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印刷2008/02/15 13:03

連載

奥谷海人のAccess Accepted

 2002年より続くPCゲーム市場の縮小は,ほかのプラットフォームの優位性が確立されたとか,長く遊べるオンラインゲームが流行り始めたことだけが理由ではないだろう。ブロードバンドの普及に伴って海賊行為が拡がり,開発者達がPCゲームの制作から離れ始めていることも関係しているようだ。マルチプラットフォーム化の行き着く先は,PCゲーム市場からの完全撤退でさえあり得る。我々は,こんな現実をどう受け止めるべきなのだろうか。

なぜPCゲームは売れなくなったのか?
数字では分かりづらいPCゲーム市場の真の姿

 良作が多くリリースされた2007年の北米ゲーム市場だが,その売り上げも,モンスター級だった。アメリカのリサーチ会社NPD Groupの発表によると,ハードウェアやソフトウェアを含めた2007年の北米ゲーム市場の売り上げは,179億4000万ドル(約1兆9370億円)を記録。「北米ゲーム市場2兆円時代」も目前という勢いで,前年比では43%も急上昇したことになる。このうちのソフトウェアセールスは86億1000万ドル(約9210億円)に達し,前年と比べると48%増えている。

 ただし,数字を細かく追っていくと,PCゲーマーにとっては何とも寂しい結果も見えてくる。NPD Groupが発表した小売店での販売数を見ると,ゲームソフトの実売数は総計2億6780万本。しかしながら,PC用ゲームは3640万本しかなく,1億5390万本のコンシューマ(据え置き機)用ゲームだけでなく,7750万本を売り上げた携帯ゲーム機用ソフトにも,大きく差をつけられてしまったのだ。つまり,PCゲームの売り上げは約9億1070万ドル(約1000億円)であり,売り上げベースでの市場シェアは10.5%程度になる。

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PCゲームは,なぜ売れなくなってしまったのだろうか。なぜデジタルディストリビューションが業界の救世主的な立場にあるのだろう? その答えは,今回のテーマである「海賊行為」にあるとしかいいようがない。本文とは直接関係ないが,画像はSOEからリリースされたばかりのMMORPG「Pirates of the Burning Sea」のもの。まあ海賊つながりということで

 ネットで検索できる限りだが,PCゲーム市場がコンシューマ機市場よりも大きかった最後の年は1999年で,当時は36億5000万ドルのソフトウェアセールスのうち50.5%がPCゲームだった。この後,2002年のXboxのリリースをきっかけに,アメリカでのシェアが急激に下降していく。たった数年間で,市場は大きく変化してしまったわけだ。

 もっとも,このNPD Groupの統計には,月額/アイテム課金によるオンラインゲームの売り上げや,「Steam」や「EA Downloader」といった,デベロッパ/パブリッシャが自ら運営するデジタルディストリビューションシステムによる売り上げは含まれていない。実際の販売数は各社の発表以外に頼るところがなく,売り上げに関しても,各社の収益から想像するしかない。

 PCゲームの2007年の売り上げは,2006年と比べると6000万ドル(約66億円)も減少してしまったが,ここ数年,デジタルディストリビューションの普及が進んでいるのは疑いの余地がなく,実際にはそこまでPCゲームの売り上げは減少していないだろう。こうした販売の新しい流れにより,本当の売り上げは見えにくくなっているのだ。ダウンロード販売が増えてきたPCゲームと,ほかのプラットフォームの市場規模を単純に比較することは,できにくくなったといえる。

 

海賊版の氾濫に悲鳴をあげる開発者

 その一方で,統計とは別に,「PCゲームは実際に売れなくなった」と考えている人達も少なくない。この冬,各プラットフォームの合計で700万本を売り上げ,2007年最大のヒット作になったActivisionの「コールオブデューティ4 モダン・ウォーフェア」を開発したInfinity Wardのコミュニティ・マネージャー,Robert Bowling(ロバート・ボーリング)氏がコミュニティ向けブログに掲載した文章によると,同作のマルチプレイヤーモードで不正を働いていたプレイヤー達を取り締まったところ,その多くが海賊版の利用者であったというのだ。

 ボーリング氏は,「PCゲームの海賊版を利用している人の多さには驚きました。ゲームなどを簡単に盗んでしまうという(悪意ある)人々が多いのには,頭の中が吹っ飛ばされるような思いです」と書いている。その文章のタイトルは「なぜ開発者がPCゲームを作らなくなったのかと彼らは不思議がるのだろう」(They wonder why people don't make PC games anymore)というもので,その理由自体ははっきりと書かれていないものの,PCゲーム市場が不法ダウンロードによって潰されているというニュアンスを含んでいるのは明らかある。

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Electronic Artsのクライシスと同じく,Activisionのコールオブデューティ4(画像)もActivision側の発表(700万本)とNPD Groupの発表(304万本)では大きな隔たりがあった

 試しに,あるファイル共有ソフトを利用して,不正にアップロードされていたコールオブデューティ4をダウンロードした人の数を調べてみたところ,その人数は2万人を超えていた。

 仮にDVD-ROM1枚程度のボリュームがあるゲームをダウンロードするのに,丸一日かかるとしても,1か月間で60万本ものソフトが不正にコピーされているのである。これはたった一つのファイル共有ソフトでの数字なので,世界に数多くある似たようなソフト/サービスを考慮すると,とてつもない件数の不法行為がまかり通っていることになる。

 当然ながら,ゲームソフトの不正コピーはPCゲームだけに限ったことではない。だが,PCゲームのほうがそのハードルが低いのも事実である。日本でも社員がWinnyを使った不法ダウンロードを行った末に,機密情報を漏洩してしまったといったニュースが,連日世間を賑わせたことなどを考えると,匿名性の高いインターネットの存在が,普段は誠実に生活しているであろう人達のモラルの低下を招いてしまっているともいえる。

 マルチプラットフォーム化の波は,各パブリッシャが複数のセールスオプションを持つことで,リスクを減らしていこうと汲んだ要素を含んで押し寄せているものだ。だが,PCの独壇場だったゲームジャンルであるFPSやRTSが,次々とコンシューマ機に流れていくのは,PC版では十分な開発費を回収できないからであり,その理由の一つに,海賊版の氾濫がもたらす問題は大きく関わっているのだ。

 

殺されているPCゲーム市場

 2007年にリリースされた数少ないPC専用のアクションタイトルである「クライシス」だが,NPD Groupの発表によると,北米で11月13日にリリースされてから1か月間の販売実数は,8万7000本あまりだった。だが,Electronic Artsは2007年の全世界での売り上げが100万本に到達したと発表をしている。もちろん,統計数値に大きな誤差があることが考えられるし,クリスマス前後の2週間で,残り91万本を販売したという可能性も否定はできない。だが,巨人Electronic Artsが販売を手がけ,MicrosoftやNVIDIAの絶大なバックアップを受けていたことを考えると,ワンミリオンでさえ淋しい数字である。

 ちなみに,コールオブデューティ4の不正ダウンロード数を数えたのと同じ方法で計ってみたところ,クライシスをダウンロードしていた人達は6800人。これを1か月単位でのダウンロード数に換算すると,NPD Groupの発表した販売数を超えてしまう。開発元のCryTekは,CryEngine 2をXbox 360やPLAYSTATION 3に対応させることを検討しており,決定次第では彼らがPCゲームから遠ざかって行くことだって考えられるのだ。

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「StarForce」がPCの動作を不安定にするという話を聞くことがあるが,PCゲームを頻繁にインストールする筆者は,そういった実感はない。とはいえ,例によってStarForceのプロテクトを突破する方法が次々と編み出されており,果てしないイタチごっこは続いているが

 「PCゲーム市場は死んだ」という言葉は,市場規模の縮小がニュースになるたびに言われるのだが,厳密にいえば「PCゲーム市場は殺されている」のではないだろうか。海賊行為(piracy)とは良く言ったもので,市場を食い荒らすだけ食い荒らし,船が沈みかけると逃げていくような人達が少なくないように見えるのは,非常に残念な話である。

 しかし,PCゲーム産業もだまって殺されていくわけではなさそうだ。というのも,PCをゲームのプラットフォームとして活性化させたい,Microsoft,Intel,AMD,そしてNVIDIAといった名だたる会社が連合し,なんらかのプランを発表することを予定しているからだ(関連記事)。Microsoftは「Games for Windows」を2006年に立ち上げているものの,これは今のところ自社ブランドの範囲を出ず,PCゲーム市場の活性化にはあまり貢献していない。これらの力ある企業が連携して,意味あるプランを作れば,大きな効果を上げていくだろう。

 Steamのような販売サービスが人気を呼んだり,コピープロテクト技術である「StarForce」を採用するゲームが増えるのも,PCゲーム市場を健全にするための,ゲーム開発者とユーザーが進むべき道の一つである。悪用されやすいパッケージ販売の割合が今後も減少していくのは間違いないが,その事実だけをもって悲観的になることはないだろう。荒らされた漁場を回復しようと努力している開発者やメーカーが,まだまだいることを心に留めておきたい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。奥谷氏の住むサンフランシスコは,早くも公園や歩道に植えられたサクラが開花するほど暖かくなってきたという。ただ,あまりにも急激に気温が上がり始めたためか,奥谷氏は例年にないほど鼻がむずかゆくて仕方ないらしい。「集中できないので原稿がなかなか書けない」となげいているが,そんな理由で締め切りは延びません。さらに,2月18日からは,花粉が飛ぼうが飛ぶまいが,Game Developers Conferenceが始まりますんで,そちらもどうかよろしく。

※2月22日のAccess Acceptedは,Game Developers Conference取材のため休載いたします。ご了承ください。次回の更新は2月29日となります。

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