連載 : 「チーム戦」特化型 国家別対戦攻略 AoEIII:ザ ウォーチーフ 第1回


「チーム戦」特化型 国家別対戦攻略 マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ チーフ,出番ですよ!

第1回:「チーム戦の基礎知識」編 & 「スー」編

※本攻略記事は,Version 1.02を基に執筆しています

 

 

はじめに

 

さあ,エイジ オブ エンパイアをやろうじゃないか

 

 発売から1か月ちょい経過し,新国家(本連載では便宜上,スー族やイロコイ族も含め“国家”と呼びます)を含めたセオリーも固まってきた感のある人気RTS「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ」(以下,AoE3:TWC)。今週から,本作の対戦攻略連載を開始する。
 なお本攻略は,主に「チーム戦」をベースに話を進めていく点をご了承頂きたい。チーム戦とは,3対3や4対4などといった多人数で対戦するプレイ形式のこと。1対1における戦略/国家評価とは,多少異なるので注意してほしい。

 

 エイジ オブ エンパイアシリーズといえば,日本でも知名度の高い,世界的に人気のRTSシリーズ。シングルプレイのみならず,対戦型ゲームとしてのバランスやシステムに力を入れている点が大きな特徴で,シリーズ最新作である「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III」(以下,AoE3)では,専用のマッチングロビーである「Ensemble Studios Online」を実装。オートマッチング機能やランキングシステム,クラン/フレンドの登録機能などなど,オンライン対戦をサポートするさまざまなサービスが盛り込まれており,今まで以上にオンラインゲームとしての性格が強くなっている。

 本連載では登場する全11か国を国別に攻略していくが,まずその前に基礎となる「チーム戦のセオリー」について触れておく必要がある。攻略が早く見たいという人は,「国家攻略:スー」に「こちら」から直接向かってほしい。

 

 

初心者は入りにくい? この連載を読めば大丈夫

 

 さて,上記のように,AoE3:TWCは対人戦をかなり意識して作られたタイトルである。つまり,本作をより楽しむにあたっては,オンライン対戦という部分は避けて通れない。しかしながら,常連プレイヤー達のプレイスキル向上や,戦術/序盤手順の定石化が進んだ結果,いわゆる一見さんでは,なかなか参加しづらい環境になってしまっているのもまた事実。ある程度の戦略戦術を知識として備えておかないと,ゲームらしいゲームにならないまま,一方的にボコボコにやられてしまうということも少なくない。要するに,「対戦を楽しむ」ためのハードルが,非常に高くなってしまっているという現実があるのだ。

 

 今回の攻略連載では,そういった問題点を少しでも解消すべく,オンライン対戦をするにあたっての基礎知識,そして国家ごとの具体的な戦略,対抗策などをレクチャーしていく。この攻略が対戦に挑戦するにあたっての道標となるよう,序盤の簡単な手順などを含めた,なるべく実用的な内容にしていくつもりだ。
 ただし,本連載はいきなり実践的な話から入るため,本当のRTS初心者やAoE3未経験者には,まず導入にピッタリなAoE3の週刊連載記事「新大陸漂流記」,また「こちら」「こちら」のレビュー記事をオススメしたい。興味を持ったら,「こちら」「こちら」の体験版で遊んでみよう。製品版を購入したら,マルチプレイのチーム戦デビューに向けて,あらためて本連載を活用してもらいたい。

 

 

 

 

チーム戦の基礎知識

 

 本作は安定した人気を誇るだけに,プレイヤー達のプレイスキルが熟達し,すでに一定の「セオリー」(定石)が生まれてきているのは紛れもない事実。実際,ある程度のセオリーを知らなければ,ゲームに勝つどころか,互角に戦うこともままならない。
 そんなわけで,これからマルチプレイ(とくにチーム戦)を行うにあたっての,最も基本となるセオリーをいくつか紹介していく。マニュアル(手順)というよりは「考え方」に近い内容なので,やや堅苦しい話になってしまっている点はご容赦頂きたい。

 

 

チーム戦とは「役割分担」の世界 最初に各プレイヤーが担当する兵科を宣誓し合う

 

「騎兵担当」「弓兵担当」「槍兵担当」など,チーム内で出すユニットを調整しよう。ただ騎兵と槍兵は操作が難しいので,慣れないうちは弓兵を担当するのが無難

 チーム戦においては基本的に,味方内での「役割分担」が重要になってくる。これを理解するために,まずは本作における軍事ユニットの得手不得手の存在について軽く説明していこう。

 

 AoE3:TWCに登場する軍事ユニットには,それぞれに明確な相性が設定されており,「AのユニットはBのユニットに対して強いが,Cに対しては弱い」などといった,いわゆるジャンケンの関係にある「ユニット間相性」というものが存在する。この相性関係は非常に強力なもので,例えば,苦手なユニットに対しては,倍の数で挑んでもあっさりと負けてしまうほどだ(ユニットにもよるが)。
 要するに,編成が一部の兵科に偏ってしまうと,その軍隊には「穴」ができ,不利な戦いを強いられてしまうのが,AoE3:TWCというゲームの大原則なのだ。
 騎兵ばかりの編成をしたら,相手に長槍兵がいて手も足も出ない,などというのがその好例だろう。逆に長槍兵をたくさん揃えたのに,相手に騎兵が少ないなどの場合も不利を免れない。つまりは,なるべく隙のない軍団編成を目指していくと,必然的に「2種類以上の兵科」で軍隊を編成することになるわけだ。

 

 チーム戦においても,この基本はまったく同じ。ただし,ソロプレイだと一人で複数の種類のユニットを作らなければいけないのに対して,チームでは,それぞれのプレイヤーが専門的に一つの兵科を担当することが基本となる。
 これは,純粋に「効率」の問題から定石化していった戦略だ。非常に単純な話だが,一人で2種類のユニット生産するとなると,そのために必要な建物をより多く建てなければならなかったり,複数のユニットをアップグレードしなければならなかったりなど,余計なコストと時間がかさむもの。そんなことをするよりは,プレイヤーAがハサー,プレイヤーBが石弓兵などというように,それぞれで専門的に作成したほうが,結果として強力なユニットを数多く,素早く揃えられるというわけだ。
 最近のマルチプレイでは,スタート開始直後にチャットで自分が作る兵科を宣言し合うのがセオリーとなっており,これが「連携」の最初の一歩といっても過言ではない。慣れないうちは多少面倒だと思うかもしれないが,味方とのコミュニケーションを図る意味でも覚えておきたい。

 

※AoE3における軍事ユニットの基礎については,週刊連載「新大陸漂流記 第7回」を参照してほしい

 

 

 

初期の兵舎の位置を合わせよう

 

小屋の位置は,味方と連絡し合って決めよう。大抵は,マップの中央や,優先的に狙いたい敵陣地の前などになる

 最も基本となる連携方法は,チーム戦において,最初に建てる「兵舎」(軍事施設)をチームメイトのものと隣接させること。これは,チーム全体の軍隊を集中させることで,敵に各個撃破されないようにするという,基本的な戦略の一つ。とくに,まともな防御施設を築けない序盤においては,軍事ユニットの数の差がダイレクトに勝敗に影響してしまうことが多いので,ルーキープレイヤーには最初に覚えてほしい定石だといえる。
 もちろん,あえて小屋の位置を分けて戦う戦術もなくはないのだが,大抵の場合,各個撃破によるユニットの消耗をリカバリできなくなることを覚えておいてほしい。例外は,機動力のある騎兵を生産する場合(合流するまでのタイムロスが少ない)などだが,スー以外の国家は,やはり兵舎の位置を合わせたほうが無難。いずれにせよ,連携がチーム戦の要であることは間違いなく,その初歩こそが「兵舎を合わせる」という行動なのである。

 

 そもそも対戦型RTSにおいて,初心者が最も陥りがちな(チーム戦における)負けパターンは,自分の陣地を守ることだけに意識がいってしまって,周りで起こっている戦いに目がいかず,自分の軍隊が遊兵化してしまうことだ。例えば,防御のために軍事ユニットを自陣に配置しているときに,敵の軍隊がほかの味方の陣地(あるいは前線)へ殺到してしまうケースなどが,その典型。
 その場合,急いで軍隊を救援に向かわせても,「2国vs.3国」となり,やがて「1国vs.3国」になるという,時間差を付けての各個撃破戦法の餌食になってしまいがちなのである。
 チーム戦において,味方が受ける被害は自国への被害と同じこと。慣れないうちは自国のことで手一杯だとは思うが,より広い視野で戦局を見られるようになろう。
 難しく聞こえてしまうかもしれないが,逆にいえば,兵舎の位置を合わせて味方と軍隊を集結させておきさえすれば,とりあえずの連携作業は行えているという意味でもある。戦力は,一極集中が基本。まずはこの意識だけでもしっかり持つようにしたい。

 

このような状況になると目も当てられない。一対多の戦闘は,圧倒的に不利なキルレシオ(航空軍事用語で,もともとは自軍と敵軍との撃墜比のこと)になりがち。絶対に避けるようにしたい

 

 

チームカードは意外と重要

 

IIの時代初期の動物ラッシュ(別名ムツ●ロウアタック)は非常に強力。4対4のチーム戦なら,いきなり約30体の動物が揃うことに

 数あるRTSの中でも,AoE3は,チーム戦を“かなり”重視している作品の一つ。本作のウリであるカードシステムにも,その方向性は色濃く表れており,チーム全体に効果がおよぶ「チームカード」がまさにそれ。基本的にチームカードは,自国のみに適用される通常のカードよりも若干効果が控えめなことが多いが,中には通常カードの効果となんら変わりのないカードもいくつか存在し,地味ながらも勝敗を大きく左右する要素の一つだといえる。
 中でもとくに覚えておきたいのは,

  • アステカの「チーム:ペットのジャガー 3」
  • アステカの「チーム:町の人 3」
  • アステカの「チーム:漁船のコストダウン」
  • アステカの「チーム:外来の硬材」
  • アステカの「チーム:医術」
  • イロコイの「チーム:ペットのクマ 4」
  • スーの「チーム:バイソン 6」
  • オランダの「チーム:歩兵のヒットポイント」
  • フランスの「チーム:遠隔歩兵の攻撃力」

アステカはチームカードの宝庫。とくに「外来の硬材」などは,一人用の強化カードと比べても遜色ない効果を持つ

など。こう書くと,アステカに優秀なチームカードが揃っている点が目立つわけだが,このすべてのカードを1ゲームで使えるわけでもないので,何をデッキに組み込むかは考えどころだろう。ただ「チーム:ペットのジャガー 3」と「チーム:町の人 3」の二つは,ほぼ全ゲームを通じて有用な場合が多く,優先的にデッキに組み込んだほうがよいことは覚えておいておこう。
 また恩恵を享受できる国家は限定されてしまうが,

  • フランスの「チーム:早期スカーミッシャー」

などもなかなか有用。とくにイロコイと組み合わせたときが非常に有効で,IIの時代から強力な「フォレスト プロウラー」を作成できるようになるのは,戦略的な価値として侮れないものがあるのだ。
 ともあれ,地味ながらも非常に有用なチームカード。自分なりのデッキ(戦略)を考えるうえで,ぜひ念頭に置いておいてほしい。

 

 

番外編:レベル上げ!

 

 本作の最も特徴的なシステムの一つである「ホームシティ」と,その「レベル」。ホームシティのレベルが上がるたびに,選択できるカードが解除されてゆき,戦略性の幅が増えていくというユニークなシステムだが,これが新規プレイヤーの参入の障壁になってしまっている。

 

 というのも,ただでさえプレイヤースキルに差があるルーキーとベテランの間に,さらに「レベル」というシステム的な面でも差が生まれてしまっているわけで,新規プレイヤーにとっては風当たりの強いことこの上ない。実際,いかにベテランプレイヤーでも,低レベルのホームシティで,高レベルのホームシティを有するプレイヤーに勝つのは難しく,「マルチプレイをする前に,ホームシティのレベルを上げておく」という作業は,自ずと必要になるのだ。
 しかも,マルチプレイ用のホームシティは,マルチプレイでほかのプレイヤーと「対戦」を行わなければレベルを上げることはできず,一人で黙々とレベルを上げる……といった選択肢すら与えられていないのである(※ただし,オートマッチングシステムである「クイックサーチ」を使えば,近いレベル同士のプレイヤーがマッチングされる)。
 そんな状況の中,誰もが「とはいっても,あんまり勝ち負け関係なく楽にレベルを上げたい」と思うのは必然なわけで,プレイヤー達の間では,効率的に「レベルを上げるためのゲーム」が開催されることも少なくない。ここでは,そんなゲームの代表的な設定を紹介しておきたい。
 具体的には,専用のマッチングサーバーのESOを眺めていると,たまに「農園爆破レベル上げ」などのようなタイトルのゲームが開催されていることに気づくはずで,これがいわゆる「レベル上げのためのゲーム」である。実際どのような内容なのか解説していこう。

 

農園爆破

●ゲーム設定

  • プレイヤー数:2人
  • マップ:サグネー(大)
  • ルール:スタンダード
  • 開始する時代:帝国後の時代
  • ゲーム速度:高
  • フリープレイ:オン

 建設すると高い経験値を入手できる「農園」を双方で建て合い,また建てた農園を自爆(Delキー)させ合うというレベル上げ方法。農園を自爆させると,相手に破壊ボーナスの経験値が加算されるため,自分が建てた分と相手が壊した分の経験値が短時間で獲得できる。
 サグネー(大)を選ぶ理由としては,農園を建てる十分なスペースがあること,中立の交易所として「クリー族の集落」が存在し,そこで研究できる「クリー族の紡織技術」に建物の建設コストを下げる効果があり,大量の農園建設に向いていることなどが挙げられる。

 

 

 

ダンス放置

●ゲーム設定

  • プレイヤー数:2人
  • マップ:五大湖
  • ルール:スタンダード
  • 開始する時代:帝国後の時代
  • ゲーム速度:高
  • フリープレイ:オン

 拡張パックが発売されてからはやり出したやり方で,どちらかのプレイヤーが先住民勢力(スー,イロコイ,アステカ)を使う必要があるのが大きなポイント。具体的には,先住民勢力特有の建物である「ファイア ピット」を建設し,そこに最大人数の「町の人」「神官」を割り当て,「賜り物の踊り」を実行させて放置するというやり方だ。
 しかしながら,西洋国家にはファイア ピットが存在しない。そこで西洋国家側は,6個ある交易所を独占し(相手の陣地側にある交易所は,相手に「町の中心」を自爆させてもらわないと建てられない),交易所のテクノロジーを研究。その後,やはり放置するというスタイルになる。
 上記で紹介した農園爆破に比べるとやや時間はかかるが,操作がほとんど必要ないのが大きな特徴。一緒にレベルを上げるプレイヤーのどちらかが先住民勢力の場合は,こちらのやり方をお勧めしたい。

 

 

 

 

 

国家攻略:スー

※本攻略記事は,Version 1.02を基に執筆しています

 

総合力評価:A+
※これらの評価は編集部独自のものです
 「総合力評価」は,全11か国の相対的な評価をS,A〜Cでランク付けしたものです

 

■時代別評価

 

■国家特性

  • 「ウォーチーフ」の周囲の軍事ユニットの速度+20%
  • ゲーム初期から人口が200までサポートされている
  • 付近のユニットのHPを上昇させる「ティーピー」を建築可能
  • 2の時代から「ボウライダー」を作成可能
  • 壁を作ることができない

 

 

■概略/チーム戦における評価

 

「ファイア ピット」でIIIの時代から使用できる「炎の踊り」は,攻城力を大幅に上げる効果を持つ。敵陣を一気に壊滅させたいときには非常に有用だ

 拡張パックで新たに追加されたスーは,いわゆる「速攻」に長けた国家の一つ。軍事関連の優秀なカードを数多く揃えているのが特徴で,序盤から先手先手を取って相手を圧倒していくスタイルを得意としている。
 中でも,騎兵を中心にした戦法は非常に強力。純粋に騎兵ユニットの強化カード/テクノロジーが多いというのもあるが,とくにその機動力を生かした序盤のヒット&アウェイ(内政荒らし)は,しっかりと対策を施していないと手がつけられないほどである。チーム戦においては,双方の陣営とも兵力を前線に集中させていることが多く,そのため本陣の守りは薄い場合が少なくないが,そんな状況にうまくマッチするのが,スーの機動力を使った一撃離脱戦法というわけだ。
 スーの主力となる「斧騎兵」は,ヒットポイントこそ少ないが,その攻撃力は非常に高い。敵本陣を奇襲して「入植者」を倒すのに最適であるばかりか,敵陣を攻撃して敵が兵力を自陣へ戻したところを見計らって,自分はすぐ前線へと立ち戻り,味方と共に総攻撃を仕掛ける(敵は兵力が分散している)といった使い方もできる。スーの持つ機動力の序盤の戦略的価値は,計り知れない。
 ただそういった長所がある半面,内政系のカードが少なく長期戦/消耗戦には向かないなど,序盤で圧倒しきれないと苦しいのも確か。とくにIIIの時代からは「竜騎兵」や「弓騎兵」といった機動力のある近接騎兵のカウンターユニットが出てきて,得意の機動力を使った戦術が効きにくくなる,そもそも敵の防御体制が整ってしまうと(壁,塔など),機動力が制限され敵陣への攻撃が難しくなるなど,不利な要因が目立ってきてしまう。つまりは,これといった戦果もなくII〜IIIの時代を過ごしてしまうと,文字通り「勝機」を失ってしまうのがスーという国家。序盤から攻め立て,相手に態勢を整えさせないのが肝要だ。

 

 

 

■戦略指南

 

序盤のカード選択順序サンプル

A:「町の人 3」→(進化:高速進化)→「斧騎兵 4」→「ドッグ ソルジャー 2」→「チーム:バイソン 6」→「バイソン 15」→「香辛料貿易」→「大いなる狩人」

B:「町の人 3」→(進化:バイソン&狩りアップ)→「斧騎兵 4」→「ドッグ ソルジャー 2」→「チーム:バイソン 6」→「バイソン 15」→「香辛料貿易」→「大いなる狩人」

 

II入りを急ぐ場合は,5分台に騎兵をしっかり揃えることを念頭におきたい

 チーム戦におけるスーの基本戦略は,「IIの時代でどれほど敵陣を荒らせるか?」が,すべてといってもよい。IIの時代は,防御施設に乏しく入植者を狙いやすいのに加え,入植者を殺されることが致命傷になりやすい時間帯。IIの時代で相手の出鼻をくじき,あわよくばそのままとどめを刺す……というのが,スーの狙いどころとなるわけだ。

 

 よってスーを使う場合は,まずIの時代でしっかりとした偵察を行うことが重要となる。敵陣の位置とその周りの資源配置……とくにバイソンや鹿といった食料の源となる動物の位置は,入念にチェックしておきたいところ。これは,敵陣を襲ったときにピンポイントで入植者のいる位置へ向かい,的確にダメージを与えるために重要な下地作りであり,欠かせない作業の一つだ。宝物を集める作業に追われて敵陣が真っ暗のまま……なんてことにはならないように気をつけたい。
 IIの時代に進化したら,「斧騎兵 4」カードと「コラール」(騎兵育成所)からの作成で,早期に斧騎兵6〜7を揃えるよう心がけよう。ただ敵が速攻系の国家(スペイン,イロコイなど)でない場合は,Bパターンの進化方法がお勧め。こちらを選ぶと,斧騎兵の揃うスピードが結構違ってくるので,相手を見て柔軟に変化させていきたい。
 最初に揃った部隊は,まずは味方の前線に配置させ,初弾の総攻撃に備える(II初期のカードを駆使した総攻撃は強力なので)のが基本だが,敵から攻撃してくる気配がないなどの場合は,すぐさま敵陣へと直行してもよいだろう。ただその場合は,まず敵の食料調達している場所(とくに動物が狩られている場所)を徹底して狙うこと。
 これは,序盤の食料が内政/軍事の両面で,最も重要な資源であることはもちろんだが,一度偵察した地域であれば,動物の位置や状況(死んでいるか否か)は常に目視できるという,ゲーム上の仕様も大きな理由。つまり,動物が死んでいる=そこに入植者がいる(動物を狩っている)という認識でほぼ間違いがないわけで,偵察をせずとも(入植者の一部に限っては)敵の位置が筒抜けになっているのである。町の中心から少し離れた位置に,動物の死体が見えればしめたもの。そこへ騎兵を直行させれば,かなり高い確率で入植者を倒せる。ややゲームの仕様を突いた戦術ではあるが,非常に有効なのでぜひ覚えておこう。

 

 また軍事面で注目しておきたいのが,「宵の明星」というカードだ。これは,すべての斧騎兵をライフル騎兵に変身させるという軍事カードなのだが,使いようによっては非常に強力。ライフル騎兵は,対騎兵,対歩兵の両方にボーナスを持つ高価なユニットで,不意に敵の槍兵が本陣へなだれて込んできた場合(斧騎兵では槍兵の急襲は対応できない)や,騎兵の数が純粋に劣勢という状況で大きな効果を発揮する(序盤に限る)。戦局を左右するカードの一つなので,ぜひデッキに組み込んでおこう。
 内政面についても少し解説しておこう。内政系カードが少なくて内政は弱い……と概要で書いてはいるが,IVの時代初期くらいまでであれば,決して内政力が低いということはなく,やりようによってはヨーロッパ諸国級の資源量を得ることも可能である。大まかなコツは,IIの時代から「ファイア ピット」の「豊穣の踊り」を大胆に使い,町の人を早期に大量生産すること。これはイロコイやアステカと共通する基本的な手法ではあるが,これによって内政地盤を素早く構築できるのである。
 問題は,「町の人を生産するために必要な大量の食料をいかに稼ぐか?」だが,それに関しては,スーはバイソンを呼び寄せるカードを駆使することで解決できる。さらに採集速度アップのカードと併用することで,ある程度内政力を維持したままファイア ピットで踊る人数を増やしていけるのは,スーの大きな強みだといえるだろう。具体的には,20分前後にIIIの時代に進化するとした場合,町の人が60〜70人以上いるというのが,理想的な数値となる。練習して資源バランスの感覚を覚えておきたい。
 スーは,その特性上,IIの時代での戦いを長めに引っ張る傾向にある国家だが,そこで自分が息切れしてしまっては何にもならない。敵を攻撃しながら内政力でも差を付ける……そんな戦い方ができるよう心がけたい。

 

 

 

■対スー攻略

 

スーの内政荒らしは非常に強力。ちょっとでも気がつくのが遅れると,根こそぎ入植者を殺されてしまう

 スーと対峙するにあたって注意しなければいけない点は,いかにしてIIの時代をやり過ごすかである。とくに前線が膠着した場合は,ほぼ間違いなく本陣へ荒らしにくるはずなので,これをいかに撃退するかが大きなポイントだ。
 考えるべきポイントとしては,スーの強さはその機動力の高さゆえであり,騎兵の戦闘能力自体は普通だということ。つまり,その機動力さえ封じてしまえば,スーの強さはかなり制限されてしまう。この観点から,いくつか攻略法を考えていきたい。

 

 まず思いつくのが,壁を使って騎兵の侵入を防ぐというやり方。実際,マップによっては非常に有効な手段であり,もっと言ってしまえば,どんなマップであろうと,壁をうまく使うことは対スー戦においては欠かせない戦術だ。それこそ大胆すぎるくらいに壁を建設してしまってよく,左右のどちらかにピンポイントで壁を張り,敵が来る方向を限定させるだけでもかなりの効果が期待できる。適所に建設された壁は,ゲーム後半になっても無駄にならない投資の一つ。遅くとも資源に余裕ができるゲーム開始10分以後からは,積極的に建設するようにしたいところである。

 

 次に考えられるのは,スーの機動力の要である「ウォーチーフ」を倒してしまうこと。ウォーチーフが持つスピードアップボーナスがスーの強さの一因であるため,これを倒してしまえば,少なくとも再度復活するまでの時間は,脅威が薄れるというわけだ。
 とはいっても,ウォーチーフは通常の戦闘ではなかなか狙いにくいのも事実。「どうやって倒すのか?」が問題となるわけだが,ここで覚えておきたいのが,「町の中心」からの攻撃である。
 というのも,町の中心は,入植者を駐留させることで最大で攻撃力が90まで上がり,騎兵に対してはさらに1.5倍のダメージボーナスが付く防御施設だ。つまり,スー側がヘタに町の中心近くでうろうろしようものなら,あっという間にユニットの数体は仕留められる。スーがこちらの入植者を狙って,町の中心の近くへ突入してくるというのはよくある光景だと思うが,そんなとき,優先的にウォーチーフから狙うように操作すれば,高い確率でウォーチーフを仕留められるのだ。とくに序盤にウォーチーフが倒されてしまうというのは,スーを使う側からすればかなり嫌な状況。優先的に狙う価値は十二分にある。これは絶対的な戦術ではないが,頭の片隅にでも入れておこう。

 

 また機動力を殺すという意味においては,序盤から攻勢の手を緩めずに,敵軍をその場(前線)に張り付けにしておく……という戦略もかなり有効である。前述したとおり,スーの斧騎兵の戦闘力自体はとくに高いわけではない。戦いになってスー側が斧騎兵を消耗していけば,機動力を生かせないという一点(長所を潰している)で有利といえるし,仮にスー側がこちらの本拠を狙いに来ていれば,前線では数的有利になって勝ちやすい……という寸法である。
 とにかくスーと戦う場合は,積極的に攻撃を仕掛けて相手に行動の自由を与えないことは非常に重要。逆に,強固な前線を築かれて戦いが膠着し,スーの騎馬部隊の行動が自由になってしまうと,これはもう相手の思うつぼといえるだろう。攻撃は最大の防御なり。とくに対スー戦では,なるべく受け身にならないよう気をつけよう。
 とはいっても,ハサーなどを使って敵の本拠側へ突入するのは,かなりの注意が必要。スーの機動力をもってすれば,比較的簡単に迎撃されてしまう危険性が高いのである。しかも一度捕まれば,機動力に劣るハサーでは逃げることすらできない。うかつに踏み込んで騎兵が全滅……なんて憂き目にあわないよう気をつけてほしい。

 

 

 

■サンプルデッキ

 

 

 

■サンプルリプレイ

 

■リプレイファイルのダウンロードは「こちら」(865KB)

 

リプレイファイルは,以下のフォルダにコピーした後,
C:\Documents and Settings\ユーザー名\My Documents\My Games\Age of Empires 3\Savegame
ゲームメニューの「ヘルプ&ツール」>「記録ゲーム」から再生できます。

 

※これは,「マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ」のVersion 1.02用のリプレイファイルです。ほかのバージョンでは,正常に再生できませんのでご注意ください。

 

 

 

 

■■TAITAI(4Gamer編集部)■■
編集長のKazuhisa以外で,4Gamer編集部に現存する最古参メンバー。最近はもっぱら4Gamerのシステムプランナーとしての仕事が多く,記事全般から遠ざかっているが,もともとはRTSライターとして雇われた男。AoEシリーズは初代〜RoRまでは相当やりこんでおり,当時かなりの有名プレイヤーだったものの,その後長らく表舞台から姿を消していた。ところが今年のお正月休みをすべてAoE3:TWCで潰した結果,久々にRTSライターとして火がつき,いてもたってもいられなくなったらしい。
タイトル マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ
開発元 Ensemble Studios 発売元 マイクロソフト
発売日 2006/12/15 価格 6090円(税込)
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c),CPU:Pentium 4/1.40GHz以上[Pentium 4/2.40GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:1.5GB以上

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