イベント
「Alliance of Valiant Arms」公式大会は,名勝負続出のなか,クラン「DeToNator」が「護衛」「爆破」の両部門で初の二冠を達成
これは「第6回 秋葉原PCゲームフェスタ」のステージイベントの一環として開催されたもので,会場には,11月から行われたオンライン予選を勝ち抜いてきた6クランが集結し,「護衛」「爆破」の両ルールで日本一を競って戦った。
とくに,今回,爆破ルールで優勝したクランは,2013年2月に開催予定の国際大会「AVA International Championship(AIC)」の日本代表となれるため,非常に重要な試合と言えるだろう。
同クランは護衛ルールに強く,これまでも2010年の「Alliance of Valiant Arms EARLY SUMMER TYPHOON(AVAET)」や2011年の「Alliance of Valiant Arms Ranker Clan Tournament(AVARCT)4」「AGC国際エキシビジョンマッチ」など,数々の大会の護衛部門で優勝している。
DeToNatorは護衛ルール専門というわけではない。これまで爆破ルールにおいても準優勝や優勝など華々しい成績を収めているのだが,一つの大会の護衛・爆破両ルールで同時に優勝したことはいまだかつてなかった。今回は,護衛・爆破の両ルールで決勝に進出していたため,二冠達成なるかに注目が集まっていたのだ。
得意の護衛ルールでは早々と優勝を決めて,念願の二冠達成,そして日本代表の座を手に入れたいDeToNatorと,これに真っ向から立ち向かうクラン「CoolBoys」とによって,爆破ルールでの決勝戦が行われた。
DeToNatorの前に立ちふさがるCoolBoysもなかなかの強さを見せて勝ち上がってきている。
CoolBoysは,準決勝戦においてクラン「DIESEL」と対戦し,同クランのリーダーJONIO選手を抑える堅実な守りと,2人対4人の不利な状況から逆転する爆発力を発揮していた。DIESEL側もCoolBoysの全員を倒し,残り時間0.5秒でC4爆弾を解除するなど,執念の戦いを見せたが,力及ばず敗れている。
決勝戦では三つのマップが使用された。一つのマップは13ラウンド中の7本を先取で1ポイントなのだから,試合がもつれ込んだ場合,いかに多くのラウンドを戦わなければならないかが分かるだろう。
決勝戦で使用するマップはくじ引きで選ばれ,第1マップと第3マップはCoolBoysが得意とする「HAMMER BLOW」と「AIRPLANE」に決定。DeToNatorとしては苦しい状況の中,試合がスタートした。
第1マップのHAMMER BLOWにおいて,CoolBoysはいきなりトリプルキルを決めるなど好調な立ち上がりを見せる。DeToNatorは堅実な守りを見せるも,C4爆弾を解除しているところを狙い撃たれるなど,CoolBoysのプレイ巧者が上回る展開となった。
序盤のラウンドを連取して勢いに乗るCoolBoysだが,DeToNatorも粘りを見せ,6ラウンド対6ラウンドのタイに持ち込む。最終ラウンドはしばらく膠着状態に陥るも,CoolBoysが怒濤の攻めを見せ,見事に1マップを先取した。
第2マップの「BLACK SCENT」はCoolBoysの苦手とするマップだが,次に得意マップのAIRPLANEが待っているという,気持ち的にも余裕の持てる展開ではある。
相手チームの苦手マップとあってか,ここぞとばかりにDeToNatorのNicoRob1N選手が攻防の要となってラウンドを連取,7対2と大差を付けて勝利した。
最終マップAIRPLANEは,CoolBoysが大の得意とするマップだが,勢いに乗るDeToNatorも猛然と牙を剥く。アサルトライフルからスナイパーライフルに持ち替えたNicoRob1N選手がトリプルキルを決めてラウンドを取れば,Darkよっぴー選手も果敢な突撃を見せて勝利の原動力となる。攻撃側のCoolBoysがC4爆弾を仕掛けても,残り0.3秒で解除,4人対4人という,同数での撃ち合いにも圧勝するなど,相手が得意とするマップとは思えない冴えを見せていた。
CoolBoysが3ラウンド,DeToNatorが5ラウンドを取り,防御側のCoolBoys側のラウンド連取もありえるという緊迫した展開に,両クランは大声で気合いを入れて戦いに臨んでいた。緊迫した9ラウンドめは,CoolBoysとDeToNator,どちらも最後にスナイパーが残るも,DeToNator側が勝利して優勝に王手を掛ける。
正念場となった10ラウンド目は激しい撃ち合いとなった。CoolBoysは懸命に守るも,DeToNatorの勢いが上回り,ついに日本代表の座をつかみ取り,念願の二冠を達成した。
大会の結果は以下のとおり。
・護衛部門
優勝:DeToNator
準優勝:Suzys Zoo
護衛部門準優勝のSuzys Zoo。クランには賞金15万円が贈られた |
護衛部門優勝のDeToNator。クランには賞金30万円が贈られた |
・爆破部門
優勝:DeToNator
準優勝:CoolBoys
爆破部門の準優勝のCoolBoys。クランには賞金15万円が贈られた |
爆破部門優勝のDeToNatorには賞金30万円が贈られた。会場では認定書にAVA運営プロデューサーの井上洋一郎氏とクランメンバーがサインを行った |
・MVP
護衛部門:Raz_Berry選手(DeToNator)
爆破部門:NicoRob1N選手(DeToNator)
AVA運営プロデューサーの井上洋一郎氏(左),護衛部門MVPのRaz_Berry選手(中),爆破部門MVPのNicoRob1N選手(右)。両MVPにはELSA GeForce GTX 680が贈られた |
惜しくも爆破部門で優勝を逃したCoolBoysだが,コメントを求められたメンバーが語ったのは,DeToNatorの国際大会での健闘を祈る激励の言葉だった。それに心打たれて……というのではないだろうが,AVA運営プロデューサーの井上洋一郎氏からサプライズが明かされた。来年2月に日本で行われる国際大会には,2クランが出場できるというのだ。つまり,今回激闘したCoolBoysとDeToNatorは,ともに日本代表として出場できることになる。
意外な喜びにCoolBoys,DeToNator,そして観客が沸く中,井上氏は「これからの大会は3セットマッチを中心にやっていきます。精神的,体力的にもこれまでよりしんどくなりますが,強いチームを育てていきたいです」と,さらなる大会への意欲を示してイベントを締めくくった。
試合終了後,DeToNatorのクランリーダーであるMAX JAM氏と,井上氏に話を聞くことができたので紹介しよう。
4Gamer:
護衛,爆破両部門での優勝おめでとうございます。かねてからの宿願だったと思いますが,今のお気持ちはいかがですか?
DeToNator クランリーダーMAX JAM氏:
爆破部門での優勝が決まったときは完全に泣いてしまいました。昨日,最後のミーティングをしたとき,クランメンバーのみんなから“勝ちたい”という思いが伝わってきて,その時点で半分泣きそうでしたね。みんな,逆境の中でよく耐えてくれました。AVAに携わった関係者の方の顔を見るたびに涙が出てきます。
4Gamer:
二冠を目指すため,チーム編成ではいろいろと苦労されたと思いますが。
MAX JAM氏:
性格がよくて個性豊かなメンバー揃いです。みんなが成長してきているので,僕がすべてに口を出すわけではなく,自立して考えてやっていけるようにする……というバランスが難しかったです。端からは順風満帆でやっているように見えてしまうようですが,クラン解散の危機など,いろいろとありました。そこを乗り越えてこういう結果を出せたということは,ここ1年間で皆がよく頑張ってくれたということですね。
4Gamer:
今回は爆破部門にとくに力を入れたとのことですが。
MAX JAM氏:
メンバーの技術が向上してきているので,両部門に特化するという意味でチームを完全に分けました。今回初めての体制なんですが,皆よくここまで成長してくれたと思います。ですが,これで終わりではありません。皆,志を高く持ってやっていますし,まだまだいろいろな活動をしていきたいと考えています。FPS界を盛り上げるためのいいニュースを出していきたいですね。
4Gamer:
次の大会への意気込みをお願いします。
MAX JAM氏:
国際大会であり,2クランが出ますので負けるわけにはいかないです。期待してください。
4Gamer:
期待しています。ありがとうございました。
さて,井上さん,本日はお疲れ様でした。今回の大会の手応えはいかがでしたか?
AVA運営プロデューサー 井上氏:
出場選手が,観客の皆さんから応援してもらっているという環境を作りたかったんです。これまではイベント会場にあるリアルガチャのほうに人が流れてしまいがちでした。e-sports的にAVAを盛り上げるため,オフラインでの選手の皆さんの活躍の場を広げ,それを応援する観客の皆さんをたくさん集めることを来年の目標としていきます。
今回は「AVAれ祭」ではなく,大会の決勝戦だという側面を強調した形としましたので,あえてリアルガチャは置きませんでした。ですが,来年はAVAれ祭も何回かは行っていきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
あえて競技色を前面に押し出したという今回のイベントは,名勝負も多く大きな盛り上がりを見せた。念願の2部門制覇を成し遂げたDeToNatorと,準優勝のCoolBoys。来年の国際大会でどのような戦いを見せてくれるのか,今から楽しみだ。
「Alliance of Valiant Arms」公式サイト
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