クロアチアのゲーム開発者カンファレンス「Reboot Develop 2018」が過去最大規模で開催。熱気あふれる前夜祭と開会式の模様をレポート

　ゲーム開発が盛んな海外の地域というと，北米や西欧がまず挙がるところだが，近年はチェコやルーマニア，セルビア，クロアチアといった東欧の国々で特にPCゲーム開発が急激に発展し，成功例も増えている。

　そんな東欧におけるゲーム産業の盛り上がりが見て取れる技術カンファレンス「Reboot Develop 2018」が，クロアチアのドゥブロヴニクで現地時間の2018年4月19日に開幕した。

　今年で5回目になるこのカンファレンスは，アドリア海に面した高級リゾートホテル（昨年と同じくSheraton Dubrovnik Riviera）を事実上借り切って開催されるため，ほかのカンファレンスとは一風変わった雰囲気だ。ちなみに会場から車で20〜30分程度のところにあるドゥブロヴニク旧市街は世界遺産に指定されている。

　また，参加者数はGDCやCEDECに比べると少なめなので，著名ゲームデザイナーと立ち話ができるチャンスも多い。一方で登壇者は110人を上回り，講演は7つの部屋で3日にわたって行われるというスケジュールなので，カンファレンスの密度としては十分に高いと言えるだろう。

会場となるSheraton Dubrovnik Riviera

ドゥブロヴニクの旧市街。ファンタジー感がすごい

　「参加者数は少なめ」とは書いたが，年々拡大を続けており，昨年は1200人，今年は1500人を超えた。1つのホテルで来場者が300人増えると，その密度の違いは明らかだ。はっきり言えば，Reboot Develop 2018の会場は，イベントの規模や注目度に比べて手狭なのだ。

　運営側もこの問題は把握しており，来年は会場を拡大する予定だという（カンファレンス会場がインディーズゲームやビジネスブースと別の建物に置かれるということなので，これはこれでデメリットもありそうだが）。


　ともあれ，Reboot Developの存在感は年々増しており，東欧最大のゲーム技術カンファレンスであるポーランドのGICを急激に追い上げているのは間違いない（イベントの方向性がかなり違うので，単純な「競合」ではないが）。

　参加者の熱気は圧倒的で，リゾートホテルという環境による距離感の近さもあってか，BtoBやインディーズゲームのブースで商談や意見交換が熱心に行われている。東欧のPCゲームシーンの盛り上がりを反映していると言えそうだ。

インディーズゲームのブースは大盛況

東京ゲームショウもブースを設けている。写真は開幕前日なので人の姿はないが，開幕後は熱心に質問する人が次々にブースを訪れていた

　個人的に興味深いのは，参加者に子供（明らかな未就学児童）がちらほらいることだ。親が英才教育を施している……のではなく，家族揃って参加しているからである。
　開発者や経営者である父や母がカンファレンスに参加し，それ以外の家族はリゾートでのバカンスを楽しむという参加の仕方は，Reboot Develop以外では考えにくい。
　そしてこのような「開発者にも家族がいる」ことを踏まえたイベントは，今後ゲーム産業が持続的な発展を続けるにあたって，非常に重要なことではないかとも思う。

BtoBエリアでは，UnityやEpicといった“定番”に加えて，北欧からの出展も多数

　セッションのレポートは追って掲載するが，まずは18日に前夜祭として行われたクルーズや，開会式の模様をお届けしたい。ドゥブロヴニク旧市街については昨年の記事で紹介しているので，気になる人はこちらをご覧いただければ幸いだ。

前夜祭の舞台となる船はこちら。帆船に見えるが，動力がある

この手の船に乗るのは初めてだが，想像していたよりずっと高さがある

右は「THE GOOD LIFE」を開発中のSWERY氏，左は3月にGDC AwardsでAmbassador Awardを受賞したRami Ismail氏。今年の日本人登壇者はSWERY氏（White Owls），神谷英樹氏（プラチナゲームズ），稲葉敦志氏（プラチナゲームズ），二木幸生氏（グランディング），斎藤由多加氏（ビバリウム）と豪華だ（名前は登壇順）

「シーマン」「The Tower」などで知られる斎藤由多加氏も船上の人に

Reboot Developを主催するReboot社のCEO，Damir Đurović氏

誰かがやると思ってた，映画「タイタニック」のポーズ（ほかにもやっている人がいた）

アドリア海の夕暮れ

左手奥にドゥブロヴニク旧市街が見える

海から見た旧市街の城壁。なるほど，これは攻めづらそう

開会式の会場

客席からスマートフォンを持った手がいくつも上がるのが，とても“今っぽい”

ステージにはオーケストラ

Đurović氏が今後の展望を語る

CroteamのCTOであるAlen Ladavac氏が今年も登壇。基調講演かなと思いきや「最近は世界中どこに行っても必ず同じことを聞かれます。『Serious Sam 4』はいつ出るんだと」と話始めた。これはまさか……

「それも今日で終わりです。今年のE3でリリースするPVの先行上映を行います」の声とともに，PV上映が始まった

ということで，こちらの記事で紹介したように，「Serious Sam 4: Planet Badass」が発表となった