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世界を揺るがすアメリカ政府機関の盗聴疑惑がゲーム業界にも飛び火。スノーデン氏の告発を発端にバーチャルスパイの存在が明らかに
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「Skype」などのソーシャルサービスが政府機関に盗聴されているのではないか,との疑惑に関しては,先日の本誌連載「奥谷海人のAccess Accepted 第403回:ソーシャル機能と盗聴疑惑」でも取り上げたばかり。しかし,アメリカ現地時間の12月9日にThe New York Timesが報じた記事によると,NSAは「ターゲットの豊富なコミュニケーションネットワーク」の盗聴行為を正当化し,何百万人もの“攻撃的な性格の人”が集まりやすいバーチャルワールドで盗聴していることを2008年の内部報告書でまとめており,少なくとも2006年頃から実際に活動していたという。
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こうしたオンラインゲームやコミュニティでの活動には,NSAのほかにCIAや連邦捜査局(FBI),イギリスの政府通信本部(GCHQ)なども加わっており,GCHQは不審者に近づくための専用部隊を編成して,局員がアバターを作成してゲームを遊びながら捜査していたというから驚かされる。ちなみにアメリカやイギリスのプレイヤーを狙ったものではなく,中国のハッカーやイランの核開発に従事する研究者,そしてイスラム組織のヒズボラやハマスのメンバーが主なターゲットだったとのこと。
「World of Warcraft」を運営するBlizzard Entertainmentはこのような政府機関の活動に関して,まったく認識していないとのことだが,「Second Life」の場合は開発を指揮したCTOのコリー・オンドレイカ(Cory Ondrejka)氏が海軍出身者であり,オンラインゲームやセキュリティに関するテーマで政府関係者向けに講演したこともあることが指摘されている。
また詳細は不明としながら,NSAはオンラインゲームやソーシャルネットワーク上の不審者を誘導するためのモバイルゲームを用意して,一般企業を装って販売や運営を行っていたという。アメリカ政府に敵対する組織に直接関係がない一般人であっても,NSAのターゲットである人物の素性を知らずにオンライン上の仲間として一緒にゲームを楽しんでいれば,こうした捜査に巻き込まれていた可能性もあり,何とも薄気味悪い話だ。
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