お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2017/06/08 21:24

インタビュー

USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー

 本日(2017年6月8月),ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下,USJ)で行われた「SUPER NINTENDO WORLD」の建設着工式の終了後,任天堂 代表取締役クリエイティブフェロー 宮本 茂氏,ユニバーサル・パークス&リゾーツ バイス・チェアマン兼ユニバーサル・クリエイティブ プレジデントのマーク・ウッドベリー氏,ユー・エス・ジェイ 代表取締役CEOのJ.L.ボニエ氏への合同インタビューが行われた。ここではその模様をお届けする。

画像集 No.004のサムネイル画像 / USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー

「マリオカート」のライド・アトラクションも登場へ。任天堂の世界を再現するUSJ新エリア「SUPER NINTENDO WORLD」の建設着工式が開催

任天堂公式サイト

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式サイト



2020年にはNintendo Switchがもっと育っているのが理想

SUPER NINTENDO WORLDとの連動の可能性も


――最初に発表するアトラクションとして,マリオカートを選んだ理由を教えてください。

宮本 茂氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー
宮本 茂氏:
 難しいですね(笑)。
 ユニバーサル・クリエイティブの皆さんが,新しいカートのアトラクションを作りたいと燃えておられたんですね。なんでも,ライドものって,はやり廃りが出やすいそうなんです。そこで新しいスタイルのものを……と。
 僕達は最初,ユニバーサルの人達は経験があるから,これまでの技術でやってきたものをマリオに置き換えたら……っていうぐらいの想像をしていたんですけど,彼らは今まで自分達がやったことのない新しいものをやりたいという情熱を持っていたんですよ。それでいろんな試行錯誤をしながら,やっと設計の最終段階に落ち着いたという。

――任天堂における今回のSUPER NINTENDO WORLD,IP戦略においてどういう位置付けになるんでしょうか。

宮本 茂氏:
 少し前まで,子供達が最初に触れるデジタル機器はゲーム機でした。これが最近では,お父さん達のお下がりのスマートフォンになったりしてきているわけです。そういった形で市場が変化していく中で,任天堂のゲームが若い人達に届かなくなる心配も,我々はしています。
 そこで,任天堂のゲームでキャラクターを知ってもらうんじゃなくて,任天堂のキャラクターにもっと触れ合ってもらえる機会を広げようと試行錯誤をしているときに,ユニバーサル・パークス&リゾーツから今回の話をいただきました。任天堂が単独で事業として取り組むには,何万人と雇わなければなりませんから,これは本当に協業する意味があると判断しました。
 これからも,こういう形で任天堂の会社の運営規模を維持するのと同時に,クオリティを保ちながらさまざまなところと一緒に展開していく取り組みは,増えていくと思います。

――こうしたIP戦略が,今後の任天堂さんの経営にどのように寄与することを期待していますか?

宮本 茂氏:
 先ほどの話と重なりますが,ゲームの中だけでキャラクターを知ってもらう,ゲームを通じてキャラクターが広まるという時代には一区切りがついたと思っています。
 これまで任天堂のキャラクターライセンスビジネスというのは,あくまでゲームに影響を与えない範囲で,常にサブでやってきたんですけど,今はキャラクターIPビジネスを一つの軸にしようということで,専門の部門を作り,積極的にキャラクター活用をビジネスとして展開していこうという動きを始めました。

――2020年の段階でどんなプラットフォームが主流になっているかは分かりませんが,パークの中のアトラクションとゲームを連動させるような計画はありますか?

宮本 茂氏:
 2020年にはNintendo Switchがもっと育っているというのが理想です(笑)。5年以上の寿命を持つハードをこれからも作っていきたいと思っていますので,まだまだNintendo Switchの時代だと思うのですが……。
 そのときたくさんの人に,それをパークに持ってきてもらえるなら,いろんな連動の可能性があるということで,パークの技術陣と任天堂の技術陣がいろんな相談をしながら進めさせていただいています。
 僕らもルーブル美術館とか,公共のエリアで任天堂の通信やプラットフォームを使う技術をいろいろ研究してきましたので,そのあたりもけっこう密にいろんなやりとりをしながら考えています。楽しみにしていてください。

――任天堂からゲームのノウハウを伝えたり,要望を伝えたり,あるいはお願いをしたりしていることがあれば教えてください。また,具体的にはどういった形でお話をされているんでしょうか。

宮本 茂氏:
 具体的には,直接会って,絵を描きながら話をするっていう時間がすごく長いです。オーランドから京都に来てくれたら,次の月にはこちらがオーランドに行くぐらい,密なやりとりをしながらですね。それはノウハウの共有というより,一緒に考えて作っているということです。
 僕らは1日に何人の人が体験できるかとか,そのあたりのハンドリングや計算には無頓着なんですよ。僕らの商品って,売れれば売れただけたくさんの人に遊んでもらえるというものですから。でも今回はそうではなくて,1日のキャパシティを検討しながら,エンターテイメントとして体験を,より多くの人に遊んでもらうために……ということでネタを絞り込むんですね。そのためにアイデアとデザインのやりとりを続けています。
 今はアメリカにキャラクターの監修をするグループの一部が移動して,シアトルとオーランドで直接やりとりをしたりもしています。

――漠然としたイメージで構わないのですが,宮本さんがUSJでどんなことを実現したいのか,あらためて教えてください。

宮本 茂氏:
 こういうアトラクションというのは,僕が会社に入った頃から取り組んでみたい事業の一つだったんです。入社した頃から「ちょっと業績が上がったら,フロリダに行かせてくれ!」って言って。ひょっとしたら自分がその仕事を会社でするかもしれない……というぐらいに興味を持っていました。そういう意味では,実際に人が体験できるアトラクションで実現したいアイデアというか,いろいろとイメージは持っていたんですよ。
 それと,マリオっていう具体的な資産を我々が持っているので,じゃあマリオでそれが実現できたとしたら? となったときに,どんどん夢が広がっていきました。それが今度,ユニバーサルのプロの人達と我々のキャラクターとが組み合わさることで,「体験できるゲーム」になって,ゲームのイメージがさらに広がりますよね。「家族で一緒に体験できる」というあたりも,大事に作っていきたいと思っています。

――まずマリオカートが発表されましたが,マリオ以外の任天堂のキャラクターを活用する可能性はありますか? 

宮本 茂氏:
 今日はマリオマリオって言ってるんですけど,SUPER NINTENDO WORLDです。どこにも「SUPER MARIO WORLD」とは書いてません。そこからは皆さんでご推測ください(笑)。

――ユニバーサルスタジオさんと一緒にやるにあたって,ここだけは崩したくないみたいなこだわりの部分はありますか?

宮本 茂氏:
 そうですねぇ……。さっきもお話したように,スタッフの人達が熱狂的なマリオファンで,僕らよりもよくご存じだったりするんですね。そういう意味では本当にキャラクターを大事に扱っていただいていますから,譲れないものはないぐらいです。いちおう,監修のチームが誤解のないように調整はしていますし。
 ただ実際,人が乗る大きさのものを実際に作ってみると,思っていたより大きすぎたりして。そういうところでは我々も現場に合わせた妥協をしながらやっています。こだわりという意味では,パークにベストのチューンナップをしたいというところですね。

――SUPER NINTENDO WORLDが最初に日本でオープンすることになった経緯を教えてください。

宮本 茂氏:
 そこはユニバーサル・パーク&リゾーツさんが決めることで,世界中のいろんな場所に可能性があったと思うんですよね。当初はフロリダという話でスタートしたんですが,この展開になったことについては,ユニバーサルさんに聞いていただいたほうがいいかなと。
 僕としては,ちょうどオリンピックのタイミングというのが良いのかなと思いました。しかも京都から近いので実際の施工を頻繁に見られるというのには,非常にメリットを感じています。

――テーマパーク構想は以前から社内にはあったのでしょうか。また,これを実現したことを創業者の山内さんや,岩田前社長が見たらどう思うとお考えですか?

宮本 茂氏:
 山内はずいぶんと昔に,「京都に任天堂のパークを作ればいい」と言っていたぐらい,エンターテイメントのビジネスの中で我々の投資の幅を広げていくということには熱心でしたから,全然驚かず,「やっとできたか」と思っているんじゃないでしょうか。
 このプロジェクトは3年前から動き出したわけですが,先方からこの話をいただいたとき,最初に話を聞いたのは岩田だったんですね。それで二人でやってみようと決めたものなので,岩田もやっと形になって喜んでくれていると思っています。

――任天堂のキャラクターを,ディズニーのようなブランドに育てようという思いはありますか?

宮本 茂氏:
 それは,こつこつとやっていって,大きなものになっていくものですからね。
 今のところは,任天堂のキャラクターを知っている人が世界中に広げ続けている段階ですし,その中で,ようやく「任天堂って日本の会社でしたか」とか「マリオって日本のキャラクターでしたか」ということを思い出してもらえるようになったりしています。
 日本の中でも,「え? マリオって日本生まれだったんですか?」という人もいるようですから,そういう意味でもまずは認知を広げていって,ゲームじゃないところでもマリオを体験してもらいたいです。地面の大きさに限りはありますけど,お客さんの需要に限りはないと思うので,ますます広げて行けたらと思います。


「SUPER NINTENDO WORLD」では

アトラクション,飲食,物販,ショーなどを楽しめる


――世界的に人気の高いマリオのエリアということで,国内外からのたくさんのゲストで混雑すると思うのですが,ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターのように,時間帯を区切って入場制限をするようなことは考えていますか?

J.L.ボニエ氏:
 SUPER NINTENDO WORLDはたいへん注目を浴びる場所になっていくでしょうから,おっしゃるとおり,来場者はさらに増えると考えています。ただ,SUPER NINTENDO WORLDとして新たな場所を追加することになりますから,USJ全体のキャパシティ増強につながるとも考えています。また,より快適にお過ごしいただけるよう,アトラクション以外にも物販店舗やレストランを含め,さまざまなインフラをさらに整備していく予定です。
 ただ,現時点では時間ごとの整理券を配布するかどうかは決めていません。具体的な調査を実施して検討したうえで,詳細を発表したいと思います。

――中国でもユニバーサル・スタジオを開業する計画と聞いていますが,そちらでもSUPER NINTENDO WORLDを用意する計画はありますか?

J.L.ボニエ氏:
 今の段階でお答えすることはできません。

――マリオカート以外に何種類ぐらいのアトラクションを用意しているんでしょうか。また,例えば「ゼルダの伝説」など,マリオ以外のタイトルのものはありますか?

マーク・ウッドベリー氏:
 SUPER NINTENDO WORLDの中には,複数のアトラクションを計画しています。また,先程,彼(J.L.ボニエ氏)が話したとおり,飲食,物販,ショー,アトラクションなど,さまざまなものを盛り込んでいく予定です。しかし本日は建設着工式ということで,マリオカートを中心としたもの……という発表にとどまらせていただいております。そのほかのアトラクションについては,楽しみにお待ちください。

マーク・ウッドベリー氏(左),J.L.ボニエ氏(右)
画像集 No.001のサムネイル画像 / USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー

――SUPER NINTENDO WORLDのターゲット層について,どのようにお考えですか?

J.L.ボニエ氏:
 ご家族,お子様,独身女性,海外からのお客様など非常に幅広く,あらゆるお客様にお越しいただきたいと思っています。

――マリオカートのアトラクションは,どんな魅力を持ったものになるんでしょうか。

マーク・ウッドベリー氏:
 ハリー・ポッターやミニオンのアトラクションと同様に,世界の中でも類を見ないような,非常に独創性のあるものになる予定です。いずれ写真を付けた紹介もできると思いますので,詳細を楽しみにしてください。

――USJは最近,ハリー・ポッターやミニオンなどのパークの人気もあって,入場者数が3年連続で過去最高を更新していますが,SUPER NINTENDO WORLDでどのぐらいの入場者数増を目指していきたいですか?

J.L.ボニエ氏:
 数百万人ぐらい来場者数を増やせるのではないかと考えております。
 これからもUSJには引き続き投資をし,さらに多くのお客様に足を運んでいただこうと思っています。また同時に,こちらのパークの中での体験の価値をさらに高めていきたいですね。まだまだ使える敷地はありますので,それを活用しながらより多くの方に楽しんでいただけるようにしたいと考えています。

――ゲームの世界観の再現率を上げるために行っている工夫など,少し詳しい部分を聞かせていただけないでしょうか。

J.L.ボニエ氏:
 私から申し上げられるのは,とにかくスペクタクルなものができあがる……という感じです(笑)。

マーク・ウッドベリー氏:
 これまで我々がUSJにおいて作り上げてきたさまざまなものを踏まえたうえで,どんなものになるのか,皆さんどうぞ,イマジネーションを駆使して想像してください。
 また今回は,これまでのUSJを作り上げてきた我々と,宮本さん率いる任天堂の素晴らしいクリエイター達がうまくコラボレーションをして,新しいものを作っています。これはおそらく,スペクタクルなもの,壮観なものになっていくと思います。それを想像しておいていただきたいです。

――今後,既存の施設を入れ替えるといった可能性もあるのでしょうか。

J.L.ボニエ氏:
 今はSUPER NINTENDO WORLDにとにかくフォーカスしていきたいと考えています。その後のことについても,いろいろと長期的なビジョンを持ったうえで考えてはいます。

「SUPER MARIO WORLD」は,「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」と「ウォーターワールド」の間あたりに建設される。ここはこれまで,駐車場として利用されていた敷地だ
画像集 No.003のサムネイル画像 / USJ内「SUPER NINTENDO WORLD」ではNintendo Switchとの連動も? 宮本 茂氏合同インタビュー

「マリオカート」のライド・アトラクションも登場へ。任天堂の世界を再現するUSJ新エリア「SUPER NINTENDO WORLD」の建設着工式が開催

任天堂公式サイト

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式サイト

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:03月28日〜03月29日