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Spansion,「音声認識の遅延と負荷を低減するコプロセッサ」をアピール。車載向けながら将来的にはゲーム機やスマートフォンにも?
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現時点では車載機器向けの製品なのだが,「将来的にはゲーム機やスマートフォン,タブレット端末にも広げたい」(Spansion)とのことだったので,4Gamerでも簡単に紹介してみようと思う。
Spansionの高速メモリ技術と
米Nuanceの音声認識技術を融合
Spansionはフラッシュメモリ,とくにNOR型のフラッシュメモリを得意とする大手メーカーだ。NOR型フラッシュメモリは,SSDやUSBフラッシュメモリなどで広く利用されているNAND型に比べると容量的に不利だが,データの信頼性が高いため,車載機器のように高い信頼性が要求される場所で利用されている。
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| Saied Tehrani博士(Senior Vice President and Chief Technology Officer, Spansion) |
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| Acoustic Coprocessorなら,音声認識時の応答遅延,CPU負荷とも,ソフトウェア処理と比べて半分にできるという |
発表会で登壇したSpansionのSaied Tehrani(サイード・テラーニ)副社長兼CTOは,「SpansionとNuanceの協業によって音声認識の一部をハードウェア化した。これにより,音声認識時の遅延を低減し,かつCPUレイテンシを減らせるので,よりスムーズな音声コミュニケーションを実現できる」と,そのメリットをアピールしている。
氏によると,「ユーザーが喋った声をデジタル化して,その『デジタル化した音のパターン』をAcoustic Coprocessorと組み合わされたフラッシュメモリ側の音声データベースと比較。似た音があれば『そうしゃべった』と判断して文字や文章に変換する」という流れにおける,デジタル化から判断(=スコア付け)までのところをハードウェア処理するのだそうだ。それにより,CPUだけで音声認識する場合と比べて,遅延,CPU負荷とも50%程度の低減を実現できるという。
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「Spansionの高速メモリ技術を応用した製品」(Tehrani氏)ということで,音声パターンのデータベースが格納されているフラッシュメモリとAcoustic Coprocessor間のバス幅は760bit,帯域幅は1.2GB/sに達する内部リンクで接続されており,それが高速なスコア付けに貢献しているとのこと。結果的に,データベースへ登録する音声パターンを増やして認識率を上げたり,対応言語を増やしたりできるため,「人と人とのコミュニケーションに近いインタラクションが可能になる」(Tehrani氏)。
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ちなみにAcoustic Coprocessor自体はLSIだが,単体製品ではなく技術ソリューションとして提供していく予定とのこと。LSIとともに,内部フラッシュメモリへ格納するデータベースなどのカスタマイズなども合わせて提供していくためだろう。
Spansionは車載機器向けのNOR型メモリで7割の市場シェアを持っており,それを武器に,当面は車載用電子機器向けの技術として売り込んでいく計画だ。日本には世界的な自動車メーカーが多くあるため,とくに期待できる市場だと見ているようだった。
ただ残念だったのは,ゲーム機や携帯端末での採用に向けたロードマップが示されなかった点である。iOSの「Siri」をはじめとして,音声認識はゲーム機やスマートフォンなどで注目の技術になってきている。それだけに,CPU負荷を下げ,認識率を上げるハードウェアが搭載されれば面白くなると思うのだが,それはまだ,だいぶ先の話ということになりそうである。
Acoustic Coprocessor製品情報ページ(英語)
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