ニュース
「AngelLoveOnline」のイベントを受講生が企画。キューエンタテインメントとバンタンゲームアカデミーのタイアップ講義「オンラインゲームの運営という仕事」レポート
「AngelLoveOnline」公式サイト
さらに第2回となる8月28日には,受講生達が1〜3人のグループに分かれ,自分達が考案したAngelLoveOnlineのインゲームイベント企画のプレゼンテーションが実施された。
本稿では,さまざまなイベント案が発表された,第2回の講義の模様をレポートしよう。
目的を定め,誰にどう遊んでもらうかの
アピールポイントを設定し,企画を組み立てる
第1回の講義で,インゲームイベントを企画するにあたって留意すべき点として椿氏と大橋氏が挙げたのは,以下の点だ。
・イベントを行う「目的」を決定する
⇒ユーザー数を上げる? 売上を上げる? モチベーションを上げる?
・タイトルのユーザー層,ターゲットを明確化する
⇒ターゲット層は高レベル? 初心者? 男? 女? 子供? 大人?
・明確化した対象の分析を行い,それに沿った企画を立案する
⇒どんな遊び方をしている人? どんなものをほしがっている人? 主にいつごろプレイしている人?
・行うイベントでの効果を,できる限り数値として目標を立てる
⇒イベント終了後,成功したのか失敗したのか原因究明のために重要
・そのほか
⇒サイトでどんな見せ方をする? イベント終了後の分析など
受講生達はこれらのポイントと,AngelLoveOnlineをはじめとした自分自身のオンラインゲーム経験などをベースに,さまざまな企画をプレゼンテーションした。具体的に挙げていくと,初心者の定着を目的とした限定ペット獲得クエストや,高レベルプレイヤー向けのサーバー移住キャンペーン,ハロウィンをモチーフにしたアイテム交換イベント,特定の職業に焦点を当てたGMイベント,人間に化けたモンスターを発見・討伐し,得られたヒントをもとに大ボス討伐を目指すストーリークエスト,装備の人気ランキングイベントという感じだ。
椿氏と大橋氏は,そうした受講生の企画に対して,「実は,すでに多くのプレイヤーからリクエストがある案件で,着眼点がいい」「楽しいと思ってもらったうえで,お金を払っていただく」「面白いが,技術面で開発チームの協力が必要」「最近はシステムとしてきちんとしたものより,GMの手作り感が出たイベントのほうが人気」といったように,実務を踏まえてコメントしていく。
また両氏がとくに強調していたのは,イベントのネーミングについてである。両氏は,名称の付け方一つでプレイヤーの食いつきが変わること,カッコ悪くともベタで中身の分かりやすい名称のほうが望ましいことを指摘した。
しかし椿氏は,受講生に向けて「常にゼロから企画を作るのは難しい」と説明し,「他人のアイデアをヒントにして,上手にアレンジすることは重要な考え方」と語った。氏は,ゲームに限らず,ネットやテレビで見たもの,歩いていて目に入ったものなどを,どうやって企画に取り込んでいくかを常に考えているという。
優秀な企画は「AngelLoveOnline」で,
実際にインゲームイベントとして提供
それではプレゼンされたイベント企画の中から,いくつか目立ったものを紹介しよう。
まずは,脱出ゲームをモチーフとした「謎解きイベント」。これはマップ内に閉じ込められたプレイヤーキャラクターが,NPCなどから提供されるヒントをもとに,制限時間内に脱出を図るという内容だ。
注目すべきポイントは,リアル脱出ゲームをプロデュースするメーカーとのタイアップにまで言及されていた点で,大橋氏は「話題性を生み出すという意味で,マーケティング的にも有効」とコメントしていた。
「初心者サポートバザール」は,高レベルプレイヤーが要らなくなった装備を運営チームが買い上げ,初心者に安価で譲る(使われるのは,ゲーム内通貨)という内容で,椿氏は「運営チームが介在する中古装備のバザーという発想は,今までありそうでなかった」とした。
さらに受講生からは,装備を提供した高レベルプレイヤーには,限定装備と交換できる専用ポイントが与えられたり,トレード不可装備や過去の限定装備をバザーの対象に含めたりすると,さらに活性化するのではないかというアイデアも提示された。
そのほか,ほかのプレイヤーとパーティを組むとモンスターが4種類のアイテムをドロップし,その組み合わせでさまざまな効果を持つアイテムを入手できるという企画や,期間中の功績値ランキング上位者/キリ番獲得プレイヤーがNPC化されるという企画,さらに,同レベル帯のプレイヤー同士をライバルに設定し,その状態を長く続けるほどいいアイテムが手に入るという企画など,少し手を加えればすぐにでも実現できそうなアイデアが次々に披露された。
講義の最後には,椿氏が「予想以上に優れたアイデアが揃いました,全部持って帰って,参考にします」と受講生達を賞賛。
さらに「皆さんが仕事として企画をするようになると,今回の講義とは違って,自由な発想の占める割合がどんどん少なくなります。今後,もし企画を練っていて行き詰ることがあったら,ぜひ今回の講義を思い出して,どうやって考えていたか振り返ってください」と呼びかけた。
また,「イベントの企画は,できる/できないではなく,経験があるか/ないかです。今の皆さんなら,例えば八百屋さんのキャンペーンを企画することもできるはずです。今回の講義についても,ゲームの企画開発の道には進まないからもう関係ないと考えるのではなく,ぜひ皆さんの将来に役立ててください」と話した。
一方,「新しいことを始めるには,対象に詳しくない初心者の考え方も重要」と大橋氏。氏は,現在,自身がほとんどゲームをプレイしていないにも関わらずAngelLoveOnlineのマーケティングに携わっていられるのも,そうした理由によることを受講生に説明し,講義を締めくくった。
ちなみに,講義でプレゼンされた企画は,受講生達が考案した企画のうちの半数程度とのこと。AngelLoveOnlineの運営チームでは,すべての企画について実現可能かどうかを検討し,とくに優秀なものについては,実際に全プレイヤーが参加可能なイベントとして提供する予定だ。
開発の工数など,さまざまな事情があるので,まだいつ頃実装されるかは明らかになっていないものの,イベント化される企画については,2012年9月中に発表される予定だ。どんな企画が実現するのか,気になる人はチェックをお忘れなく。
- 関連タイトル:
AngelLoveONLINE
- この記事のURL:
キーワード
Copyright USERJOY JAPAN Co.,Ltd. All Rights Reserved.
Copyright USERJOY Technology Co.,Ltd. All Rights Reserved.