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[Gamefest 08#03]コミュニティゲームズ&アバター追加,年末から大きく変わるXbox LIVEとXNA
まず,XNA 3.0での変更点から。これまではマルチプレイヤーゲーム用のAPIなどに注力していたため,シングルプレイヤーゲームを作ることにあまり注意が払われておらず,ときに過度に面倒な処理が必要になっていた部分が改められる。また,シングルプレイヤーゲームでの「実績」がオフライン状態では反映されなかった問題なども改善されたり,Games for Windows LIVEでマーケットプレースが使用できるようになったり,コピー防止対策が施されたりといった点が加わることになる。
XNA 3.0から使用できるアバターは,どのように使えるのかを実践するセッションもあった。ゲーム内で使用する際のAPIや,アバターデータ自体を取得して表示する方法などが示されたのだが,アバターにせよ新しいフィーチャーにせよ,都度どのように使いたいかという要望を求めていたのが印象的だった。実際に使う側の開発者の意見をフィードバックして,開発の優先順位や仕様を決めていくというのが基本姿勢のようだ。
ゲーム開発に新風を巻き起こすか「コミュニティゲームズ」
「YouTubeやニコニコ動画のように」という言葉が何度も繰り返されたのだが,配信されるゲームは,マイクロソフトポイントで売買されることになる。価格は3種類が設定されており,200ポイント(約290円),400ポイント(約570円),800ポイント(約1140円)のいずれかを作者が自由に設定できる。なお,アップロードできるプログラム容量には制限があり,200ポイントでは50MBまで,400,800ポイントでは150MBまでとなっている。
販売価格は以上のとおりだが,作者の手元には価格の70%が入ることになるという。YouTubeなどのような単なる作品発表の場というだけではなく,マーケットとして設定されている点が特徴ともいえる。注目作品には,マイクロソフトが独自にプロモーションを行うこともあるというので,うまくいけば全世界に配信されて(配信先は自分で選べる),一攫千金も夢ではないかもしれない。もっとも,その場合は,プロモーション料として,さらに10%〜30%が引かれるということなのだが。
しかし,マイクロソフトが提供するのは,あくまで発表の「場所」となっている。発表される作品については,マイクロソフト自体は責任を負うものではない。とはいえ,いろいろと人前に出してはよろしくない作品が出回るのも問題である。
そういった問題に対して,マイクロソフトが用意した方法はシンプルだ。まず,コミュニティゲームズに参加できるのは,XNAクリエイターズクラブのプレミアムメンバーのみで,課金をしており,ある程度身元の確かな人となっている。作ったゲームを公開しようと申し込むと,まず,同じ会員同士でピアレビューが行われる。マイクロソフト自体が,ゲームのサーティフィケーションを行うのではなく,会員相互でチェックを行い,複数のピアレビューで問題がなければ,自動的に配信公開されるようになるのだという。
この際の評価は,面白いかどうかなどはまったく関係ない。動作に問題はないか,問題のあるコンテンツが含まれていないかなどの部分のみが問題となる。一応,全裸表現などは禁止となっているようだが,暴力的であったり,セックスを扱っていたり,ギャンブルなどを扱っていたからといった理由で失格になることもなく,それらはViolence,Sex,Mature Contentsの各項目での格付けとして評価され,プレイヤーが事前に内容を把握できるガイド表示として提示されることになる。
万一,ピアレビューの目をすり抜けて問題のあるコンテンツが配信された場合には,配信の停止と配信済みのコンテンツのロックができるので,最悪でも事後処理は可能となっている。なお,購入したコンテンツがロックされて起動できなくなったという場合には,マイクロソフトから購入ポイントが弁済されるので,ユーザー側に損害が発生することはない。
得体の知れないゲームをいきなり購入するのは怖いと思うのは,誰しも同じで,コミュニティゲームズに登録されるゲームは,一定時間だけプレイできる体験版を用意することが義務づけられる。一発ネタモノには向いてないともいえるが,購入する側にとっては気軽にいろんな作品を楽しめるシステムとなっている。
うまく転がればかなり面白そうなシステムであり,国内でも個人レベルの開発者の注目を集めそうだ。セッション会場だけでも,そういった人がざっと10数人はいた模様。
正直にいえば,最初から面白いゲームなどそうそう出てこないだろうとは思うのだが,パッケージ市場とは違ったマーケットを整えることで,世界中の個人開発者を囲い込むことができれば,それだけでXbox 360の潜在力は大きく上がる。当然,面白いコンテンツを作っていれば,ヘッドハンティングの対象にもなるだろうし,コミュニティをうまく使えば,世界的な規模の協業でよりハイレベルなコンテンツを作る集団も出てくるだろう。はたして,ゲーム作りの新しい形を作れるか。注目しておきたいプロジェクトである。
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