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「DMM GAMESカンファレンス2016」で語られた2015年度の業績と今後の展開
最初にDMM GAMES代表の片岸憲一氏から,ゲーム事業には成長余力があるとして,今後も事業拡大に努める旨が宣言された。収益を積極的に再投資し,M&Aや事業投資を行っていくという。これまではセカンドパーティが主力だったのだが,今後はサードパーティの参入も積極的に進めていく。また,PCオンラインゲームが主力だった状況から,スマートフォンへの展開を進めるとともに,海外展開も拡大していくとのこと。
サービス実績についてはゲームマーケティング本部長である川端祐喜氏から発表が行われた。
2016年2月の時点で国内登録会員数は1520万人になったという。前年比で162%の増加という躍進ぶりだ。男女比は8:2とのことなので,計算すると日本の総男性人口に占める比率は19.689%となり,ほぼ5人に1人はDMM GAMESに登録していることになる。
もともとクレジットカード必須の状態で始まったサービスなので平均年齢層は高めなのだが,最近は若年者が増加傾向にあり,30歳以下で全体の70%を占めるようになっているという。売上高は30%増だそうだ。
続いて海外展開についてだが,英語圏のサービスはNatakuで行われており,2016年第1四半期の時点で会員数300万人となっている。2016年第1四半期に全年齢版のゲームも扱うようになったことで,一気に会員数は倍増したそうだ。男女比は9:1とのこと。人気なのはRPGで,「大冒険!ゆけゆけ☆おさわりアイランド」「FLOWER KNIGHT GIRL」などが好評とのことである。今期は14タイトルをローンチする予定だという。
中国語圏では,Samurai-gamesが半年ほど前からサービスをしており,21万人の会員を獲得している。まだR18タイトルしか扱っていないのだが,男女比は8:2と,意外と女性層もいる。
そしてお待ちかねの国内サービス実績だが,まず自社タイトルローンチ数が延べ158本,外部から提供されているアライアンスタイトルが54本となっている。
それらのなかから特徴的な事例がいくつか紹介された。まずは「ストライクウィッチーズ 軌跡の輪舞曲 Blitz」についてだ。こちらのタイトルは大型IPを使ったゲームで,非IP系のオリジナルタイトルと比較すると,事前登録は倍くらいの差が出ているという。すでにサービスされているスマホ版からPCへの移植となるのだが,DMM GAMES向けの独自機能とPC向けのUI最適化などを行った結果,PC版でも大きな成果を挙げることができている。
次の事例は「レッドコラプション」だ。これはDMM GAMESがスマホとPCで両面展開しているR18タイトルだ。なお,DMM GAMESはAndroidアプリについては,独自のマーケットとなるDMM GAMESストアを運営しており,R18タイトルを展開できる。
このゲームはUnityを使って作られており,WebGLへの出力でブラウザゲーム化されているのだが,ゲームエンジンのメリットを活かして,2か月でPC版を作り上げたという。これにより,売り上げは一気に3.5倍に跳ね上がったとのこと。しかも既存のスマホ版の売り上げなどは落とさないままで積み上げが達成されたという。
さらに次の事例は,「神姫PROJECT」だ。このゲームではグラフィックス向上を狙ってcocos-2dが使われているのだが,そのような技術に対応したブラウザゲームも展開できるようになってきていることがアピールされていた。技術特化のパートナーにたくさんきてもらいたいとのこと。
セクション2では,DMM GAMESの今後の展開がアライアンス部部長の林 研一氏から紹介された。
昨年130%増だった売り上げを,今年はさらに140%増加させることが目標とのことで,3つの大きな指針が示された。すなわち,
- タイトル競争力強化
- 人気IPの創出
- 海外展開の拡大
の3本柱だ。
タイトル競争力では,DMM Game Playerを活用したクライアントタイプのPCゲームを強化していくことがまず語られた。「エルダー・スクロールズ・オンライン 日本語版」や「War Thunder」を持ってきたように,高品質なクライアントゲームを拡充したい考えだ。これはオンラインゲームに限らず,売り切りのコンテンツにも対応するとのことで,会場では現在Steamで展開しているパートナーにアピールしていた。「R18もできるSteam」というコンセプトだそうだ。
DMM GAMESでは「ソースコードOEM」という展開もしており,スマホやコンシューマを主力にしているゲームメーカーから,ゲームのソースコードを預かり,それをDMMの手でPCブラウザゲームにしていくという手法を展開している。レッドコラプションや「戦国プロヴィデンス」がそういったものによる例で,現在25タイトルが展開されているという。なかには,本家の売り上げを上回るものも出てくるなど成果をあげているという。今後はさらにソースコードOEMに注力していくとのことだ。
人気IPの創出では,クリエイターの積極的な起用を行い,原作・イラスト・シナリオにこだわったゲームを作っていくという。また,アニメの放送と同時にリリースするなどで話題づくりも行っていく。そういったものの例として挙げられたのが「ラグナストライクエンジェルズ」で,放送と同時展開はできていないもののアニプレックスモバイルやディンゴと協業して話題をあげており,すでに事前登録が25万人を突破しているとのこと。
また,Rejetとコラボした「一血卍傑-ONLINE」も事前登録が22万人を突破し,まもなくリリースされる予定だ。
海外展開では今期中に数タイトルをリリースし,協業も進めていく。中国から1タイトルをライセンスインすることが決まっており,東京ゲームショウで発表予定とのこと。そのほか,マンガ,アニメ制作,ゲームなどで中国企業とコンテンツビジネスで協業を進めていくという。
今期の新規タイトルとしては,PCクライアント版の「Shadowverse」が8月くらいにリリースされる予定とのこと。
さらに,すでに事前登録30万人以上となった「MUV-LUV ALTERNATIVE STRIKE FRONTIER(マブラヴ オルタネイティヴ ストライク フロンティア)」は一般版とR18版の双方で秋リリースの予定で進んでいる。WebGLによるグラフィックスに期待がかかる一作だ。
全体に景気のよい話が多く,パートナー企業にとっては魅力的な提案もあったようで,会場はなかなか盛り上がっていた。とにかく,拡大基調で多くのゲームを展開していくことは間違いないので,ゲーマーとしてもDMM GAMESの動きに期待したいところだ。
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