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Core 2 Extreme&Duo on FRONT MISSION ONLINE

Text by 三重邦光 

 ゲーム機で人気を博したロボットストラテジー「フロントミッション」。その流れを汲みつつ,オンラインの3Dロボットアクションゲーム化して,スクウェア・エニックスが運営中なのが「フロントミッション オンライン」(以下FMO)だ。
 資源の豊富な架空の島「ハフマン島」を舞台に,「U.S.N.」「O.C.U.」という陣営のどちらかに属することになるプレイヤーは,一人の兵士として人型兵器「ヴァンツァー」を駆り,覇権争いのまっただ中へ身を置くことになる。
 ゲームの概要については,4Gamerのレビュー記事を参考にしてほしいと思うが,“メカメカしい”外観が印象的なヴァンツァーを自分好みにカスタマイズして,仲間とともに出撃し,大人数の対戦を繰り広げる。このスケールの大きさが,FMOの持つ最大の魅力といっていいだろう。

 

フロントミッション オンラインのゲーム画面

 FMOでは,PC版とプレイステーション2(以下PS2)版のクライアントが用意されているが,ハードウェアのグレードアップが可能なPC用のクライアントでは,より高解像度のテクスチャが用意されている。テクスチャというのは,簡単にいえばポリゴンに貼りつける絵のようなもので,ヴァンツァーをはじめとしたFMOの3D世界は,基本的にポリゴンとテクスチャによって構成されているのだ。このため,テクスチャの解像度が高い(絵が精密に描かれている)PC版では,描画設定次第で,画面全体,そしてなによりヴァンツァーの見栄えがかなり向上するようになる。

 

 ただし,戦闘に入ると,巨大なヴァンツァーが何体も飛び回ることになるため,負荷はかなり高くなる。描画設定を最高にして,“PC版らしい”グラフィックスでゲームを楽しむためには,それなりの性能を持ったPCが必要だ。

FMOの体感パフォーマンスを上げるにはデュアルコアCPUが最適

フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト

 そこでFMOには,「自分のPCでどこまで快適に動くか」の目安を得るためのベンチマークソフト「フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト」(以下FMOベンチ)が用意されている。4Gamerからダウンロードできるので,ぜひインストールしてみよう。

 

 FMOベンチでは,大規模部隊による都市侵攻のシークエンスが再生されるようになっており,実際のゲーム中における10対10の戦闘を意識した負荷の高さがシミュレートされているといっていいだろう。表示されるスコアは再生中のフレームレートをもとに算出されており,FMOを最高の描画設定で快適にプレイするためには,13000以上のスコアが必要とされている。

 

FMOベンチでは,さまざまなシーンを切り替えながら再生し,最後に画面が暗転して終了する。スコアは画面の右下でシークエンス再生中,ずっと加算され続けているので,すぐにそれと分かるはずだ。右は再生が終了し,画面が暗転して終了する直前のコマ。暗転後,数字が止まったら,それが最終結果としての総合スコアとなる

 

 では,FMOベンチで高いスコアを獲得する,もっといえば,FMOを快適にプレイするためには,どこに気をつければいいだろう?

 

FMOベンチでも分かるとおり,ヴァンツァーは実によく動くが,このモーション制御は「マルチスレッド処理に対応」している

 一般に,ゲームのパフォーマンスを向上させるアプローチにはいくつかあるが,とくに重要なのは,CPUとグラフィックスカードのパワーアップである。このうちFMOでは,CPUのパワーアップがより効果的である。
 これはなぜかというと,FMOでは,ほかの大多数のゲームに先駆けて,マルチスレッドへの最適化が精力的に進められているからだ。マルチスレッドとは,一つのアプリケーションが,より細かな処理単位「スレッド」を複数生成して,並行して処理を進めること。スクウェア・エニックスによれば,画面描画のほか,サウンド出力,HDDへのアクセス,モーション処理,入出力関係といった,五つのスレッドが必要に応じて実行されるとのことで,同時に2スレッドを処理できるデュアルコアCPUでは,1スレッドしか処理できないシングルコアのCPUと比べて,大きくパフォーマンスが向上するのである。

 

Core 2 Duo

 こうなってくると気になるのは,世の中にある複数のデュアルコアCPUから,どれを選択すればいいのかという点だ。そこで今回は,Intelの最新デュアルコアCPUで,つい先日,2006年7月27日に発表されたばかりの「Core 2 Extreme」「Core 2 Duo」を中心に,AMDの最上位モデルであるAthlon 64 FXや,Intelの従来製品と,FMOでパフォーマンスを比較してみたい。
 テストに当たっては,もちろんFMOベンチを利用。OSやドライバなど,基本的な設定は,4Gamerのベンチマークレギュレーションにおける「標準設定」に準じているので,詳しくはそちらを参照してほしい。

 

 なお,テスト環境はのとおり。CPUはCore 2 Extreme X6800/2.93GHzと,Core 2 Duoの最上位となるCore 2 Duo E6700/2.67GHzに,Pentium Dシリーズの最上位的な位置づけとなるPentium Extreme Edition 965/3.73GHz(以下Pentium XE 965)とPentium D 960/3.60GHz。そしてAMD製CPUの最高峰であるAthlon 64 FX-62/2.8GHzと,ハイエンドをズラリ並べた格好だ。
 なお,スペースの都合上,グラフ内でCore 2 ExtremeとCore 2 DuoはそれぞれC2EとC2D,Athlon 64 FX-62はFX-62と表記する。

 

スコアは悠々と20000越え!Core 2 Extreme&DuoがAthlon 64 FXに完勝

 さっそく,FMOベンチのスコアを見てみたい。4Gamer読者が所有するディスプレイのサイズとして最も多いと思われる1280×1024ドット,そしてFMOで設定できる最高解像度で,最近市場シェアの上がっている液晶ディスプレイ解像度である1600×1200ドットで,FMOベンチのスコアをチェックする。

 

 ……とその前に,グラフをどう見るか考えておこう。今回採り上げるCPUの中でグレード的に一番下になるのはPentium D 960だが,これでもPentium 4系のデュアルコアCPUで,しかも動作クロックは3.60GHz。いわゆるゲーマー向けPCでも,これだけのCPUを搭載した製品はそう多くないことを考えると,かなりのハイエンドCPUだ。読者が手持ちのPCで,仮に今回の比較に“参戦”したとすると,多くの場合はPentium D 960のスコアに近くなるか,それを下回ることになると思われるので,この点を意識しておいてほしい。

 

 なぜそんなことをわざわざ断るかというと,それはグラフ1のスコアが,衝撃的なことになっているからだ。
 FMOを最高の描画設定で快適に動作させるためにはスコアが13000必要とされるのは先に述べたが,これに対してCore 2シリーズのスコアは楽々の20000超え。Pentium D 960が,「どのようなディスプレイ/グラフィックス設定でもFMOを快適に動作させられる」スコアとされる13000にあと一歩なのと比較すれば,Core 2シリーズのスコアがいかに圧倒的かは分かると思う。
 ちなみに,同じPentium 4/D系列で,動作クロックもPentium D 960とそれほど変わらないPentium XE 965のスコアがPentium D 960とずいぶん異なるのは,Pentium XE 965がHyper-Threadingテクノロジをサポートし,最高4スレッドの処理が可能だからだ。もっとも,そのPentium XE 965でさえ,Core 2 Extreme&Duoにはまったく歯が立たないのだが。

 

 

 Athlon 64 FX-62との,「現行ハイエンド製品同士の比較」でも,Core 2 Extreme&Duoの強さは際立っている。Core 2 Extremeだけでなく,“通常モデル”のCore 2 Duo E6700も,Athlon 64シリーズの特別モデルであるAthlon 64 FX-62を寄せ付けていないのだ。FMOをプレイするのに向いたCPUがCore 2 Extreme/Duoであることに,異論を挟む余地はない。

 

 ちなみに,グラフで「@○●GHz」と示したのは,オーバークロック動作の結果だ。今回は,比較的安全に試すことのできる,FSB設定と倍率の変更によるオーバークロックを試してみたが,Core 2 ExtremeはFSB設定271MHzの12倍(3.25GHz)で,何の問題もなくFMOベンチが完走。さらに,そのときのスコアは1280×1024ドットで23076と,23000超えとなった。動作クロックが約300MHz上がったにしてはスコアの上昇が少ないと思うかもしれないが,この理由は後述したい。
 一方,同条件でオーバークロックを試みたAthlon 64 FX-62の場合,FSB設定211MHzの14倍(2.95GHz)動作がやっとで,1280×1024ドット設定時のスコアも,なんとか20000を超えた程度。オーバークロックによって,Core 2 Extremeは,もともとあったAthlon 64 FX-62との差を,さらに広げることになった。

 

 というわけで,続いて,FMOベンチ実行時の平均フレームレートをグラフ2にまとめてみた。フレームレートの計測に当たっては,FMOベンチの背後で,ベンチマーク&キャプチャソフト「Fraps 2.60」を動作させているが,当然のことながら,グラフ1と同じ傾向が出ている。若干の誤差はあるものの,FMOベンチのスコア1000で2.4fps程度(スコア1で0.0024)になっているようだ。フレームレートのほうが,ゲームにおけるパフォーマンスを想像しやすいという人は,FMOベンチのスコアに0.0024を掛けると,実際のゲームで期待できる平均フレームレートを算出できるだろう。

 

 

 さらに,グラフ1(の定格クロック比較で)スコアの最上位と最下位,Core 2 Extreme X6800と,Pentium D 960を用意して,FMOベンチ実行時のフレームレート推移を,秒単位で追ってみることにした。FMOベンチにおいてCPU負荷が最も高くなる1600×1200ドットの解像度に設定し,開始直後からFMOベンチのデモシークエンスが終わるまでのフレームレートをFraps 2.60でチェックし,折れ線グラフにしたのがグラフ3だ。

 

上が27秒め,下が379秒めの画面。いずれも画面内にヴァンツァーが多く描画されている

 FMOのゲームエンジンでは,どうやらフレームレートの上限が60fpsに固定されているようで,Core 2 Extreme X6800だと,天井に張り付くような部分が多く見える。グラフ1でオーバークロック時にそれほどスコアが伸びなかったのは,これが原因のようだが,傾向としてはPentium D 960と同じところでフレームレートが落ち込んでおり,興味深い。
 Core 2 Extreme X6800のスコアが大きく下がっている2か所,具体的にはベンチマーク実行後27秒経過時と379秒経過時の画面はグラフ3内に入れてみたほか,本文右にもう少し大きなサムネイルで用意したが,いずれも多くのヴァンツァーが行進している場面。つまり,大規模な戦闘など,多くのヴァンツァーが動く場面で,FMOではCPUパワーが必要になるということだ。
 そして,このような場所でPentium D 960が10fps台までフレームレートを落とすのに対して,Core 2 Extreme X6800は30fps強を維持している。これは,グラフ2で示した平均フレームレート以上の差である。

 

 もちろん,平均して高いフレームレートは重要だ。だがそれ以上に,肝心要の大規模戦闘時,多くのヴァンツァーが動き回るような局面でもフレームレートが落ちないことのメリットは,ゲームをやり込むほどに,体感の“違い”として,効いてくることだろう。

 

 

 最後に,システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定してみることにした。テストに当たっては,OSの起動後,10分間放置した直後を「アイドル時」,FMOベンチをディスプレイ解像度1600×1200ドットで実行し,その間で最も消費電力が高くなった時点を「高負荷時」に設定。Pentium XE 965以外のCPUはすべて,システムに負荷のかかっていないときには自動的に動作倍率と動作電圧を落として,システム全体の消費電力を落とす省電力機能を搭載しているので,アイドル時に関しては,同機能の有効/無効それぞれでチェックしている。

 

 結果をまとめたのがグラフ4だ。アイドル時では,Core 2シリーズとAthlon 64 FX-62の間に,それほど大きな差は見られないが,FMOベンチが動作する高負荷時だと,がらりと様相が変わってくる。あれだけ良好なスコアを叩き出したCore 2 Extreme/Duoの消費電力は,Athlon 64 FX-62より低いのだ。
 消費電力が低ければ,その分CPUの発熱は低くなり,発熱が低くなれば,冷却ファンの騒音がそれだけ低くなる。せっかくのゲーム中にうるさいファンの音を聞きたくはないわけで,その意味でCore 2 Extreme/Duoは,より静かなゲーム環境を提供してくれるCPUともいえるだろう。

 

なぜFMOでCore 2 Extreme/Duoは速いのか?

 FMOベンチのスコアや消費電力を見る限り,FMOをプレイするうえで,Core 2 Extreme/Duoが,間違いなく最高の選択肢だ。では,なぜCore 2シリーズは「速い」のだろう? ゲーマーの間では,長らく「ゲームといえばAthlon(シリーズ)」と言われてきたわけだが,この定説を完全に覆した理由はどこにあるのだろうか。

 

天野伸彦氏(インテル チャネル事業本部 第二営業部 シニア フィールド アプリケーション エンジニア)

 この疑問について,Intelの日本法人であるインテルのチャネル事業本部 第二営業部 シニア フィールド アプリケーション エンジニア,天野伸彦氏は,「一言でいうなら,4MBのL2キャッシュと,パイプライン段数の見直しが直接的な理由でしょう」と答えてくれた。

 

 まず,Core 2シリーズで搭載した,4MBもの容量を誇るL2キャッシュだが,純粋にこれまでのCPUと比べて容量が増えたことにより,L2キャッシュの利用頻度が高い傾向にあるゲームでは,かなり“効く”。もちろん,FMOベンチでもL2キャッシュの利用頻度は高いため,このメリットは如実に出たと思われる。

 

 次にパイプラインについてだが,天野氏によれば,Pentium Dなどと比べて,Core 2シリーズでパイプラインのステージ数(段数)を減らしていることが,ゲームパフォーマンスの向上に寄与しているとのことだ。パイプラインについては4Gamerの連載「ソフトにハードの物語」第1回あるいは第4回に詳しいので,そちらを参照してほしいが,パイプラインは段数が増えれば増えるほどCPUの動作クロックを上げやすくなる一方で,ストール(何か問題があってパイプラインが途切れる)した場合,復旧にかかる時間が長くなるという特徴を持つ。

 

 誤解を恐れずに説明してみると,例えばFMOでミサイル攻撃を行ったとしよう。このとき,敵ヴァンツァーに当たる前提でCPUが処理を進めていたところ,敵プレイヤーがすごい動きで回避したとする。これが上でいうところの「問題」だ。
 この場合,CPUはもちろん「ミサイルが当たらなかった」処理を行わなければならないのだが,パイプラインが長いと,その処理を行うまでに時間がかかる。そこでCore 2シリーズではそれまでのPentium 4/Dと比べてパイプラインの数を大きく減らしたのだ。
 ゲームにおいては,上で挙げたような「プレイヤーの操作次第で,何が起こるか予測できない」状況が頻発するため,ゲームではCore 2シリーズが圧倒的に有利になる,というわけである。

 

 このほか,細かなポイントについては,2006年7月27日に掲載したレビューも参考にしてもらえればと思うが,Core 2シリーズが「ゲームで速い」理由は,ここにある。

後編では実際のゲームにおけるCore 2シリーズの効果と8月の大型アップデートの内容をお届け

 以上,前編となる今回は,FMOというオンライン3Dアクションの特徴をもとに,FMOベンチを用いつつ,FMOをプレイするのに最適なCPUが何かということを考えてきた。
 後編となる次回は,実際のゲーム中で,Core 2シリーズのパフォーマンスをどう体感できるのかに比重を置きつつ,8月に行われるFMOの大型アップデートについても,踏み込んで解説してみたいと思う。FMOをこれから始める人も,すでにスタートしている人も,ぜひ楽しみに待ってほしい。

 

 

 

タイトル Core 2
開発元 Intel 発売元 インテル
発売日 2006/07/27 価格 モデルによる
 
動作環境 N/A

(C)2006 Intel Corporation

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/specials/fmo_and_conroe/fmo_and_conroe.shtml