インタビュー
「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5後編】:シーズン4.0以降の展開について
インタビュー前編は,シーズン3.0から3.5にかけての振り返りが主な内容だったが,後編は,MHFが今後どのように展開していくかのプランが話題の中心になる。また,来たるべきシーズン4.0の話もちょっとだけではあるが聞けたので,ぜひ最後まで目を通してほしい。
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人気の武器/防具のキー素材が入手しにくい理由は?
4Gamer:
7月から配信が開始された「謎のクエスト」についてお聞きします。配信クエストの中でも盛況だった部類だと思うのですが,シーズン3.5から,ポルタ輝石【青】が手に入るクエストが加わりました。今後も「謎のクエスト」の種類は増えていくんですか?
今後も新色のポルタ輝石が入手できる新しい「謎のクエスト」を投入する予定です。先の話になりますが,ほかにも仕掛けを考えていますので,楽しみにお待ちください。
4Gamer:
新色が増えると,従来の謎のクエストの配信が終わってしまうのではないか,と心配してしまうのですが,そのあたりの予定はどうでしょう? 7月から8月にかけて大盛況だったのは,「今やっておかないと素材が手に入らなくなるかも」と考えたプレイヤーも多かったからという面もあると思うんです。
杉浦氏:
その点はご安心ください。追加はあっても配信停止は考えていません。新米ハンターさんにも評判のいいクエストですし,万が一配信を停止せざるを得ない場合には,必ず事前にお知らせします。あと,現状は狩人祭の入魂祭期間中には「謎のクエスト」は配信していません。
4Gamer:
ポルタ輝石をなかなか集められないという声をよく聞いていたので,プレイ時間と配信時間がかみ合わないプレイヤーもひとまず安心ですね。
4Gamerさんの記事の中で「投入のタイミングを誤ったのではないか」と書いていただきましたが,あくまでもお遊び的な要素として位置づけていたので,実際のところ,あれほど人気が出るとは思っていなかったんです(笑)。でも,結果的にハンターの皆さんに楽しんでいただけているようで,なによりです。
ちなみにポルタ輝石で生産できる武具は,すでに実装されているものの色違いに留めています。あまり特徴のあるものが作れてしまうと,何らかの事情で参加できないお客様に申し訳ないという思いもあるからです。
4Gamer:
現在対象ハンターランク(HR)がもっとも高いポルタ輝石【赤】が入手できるクエストは,難度が高くて「誰でもクリアできる」というものではないですよね。実装の順番は前後しますが,HR100以上の古龍と同様のコンセプトなのでしょうか?
杉浦氏:
そうですね。難度の高いものは,手ごたえのあるクエストを求めている熟練ハンター向けになります。「謎のクエスト」は,MHFにおけるいい脇役的ポジションを確立してくれたらいいな,と考えています。
4Gamer:
ポルタ輝石は,武器/防具を生産するキー素材※というだけではなく,強化にもかなり多く使いますよね。私もいまだにポルタ輝石全色を集めきれていませんし,そのほか強化に必要な素材もまだまだ揃っていません。
※武具工房で武器/防具が生産可能になる(=生産リストに出現する)条件となるアイテム
シーズン3.5で追加した「落し物ネコ」で手に入る「誰かの王冠」,「冒険屋ネコ」で手に入る「思い出のかけら」を素材とする武具も同じなのですが,当初は性能がイマイチな武具でした。バランスを崩してしまうと性能のインフレが起きてしまいますから,性能をセーブせざるを得なくなってしまうんです。そのような武具では手に入れる価値が大きく下がってしまいますので,性能の高い武具にしてもらうかわりに,コツコツ時間をかけて素材を集めてもらう難度の高いものにしました。
しかし,ハンターの皆さんからしてみれば,「性能がいいものを,今すぐ手に入れたい!」と考えてしまいますよね。つまり私達とハンターの皆さんの考え方にギャップがあるのですが,今はそういった意図をご理解いただいて,もう少し長い目で見守っていただけたらと思います。
4Gamer:
性能や見た目がいい武器/防具を作ったり強化したりするのは,MHFをプレイするモチベーションで高い割合を占めていると思います。簡単に作れたらやることがなくなってしまうでしょうし,作るのが無理と感じたらモチベーションが下がってしまいます。そのバランスが難しいところですね。
杉浦氏:
「落し物ネコ」についても当初は出会う確率が比較的高くて,「誰かの王冠」が出る確率は低めの設定だったのですが,これも逆に「落し物ネコ」に出会う確率は低くとも,「誰かの王冠」が出る確率は高めにしましょう,としました。両方レアだと生産/強化に気が遠くなるような時間が必要になりますし,出会っても手に入る確率が低いのではストレスが溜まりますから。
4Gamer:
確かにそんな印象ですね。それでも個人的には,落し物ネコが来たら100%「誰かの王冠」を出してくれ! という気持ちになってしまいますけど(笑)。
現状で一番まずいのは,せっかく「落し物ネコ」が出ても,ハンターが一度クエストに出発してしまうと消えてしまう点だと考えています。そこはやはり,実装前の段階で配慮しなければいけない部分だったと思います。今そこを改善している最中で,シーズン4.0までにはログアウトするまで消えない仕様にする予定です。
「落し物ネコ」が出現する条件が成立したら,ログアウトするまではそれを維持できるようにします。届け物をするまでは,「落し物ネコ」に話しかけても話しかけなくても,マイガーデンからいなくならないようにします。
4Gamer:
ああ,マイガーデンにおける「掘り出し物」に近い扱いになるんですね。
杉浦氏:
そうですね。そうなると今よりも「誰かの王冠」を入手できる確率は増えるはずです。1日数時間プレイすれば,1回は「落し物ネコ」と出会えるでしょう。プレイ時間が長めの方なら,時間に応じて「誰かの王冠」が手に入るペースも上がっていきます。
4Gamer:
それでも,要求数が多すぎるから生産難度を下げてほしいという意見も出てきそうですが。
杉浦氏:
そうですね。確率を上げるか,生産/強化に必要な数を少なくして欲しいというご要望はたくさんいただきます。ただ,MHFにおける武具のコンセプトは,ある程度高い性能を持つものは,その性能に相応しいくらいに生産/強化がそこそこ難しいというものなんです。開発とも話し合っているのですが,そのほうが努力して生産できた時の喜びが大きいという考えに基づいています。
4Gamer:
やりがいという点では,確かに難しいほうが達成感も大きいですね。
杉浦氏:
素材を集めるのが大変なのに,見た目が良いという特徴しかないのでは作ってくれるお客様も少なくなってしまいますし,ひいては誰もクエストをやってくれなくなってしまいます。
4Gamer:
見た目と性能は釣り合ってこそである,と。
見た目や性能の双方が秀でた武具は,それなりに生産のハードルも高くなります。そのほうが皆さんも,頑張って作るか大変だから諦めるか,割り切れると思うんですよ。武具担当のスタッフには,どっちつかずにならないようリクエストを出しています。そのコンセプトからいくと,やや性能が見合っていないとご指摘も多い「ゴスペル」「ノワール」両シリーズは,性能を上方修正する予定です。
おかげさまで,「メラン」シリーズはとくにデザインが良いとのご評価をいただいています。とくに公式サイトに掲載している「トライガンランス」との組み合わせが好評で,同じスタイルでスクリーンショットを撮りたいというお問い合わせをしてくださるお客様もいらっしゃるほどです。「落し物ネコ」の仕様が変われば入手しやすくなると思いますので,少しだけお待ちください。
4Gamer:
防具といえば,シーズン3.5ではS/Uシリーズ上位版のL/Rシリーズ防具が実装されました。事前公開情報ではあまり大きく取り上げられていませんでしたが,実は性能がすごくよかったのでびっくりしました。
杉浦氏:
あえて大きな話題にしなかったのは,L/Rシリーズはスキルをリニューアルしているので,期待を裏切ってしまうのではないかという不安があったからです。実際にフタを開けてみたら,好評だったようでなによりです。
4Gamer:
今後のL/Rシリーズ防具の実装予定はどうなっていますか?
杉浦氏:
毎回のアップデートで4〜5種類くらいずつの実装を考えています。これも性能のインフレの可能性がありますので,当面は今回実装したL/Rシリーズ防具と同程度の性能になると思います。
実験的な意味を持つ「VS.クエスト」はこれからが本番
4Gamer:
MHFも正式サービスから1年以上が経過して,クエストの数も相当増えました。ただ,クエストを受けられる場所が「大衆酒場」「大老殿」「メゼポルタ広場」など限定されていたり,自由区や求人区限定のものがあったりと,どこで何のクエストを受けられるか,複雑で分かりにくくなっている感があります。何か対策は考えていますか?
現在のところ,配信クエストは公式サイトでフォローしていくしかないかなと考えています。配信量が多いとゴチャゴチャしてしまうので,個人的にはもっと絞ってもいいんじゃないかと思う面もあるのですが,そうすると「出し惜しみだ!」と受け止めてられてしまう可能性もあるので難しいところなんです。
なので現状は,配信クエストは大衆酒場と大老殿で,採集系や一人限定系のクエストは広場で受けられるように分類しています。それでも,大老殿にはHR31以上だけでなくHR100以上のクエストも集まりますから,その不均衡をどうするか頭を悩ませているところです。
また,数が多いゆえにクエストごとの人気の差もありますから,いつかは整理する必要があると考えています。HR100以上の変種モンスターの狩猟/捕獲/討伐クエストも,整理すべく準備を進めています。
より多くのクエストがほしいという皆さんのリクエストには可能な限りお応えしたいですから,大老殿に置かなくてもいいものは別のところに持っていったりして,少しずつ整理を進めています。複雑になっているのは把握していますが,今のところは公式サイトでの対応が現実的ですね。大々的にやるのであれば,何かもっと工夫が必要と考えています。
4Gamer:
配信クエストからハンターズクエスト入りしたのに気がつかなかったり,メゼポルタ広場限定なのに気がつかなかったりと,「配信されていない」と思いこんでいるプレイヤーもよく見かけるので,ぜひ対策をお願いしたいところです。
クエストでいえば,シーズン3.5で新たに「VS.クエスト」も実装されましたが反響はどうでしょう?
杉浦氏:
実は,まだ様子見の段階なんです。まずは実際にハンターの皆さんにどう使っていただけるのかを知りたかったという意図があります。対戦相手チームのハンターに使える罠などのVS.クエスト専用アイテムを10月中旬から実装するのをはじめ,いろいろな要素を段階的に実装していく予定なので,ご期待ください。
4Gamer:
VS.クエストは,いわゆる実験的な要素にあたるわけですか?
そうですね。なので,今は実際にプレイしてみて何かしらご意見をいただけたらいいなと考えています。あとはゲーム内のイベントだけではなく,イベント会場などでのイベント用ツールという意味も視野に入れた機能だったりします。VS.クエストは徐々に変更を加えていって,3か月後とか半年後に「いい内容になった」といわれるようなものを目指しています。
4Gamer:
現在のVS.クエストは下位のものが中心のようですが,今後は上位のものも登場するのでしょうか?
杉浦氏:
ええ,もちろんです。将来的には配信クエストとも連動させたいと考えています。
4Gamer:
今は下位ベースだからあまり盛り上がらないのかとも思うところもあるんですよ。下位のクエストだと,HRが高いと1対1でもできるレベルじゃないですか。でも見知らぬ人と1対1でやって盛り上がるようなタイプのゲームではないですし。
杉浦氏:
プレイ時間が長いほうが盛り上がるんじゃないかというのは確かにありますね。ただ長くしようとすると,モンスターを複数出さなければならないので,クエスト中に次のモンスターが出現するまでの時間の誤差が問題になる可能性があります。つまり,そこでタイムロスが生じてしまうので,クリアタイムがそれだけ長くなってしまう,運の要素も含んでしまいますしね。
4Gamer:
タイムを競うとコンマ1秒にもこだわるプレイヤーが出てくる,と。
杉浦氏:
公式狩猟大会の韋駄天杯がそうだったんですよね。ギザミが地中に潜ったり,ゲリョスが死んだふりをしたりするとタイムロスだからリタイアみたいな。そんな風に,タイムにシビアな方のことを考慮すると,選択の幅はどうしても狭くなります。私個人は,細かいことを気にせず大らかに楽しんでほしいと考えているのですが,今後の展開次第では,シビアなタイプを望まれる方が多くなるかもしれません。そういう点も含めて,今後が楽しみなコンテンツですね。
アバター強化の意味を持つ「通り名称号」
4Gamer:
シーズン3.5から,「毎日クエスト」で「通り名称号」を入手できるようになりましたが,実際の反響はどうですか?
まだデータが出揃ってないのですが,半数以上のハンター達が何かしらの通り名を取得してくださっています。いろいろご指摘のあるガノトトス30匹とかは,確かにキツいと私も思います。「24時間で30匹?」って感じですよね(笑)。ただ,全部が全部,取得条件が難しいわけではないですし,こちらも何も対策を考えていないわけではないですから,当面は許していただきたいです。
4Gamer:
初日の「プーギー大好き」は,個人的に嬉しかったです。今まで可愛がっていた人だけの特典みたいな感じで。
杉浦氏:
確かにその通りなんですが,プーギーを飼っていなかったり放っておいたりした人には絶対1日で取れない称号ですから,実装初日に出したのは少々まずかったと私は思っています。皆さんが3種類あるうちのどれを取ろうか期待する初日なのに,選択の幅が狭まってしまうわけですから。そういう配慮がスタッフ全員に浸透して欲しいと感じています。
4Gamer:
結局,通り名称号の効果というのはどういったものなのでしょうか。クエストメンバー全員が同じ猟団かつ違う通り名称号でクエストに行けば発動するんですか?
杉浦氏:
はい,そのとおりです。同じ猟団のメンバーによるパーティ構成になっていて,パーティ全員が異なる通り名称号を設定していれば,一定の確率で以前の友情スキルにあった「幸運」効果が発動します。
実は当初,通り名ごとにスキルを付けようとかいろいろ考えたのですが,友情スキルを廃止した事情を考えると,また何か縛りを発生させるような仕様になってしまっては意味がないですから。
4Gamer:
発動するスキル目当てというよりは,むしろ気に入ったものを集めて,その時々の気分で付け替えるような存在になっているように感じられます。
杉浦氏:
確かに,通り名称号を「黄金の」にして装備の色を黄色系で揃えて統一感を出すとか,ネタ系の通り名を上手に使って笑いを誘うとかいった使われ方が多いようです。オンラインゲームはハンターごとの個性を出すという部分も重要ですので,通り名を上手に使っていただいているのは大変嬉しかったです。
今後は毎日クエストではなく,ほかのさまざまな入手方法も検討しています※。公式狩猟大会の場合はトロフィーは持ち歩けませんが,通り名ならほかの人に見せることもできますし。
※10月15日から10月22日まで,VS.クエストで通り名称号を獲得できるイベントが実施された
4Gamer:
従来の称号の一部についても,入手条件が変更されましたよね。私もさっそく「ベストドレッサー」を取ってみました。変更前の“ログイン中に対象防具をすべて生産する”という条件はきつくて,さすがに取る気になれませんでしたが(笑)。
杉浦氏:
ええ,多くのお問い合わせをいただいた部分をようやく改善しまして,称号を取得しやすくなったと思います。お待たせして本当に申し訳ありませんでした。
- 関連タイトル:
モンスターハンター フロンティアZ
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