― レビュー ―
複数vs.複数による軍事ロボット戦闘を堪能できる
フロントミッション オンライン
Text by デイビー日高
2006年3月17日
  次へ→

 

■シリーズ第1作の世界を舞台にしたオンラインアクション

 

本作は「フロントミッション」の世界を再現し,二つの勢力に分かれて戦争を繰り広げるオンラインの3Dアクションゲームだ。プレイヤーは「ヴァンツァー」という兵器を操る,一兵士として参加する

 フロントミッションシリーズは,スクウェア・エニックスがコンシューマ機で展開してきた人気タイトルの一つ。第1作は1995年に当時のスクウェアから,スーパーファミコン向けにリリースされ,2005年末には第5作「フロントミッション フィフス 〜スカーズ・オブ・ザ・ウォー〜」がプレイステーション2で発売されている。
 このシリーズには,21世紀から22世紀にかけての未来史および世界観が緻密に構築されており,重厚なストーリーを楽しめること,人気イラストレーターがキャラクターデザインを手がけていることなど,さまざまな魅力がある。だが,そうした人気要素の中で最もゲーマーを惹きつけてやまないのは,主役メカの人型兵器「ヴァンツァー」が持つ独特の魅力だろう。
 ヴァンツァーは,ミリタリー系アニメの傑作「装甲騎兵ボトムズ」に登場した主役メカ「アーマード・トルーパー」を想起させる,軍事色がかなり濃い人型兵器(4脚やホバーなどもあるが)だ。戦車を人型にしたようなものだと考えれば,その無骨な魅力を想像しやすいはず。

 

 「フロントミッション オンライン」(以下,FMO)は,そんなヴァンツァーのパイロットとして国家間の戦闘に参加する,オンラインアクションゲームである。CPUが操る敵を相手に腕を磨いてもいいし,複数の仲間とチームを組んで敵対国のプレイヤー達とPvPを展開してもいい。戦場の一兵士として,自由に戦闘を楽しめるのだ。
 PvPの戦闘結果が反映される領土争いのようなストラテジー要素や,パーツ交換で自分だけのヴァンツァーをデザインできるカスタマイズ要素,そしてプレイヤーキャラクターのパイロットとしての成長というRPG的な要素もある。単純な対戦アクションにとどまらず,そうした幅と深さを持つのがFMOなのだ。

 

アサルトは,攻撃力の高さと機動性を武器に,敵と近距離で渡り合う戦場の主役だ ミサイルランチャーを1基,肩に装備しているミサイラー。ロングレンジからの援護射撃ができる メカニック。攻撃力はあまりないが,自機や仲間の機体のHPを回復できるサポート役だ

 

CPU敵の一つ,戦闘ヘリ。誘導ミサイルを装備しているタイプは攻撃力が高く,少々やっかいである レーダー画面。ステルス機以外は,敵味方ともに位置を確認できるので,活用する機会が多い 戦場は時間とともに変化し,画面のような夕方や夜間などもある。また,天候も変化し,雨が降ることも

 

 FMOの舞台は,スーパーファミコン版の第1作と同じく,1995年に太平洋にできたという架空の新島「ハフマン島」。「O.C.U.」と「U.S.N.」という二つの巨大国家は,この島の地下資源を目当てに,領有を巡ってつばぜり合いを繰り返している。そして西暦2090年,第2次ハフマン紛争が勃発。プレイヤーはこの紛争に参加する,一人の兵士というわけだ。
 ちなみに,「O.C.U.」と「U.S.N.」は,どちらも21世紀になって複数の国家が連合して出来上がったという設定の巨大国家。O.C.U.こと「オシアナ共同連合」は,日本を含め,韓国,タイ,シンガポール,オーストラリアなどアジア・オセアニアの諸国家が連合してできた国。一方のU.S.N.こと「ニューコンチネント合衆国」は,カナダ,メキシコ,ブラジルなど,南北アメリカ大陸の大多数の国家がすべてアメリカに加わってできたという,とんでもない超大国である。両国が激突するハフマン島は,世界でも有数の危険地帯で,プレイヤーは自国の領土拡大のため,戦地に飛び込むわけである。

 

西暦2026年に発足した,O.C.U.ことオシアナ共同連合。首都はオーストラリアのキャンベラにある 西暦2020年に南北アメリカが統合し,U.S.N.ことニューコンチネント合衆国に。首都は旧合衆国のワシントンD.C. 舞台となるハフマン島。島の西側がO.C.U.の,東側がU.S.N.の領土。中央で激しい衝突が展開中

 

 

■3タイプのヴァンツァーから一つを選んでスタート

 

キャラクターは性別,顔10種類,身長3種類,体格5種類を組み合わせて作成。コスチュームは出世することで買える

 ゲームをスタートしたら,まずはどちらの陣営に所属するかを選ぶ。両陣営の差異は,まず最初に支給される金額が異なり,U.S.N.の方が500H$(ハフマンダラー)多い。また位置的には,O.C.U.がハフマン島西部,U.S.N.が東部を支配しており,中央で領土の激しい奪い合いが発生しているという状況だ。U.S.N.のほうがお得なようだが,本作では給与が毎日一定額支払われるし(階級によって額が異なる),戦闘に出て敵機を撃破すれば,そのぶんの報酬ももらえる。500H$の差など些細なものなので,あまり深く考えずに好きなほうを選ぶといいだろう。
 キャラクターを作成し,搭乗ヴァンツァーを選択する段階でも,O.C.U.とU.S.N.では初期の機体のメーカーが異なるので,デザインやカラーリングに違いがある。ただし性能は同じなので,ヴァンツァーの差で損得が出るということはない。

 

自機のヴァンツァーをセットアップする,ハンガーでの画面。パーツを試しに替えて性能の変化などをチェックしよう ロビーの様子。昼間は少なめだが,夜は結構混む。入口付近はラグが発生するが,離れればそれほどでもない マップセレクター画面。エリア内の出撃したいセクターを選択する。最初は水色の0から

 

 最初に選べるヴァンツァーは,主力となる近距離戦闘用の「アサルト」,援護に適した遠距離攻撃型の「ミサイラー」,そして自機や仲間のヴァンツァーの修理を行える「メカニック」の3タイプだ。MMORPGにおける職業とは異なり,パーツを交換すればいつでもタイプ変更が可能。よって,チームを組んで出撃する場合などは,仲間の編成に合わせて自分のタイプを変更できる。また,パイロットレベルが上がるごとに購入できるパーツが増え,やがて初期にはない高性能なパーツも入手できるようになる。偵察型の「レコン」やレーダーを攪乱する「ジャマー」,遠距離狙撃の「スナイパー」,爆撃の支援要請などができる「コムス」といった,新たな用途のヴァンツァーに組み替えることが可能だ。
 だが,当面使用できるのは基本の3種類のいずれか,もしくはこれらを組み合わせた「混合タイプ」のみ。例えば右腕を射撃精度の高いアサルトタイプのパーツにしてマシンガンを所持し,左腕をミサイラー用にして肩部にミサイルランチャー,バックパックに回復用途のものを装備すれば,3タイプの機能を持った混合タイプになるというわけだ。ただし混合タイプは機動力が落ちるのが弱点。3タイプの混合ともなれば,最高時速が40km/h台から一気に10km/h台にダウンしてしまうのだ。

 

 ちなみに,初心者用の戦闘マップでも,少し上のレベルになると,誘導式のミサイルを積んだ戦車や戦闘ヘリが出てくるようになる。とくに,戦闘ヘリが発射してくる誘導ミサイルの回避は難しく(建物などの陰に隠れても,上方から急角度でホーミングしてきたりする),中途半端な機動力では回避できない。
 そこで,単独で戦いたい場合は,混合タイプにするのがオススメだ。回復用バックパックと,ヘリを狙うためのミサイルランチャーを装備しておけば,回復機能を持たない戦闘ヘリに対し,こちらは回復しつつ攻撃を加えることで,いずれ墜とせるというわけである。もちろん,機動力を重視し,なんとか地形や建物を有効活用してミサイルを回避しながら戦いたいという人もいるだろう。その場合は,アサルトの初期装備の脚部パーツに装備されているローラーダッシュ機能を駆使するという手もある(かなり回避は難しいが)。

 

スクランブルボードで仲間を募っているところ。レベルが低いうちは,アサルトとミサイラーだけでも問題ない パイロットのジョブのセットアップ画面。7種類のジョブを確認できる。これがまた意外と重要だ 毎日固定給が支払われるので,人事課に必ず通うこと。また,戦闘終了時のボーナスもここで受け取ることになる

 

  次へ→

 

タイトル フロントミッション オンライン Windows版
開発元 スクウェア・エニックス 発売元 スクウェア・エニックス
発売日 2005/12/08 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上)[Windows XP推奨],CPU:Pentium 4/1.30GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスチップ:AGPまたはPCI Express x16接続,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨],HDD空き容量:4GB以上,ネットワーク環境:1Mbps以上

Copyright (C) 2005, 2006 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/fmo/fmo_01.shtml