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「大航海時代 Online」開発者インタビュー:コーエー渥美/竹田両氏が語る,Chapter3「Spice Islands」の魅力
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印刷2007/02/09 23:20

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「大航海時代 Online」開発者インタビュー:コーエー渥美/竹田両氏が語る,Chapter3「Spice Islands」の魅力

 2006年8月30日に拡張パック「La Frontera」(ラ・フロンテーラ)が発売されて以来,さまざまなイベントやアップデートを通じてゲーム内コンテンツが拡張されてきた,海洋冒険MMORPG「大航海時代 Online」。その架空の大航海時代を隅から隅まで遊び尽くすには,まだまだ相当な時間がかかりそうだが,早くも次期大型アップデートの話が聞こえてきた。Chapter3のサブタイトルは「Spice Islands」(スパイスアイランズ)。大航海時代には金(きん)よりも高価とされていたスパイス類をめぐって,新たな冒険の扉が開かれるようだ。
 4Gamer読者には説明するまでもないかもしれないが,今回,Chapter3に関するお話を伺ったのは,コーエーの「大航海時代 Online」運営プロデューサー 渥美貴史氏と,同開発ディレクターの竹田智一氏。
 インタビュー中,「今回のアップデートはLa Fronteraの集大成」という発言があることからも分かるように,Chapter3の導入によって,本作には多種多様な魅力が盛り込まれることになる。大航海時代 Onlineの現役プレイヤーはもちろん,しばらくプレイを休止しているという人も,ぜひ本稿に目を通してほしい。


「大航海時代 Online」運営プロデューサー 渥美貴史氏(右)と,同開発ディレクターの竹田智一氏(左)。同作のプレイヤーにとってはおなじみのお二人に,今回もたっぷりとお話しを伺った


■「オリジナルシップビルド」システムが登場
■規格外の船で特化型建造も可能に

4Gamer:
 1月31日に,「カルネヴァレ(謝肉祭)」アップデートが実施されたばかりですが,本日は,さらにその先にある次期大型アップデートの内容について,あれこれお話が伺えるということで,大変楽しみにしています。

渥美氏:
 カルネヴァレアップデートも無事実装できましたし,今日はChapter3について,いろいろお話しさせてもらおうと考えています。
 まずは,次期アップデート名からお伝えしましょう。Chapter3のタイトルは,「Spice Islands」(スパイスアイランズ)。いわゆる香料諸島にスポットを当てたアップデートになります。

4Gamer:
 Spice Islandsということは,モルッカ諸島(編注:インドネシア東部,セレベス島(スラウェシ島)とニューギニア島の間に散在する島群)あたりの海域が作り込まれているわけですか。

渥美氏:
 Chapter2で追加した東南アジア海域には,すでに名産品として香辛料が販売されていますが,Chapter3で追加するモルッカ諸島周辺の海域と港には,より多くの香辛料が存在しています。
 ですが,今回のアップデートは,新海域そのものよりも,ゲーム内システムの充実に力点を置いているんですよ。既存システムの拡張はもちろんのこと,これまでになかった新機能も数多く盛り込んだので,そちらからお話しさせてください。
 まず,造船システムの強化,「オリジナルシップビルド」から説明しましょう。これはジョイントビルドの集大成とでも言うべきシステムで,ついに「専用艦」の建造が可能になります。

4Gamer:
 専用艦という名前からして,従来のシステムでは作れなかった,ユニークな特徴を備えた船が建造できそうですね。

渥美氏:
 はい。これまでも,ジョイントビルドで船を強化する際には,オプションスキルの付与ができましたよね。オリジナルシップビルドではさらに,任意のスキルが追加可能なので,強化の自由度が飛躍的に向上しています。これが本システム最大の魅力です。
 ただし,任意のスキルが付与できるといっても,何でもOKというわけではありません。たとえば,明らかに大型船用のスキルを,小型船に付けることはできません。リアリティを考慮した枠の中から,任意で選ぶことになります。

竹田氏:
 ジョイントビルドでは,特定の船が元々備えている特性を,さらに生かす形で,強化段階に従って一つ,二つとスキルを付与できましたよね。
 しかしオリジナルシップビルドは,特定の船だけでなく,すべての船が強化対象です。今まで,ジョイントビルドとはまったく無縁だった船にも,スキル枠が一つ増え,何らかのオプションスキルを付けられるようになるわけです。

4Gamer:
 ということは,オリジナルシップビルドの実装に合わせて,オプションスキルにも新しいものが追加されるんですか?

渥美氏:
 ええ。スキル内容に関しては,Chapter2では軍人向けが大多数でしたが,Chapter3では商人/冒険者向けのオプションスキルを用意しました。いくつか例を挙げると,商人おすすめのスキルとしては,災害に強くなる「耐震倉庫」。冒険者向けには,突風に強い「耐風マスト」などがあります。

竹田氏:
 オプションスキルは全部で10種類以上追加します。戦闘系オプションスキルとして,Chapter1で「大浸水」を起こさせるスキルが入りましたが,今回は船に排水ポンプが付けられるなど,その対抗手段となるものも用意しました。

渥美氏:
 ちなみに,開発スタッフにおすすめの強化案を聞いてみたところ,速さを重視した「クリッパー系+急加速+強化舵」。ちょっと個性の強いユニークな船としては,「バス系+投網+家畜室」という組み合わせもあるようです。

4Gamer:
 家畜室はやはり,家畜が繁殖しやすい効果があるわけですよね。実用性はともかく,家畜好きには欠かせないオプションスキルですね(笑)。
 ところでこの専用艦,材料さえ揃っていれば誰でも造船可能なんですか?

竹田氏:
 いえ,多少難度の高い条件を用意しています。専用艦は,これまで作れなかった「規格外の船」という存在です。国家に対する貢献度の高いキャラクターが,規格外のカスタマイズ船の造船許可を与えられる……,というイメージですね。なんというか,“シャア専用ザク”みたいなものと言えば分かりやすいでしょうか(笑)。
 具体的には,国家に貢献した証として,勲章のようなアイテムを集めていくと,専用艦の建造が許可されます。勲章のようなアイテムは,勅命クエストをクリアしたり,開拓地を発展させたりすると,報酬として入手できます。ちなみに追加スキルの効果については,今のところ,ご想像にお任せします。

4Gamer:
 これまでは,La Frontera以降に開放されたエリアへの入港許可証をもらうために,淡々とこなしていた感のある勅命クエストですが,その重要度/必然性がだいぶ高まりそうですね。
 そういえば,ジョイントビルドシステムが初めて実装されたとき,プレイヤーの皆さんは,素材集めにかなり苦労していた印象があるのですが,専用艦の建造に必要な素材は,やはり用意するのが大変なのでしょうか。

竹田氏:
 専用艦へのカスタマイズは,すべて本拠地で行えます。素材を集める必要はありますが,既存のアイテムがほとんどなので,それなりの経験を積んだプレイヤーであれば,さほど苦労はしないと思いますよ。

渥美氏:
 詳細はお伝えできないのですが,実は,既存の素材集めが楽になる工夫も盛り込む予定なので,そのへんは安心してください。

4Gamer:
 おお,それは楽しみですね。ちなみに,スキルだけではなく,新しい船なんかも追加されますか?

竹田氏:
 うーん,これも詳しくはお伝えできないのですが,新規の船もいくつか投入します。すでに存在していてもおかしくないのに,まだ登場していなかった船種,といったところで許してください。

4Gamer:
 前回のインタビューでは,開拓地の発展具合の絡みで,いまだにアンロックされていないジョイントビルドがあると聞きましたが,現在の状況はどうでしょう?

竹田氏:
 ワールドごとに出ている船種の差はあるのですが,全ワールドを総合すると,すべてのジョイントビルドが出現しています。

写真左:専用艦船の情報画面 写真中央:大型クリッパー 写真右:バルティックガレオン


■職人最高の称号「マイスター」制度で
■師弟関係が築けるようになる

渥美氏:
 次に,新しい称号システムについてお話ししましょう。これまで,プレイヤー個人のステータスといえば,「爵位」「名声」などがありますが,Spice Islandsでは「マイスター」の称号が追加されます。生産職を極めるとマイスターを名乗れるようになり,さらに“師匠”として弟子をとれるんです。

4Gamer:
 本来のマイスター制度が再現されていますね。弟子は,最大何人までとれるんでしょうか。

渥美氏:
 弟子は一人までとなっています。弟子側のプレイヤーは,師匠が近くにいる状態で生産スキルを使うと,+1のブースト効果が得られます。師匠の監督の下で仕事をこなす,というイメージですね。

竹田氏:
 マイスターになる最大のメリットは,アイテムの自動生産が可能になる点です。これは「副官」の機能として,すでにゲーム内には存在していますが,そちらは洋上のみという制限がありました。
 しかしマイスターであれば,街中で自動生産ができ,まったく別の行動をとっていても,バックグラウンドでアイテム生産が行えます。ちなみに,近くにいれば,弟子側でもこの自動生産が可能になります。

4Gamer:
 それは便利ですね。ちなみに,弟子もいずれ生産スキルを極めてしまうと思うのですが,その場合,師弟関係はどうなってしまうんでしょうか。

渥美氏:
 弟子を“破門”することが可能ですよ(笑)。弟子側のプレイヤーから独立することも可能なので,生産を極めれば,今度は自分自身がマイスターとなって,新たに弟子をとれるわけです。師弟関係の解消は,いつでもできます。

4Gamer:
 マイスター側には,自動生産以外の特筆すべきメリットはないんですか?

竹田氏:
 マイスターになること自体が大きな名誉なので,これ以上の特典は考えていません。ただ,自動生産が可能になるほかにも,行動消費を低めに抑えられたり,生産時に大成功の確率が少し上がったりというメリットが用意されています。

渥美氏:
 現時点では弟子側から,マイスターの称号を持つプレイヤーに弟子入りを申し込む感じのインタフェースになっています。ですが,このマイスターシステムには,上級プレイヤーに新規プレイヤーを牽引し,導いてほしいという気持ちも込めているんですよ。生産のプロフェッショナルには,ぜひそのへんを意識したロールプレイを楽しんでもらいたいところです。

「鋳造マイスター」という称号に注目!


■商人向けイベント「大投資戦」とは?
渥美氏:
 Chapter3では,新しいタイプのゲーム内イベントも導入します。おなじみの「大海戦」は,その名の通り軍人向けの内容で,かつ,運営側が実施日程をアナウンスして取り仕切るという形でした。
 新たなイベント「大投資戦」は,どちらかと言えば商人向けの内容で,投資が一番活発な港で,突発的に発生するというものです。つまりプレイヤーの行動次第なので,いつどこで発生するということが,予測しづらいイベントになります。

竹田氏:
 大投資戦が始まると,当然各国の商人達は同胞に協力を求めるわけですが,そこには国家も絡んできます。投資戦には商人以外でももちろん参加でき,一口100万ドゥカート,最大二十口まで投資できる仕様です。
 そして,プレイヤーが投資した金額の2倍の額を,国が援助という形で投資してくれるシステムになっています。つまり,イベント中のみ,国家の影響度変動が3倍になるというのも,このイベントの特徴であり,メリットと言えるでしょう。

4Gamer:
 一口100万ドゥカートとは,またずいぶんと高額ですね……。上級プレイヤーにとっては大した金額じゃない,とも言えますが。
 ところで,大海戦では明確な勝敗が設定されていましたが,この大投資戦は,どういった形で決着がつくのでしょうか。

渥美氏:
 大投資戦は,スタートしてから4時間後に終了しますが,影響度の変化がそのままイベントの結果と言えます。影響度変動が「通常比3倍」なのは相当大きなことだと思いますよ。イベントが始まると,システムログとしてログイン中のプレイヤー全員に告知されるので,投資戦が発生した街へ,多くのプレイヤーキャラクターがなだれ込むことになります。

竹田氏:
 ただ,このイベントには大きなポイントがあるんですよ。投資戦が始まると,その港の銀行は「取り付け騒ぎ防止」ということで,閉鎖してしまいます(笑)。

渥美氏:
 投資戦に参加するためには,近隣の港でお金をおろして,現金を運ばねばならないわけです。

4Gamer:
 それはまた,ある意味リアルですね……。ということは,投資戦の発生した港が危険海域に近い場合,そんな危ない場所を,大金を抱えた船がウロウロするわけですか?

渥美氏:
 その通りです。銀行が利用できないから,近くの港でお金をおろす。おろした現金を持ったまま目標の港へ向かうことになるので,その周辺にはもちろん,そういった船を狙う海賊が大量に集まることになるでしょう。そこで,大投資戦への参加には,軍人による護衛も重要な役割を占めることになります。

竹田氏:
 大投資戦に勝つためには,プレイヤー同士,商会(ギルド)同士というよりは,国家レベルでの連携が必要になるでしょう。ただし,この大投資戦をこなすと,先ほど専用艦の建造に必要だとお話しした,国家貢献の証となるアイテムが,普通に勅命クエストを達成するよりも多く獲得できます。

4Gamer:
 大投資戦が起こるのは,安全海域にある港という可能性もあるんですよね?

渥美氏:
 もちろん,安全海域でも起こります。そのときは緊張をはらんだ投資合戦というより,もっとお祭り騒ぎの色が濃くなるでしょう。

4Gamer:
 これで軍人向け,商人向けのシステマチックなイベントが実装されたので,残るは冒険家向けイベントですかね。

竹田氏:
 冒険家向けには,すでに「アカデミー」がありますしねぇ。加えて,大型アップデートで新海域が広がると,冒険家ならば自然と新しい発見や遊び場が増えます。
 軍人向けには大海戦。そして冒険者にはアカデミー。では商人は? という意見は,これまで多く届いていました。そこで,今回の大投資戦というものを考案したんです。

渥美氏:
 商人プレイヤーの皆さんにとっては,さらに「見せ場」が増えることになるので,ぜひともこの大投資戦を盛り上げてもらいたいところです。

現地の銀行が封鎖されるため,大投資戦が発生している港には,大量の現金を積んだ船が集まる。状況によっては,非常にエキサイティングな展開になることも……?


■海賊プレイに光が差すか。海賊島と上級職の追加
渥美氏:
 続いて,戦闘好きなプレイヤー向けの新機能を紹介しましょう。Spice Islandsなので,軍人/海賊を含め,皆さんに大変「刺激的」なプレイを楽しんでもらえればと,いろいろ用意しました。
 まず,海賊島が新たに一つ追加されます。それに加え,従来の海賊島も含め,海賊島周辺にはややレベルの高いNPC海賊が配置されるのも重要なポイントです。これによって,NPC相手のおいしい狩り場が増えるし,海賊島に寄港しようとする海賊プレイヤーと,それを討伐しようという軍人プレイヤーが,鉢合わせになる可能性も高まるでしょう。

4Gamer:
 なるほど,軍人にとっても,海賊にとっても,非常に刺激的な海域になりそうですね。

渥美氏:
 次に,海賊島への入島制限も緩和します。具体的には,入島に必要な金額と悪名が緩和されることになるのですが,これにより海賊島がさらに使いやすくなるはずです。ただし,一般プレイヤーが上陸したいときは,従来どおりの金額を要求されるので,あくまでも「海賊達の楽園」という位置づけですね。
 加えて「上納品」の扱いが大きく変更されます。Spice Islands以降,一般プレイヤーを襲い相手が上納品を使用すると,スタック可能アイテム「戦利品」が入手できるようになります。これにより,船倉に空きがなくても,連続で海賊行為におよべるようになるわけです。
 入手した戦利品は,海賊島に持ち帰ると高額で換金することができます。海賊島は,海賊ロールプレイを楽しむ人にとって,これまで以上にホームグラウンドの意味合いが強くなることでしょう。

4Gamer:
 高額で換金,というのは,海賊行為のリスクに見合った金額ということですか?

竹田氏:
 上納品を作るのに必要な原価ぐらいはもらえる,と考えてください。

4Gamer:
 なるほど。先ほどのお話と合わせて考えると,上納品を換金しようと思って海賊島に帰ってきたら,NPCを狙ってうろついていた軍人や海賊討伐(PKK)行為を楽しむプレイヤーに,逆に襲われるリスクも高まりそうですね。
 ちなみに,肝心の新しい海賊島の場所について,教えてもらえないでしょうか。

竹田氏:
 香料諸島のごく近くですよ。もうちょっとヒントを出すと,香料諸島からフィリピンへ抜けるあたりに存在しています。

渥美氏:
 海賊に関する新要素はこれだけじゃありません。実は海賊専用の上級職として「フィリバスタ」を追加します。

竹田氏:
 海賊の中の海賊,すなわち選ばれた海賊プレイヤーだけがなれる上級職という扱いです。転職クエストも,ストーリー仕立てというか,イベント要素の強い連作クエストを用意しています。前提条件はちょっと厳しいですが,できるだけ多くの海賊プレイヤーに,フィリバスタへの道に挑戦してほしいです。

4Gamer:
 なにやらすごそうな上級職ですね。フィリバスタの優遇スキルはどんなものになりますか?

竹田氏:
 それはさすがに秘密です(笑)。なにせ,選ばれた海賊だけがなれる職業ですからね。ぜひ海賊プレイヤーの皆さんが,自身の目で確認してください。

4Gamer:
 しかし,海賊にスポットを当てた内容を実装すると,海賊(PK)行為が盛んになって,ゲーム内世界が荒れるという意見も聞こえてきそうですね。そのあたりを考えたうえでのバランシングなどは行っているのでしょうか?

渥美氏:
 海賊島の上陸条件を下げたり,上級職を追加実装したりで,海賊が優遇されているような印象を抱くプレイヤーさんもいるとは思います。しかし,実際には上納品の入手が難しくなるわけではないし,海賊が一方的に強くなるシステムもありません。逆に,海賊をつけ狙う軍人にとっては,敵を補足しやすいという面もあるでしょうね。

4Gamer:
 むしろ,海賊島周辺に軍人と海賊の注目が行きやすくなり,逆にその他の海域は今までより安全になる可能性も考えられますね。

渥美氏:
 先述の大投資戦が起きた場合などには,多少リスキーな状況が生まれるかもしれません。しかし,海賊,軍人,商人が一つの港を中心に集まるので,冒険家はその間,安心して航海できるかもしれない。そういった「流れ」を読みつつ,航海を楽しんでみるのも面白そうですね。

海賊行為にまつわる「リスク」と「リターン」が調整される。単に上方/下方修正されるというわけではない点が,なかなか興味深い。Chapter3実装後の海賊問題には,ぜひ注目したいところだ


■商会の注目度を上げるチャンス
■「商会コンペティション」

渥美氏:
 Chapter2で導入された「公認商会」システム。こちらにも,商会システムをさらに掘り下げる機能を導入します。
 公認商会のランクをどこまで上げるかについては,自分達の商会のリスク許容度,すなわち「これだけ恩恵を受けられれば,これ以上は上げなくてよいだろう」ということを,商会メンバー同士で話し合うことがポイントであり,とくにほかの商会と競い合う必然性はありませんでした。
 しかし,Chapter3で実装する「商会コンペティション」では,アイテムを「納品」することで蓄積される貢献度の上限をなくし,より貢献度の高い商会ほど,商会の一覧画面で上位に表示されるようになります。この結果,商会同士競い合う楽しみも生まれてくるのではないかと思います。

竹田氏:
 ランキングは,公認商会,公認でない商会を問わず,純粋に貢献度の優劣だけで表示順位が決まります。それだけ? と思われるかもしれませんが,実はこの表示ランキングはリアルタイムで変化していき,商館に空きが出た場合の入札優先順位も兼ねているんです。

4Gamer:
 商会ショップからアイテムを購入するときは,どうしても上位に表示されている商会の中から選びがちですから,大手商会にとっては宣伝費のようなものでしょうか。
 競争といっても,興味がなければ貢献度にこだわらなければいいわけですし,参加しないデメリットもない。商館がどうしても欲しい商会にとっては,嬉しい仕様になりそうですね。



■「アパルタメント」の収納力がさらにアップ
渥美氏:
 Chapter3では「アパルタメント」の改装がRank3まで可能になります。Rank3まで改装すれば,収納力が格段に強化され,部屋の面積もかなり広くなりますよ。

4Gamer:
 家具の種類も増えそうですね。

渥美氏:
 家具は,従来よりも大型で,収納力の高いものを投入します。部屋自体の収納力も上がるし,コレクターの皆さんもきっと満足してくれるでしょう。
 ちなみに,部屋のRankが3になれば,マネキンが2体配置できるようになり,留守番してくれる副官も二人になります。

4Gamer:
 改装料ははいかほどになります?

竹田氏:
 費用についてはまだ検討中で,今お伝えすることはできないんですよ。もうしばらくお待ちください。

4Gamer:
 そういえば,アパルタメントの広さを拡張するという内容は,前回のインタビューの時点で公言していましたね。順調に新機能が実装されているようで嬉しいのですが,アパルタメントに関しては,まだまだ機能拡張の余地がありそうですね。

竹田氏:
 そうですね。部屋のバリエーションは機能的にも見た目的にも広がりを持たせたい,最終的にはプレイヤー個々がまったく違う個性を持った部屋に住めたら……,とは考えています。ただ,一つ一つの機能拡張がなかなか大変な内容なんですよ。アパルタメントは以前お話ししたように,さまざまな可能性を秘めたシステムですから,我々も常に,何かしら新しいアイデアを盛り込んでいこうと努力しています。

渥美氏:
 私なんかは,家に庭があって,そこで家畜が飼えたらいいなと想像してるんですけどね。

4Gamer:
 航海から戻ると,家畜が殖えていたりするわけですね。いいなぁ。

竹田氏:
 妄想はそのあたりでやめておいてください(笑)。

徐々に拡張されていくアパルタメント。いずれは庭付き一戸建てが登場する日が来るのだろうか……?


■「La Frontera」の集大成「Spice Islands」
渥美氏:
 さて,そろそろ「Spice Islands」の海域についてお話ししましょうか。

4Gamer:
 おお,ようやく新海域の詳細について教えてもらえるんですね。

渥美氏:
 Spice Islandsの注目ポイントは,あくまで豊富な新システムにあるので,そちらを強調したいという思いを込めて,あえて最後にお話ししようと思っていたんです(笑)。
 実は今回は海域をあえて広げず,Chapter2で追加された海域を充実させることに注力しています。具体的には,東南アジア海域に香料諸島を始めとする新たな街が多数追加されます。もちろん,入港するために新たな勅命をこなす必要はありません。
 香料諸島という名の通り,Chapter3では高価な香辛料が交易品として実装されます。うまく持ち帰ることができれば相当な収益と名声を得られるでしょうね。

4Gamer:
 すでにスパイス類の一部は交易品として用意されていますが,その種類が増えるわけですね。

渥美氏:
 はい。現在ナツメグやクローブが東南アジアの代表的な香辛料ですが,新たに強力な香辛料,「メース」が加わります。

竹田氏:
 また,これら香料諸島,具体的に言うと「アンボイナ」「テルナーテ」の二つは,開拓地扱いになっています。この開拓地への貢献も,先ほどお話ししたオリジナルシップビルドに必要な,「国家貢献の証となるアイテム」の入手方法の一つとなります。

4Gamer:
 なるほど。専用艦の建造ルートは,職業を問わず,さまざまな手段が用意されているんですね。

渥美氏:
 また,香料諸島だけでなく,実は「新大陸」まわりにも大きな変化があります。新大陸の開拓が進み,金山/銀山が発見されたという設定で,金や銀がだいぶ購入しやすくなり,貴金属取引スキルの重要度も大きく変わります。遠距離交易がよりいっそう盛んになると思われるChapter3「Spice Islands」は,まさに,「La Frontera」の集大成と言えるでしょう。

4Gamer:
 いやー,非常に楽しみです。……ところで,肝心の実装時期について,なにも教えてもらっていないのですが,内緒ですか?

渥美氏:
 いえ,そういうわけではありません(笑)。実装時期は2007年の3月中旬を予定しています。ぜひ期待していてください。

恒例(?)の極秘マップ公開。あまり大きく見せてしまうのもアレなので,今回はこれくらいのサイズで……


■お弁当箱の中身はどれだけ詰まったのか
■今後のスケジュールについて

4Gamer:
 以前のインタビューでは,Chapter2で一気に新海域が広がった状態を「お弁当箱」にたとえていましたね。そこでは,「今後はお弁当の中身をどんどん詰めていきたい」という発言もありましたが,Spice Islandsの実装によって,お弁当箱の中身はどれだけ詰まった状態なんでしょうか?

竹田氏:
 Spice Islandsでは,新システムがかなり増えるので,お弁当としては結構詰まってボリュームが出ると思います。新しいおかずをいっぺんに詰めても,今度は覚えなくてはならないシステムが増えすぎてしまい,プレイヤーにとっては「おなかが一杯」という状態になってしまいますからね。従来のシステムの拡張や改善も,バランス良く行っていきます。

渥美氏:
 Chapter1,2と連続で海域が広がったので,また海域を大幅拡張してしまうと,その変化に追いつけないプレイヤーが出てくるでしょう。そのへんを考慮して,Chapter3では海域拡張のペースを調整し,システムの充実を優先しました。

4Gamer:
 では,二段目のお弁当箱はいつごろ用意されるんでしょうか。先ほど「La Fronteraの集大成がこのChapter3」と言っていましたが,ということはつまり,次の拡張パックの企画/開発も動き出していると思うのですが……?

渥美氏:
 次のお弁当箱は……,もちろん何も動いてないわけではありませんが,本当にまだ動き出したばかりです(笑)。暖かい季節,暑い季節に向けて,何かしら最新情報をお届けできるといいなぁ,と思っています。

4Gamer:
 この件については,また後日あらためてインタビューをさせてもらうということで……。では,今後のゲーム内イベントなどについて,教えてもらえるような内容はありますか?

渥美氏:
 発表済みの「バレンタイン」「謝肉祭」をはじめ,季節物イベントはもちろん,歴史系イベントも企画中ですよ。歴史系イベントは「ロードス島沖海戦」「レパントの海戦」など,軍事色の濃いものをこれまで実装してきましたので,次回はちょっと毛色の違う,ユニークなイベントを用意したいと思います。また,ゲーム内イベントとは別に,新規プレイヤーに向けたキャンペーンも予定中です。そのほか,大型アップデートに相応しい「隠し球」もあるので,ぜひご期待ください。

4Gamer:
 イベント,キャンペーン共に楽しみです。Chapter3も本当に濃い内容ですし,La Fronteraの集大成がどれほどのものなのか,時期が来たらじっくりと味わいたいものです。
 では最後に,大航海時代 Onlineのファンに向けて,一言メッセージをお願いします。

渥美氏:
 繰り返しになりますが,Chapter3「Spice Islands」は,La Fronteraの集大成とも言うべきアップデートです。常に新しいこと,そして面白いことをやりたいという気持ちで考えたシステムを数多く導入しました。「スパイス」の名のとおり,大変刺激的なアップデートと言えます。新規プレイヤーから上級者まで,幅広い層に楽しんでもらえるような内容になっていますので,ぜひ楽しみにしていてください。

竹田氏:
 Chapter1,Chapter2で得られたプレイヤーの要望を,できる限り参考にして開発した結果が,Chapter3「Spice Islands」です。大航海時代という世界の広さ,そして深さを,多くのプレイヤーに実感してもらいたいですね。

4Gamer:
 本日は長時間ありがとうございました。

 「Spice Islands」というタイトルを目にしてまず思い浮かべるのは,香料諸島という通称の元になったさまざまな香料群と,活発な交易,多種多様な人種が往来する港町の風景などだろう。しかし開発チームとしては,最大のアピールポイントは新海域ではなく,むしろゲームシステムの充実にあるとしている。
 正式サービスが開始されて以来,テンポの速い大小さまざまなアップデートによって,大航海時代 Onlineのゲーム内世界は広く,システムは深く拡充されてきたが,このタイミングであえて,データ面の拡張でなくシステム面へのテコ入れを強調するあたりに,同作をさらにいいタイトルに育てようという,渥美/竹田氏の意気込みが感じられる。彼らが「La Fronteraの集大成」だと太鼓判を押すSpice Islandsの導入により,大航海時代 Onlineの世界はどう変化するのか。今から実に楽しみである。(ライター:麻生ちはや)

(2007年2月1日収録)

  • 関連タイトル:

    大航海時代 Online

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