業界動向
著作権法改正案が衆議院文部科学委員会を通過,音楽・映像の違法ダウンロードでの罰則強化へ
物議を醸しているのは違法ダウンロードの厳罰化あたりだが,罰則が明文化される前の法案,すなわち2010年の改正著作権法では,音楽や映像などの著作物では,「違法に配信されているコンテンツと知りつつ私的利用のためにダウンロードした場合は違法」という解釈になっていた。ただし,著作権法違反は親告罪であり,著作権者が個別に訴えない限り罰則の適用は困難だった。そこで法案に実効性を持たせるため,罰則強化つまり刑事罰化が審議されることとなったわけだ。
具体的な内容については,文部科学省公式サイトに第180期国会に提出した法案の内容が公開されている。現在の国会ではそれをもとにした審議が繰り広げられていたわけだが,衆議院を通過した内容と原案が完全に一致しているかどうかは保障されないものの,全体的な方向性は原案でつかめると思われるので,それをもとに法案改正の内容を見てみよう。
著作権法の一部を改正する法律案(要綱)で,いわゆる違法ダウンロードの刑事罰化に相当する内容は以下のとおりである。
「技術的保護手段の範囲に、著作物等の利用に用いられる機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、又は送信する方式を加えるとともに、技術的保護手段の回避に係る罰則規定等について整備を行うこととすること」
また,録音,録画に関する技術開発時は違法化の適用を除外されることや,効率的な処理を行ううえで必要と見られる場合は必要最低限で適用を除外されることなどが規定される。キャッシュなど,システム内に複製されている部分については除外対象となるということだと思われるが,現状では断定はできない。
上記のように,罰則規定を行う著作物をいくつか特定しているのだが,ゲーム業界的な話題となりそうなプログラムの著作権は含まれていない。ゲームについては,映画の著作権の範囲で保護された例もあるが,今回の対象に含まれているかどうかは不明である。
この改正法案は,今後,参議院を通過すれば2013年1月1日より,ダウンロードの刑事罰化など一部の項目については,2012年10月1日から施行される模様だ。
※上記文部省の改正案は,技術的方法での複製に関する罰則強化であり,違法ダウンロードへの内容を含むものではありませんでした。法案の具体的な内容については調査中ですが,現時点では草案ないし議論の過程を示した資料を発見できておりません。具体的な内容が公開され次第,再度取り上げたいと思います。内容確認が不十分でありましたことをお詫びいたします。
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