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[GDC#12]独立系ソフトの祭典「Independent Game Festival」
2005/03/14 14:16
 「Independent Game Festival」(以下,IGF)は,今回で7回めとなる独立系ゲーム開発会社の作品を品評するGDC内のイベントである。理想のゲームを作りたいばかりに,大手パブリッシャから資金的なサポートを受けることもなく,コツコツと地道に開発してきた人達の,大きな"晴れ舞台"だ。IGFには賞の授与もあり,最大で1万5000ドル(約156万円)が贈られる。
 ゲーム業界は,いつの時代でも人材不足。そのなかで,IGFは埋もれた才能を発見する良い機会といえる。また独立系のゲーム開発者達にも,"業界に認められる"という目標ができる。映画畑にアマチュアの映像作家が多いように,ゲーム産業も,アマチュア層の厚みを増すことで,健全な産業形態にしようという狙いがあるに違いない。

 今回のIGFでは,「オープンカテゴリ」部門と,WebゲームやFlashなどダウンロード形式のソフトを集めた「ウェブ/ダウンローダブル」部門,大学機関で制作されたソフトを展示する「学生ショーケース」部門(受賞対象外)の三つに,それぞれ約10作をノミネートするという大掛かりなものだった。これらの作品は,すべて完成品かプレイアブルデモの状態で会場に展示されており,IGFの公式サイト(「こちら」)でもダウンロードできるようになっている。
 今年のIGF出展作品は,例年にも増してレベルの高いものだった。例えばFlash版でトータル1億プレイが遊ばれ,史上初めてFlashからPlayStation 2やNINTENDO GAMECUBEへの移植作品となった横スクロール型の2Dアクション「Alien Hominid」,液状の主人公という奇抜な設定と物理演算の秀逸さで評価された「Gish」,カエルの舌さばきや口から水鉄砲を発射するテッポウウオのような攻撃方法がユニークな「Wik and the Fable of Souls」,フル3Dのロボットアクション「Dark Horizons Lore」,また,すでに「Legion」などでプロデビューを果たしているSlitherine Strategies社の「Legion Arena」などの作品が選ばれていた。

左からChronic Logic社の「Gish」, Reflexive Entertainment社の「Wik and the Fable of Souls」, Digital Builders社の「Protothea」


 さて前述の通り,IGFの大賞となる「シーマス・マクナリー賞」の受賞者には,1万5000ドルが授与される。シーマス・マクナリー(Seumas McNally)とは,第1回のIGF賞で大賞に輝いたLongbow Digital Arts社のプログラマの名前からとったものだ。当時彼は難病に冒されていたため,受賞から数日後に弱冠21歳という若さでこの世を去ってしまった。
 アートやビジネス,そしてもちろん予算まで,家族の温かい協力のもとに制作された彼の処女作にして遺作となった「Thread Mark」。制作に先だって彼は「難病の子供の夢を叶える市民団体」に対して「(id Software社の)ジョン・カーマックに会いたい」と要請し,それに応じたカーマック氏と夜通しでゲームについて語り明かしたという逸話も残っている。そして今では,マクナリー家が創立した財団によって,このIGFそのものが支えられているのだ。

 さらに今回のIGFでは,プラチナムスポンサーのアニメ専用TV放送局Cartoon Network社をはじめ,Microsoft社,Sony Computer Entertainment社,ゲーム専用ベンチャーキャピタルのGameTrust,CMP社(GDCの主催社)傘下にあるMoonDance Games,NVIDIA社,Discreet社などの協賛を受けている。Cartoon Network社は,公式サイト(「こちら」)にある各番組のミニゲームの需要が高く,2004年以来,IGFにノミネートされた独立系開発チームから1社を選び,1年間のゲーム制作の契約を交している。

 IGF大賞は,メインイベントだったゲーム・デベロッパーズ・チョイス大賞の前座として行われた。ただ上記のように今年は多くのスポンサーを得ていたためか,賞金の授賞対象枠も大幅に拡大されていた。すべて書き切れないので,以下は主なカテゴリに絞って紹介しよう。(奥谷海人)

■シーマス・マクナリー賞
オープンカテゴリ部門:「Gish」(Chronic Logic社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「Wik and the Fable of Souls」(Reflexive Entertainment社)

■イノベーション・イン・ゲームデザイン賞
オープンカテゴリ部門:「Gish」(Chronic Logic社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「Wik and the Fable of Souls」(Reflexive Entertainment社)

■イノベーション・イン・オーディオ賞
オープンカテゴリ部門:「Steer Madness」(Veggie Games社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「Global Defense Network」(Evertt.com社)

■イノベーション・イン・ビジュアルアーツ賞
オープンカテゴリ部門:「Alien Hominid」(The Behemoth社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「Wik and the Fable of Souls」(Reflexive Entertainment社)

■テクニカル・エクセレンス賞
オープンカテゴリ部門:「Alien Hominid」(The Behemoth社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「RocketBowl」(Large Animal Games社)

■オーディエンス賞
オープンカテゴリ部門:「Alien Hominid」(The Behemoth社)
ウェブ/ダウンローダブル部門:「N」(Metanet Software社)

■Cartoon Networkゴールドマスター賞
Digital Builders社

「GDC 2005」
 →公式サイトは「こちら」
 →紹介ページは「こちら」



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http://www.4gamer.net/news/history/2005.03/20050314141617detail.html