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Spansion,「音声認識の遅延と負荷を低減するコプロセッサ」をアピール。車載向けながら将来的にはゲーム機やスマートフォンにも?
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印刷2012/07/13 17:06

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Spansion,「音声認識の遅延と負荷を低減するコプロセッサ」をアピール。車載向けながら将来的にはゲーム機やスマートフォンにも?

Acoustic Coprocessor
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 米Spansionは2012年7月13日,都内で報道関係者向け説明会を開催し,同社が北米時間6月に発表した音声認識用プロセッサ「Acoustic Coprocessor」(アコースティックコプロセッサ)の紹介を行った。
 現時点では車載機器向けの製品なのだが,「将来的にはゲーム機やスマートフォン,タブレット端末にも広げたい」(Spansion)とのことだったので,4Gamerでも簡単に紹介してみようと思う。


Spansionの高速メモリ技術と

米Nuanceの音声認識技術を融合


 Spansionはフラッシュメモリ,とくにNOR型のフラッシュメモリを得意とする大手メーカーだ。NOR型フラッシュメモリは,SSDやUSBフラッシュメモリなどで広く利用されているNAND型に比べると容量的に不利だが,データの信頼性が高いため,車載機器のように高い信頼性が要求される場所で利用されている。

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Saied Tehrani博士(Senior Vice President and Chief Technology Officer, Spansion)
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Acoustic Coprocessorなら,音声認識時の応答遅延,CPU負荷とも,ソフトウェア処理と比べて半分にできるという
 今回のAcoustic Coprocessorは,そんなSpansionと,音声認識ソフトウェアや同ミドルウェアを開発しているソフトウェアメーカー・米Nuance Communications(以下,Nuance)との共同開発によるものとなる。
 発表会で登壇したSpansionのSaied Tehrani(サイード・テラーニ)副社長兼CTOは,「SpansionとNuanceの協業によって音声認識の一部をハードウェア化した。これにより,音声認識時の遅延を低減し,かつCPUレイテンシを減らせるので,よりスムーズな音声コミュニケーションを実現できる」と,そのメリットをアピールしている。

 氏によると,「ユーザーが喋った声をデジタル化して,その『デジタル化した音のパターン』をAcoustic Coprocessorと組み合わされたフラッシュメモリ側の音声データベースと比較。似た音があれば『そうしゃべった』と判断して文字や文章に変換する」という流れにおける,デジタル化から判断(=スコア付け)までのところをハードウェア処理するのだそうだ。それにより,CPUだけで音声認識する場合と比べて,遅延,CPU負荷とも50%程度の低減を実現できるという。

音声認識には大きく3つのステップがあるとSpansion。音声のデジタル化,デジタル化された音のパターンとデータベースの比較によるスコア付け,そして文章化の3つだが,このうちスコア付けのところをAcoustic Coprocessorがハードウェア処理することになる
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 「Spansionの高速メモリ技術を応用した製品」(Tehrani氏)ということで,音声パターンのデータベースが格納されているフラッシュメモリとAcoustic Coprocessor間のバス幅は760bit,帯域幅は1.2GB/sに達する内部リンクで接続されており,それが高速なスコア付けに貢献しているとのこと。結果的に,データベースへ登録する音声パターンを増やして認識率を上げたり,対応言語を増やしたりできるため,「人と人とのコミュニケーションに近いインタラクションが可能になる」(Tehrani氏)。

説明会場で行われたデモ。しゃべった地名を認識してGoogle Mapsの検索に用いるというもので,地名が地図上に表示されるまでの時間とCPU負荷が左側に示されている。ソフトウェアだけで処理したときには8.7秒かかったところが,Acoustic Coprocessorを使った場合には3.4秒にまで縮まり,しかもCPU負荷は約半分になっている。なお,デモは英語で行われたが,日本語にも対応できるという
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村上久幸氏(ニュアンスコミュニケーションズジャパン オートモーティブビジネスユニット マーケッティングマネージャ)
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 日本では音声認識というと「誤認識が多く,いまいち」と評価している人が多そうだが,Nuanceの日本法人であるニュアンスコミュニケーションズジャパンの村上久幸氏によると,米国や英国では自動車のナビゲーションなどに広く普及しているとのこと。また,米国だと,州によっては音声認識に対応していない電子機器は自動車へ搭載できない状況になってきており,必須の技術になっているのだそうだ。

村上氏が示した「音声認識の適用分野」。自動車だけでなく,ゲーム機や家電がAcoustic Coprocessorのターゲットとなっている
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 ちなみにAcoustic Coprocessor自体はLSIだが,単体製品ではなく技術ソリューションとして提供していく予定とのこと。LSIとともに,内部フラッシュメモリへ格納するデータベースなどのカスタマイズなども合わせて提供していくためだろう。
 Spansionは車載機器向けのNOR型メモリで7割の市場シェアを持っており,それを武器に,当面は車載用電子機器向けの技術として売り込んでいく計画だ。日本には世界的な自動車メーカーが多くあるため,とくに期待できる市場だと見ているようだった。

 ただ残念だったのは,ゲーム機や携帯端末での採用に向けたロードマップが示されなかった点である。iOSの「Siri」をはじめとして,音声認識はゲーム機やスマートフォンなどで注目の技術になってきている。それだけに,CPU負荷を下げ,認識率を上げるハードウェアが搭載されれば面白くなると思うのだが,それはまだ,だいぶ先の話ということになりそうである。

Acoustic Coprocessor製品情報ページ(英語)

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