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CEDEC事前インタビュー:「良い」立体視とはなにか? 真の3D環境を作るための基礎知識
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印刷2010/08/30 21:06

インタビュー

CEDEC事前インタビュー:「良い」立体視とはなにか? 真の3D環境を作るための基礎知識

画像集#002のサムネイル/CEDEC事前インタビュー:「良い」立体視とはなにか? 真の3D環境を作るための基礎知識
ソニー・コンピュータエンタテインメント ソフトウェアプラットフォーム開発部チーフソフトウェアエンジニア 福本 正紀氏
画像集#001のサムネイル/CEDEC事前インタビュー:「良い」立体視とはなにか? 真の3D環境を作るための基礎知識
ソニー・コンピュータエンタテインメント ソフトウェアプラットフォーム開発部3Dソフトウェアエンジニア 大戸 友博氏
 最近のゲーム界での大きな話題の一つに立体視がある。ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)は,PlayStation 3全機種で立体視に対応させており,いくつかの立体視対応ゲームタイトルを公開しているのはご存じのとおり。
 3Dブラビアの発売にあわせて,かなり積極的に立体視映像を展開しているソニーグループだが,ゲームプラットフォーマーが力を入れていくとあって,立体視対応は今後のゲーム業界でもトレンドの一つとして浮かび上がっている。CEDEC 2010でも立体視対応ゲームに関するセッションがいくつか予定されているのだが,今回はその中から,総本山ともいえるSCEによる「『良い』3D立体視ゲームを作るためのプログラミングとデザイン入門」の講演者であるお二方に,講演の概要や3D立体視をめぐる現状などについて聞いてみた。

 まず,根幹に関わる部分について。なぜ,最近になって急に3D立体視がこれほど注目されるようになったのだろうか。立体視に関連した製品はこれまでも数多く存在したのだが,多くは産業用であり,「バーチャルリアリティ」研究の一環であるとか,デザイン用であるとか,特殊な用途で細々と開発が行われていた技術だった。これほど一般に普及するというのは,数年前には考えられなかったことといってよいだろう。
 そのあたりを,立体視普及の震源地に近い位置にいる大戸氏に聞いてみた。すると,これには「デバイスの進歩によるところが大きい」という。順序としては,最初に映画などのコンテンツで広まっていたものが,今度はゲームでインタラクティブな方向に広がりつつあるという。加えて,最近の「3Dテレビ」に代表される立体視の流れは,「単なる一過性のブームではない」と位置づけているようだ。
 古くからのゲームを知っている人なら,液晶シャッター方式による立体視対応ゲームを体験したことのある人もいるだろう。立体視対応ゲームは決して最近になって出てきたものではない。かつては立体視端子標準装備のパソコンなどもあったのだが,まあ,それはまた別の話。
 過去にあった立体視ゲームや立体視コンテンツ視聴環境が流行らなかったのには,それなりに理由があった。デバイスの完成度も低く,せっかくの3Dを生かせるリアルタイム3D表示環境がなく,立体映画などとして作られていたコンテンツも,あまり完成度が高いとはいえなかった。そういった時期と比較すると,現時点では,ようやく立体視コンテンツを展開する下地としての環境が整ってきたといえるだろう。

 そういった立体視環境普及の先頭に立つのがSCEなのだが,立体視対応ゲームの開発には,豊富な映像制作経験を持つソニー・ピクチャーズ(および,そのCG部隊であるImageworks)とのノウハウの共有があったという。日本を拠点とするSCEとハリウッドの技術が交流するという,国際的な協力体制である。

 SCEは,いうまでもなくソニーグループの一員であり,そのソニーグループでは,ソニー本体がテレビなどの家電機器から放送用映像機器といったプロフェッショナル用機材まで広く扱い,ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントがコロムビアやトライスターといった映画会社を傘下に置いている。民生以外の分野では,立体視は常に研究され続けていた。そういったものを支えていた特殊な機材であるとか,映画でのノウハウであるとかいったものが,今回のムーブメントでは結集されているという。
 昨今の立体視ブームの陰には,立体視対応映画「AVATAR」の大ヒットという追い風はあったにせよ,映画が公開されてから泥縄式に手をつけていたのでは,製品展開すら到底間に合うわけはない。HDMIやBlu-rayディスクでの立体視フォーマット対応規格の策定をはじめとした,業界全体的な取り組みと並行して,数年前からソニーの全社的な流れとして,立体視に取り組むという方向性が示されていたのだそうだ。確かに,立体視対応テレビを展開する家電メーカーはいくつかあるのだが,ソニーではすでに映画,Blu-rayプレイヤー,ゲーム,テレビ,デジカメなどが立体視対応を果たしている(もちろん放送用機器もあるのだろうが)。
 加えて,昨今では,CGで制作される映画のほとんどが立体視対応のコンテンツとして作られている。Imageworksが,世界でもトップレベルのCGスタジオであることを疑う人はいないだろうが,そこで培われたノウハウがゲーム作りでも役立つというわけだ。

 こういった多元的な立体コンテンツ展開の中でも,「3D空間をインタラクティブに楽しめるという点では,ゲームがいちばん立体視に向いている」と福本氏は語る。PlayStation(初代)によって,ゲームの世界を3D空間にシフトできてはいたものの,「計算上は3Dで奥行き情報を持っていても,それを感じる手段がいままでありませんでした。それがようやく“完全な3D”の形で提供できるようになりました」(福本氏)。

 講演では,こういった映画業界などで豊富な実績を持つソニーの立体視コンテンツ制作ノウハウも語られるようだ。その内容はプログラマ寄りなのかデザイナー寄りなのかが気になる人もいるだろうが,広く立体視コンテンツを作る人(プログラマ,デザイナー,プランナーなどを含めて)に対しての基礎的な部分から,よい立体視表現はどういったものかについて語る予定だという。
 「とくにPlayStation 3に限った話というわけではなくて,立体視対応のコンテンツを作るにあたって,適したカメラワークであるとか,アセットの配置であるとかいった話をしていく予定です」(大戸氏)

 SCEの開発者によるこの講演は「CEDEC 2010」2日目の9月1日に行われる。立体視という新しい表現形式の登場に,どのように対処したらよいのか悩んでいる人は,ちょっと話を聞いてみるのもよいのではないだろうか。

「CEDEC 2010」公式サイト

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