インタビュー
東アジアの交易は一筋縄ではいかない?「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」インタビュー第2回。プレイヤーの行動が大きく影響する南蛮貿易
東アジアで展開される,新しい交易の形とはどのようなものなのか。前回に引き続き,開発プロデューサー 竹田智一氏,運営プロデューサー 渥美貴史氏に話を聞いているので,さっそくお届けしよう。
「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」最新情報第2弾。東アジアの新しい交易“南蛮貿易”が登場
「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」インタビュー第1回「新しい街」
日本では“ドゥカート”(お金)が通用しない!?
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では,第2回の発表「南蛮貿易」について聞かせてください。
渥美貴史氏:(以下,渥美氏)
南蛮貿易は「東アジアらしい新システム」がテーマの新コンテンツになります。
発表会のときのインタビューでも少しお話ししたように,当時,東アジアは鎖国政策に近い状態で,国によっては完全に鎖国を行っていました。そんな状況を,El Orienteで表現したかったこと,そして,そういった世界観的な背景をうまく使いつつ,今までの交易システムではないまったく新しいものを出せる良いチャンスだったので,その二つの一挙両得を狙ったシステムです。
竹田智一氏:(以下,竹田氏)
交易距離が遠くなると価値が上がるという,これまでの流れとは違うものを入れたかったのです。そこで,東アジアだったらこうだろうなというものをイメージしました。
4Gamer:
鎖国政策を表現したものになる,と。なんとなく具体的な想像がしづらいシステムですが,具体的にはどのようなものになるのでしょうか。
渥美氏:
まずは,まったく新しい交易システムが入ったと思ってください。今までの交易は,商人にお金を支払うことによって交易品を入荷し,それをほかの地方に持って行って売りさばくという形でした。
ところが東アジアは,ヨーロッパの貨幣の経済が通じないという前提になっており,物々交換をするという形になります。
竹田氏:
つまり,物に値段が付いていないということです。
渥美氏:
なので,お金を潤沢に持っているプレイヤーが一律有利になるのかというと,そういうわけではなくなります。
4Gamer:
ということは,プレイヤーが持ち込む交易品そのものが,貨幣の役割になるということでしょうか?
渥美氏:
いえ,単純に交易品が貨幣として使われるというわけではありません。
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そうですね,まずイメージからお話ししますと,東アジアで産出する交易品は,当時のヨーロッパではものすごく価値を持った物が多かったんです。東アジアはお茶や絹,陶磁器など,当時のヨーロッパのセレブ達が競ってほしがっていた富の象徴でした。
それが向こう(東アジア)で大金を積めば,すぐに手に入ったかというとそうではありません。やはり有力者が,そういった特産品を独占していて,都合の良いように交易しています。そこでプレイヤーが商人として,どうやって交渉して,有力者から引き出すのかということになります。手に入れてヨーロッパまで持って帰れば,ものすごい値段になるでしょう。
最終的に売りさばいてお金にするという意味では,いままでの交易と同じですが,重要となるのは手に入れる過程です。
4Gamer:
つまり,物々交換を行うまでには,なにかステップがあるわけですか?
渥美氏:
ええ。今までだと新しい地域に進んで,入港許可をもらえばすぐに新しい街に入れました。そして新しい街で交易所のNPCとすぐに売買ができましたが,今回の南蛮貿易では一筋縄ではいきません。街に入った段階では,交易はできずに,そこから先にプレイヤーが一つ一つステップを踏んで初めて南蛮貿易ができるようになります。
具体的には物々交換をするには,その地域の有力者の支持を取り付けてからでないと南蛮貿易はできません。
4Gamer:
なるほど。そうか,そこで必要になるのが,前回公開された画像にあった“進物”というわけですね?
渥美氏:
そうです。
4Gamer:
ちなみに有力者というのは,これまでで言う「街役人」になるのでしょうか,それとも武将のようなさらに偉い(であろう)人に?
渥美氏:
ここでの有力者というのは後者にあたりますが,街役人を通じて支持を取り付けると考えてください。南蛮貿易を始めるために,進物によって街役人から有力者にそのプレイヤーが珍しい交易品を運んでいるぞと伝えるわけです。
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竹田氏:
さらに,そこから先の話になるのですが,南蛮貿易で日本の貿易商人とうまく取引すると,日本での信用が高まります。
渥美氏:
これは,システム面に興味をお持ちのプレイヤーの方には,貢献度というパラメータと言えば分かりやすいかもしれませんね。
竹田氏:
貢献度は,日本中でどれだけそのプレイヤーが信用されているのかという関係を表すパラメータになります。
4Gamer:
貢献度が上がることで,どのような影響があるんでしょうか。
竹田氏:
例を上げると,交易できる街が増えて,貿易を有利に行えるようになります。また,その文化圏の有力者から屋敷に呼ばれて,特殊な衣装の生産レシピなどがもらえたりします。
4Gamer:
どのような貴重品が貰えるのか楽しみですね。ところで,先ほど最初に街に入った段階では,南蛮貿易はできないと聞きましたが,例えば江戸の街で南蛮貿易ができるようになっても,長崎や堺ではまだ南蛮貿易はできないんでしょうか。
渥美氏:
いえ,そうではなくて――順番について,お話ししておかなくてはいけませんね。
4Gamer:
……順番?
渥美氏:
まず,当時のヨーロッパ人がどこから日本に入れたのか……を考えると分かりやすいと思います。
ヨーロッパの人達が日本にやってきたとき……,本当の最初は種子島かもしれませんが,交易でやってきたヨーロッパ人の玄関口があるわけです。
4Gamer:
ああ,なるほど。当時を考えれば,もちろん“長崎”ですよね。
竹田氏:
ええ,おっしゃるとおり長崎です。最初はわりと外国人に開放されているこの街へ行くことになるのですが,なんの国交もない人は当然交易ができないので,先ほどもお話ししたように,有力者と個人的に契約を取り付けることになります。そこで必要になるのが,異国の(日本人にとって)珍しい物になるわけです。
そして,そんな珍しい物を持ち込んでくれるのであれば,私達(日本)からはこんな品を出しましょうという契約が取り交わされるわけです。これが南蛮貿易のイメージになります。
渥美氏:
ところが,そこで交易できるのは最初の玄関口の街だけの話です。まず玄関口の街を攻略して,新たに次の街で交易するための契約を取り交わす必要があるわけです。
4Gamer:
では,次の街で交易するためには,具体的にどうすれば良いのでしょうか?
竹田氏:
先ほど貢献度についてお話ししましたが,同様に貢献度を積み上げると,ほかの街を紹介してもらえて,その新しい街で南蛮貿易を行うことになります。
4Gamer:
つまり,長崎で南蛮貿易の許可を得たプレイヤーが,長崎で南蛮貿易を行って築いた信用によって,ほかの街でも南蛮貿易ができるようになるわけですね。
竹田氏:
そうなります。そうして,また次の街へと順番に攻略していくわけです。
4Gamer:
日本に実装される街は,長崎/堺/江戸の三つですよね。順番ということは,次の街は,堺か,江戸かどちらかに決まっているわけですか?
竹田氏:
はい。どちらがとは言いませんが,最後になる街はなかなかガードが堅いですよ(笑)。
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日本に何を運べば良いのか。南蛮貿易では,プレイヤーの行動が相場に大きく影響する
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では,ほかに南蛮貿易の特徴はありますか?
渥美氏:
そうですね,南蛮貿易の最大の特徴は,お金を介さない交易というところでしたが,もう一つの大きな特徴は,プレイヤーの行動によって相場が決まる部分が,今までよりも非常に大きくなることにあります。
具体的には,プレイヤーが物々交換をしたときに,システム上で在庫をより綿密に管理することになります。これにより,プレイヤーが行った売買が,南蛮貿易における相場の変動にダイレクトに反映されるようになります。
4Gamer:
プレイヤーの行動が相場に影響を与えることは,これまでにもありましたが,それとはまた違った形になるのでしょうか。
竹田氏:
今までの海域ではプレイヤー以外にもNPCが交易している前提があります。なので,プレイヤーが何もしなくてもNPCの交易によって相場は時間が経つとならされていきます。
一方,東アジアは国外と交易しないという前提なので,相場はプレイヤーが介在しないとなかなか変わらないという形になります。
4Gamer:
なるほど,設定上,東アジア地域で交易できるNPCはほとんど居ないといった状況なのですね。
竹田氏:
そうです。そのため,プレイヤーが持ち込んだ在庫が相場にダイレクトに影響を与えるわけです。
渥美氏:
これは,ある意味そこで儲かる儲からないという,形を変えたPvP要素と言えばいいでしょうか,プレイヤー同士の駆け引きが熱くなると思います。
竹田氏:
そうですね。ほかのプレイヤーの動向を見る必要があります。今までは,相場の変動を待っていれば,このルートで交易品を積めば確実に儲かるというものがありましたが,今回はプレイヤーの動向に左右されることになります。
4Gamer:
日本まである荷物を積んで遠路はるばるやってきたら,ほかのプレイヤーが同じ積荷を大量に卸していて,在庫がいっぱいでもう必要ないと言われたり……。
渥美氏:
そんな感じになりますね。以上のように南蛮貿易の特徴は,一人のプレイヤーとして最初の街を攻略して,次の街へ行ってというステップ/ストーリー性の部分と,南蛮貿易というシステムの,相場の変動が今までと全然異なることで起こる,相場を巡った熱い駆け引きが行われるという二つになります。
4Gamer:
何を積んで日本に行くのか,その判断が重要になりそうですね。ところで,物々交換で気になったのですが,日本で交換できる対象となる交易品は具体的に提示されますか?
竹田氏:
いえ,直接的な提示ではなくて,交易品の種類の在庫量を,相対的にプレイヤーが参照できて,いまその街にどんな在庫がないのかを想像してもらいます。
渥美氏:
在庫が見えるというのは二つの意味があって,一つはどんな交易品を持ち込むのが得だろうということ,もう一方はプレイヤーと競い合うときの指標になるわけです。
4Gamer:
在庫の参照は,その街に行く必要がありますか?
竹田氏:
いえ,その街だけではないです。商会管理局のある街(本拠地やカリカット)のほか,ジャカルタ/マニラなどアジアの主要街で見ることができます。
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4Gamer:
情報戦を制して天下布武を目指したあの武将のように,情報が勝負の鍵になりそうですね。それにしても,南蛮貿易は,かなり大きな追加要素ですね。
渥美氏:
ええ,かなり大きな追加になります。これはちょっとした裏話なのですが,開発ももちろんですけれど,この検証作業も南蛮貿易が一番大変でした。南蛮貿易は,多人数で機能する仕様なので,相場変動がどうなるのかなど,検証が非常に難しいんですよ。
開発の中間バージョンで堺の商人がいつ行っても「魚肉」で喜んでくれるというものもありましたね(笑)。
竹田氏:
いやいや,あれはバグですから(笑)。
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日本までは遠いけれど,初心者にも楽しめる商会の南蛮貿易
渥美氏:
実は,南蛮貿易についてもう一つ大きな仕掛けがあります。前回,職業レベル40以上が日本に行ける目安になるとお話ししましたが,そうなると南蛮貿易はハードルが高いのかという印象があると思います。
4Gamer:
合計レベルはともかく,職業レベル40以上となると結構高いですよね。
渥美氏:
もともと東アジアに到達するというのは,一つの究極の目的としているのですが,それだけだと,初級レベルのプレイヤーが南蛮貿易を楽しめません。
そこで,個人で南蛮貿易を攻略していくというものとは別に,初心者プレイヤーが南蛮貿易に触れられるシステムを用意しています。
具体的には,既存の商会コミュニティに所属することによって,南蛮貿易に対して関与ができます。
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商会といえば,やはり商売をする組織です。それがいよいよスケールの大きな交易を始めるわけです。
まず,商会長が東アジア地域での交易権を得ると,商会として,その街で契約したことになります。契約が結ばれると,定期的にその街とのあいだで交易船が行き来するようになるというイメージです。例えば,商会のある街で「こんな品はどうかな?」と送りたい交易品を入れておくと,その交易品が日本に送られて,日本の交易品に交換されて商会に送られてくるわけです。
渥美氏:
イメージとしては,いわゆる東インド会社に近いですね。
4Gamer:
なるほど。ただ,欧州と日本ですから,かなり日数がかかりそうですよね。
竹田氏:
はい,報酬は毎月の商会コンペで判定され,受け取ることができます。
4Gamer:
ちなみに,商会に送られてくる日本の交易品は選択できるんですか?
竹田氏:
いいえ。先方が送ってくるものですから,選択はできません。何がもらえるか,楽しみにお待ちください。
渥美氏:
このように,南蛮貿易は今までの交易以上に深く楽しんでもらいたいなと,現在いろいろ手を入れているところです。
“伊達政宗”との関わりで,どのようなストーリーが?
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さて,今回はもう1点,発表会でも話題になった“伊達政宗”の画像が公開されました。プレイヤーは,伊達政宗とどのように関わるのでしょうか。
竹田氏:
伊達政宗といえば,当時は,自分で野望を抱いていた時期で,とても海外志向があり,プレイヤー(キャラクター)は彼に出会っていろいろと助けてもらうことになります。と言っても,そう簡単には会えませんが,いくつか会える手があります。それらの仕様に絡んで,会うととても良いことが起こる,という感じでいろいろなところで顔を出すことになります。
4Gamer:
良いことですか,内容が気になりますね。つまり,伊達政宗はジパングのストーリーにおける,中心人物になるわけですか。
渥美氏:
そうですね,そのうちの一人になります。
竹田氏:
かなりのキーマンですね。
4Gamer:
なるほど。彼を中心にどのようなストーリーが起こるのでしょうか。ちなみに,ストーリーに「国別エピソード」といったようなものはありますか?
渥美氏:
いえ,ジパングについては,そういったシステム主導のストーリーではありません。
竹田氏:
今までみたいな,プレイヤーを引っ張っていくというものではなくて,プレイヤーに場を提供しようという部分が大きいです。ストーリーはプレイヤーが作っていく,そのプレイの過程にあるといった感じです。
渥美氏:
日本に到達したときには上級者として,MMOならではの醍醐味として,例えばお互いに助け合ったり, 競い合ったりなど, その場でいかにプレイヤー同士が楽しんでもらえるか,ということに注力しました。
4Gamer:
プレイヤーがどんなストーリーを日本で作り上げるのか,どのような展開がまっているのか楽しみです。
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東アジアでの交易となる“南蛮貿易”は,これまでのものとは大きく異なるシステムになるようだ。
たしかに,大航海時代といえばヨーロッパが世界各地に進出し植民地化していた時代だが,当時の東アジア圏,とくに日本はその影響がきわめて薄い。そのため,ヨーロッパの紙幣が流通するわけもなく,物々交換となるのは自然な流れだろう。
そんな世界観が,大航海時代 Onlineのなかで再現されるこの新しい交易は,プレイヤーの動向にどのような変化をもたらすのだろうか。
次回は,副官に船を与えられる“副官船長”についてのインタビューをお届けしよう。
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