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「スペースインベーダー」「パックマン」「ギャラガ」の生みの親が集結。映画「ピクセル」公開記念「伝説のゲームクリエイター座談会」の模様をレポート
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印刷2015/08/07 21:07

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「スペースインベーダー」「パックマン」「ギャラガ」の生みの親が集結。映画「ピクセル」公開記念「伝説のゲームクリエイター座談会」の模様をレポート

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「スペースインベーダー」「パックマン」「ギャラガ」の生みの親が集結。映画「ピクセル」公開記念「伝説のゲームクリエイター座談会」の模様をレポート
 ソニー・ピクチャーズは,本日(2015年8月7日),9月12日公開予定の映画「ピクセル」にちなんだ「伝説のゲームクリエイター座談会」を都内で開催した。

 「ドンキーコング」「パックマン」「ギャラガ」など,1980年代を彩ったゲームキャラクター達がなぜか地球に襲来し,往年のゲームチャンピオン達がそれに立ち向かう……というのが「ピクセル」のストーリーだ。
 今回の座談会では,「スペースインベーダー」の西角友宏氏,「パックマン」の岩谷 徹氏,「ギャラガ」の横山 茂氏が,映画を見た感想に加え,各々が手がけたゲームの誕生秘話などを語ったので,その模様をお伝えしよう。

左から横山 茂氏,岩谷 徹氏,西角友宏氏
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「ピクセル」のゲーム愛に三氏が太鼓判


 まず映画「ピクセル」の感想を聞かれた三氏は,「映画に出てくるゲームの歴史的背景を知らなくても,いろいろな年代層の人が楽しめると思います」(横山氏),「ゲームキャラクター達が迫力ある姿で登場するので,物語の起承転結だけでなく,映像としても素晴らしいですね」(岩谷氏),「あえて事前情報を断って映画を観ましたが,想像していたのとは違った物語が展開して楽しめました」(西角氏)と太鼓判を押していた。

 また,「1982年版のギャラガにバグがあったというのは,映画を見て初めて知りました。よく調べているなと思いましたね」(横山氏),「パックマンの無敵時間をうまく利用するシーンなどは,ゲームの設定に忠実なのでありがたいと思いました」(岩谷氏)と,制作者のゲーム愛の深さにも感銘を受けていた様子だった。

 ちなみに,岩谷氏は「ピクセル」にカメオ出演しているそうだ。映画の冒頭,ゲームセンターでパックマンを修理しているのが岩谷氏だという。出演時間はわずかだが,ナムコのエンブレムが入ったツナギで決めているとのことなので,鑑賞時に探してみよう。

 その撮影で渡米した際,岩谷氏は,東京工芸大学芸術学部ゲーム学科教授として,映画製作の現場を勉強したとのこと。また,当然と言えば当然かもしれないが,「ピクセル」のスタッフ達からは敬意を表されたという。中でも,主人公のサム・ブレナー役であり,プロデューサーでもあるアダム・サンドラーさんは,自宅にパックマンの筐体を所有しているほどのファンで,岩谷さんも「素晴らしいですね」と感激しきりだった。


今明かされる,「スペースインベーダー」「パックマン」「ギャラガ」制作秘話


 座談会では,三氏が代表作の開発秘話を明かした。まずは西角氏のスペースインベーダーは,氏が初めてマイコン(マイクロコンピュータ)で開発したゲームとのこと。ラケットで打ち返したボールをブロックにぶつける「ブロック崩し」にヒントを得て,“迫りくるインベーダーを迎撃する”というシステムを考案したという。制作途中で敵を戦車にしたり,人間にしたりといった試行錯誤があったが,後者にはタイトーからストップがかかったそうだ。

 当時としては斬新で,同作の大きな特徴となった“インベーダーがこちらを攻撃してくる”という要素に関しては,発売前こそ業者からの評判が良くなかったものの,いざ市場に出ると若いプレイヤーから大きな支持を受けたという。

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 続いてのパックマンでは「昼食に出たピザを一切れ食べた時の形からデザインを思いついた」というエピソードが有名だ。“食べる”つながりで実に面白い話のためか,第三者の作り話なのではと疑う向きもあるようなのだが,岩谷氏によればこれは事実だという。

 当時はゲームを遊ぶ場所といえばゲームセンターだったのだが,殺伐としたゲームが多いため,客も自然と男性ばかりになり,岩谷氏には「とても女性客が入れるような雰囲気ではない」と感じられたそうだ。そこで氏は,女性やカップルを呼び込むため「食べる」ゲームを構想した。食べることをどうゲームにしようか苦心していたところ,昼食にピザが出て,一切れ取った残りのピザが大きな口を開けたキャラクターに見えてきたという。そこから後は芋づる式にアイデアが出てきたそうだ。

 また,パックマンの開発では,プレイヤーの心理状態を考慮に入れて「ストレスが溜まらない設計」(岩谷氏)を目指したという。そこから「普段は追いかけられるパックマンが,パワーエサを食べて一発逆転」「ステージを進めていくと,たまに敵のスピードがゆるくなる」といった要素が生まれたそうだ。

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 ギャラガに関しては,ナムコ上層部からの指示により,宇宙を舞台にしたシューティングという方向性が決定したという。スペースインベーダーのヒット以降,ゲーム業界では宇宙モノが一つの定番となったが,パックマンやラリーXをヒットさせていた当時のナムコは,宇宙モノから少々離れていたという事情があったようだ。

 ギャラガといえば,蛾を思わせる敵のデザインが印象的だが,これは当時としては珍しい分業制から生まれたものだという。
 当時はプランナーが自分のゲームに登場するキャラクターをデザインし,ドット絵まで作ることが当たり前だったが,ギャラガでは専門のデザイナーがプロジェクトに参加し,敵や筐体のデザインを行ったそうだ。ゲーム作りの現場が変化する発端と呼べそうなエピソードである。

 敵が自機をさらうなど,斬新なシステムが導入されたギャラガの開発では,ゲームバランスの調整にかなりの時間が割かれたとのこと。テストでプレイ時間が長めという結果が出たため,営業サイドからはインカムの低下を憂慮する声が聞かれたものの,横山氏は「バランス調整に力を入れたので,インカムが急に落ちたりはしないだろう」と考えていたそうだ。実際,横山氏の予想どおり,ギャラガはロングランとなったのだから,調整の大切さがうかがえる。

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 こうして作られたスペースインベーダー,パックマン,ギャラガはいずれも大ヒットし,日本だけでなくアメリカのプレイヤーからも愛されるゲームになった。その理由として三氏は「キャラクターデザインが優れているだけでなく,ゲームとして面白かったこと」(西角氏)「プレイヤーのことを常に考えてもの作りをする“おもてなし”精神」(岩谷氏),「細かいところまでこだわり抜く職人の技」(横山氏)を挙げた。
 最後には「スペースインベーダーとパックマンとギャラガが戦ったら,一番強いのはどれなんでしょうか」という質問が投げかけられたが,西角氏は「戦っちゃダメですよ」と回答。座談会は和やかな雰囲気で幕となった。

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