Text by Kazuhisa / Photo by kiki
4Gamer:
しかしそろそろ追加の3か国について,スケジュールとかある程度出てきたりしませんか?
渥美氏:
将来的にこのタイミングでこうしてああして……というのは,開発メンバーの中ではビジョンとしてキチンと共有されてますよ。ってそんな答えじゃダメですよね(笑)。
4Gamer:
せめてもうちょっと詳しく……。
渥美氏:
そこに至るまでの詳細をきちんと詰めてからじゃないと,新しいダイナミックな変更とかってそうそう簡単には増やせないんですけど,そのプロセスがいま始まったところですね。いや,ホントです。そんな疑わしそうな顔しないでください(笑)。これ以上は,ちょっと。
4Gamer:
なんかその時期に関して教えてくださいよ。「プール開きのころ」とか「落ち葉が散ったころ」とか。
松原氏:
それならまぁいいかな(笑)。三か国が……いつごろ?
渥美氏:
まぁ……涼しくなる前には。
松原氏:
コートを着る前くらいって感じかな。まだちょっと暑いくらいの。
4Gamer:
正式サービスから半年,っていうお約束の展開だと思ってよいんですかね。
松原氏:
ええ,まぁ,大体そんな感じで。言いづらいなぁ,こういうの(笑)。半年ピッチくらいで考えていく,っていうそういうのが理想的かな,と思ってます。
4Gamer:
昔の大航海が好きだった人とか,ヴェネツィアから始めたい人も多そうですし。
| かなり真剣だったのでちょっとバランスの悪い写真で申し訳ないが,ジェノヴァで受けられる海事クエストのワンシーン。最大5隻のパーティ(艦隊と呼ぶ)に対し,倍くらいのNPC海賊が登場する。激しい砲撃と白兵戦で,みんな真剣 |
竹田氏:
きっと大変ですよ,あそこで始めると。
渥美氏:
出てすぐ海も危険ですしね。
4Gamer:
ガラス細工いっぱい売り買いできればそれでいいんです。
竹田氏:
ネーデルランドもそうですが,結構上級者向けみたいな感じですかねぇ。
4Gamer:
ところでですね。私みたいな……私みたいな,というのが的確な表現がどうかはさておいてですね。
竹田氏:
いままさにそこに突っ込もうと思ってました。
4Gamer:
いやいや(笑)。私みたいな週末プレイヤーでも,結構普通にカリカットまでもう到達できてるわけですよ。コアプレイヤーなんかもう何往復してるんだろう,っていう感じの状況でしょう。
渥美氏:
そうでしょうねぇ。
4Gamer:
そういう人達にしてみれば,やはり新しい発見を求めたくなると思うんですよね,どうしても。いまある海だけでは飽き足らないというか。さらに東,もしくはさらに西。そのへんはどんな感じなんですか? "期待して待て!"というモードなのか,"ごめん,1年待って"っていうモードなのか。
竹田氏:
日本あたりまで話を広げちゃうとね,正直白紙なんですよ。
4Gamer:
なるほどなるほど。
竹田氏:
というより正確に言うとですね,日本を含む中国とかのアジア圏は,そのまんまこのゲームのプレイヤーがいるところなので,実装に関しては相当気を遣って作ってます。そこを初期国に選べるようにするかどうか,とかそういうこと含めて。
4Gamer:
海外展開するときは,サーバーは住み分けですか?
竹田氏:
そうですね,分けないとならないでしょうね。一緒のほうがプレイヤー的には面白いことも多いんですが,色々と問題ありますしね。
4Gamer:
メリットもデメリットも大きそうですしね。
| 最近撮ったリスボンの風景。かつての"大混雑"はないものの,やはり遠征から自国に帰ってくると安心するのか,いまでも人は多い。平日夕方でこんな感じ。この近辺でも,成すべきことはまだまだ多い |
松原氏:
まぁそういう「さらなる新しい土地」に関しては,拡張版でのご提供と思っていただけるといいなぁ,というところでしょうか。
4Gamer:
ちょっと遠そうですね。
渥美氏:
でもね,いまある世界だけでも,この時代に詳しい人とか地理詳しい人なら気付くであろう,「なんでこれが登場しないんだろう?」っていうものがいっぱいあるんですよ。
4Gamer:
なるほど。
渥美氏:
まずそのあたりを最優先にガンガン追加していくと思います。それは着る物であったり,遺跡であったり,色々なんですけど。「おかしいな,なんでこれがないんだろう」っていうものがまだまだありますし,クエストにするか発見地図にするか手段はさまざまですが,なんらかの形で足していくことになると思います。
4Gamer:
開発優先順位としては,いまあるエリアの充実が最優先ということですね。信Onと方向性が似てますね。
松原氏:
そうですね。信Onも国がある程度(編注:14大名21か国)実装されたら,次にユーザーさんから寄せられる要望の多くは「システムの追加やバランスの調整」だったんですよね。エリアを広げることよりそっちのほうがいいかな,と。
4Gamer:
密度が濃くなるわけですね。
松原氏:
ええ。確かにまだインドより東はないですけど,いまあるだけでも結構広いですよ。たぶんみなさん決まったとこしか行ってないからあまり感じられないのかもしれませんけど。あの中に追加できる要素はまだまだいっぱいありますよ。
4Gamer:
最初のころ船がまだしょぼかったころ,許可証は持ってたくせに,リスボンから北ってヒホンしか行ったことなかったころ,「北に行ってみよう」って思い立ったことがあって。
竹田氏:
ほうほう。
4Gamer:
どんどんどんどん調子よく進んだんですけど,リューベックのあたりで怖くなって引き返したんですよ。
|
竹田氏:
あそこはちょっと最初のころは怖いですね。
4Gamer:
で,いまだにリガ行ったことないんです。
竹田氏:
まだないんですか!(笑)
4Gamer:
ええ,恥ずかしながら。なんかそういうことを考えていくと,確かにちゃんと全部を知ってるわけじゃない気はしますね。どんどん中が充実していくのは,楽しいかも。
渥美氏:
あと亡命の仕様も入れなきゃいけないですね。新しい国を追加するときに,いまの国から移りたいというニーズが出るのは明らかですし,そういう意味もあって。
4Gamer:
バランス取り難しくないですか?
渥美氏:
ええ,とても慎重に考えてます。亡命できる条件とか。人口集中とか過疎とかは,可能な限り避けたいですし。
松原氏:
亡命がやりやすいと,そればっかりを繰り返すようになってしまったりするのは,ちょっと……。
4Gamer:
いろいろメリット多そうですしね。
渥美氏:
例えば,このゲームって"一生商人で終わるんだ!"でもいいんですけど,色々試してみると面白いと思うんですよ。あまりにも楽しみ方が違いますし。そういう生き方の選択肢を増やすという意味での大きな要素が,この亡命ですね。
4Gamer:
商会についてはどうなんですか。
竹田氏:
またタイムリーな話題を(編注:本座談会は,商会に関する重大パッチ直後の4月11日に行われている)。
渥美氏:
いまの問題って,リスボンとかロンドンとかって,新しい人が商会や商館を作りたくても空きがないっていう状況ですよね。それなので,既存の商会や商館に対する維持条件を引き上げる方向にしました。
| 4月20日現在,Eurosサーバーで最も名前の知られている……と言ってもよいであろう,著名なPK。賛否両論あるが,これもまたゲームの楽しみ方。でも個人的には,PKが普通に他国の街に入れるのもおかしいと思う…… |
4Gamer:
結構反発きませんかね。
松原氏:
できるだけ,広く色んな人に楽しんでいただきたいと思うと,循環するような仕組みを作らないとダメだと思うんですよね。あとから入ってきた人が「あぁもうチャンスないのか」と思ってしまうとつまらないじゃないですか。
4Gamer:
なるほど,大きな視点に立つならそのとおりですね。
渥美氏:
まぁ枠が少ないっていうのが根本の問題であるのは承知しているため,現在チーム内で商会枠を無制限にできないか調整中です。商館についても,より使いやすいものになったりなど順次改良は進めていきますので,今しばらくお待ちください。
4Gamer:
商会といえば,商会同士でバトルとかできても面白いですよね。
渥美氏:
もうちょっとあとですかね……でも検討してますよ,そういうのも。
4Gamer:
PKに関するものも要望とか修正依頼も多そうですよね。
渥美氏:
そこも修正しようと思ってますよ。しかもそう遠い話ではないです(編注:4月27日のパッチで,PKに関しても修正が入った)。
4Gamer:
しかし海戦ってプレイヤースキルがすごい重要ですよね,きっと。簡単そうに見えますけど。
松原氏:
そうですね,単にバンバン撃ち合ってるだけでは,いつか勝てなくなるかも。
4Gamer:
やはり最後は,同じ船,同じ装備になると思うんですよ,いずれは。そうなってから勝敗を決めるのはプレイヤースキルだけですからねぇ。
竹田氏:
一人のときと複数のときだけで相当違いますよね。初めてやると面食らう。
4Gamer:
NPCなんかはみんな余裕で笑いながらやってますけど。
松原氏:
AIもっと強くしなきゃダメかな……(笑)。
4Gamer:
いやいや,あんまりがんばって強くされても,初心者プレイヤーが脱落しちゃいますよ!
|
松原氏:
必要以上に強くする考えはありませんから(笑)。勝つのが厳しいパラメータにしようと思えばできますが,さすがにそれやったら上級者向けになっちゃって,このゲームの目指すところからすると本末転倒でしょう。
竹田氏:
しかしですね,すごく熱いプレイヤーとか,色々とご提案とかしてくださるんですよ。やっぱりリアルのもの……っていうとおかしいですけど,本物があるものを"ゲーム"にしてる時点で無理のある部分も多いですし。
4Gamer:
でしょうね。
竹田氏:
ふむふむ,って聞いてるとつい心が動かされそうになるんですけど,「いやいやダメだダメだ」って踏みとどまってます。声がすぐ聞けるっていうのは難しいですね。
松原氏:
またね,熱く語ってくださる方の意見は目立ちますからね。メールしてくださる人にしても,掲示板などに書き込む人にしても。我々が成すべきことは,どれがベストだと思われるものなのかを惑わされずにキチンと見極めて反映させていくことでしょうね。
4Gamer:
サイレントマジョリティをキチンと見るということですね。
松原氏:
ええ。こっちが迷走しないようにしないといけないですね。
渥美氏:
でもね。1個だけ極めて明確な基準はあるんですよ。「これをやられてしまうと,ゲームとしての自由度が明らかに保証されなくなる」という部分が,変更や調整のポイントになります。
4Gamer:
例えば今までではどのあたりですか?
渥美氏:
前あった,ストックホルムの討伐クエストがあまりにもおいしかったこととかいい例ですね。それを放置しておいてしまうと,それがあまりにも"得"なので,みんながみんなそればかりをやってほかの事をしてくれなくなる。そういうケースですね。なるべくバランス良く,いろいろな遊び方で楽しんでいただくのが私たちの目指している方向性です。
松原氏:
そうはいっても難しいんですけどね。
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渥美氏:
あと最近気をつけてるのは,何かを修正したときに,理由とか意図とかをキチンと説明するようにしました。ユーザー様もそのほうが納得できるかな,と思って。昔は,分かりやすく簡潔に書くことをモットーにしてたんですけど。
松原氏:
ポリシーを持ってやることが最終的には大事かな,と思います。あまりにもバランスの崩れている部分はなるべく早く対処する一方,あとから来た人に対しては,また新しい楽しい「何か」を提供できるようにしたいですね。
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