかりに魂を陵辱された。その結果，次の巡業までに私のキャラクターのレベルを最低でも40まで上げるというノルマが課せられたのは言うまでもない。でもそのころには社長レスラーがさらにレベルを上げていそうな気もするのがつらいわね。

　以上，男色ディーノの「巡業ゲーム日誌」でした。

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ 8月6日（月）からの一週間は新木場1stRINGで，ビールを飲んだりつまみをパクついたりしながらプロレス観戦を楽しめる“闘うビアガーデン”が開催予定。とくに8月10日（金）は，ディーノ選手＆マッスル坂井選手＆猪熊裕介選手の“ドラマチック三銃士”がプロデュースするとのことなので，おかしなことになること間違いなし。前回もお伝えしたとおり，8月5日（日）には後楽園ホールでも試合があるようです。詳細はDDTプロレスリングの公式サイトなどで確認を。

いただきストリートDS
対応機種：ニンテンドーDS
メーカー：スクウェア・エニックス
発売日：2007年6月21日
価格：5040円（税込）
CEROレーティング：A
公式サイト：http://www.square-enix.co.jp/itastds/
（C）2007 ARMOR PROJECT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
（C）KOICHI SUGIYAMA
DRAGON QUEST characters:（C）ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
SUPER MARIO characters:（C）2007 NINTENDO
CHARACTER ILLUSTRATION: SHIRO AMANO

ぷよぷよ！
対応機種：ニンテンドーDS
メーカー：セガ
発売日：2006年12月14日
価格：5040円（税込）
CEROレーティング：A
公式サイト：http://puyo.sega.jp/about/index.html
（C）SEGA