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今すぐ始める! ゲーマーに贈るボイスチャット入門講座(4)

Text by 坪山博貴 

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 第3回から引き続いて,「TeamSpeak 2」を利用したボイスチャット環境の構築を行っていこう。すでに説明したとおり,TeamSpeak 2のサーバーソフトを動作させなければ,本稿で解説する内容は役に立たない。まずは前回の説明を読み,サーバーを動作させるところから始めてほしい。

 

 もっとも,TeamSpeak 2サーバー自体は(前回からの繰り返しになるが,基本的には)パーティ/ギルド/クラン内の仲間,誰か一人が動作させればいい。残る人達は,日本語環境で利用できるクライアントソフトをインストールして,設定するだけで,今日からTeamSpeak 2を利用できる。
 ただ,それでもボイスチャットを行ったことのない人にとって,その設定作業がけっこう面倒なのは確かだ。また,TeamSpeak 2では,クライアントソフト側で設定できる項目によって,快適さがかなり異なる場合がある。そこで本稿では,そういったポイントを指摘しつつ,TeamSpeak 2クライアントソフトのインストール&設定方法を説明していきたいと思う。

TeamSpeak 2のクライアントソフトをインストールする

 というわけで,まずはダウンロードしてインストールするわけだが,TeamSpeak 2クライアントソフトは,TeamSpeak 2の公式Webサイトからダウンロードできる。トップページ右上に用意されている「DOWNLOAD NOW」のバナーをクリックするとダウンロードページが開くので,「Windows」以下に用意されている「TeamSpeak 2 Client(RC2)」のリンクをクリックし,続いて開く利用許諾のページをよく読んでから,「I AGREE」ボタンを押せば,任意のフォルダに保存可能だ。

 

念のため,ダウンロード手順を画面で示しておこう。トップページから「DOWNLOAD NOW」のアイコンをクリック(左)。ダウンロード一覧の一番上にある「TeamSpeak 2 Client(RC2)」の横にある「Download」をクリックし(中央),さらに開いたページの最下段にある「I AGREE」をクリックすればダウンロードできる

 

インストーラの起動確認ウィンドウ

 ダウンロードしたファイル(2006年4月9日時点では「ts2_client_rc2_2032.exe」)を実行すればインストールできるので,とりあえずウィザードに従っておけば問題ない。「Licence Agreement」(利用許諾)の画面で,「I accept the agreement」のラジオボタンを選ぶ必要があるのと,人によっては「Select Destination Directory」(インストール先)を変更する必要があるかもしれない程度で,基本的には「Next」を押していけばいい。
 ただ,これから日本語パッチを導入するから,最後の最後に出てくる「Launch Teamspeak」のチェックボックスは外しておこう。

 

インストーラも当然英語だが,基本的には「Next」をクリックするだけで大丈夫。途中で「TeamSpeak Codec Installer」がポップアップするが,ここも慌てず騒がず「Next」を押して継続しよう。最後に「Launch Teamspeak」のチェックを外しておくのはお忘れなく。もっとも,起動してしまったら,終了すればいいだけの話だが

 

 次に日本語パッチをダウンロードしてインストールする。日本語パッチは「Mu-suke」氏のWebサイトで,「Banz/BF1942」→「Tool/Tips」の順にページを移動するとダウンロード可能だ。ダウンロードしたファイルはzip形式の圧縮ファイルになっていから,Windows XPならダブルクリックすれば必要なファイルにアクセスできる。

 

日本語パッチは「Mu-Suke氏」の個人サイトからダウンロードできる。個人サイトなので今後入手手順が変わる可能性がある点には注意したい

 

 ダウンロードしたzipファイルの中に入っている日本語パッチファイル「TS2jp203260RC1.EXE」を,TeamSpeak 2クライアントソフトのインストールされたフォルダにコピーする。場所は通常「C:\Program Files\Teamspeak2_RC2」だが,デスクトップにある「TeamSpeak 2 RC2」のショートカットを右クリックして,コンテキストメニューからプロパティを開き,「リンク先を探す」ボタンを押すことでもフォルダは開ける。
 フォルダにコピーしたら,日本語パッチファイルをダブルクリック。これでTeamSpeak 2クライアントソフトの日本語化は完了である。

 

デスクトップ上のショートカットアイコンから,インストール先フォルダを探す。これが手っ取り早いだろう

 

日本語パッチファイルをインストール先のフォルダにコピーして実行。上のようなウィンドウが表示され,100%に達したら日本語化完了だ

TeamSpeak 2クライアントソフトの起動と
サウンド周りの初期設定

TeamSpeak 2クライアントソフトの初回起動直後

 インストールと日本語化が終わったら,起動してみよう。なにも起こらない,さみしいウィンドウが立ち上がるが,これで正常だ。

 

 ウィンドウは三つに分割されているが,左上には接続したTeamSpeak 2サーバーにいる,ほかのユーザーの情報が表示されることになる。同様に,右上は接続したTeamSpeak 2サーバーの情報,下にはそのサーバーからのメッセージなどが表示される。
 続いてメニューバーでは,「接続」でサーバーへの接続や切断,「設定」でTeamSpeak 2クライアントソフトに関するさまざまな設定を行える。ほかの項目について逐一説明は行わないが,使ってみると何をするものか分かるはずだ。

 

 さて,TeamSpeak 2クライアントソフトの仕組みを大枠でつかんだところで,ヘッドセット周りのチェックを行っておこう。
 メニューバーから「設定」→「オプション」をクリック。設定ウィンドウが開くので,「サウンドデバイス」タブで,「入力デバイス」「出力デバイス」がそれぞれ,ヘッドセットを接続したサウンドデバイスになっていることを確認する。基本的には「プライマリ〜」と書かれているものが選ばれていればOKだが,第2回で説明したような形で,USBサウンドデバイスなど,「ヘッドセット専用の,2系統めのサウンドデバイス」を用意している場合は,忘れずに指定しておこう。

 

基本的には左のように「プライマリ〜」が選択されていればOK。ただ,USBサウンドデバイスなどの「ヘッドセット専用サウンド入出力」を用意した場合は,右のように,ここで明示的に選択しておく

 

 次に,実際にヘッドセットを接続しよう。この状態でTeamSpeak 2クライアントのメニューバーから「設定」→「サウンド入力/出力設定」を呼び出す。

 

初期設定では音声を自動認識して送出が行われる設定。音声認識レベルや出力ボリュームの設定は,ローカルテストモードを利用するとサーバーに接続する前でも調整が行える

 左がその設定ウィンドウだが,ここで設定できるものには,かなり重要なものがあるので,しっかりと説明しておきたい。
 まず「出力ボリューム」だが,これはヘッドセットのヘッドフォンに聞こえてくる,ボイスチャットの音声のボリューム設定だ。あくまで音声の設定であり,ゲームの効果音とは別になる。ヘッドセットでゲームの効果音/BGMとボイスチャット音声を両方聞く場合は,まずゲーム側の音量を調整してから,このスライダーで調整するといいだろう。

 

 続けて「音声の送信方法」について。TeamSpeak 2クライアントソフトでは,音声の送信方法を2種類から選択できる。「ボタン押し会話」にチェックを入れると,設定したキーを押している間だけ,マイクに向かって話した音声がTeamSpeak 2サーバーを介して仲間に流れる。少し手間がかかるものの,よけいな音や独り言が仲間に伝わってしまうのを避けることが可能だ。「セット」をクリックし,次に押したキーが「発話用のキー」になる。
 一方「音声認識会話」にチェックを入れると,マイクから入力された音をTeamSpeak 2クライアントソフトが常時監視し,設定した「音声認識レベル」より大きな音が入力されると,それがTeamSpeak 2サーバーを介して仲間に流れるようになる。手間がなくて便利だが,「音声認識レベル」で,音声として認識する“しきい値”を適切に設定しておかないと,声が相手に届かなかったり,途切れ途切れになってしまう場合がある。また,音声認識のプロセスが発生する関係上,音声が少し遅れて送信されてしまうという欠点もある。
 ではどちらがいいかだが,大人数でボイスチャットを行うのであれば,「ボタン押し会話」のほうが望ましいと思われる。ボイスチャットが必要な戦闘時であれば,リーダーやサブリーダーが音声で指示を出し,残るメンバーは流れてくる音声に従って適宜“動く”という形になるだろうから,余計なノイズが混じりにくく,情報伝達速度も速いという意味で,個人的にはこちらを推したい。ゲームではまず利用しないキーを「ボタン押し会話」の「ボタン」に割り当てるといいだろう。

 

 最後に「ローカルテスト」だが,「ローカルテストモード開始」ボタンをクリックすると,自分がマイクに向かってしゃべった内容が,ループバックしてヘッドセットのヘッドフォン部から聞こえてくるようになる。ここまで述べたサウンド周りの設定は,これを利用して行うと便利だ。
 なお,「コーディック」は,音声をデータとして送受信するための音声圧縮フォーマットを指す(詳細は後述する)。コーデックが変わると音質は変わるが,原則として音量は変わらない。ここで重要なのは音量なので,とくに気にせず,標準設定の「CELP 5.1 Kbit」(これも詳細は後述)のまま行ってかまわない。

TeamSpeak 2サーバーへの接続設定を行う

 第3回でも触れたように,「TeamSpeak 2」でサーバーに接続するための方法は,大きく2パターンある。一つは,(A)TeamSpeak 2サーバーの管理者がユーザーアカウントをすべて準備してユーザー(=仲間)に通知し,ユーザーは受け取った情報を元にサーバー接続設定を行うというもの。もう一つは,(B)各ユーザーがTeamSpeak 2サーバーに匿名で接続してユーザーアカウントを自分で作成し,サーバー接続設定を行うというものだ。
 どちらをより理想的とするかは,TeamSpeak 2サーバー管理者の方針,あるいはパーティ/ギルド/クランの運営形態によって異なる。このため,本稿ではいずれの方法にも対応できるよう説明していく。

 

 さて,いずれの場合でもユーザー側(=クライアント側)で行う必要のある,サーバー接続設定についてまずは述べておきたい。
 TeamSpeak 2クライアントソフトのメニューバーから「接続」→「接続」と進む。すると「サーバーへ接続」ウィンドウが開くはずだ。サーバー設定を行うと,ここにはTeamSpeak 2サーバーの一覧が並ぶことになるが,現時点では当然何もない。そこで「アドレス帳」タブ以下にある空白部分で右クリックして「サーバー追加」を選ぶ。すると「Servers」の下に,サーバー名を登録できるので,好きな名前を入力しよう。これはユーザーにとって分かりやすくするための名前なので,何でもかまわない。

 

サーバー接続設定は左→右のような手順で行う。どちらかというと,サーバー接続設定というよりは,「接続するサーバーの追加」といったイメージだ。なお,今回はサーバー名を「4Gamer」にしているが,もちろんここは分かりやすいものなら何でもいい

 

 サーバー名を入力したら,続いて接続に必要な各種項目を以下のように入力する必要がある。このタイミングではまだ分からない情報もあるが,それらを入力していない状態でも,入力内容は「×」を押すと保存できるから,この時点で分からないものは判明し次第入力すると覚えておいてほしい。

 

 

TeamSpeak 2サーバー接続に必要な入力項目

 

 

(1)ラベル
 上で入力したサーバー名のこと。前述したように,TeamSpeak 2クライアントのユーザーが識別に使用するためのものだから,何でもかまわない。

 

(2)サーバーアドレス
 接続サーバーの(インターネット上の)アドレス。「4gamer.net」のような「ドメイン名」の場合や,「123.123.123.123」といったような数字の組み合わせ(「グローバルIPアドレス」)の場合もある。ここは,TeamSpeak 2サーバー管理者から情報をもらってから入力する項目だ。詳しくは後述する。

 

(3)ニックネーム
 ログイン時に表示される名前。ユーザーが好きなように設定できるが,1サーバー上で重複できない。換言すると,同じニックネームのユーザーは同時に一人しかログインできない。キャラクターの名前や,ゲーム内で通用しているニックネームなど,分かりやすく,かつ仲間内で固有のものを設定するようにしよう。

 

(4)サーバーにニックネーム割当を許可
 チェックを入れておくと,同じニックネームのユーザーがログイン済の場合,サーバー側が自動でニックネームの後に「1」「2」と連番を追加してログインを可能にする。仲間の誰かがサーバーを立てている場合にはほとんど意味がない項目だが,実はTeamSpeak 2サーバーというのは,世界中にいろいろある。それらに接続してみる,といった場合は,チェックを入れておき,ニックネームがすでに利用されているかどうかを確認するのに使えるだろう。

 

(5)匿名/登録済
 初期設定は「登録済」が選択されているこの項目だが,「登録済」だと,その下にある「ログインネーム」と「ユーザーパスワード」を利用してTeamSpeak 2サーバーにログインするようになる。「匿名」の意味については後述。

 

(6)ログインネーム
 いわゆるIDのことで,先ほど説明したニックネームとは異なり,TeamSpeak 2サーバーへログインするために必要となる。TeamSpeak 2サーバー側では「ログイン名」と呼んでいるから注意しよう。ログインネーム(=ログイン名)はTeamSpeak 2サーバー管理者から配布される場合と,自分で作成する場合があるが,これも詳しくは後で述べる。

 

(7)ユーザーパスワード
 TeamSpeak 2サーバーに接続するためのパスワードで,ログインネームとセットで使用する。なお,「匿名/登録済」で「匿名」を選んだときだけ,ここはTeamSpeak 2サーバーに匿名でログインするための「サーバーパスワード」の入力ボックスになる。ユーザーパスワードとサーバーパスワードはあくまで別物である点に注意しよう。

 

(8)自動再接続
 チェックを入れておくと,何らかの事情でTeamSpeak 2サーバーから意図しない形で接続が切断されてしまったとき,自動で再接続(=再ログイン)してくれる。通常はチェックを入れておくといい。

 

(9)初期チャンネル
初期サブチャンネル
チャンネルパスワード

 TeamSpeak 2では,一つのサーバーに複数の「チャンネル」(=チャットルーム)を作成可能で,これらはそれについての設定項目だ。今回は例示のため入力しているが,とくに設定しなくてかまわない。また,チャンネルについては後述する。

 

※ここで入力している情報はテスト用のもので,実際には存在しません。具体的な情報はTeamSpeak 2サーバー管理者に問い合わせてください。

 

 

 

 

 以上,基本的な設定項目について説明してみた。続けて,2パターンのサーバー接続方法ごとに解説していきたい。

 

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タイトル ヘッドセット
開発元 各社 発売元 各社
発売日 - 価格 製品による
 
動作環境 N/A

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/specials/voicechat/004/voicechat_04_01.shtml