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[CEDEC 2016]感情を伴うデータで,より的確な運営を。「スマホゲーム分析の一歩先へ 〜ユーザー行動ログとユーザーの感情を結びつける新しい分析手法〜」をレポート
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印刷2016/08/26 14:24

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[CEDEC 2016]感情を伴うデータで,より的確な運営を。「スマホゲーム分析の一歩先へ 〜ユーザー行動ログとユーザーの感情を結びつける新しい分析手法〜」をレポート

 2016年8月25日,開発者向けカンファレンス「CEDEC 2016」で,スマホゲームのデータ分析手法を解説するセッション「スマホゲーム分析の一歩先へ 〜ユーザー行動ログとユーザーの感情を結びつける新しい分析手法〜」が行われた。

「CEDEC 2016」公式サイト


DeNA JAPAN Japanリージョンゲーム事業本部 分析部 リードマーケティングリサーチャーである片瀬 大氏
 講演を行ったのは,DeNA JAPAN Japanリージョンゲーム事業本部 分析部 リードマーケティングリサーチャーである片瀬 大氏。片瀬氏の肩書きであるマーケティングリサーチャーの仕事とは,「ユーザーと開発者の架け橋としてサービス改善に尽力すること」であるという。
 具体的には,開発サイドが抱く「どのようにゲームが遊ばれているか」「不満に思っているのはどこか」「どういうプロモーションならダウンロードしてくれるか」といった疑問に対して,ユーザーの声を分析して答えを導き出していくというもの。

 ユーザーの声を聞くにはアンケートが使われるが,データ分析的な考え方や行動ログを組み合わせることにより,さらに役立つ情報が得られたり,隠れたニーズを浮き彫りにしたりすることができるという。片瀬氏は,DeNAのタイトルを例に,アンケートとデータ分析の組み合わせが役に立った事例を解説していった。


アンケートとデータ分析で
ユーザーの生の声を浮き彫りにする


■「逆転オセロニア」の事例
 ―データ分析によって,改修の優先順位が明らかに―


 片瀬氏がまず挙げたのが,「逆転オセロニア」の例だ。同作ではリリースの1か月後という早い時期からユーザーアンケートを行ったが,リリース直後だけに開発者は手一杯。そこで,片瀬氏がアンケートとデータ分析を行い,ゲームのどこを優先して改修すべきかを探っていったという。

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 アンケートではゲーム全体への満足度は高かったが,ゲーム内の要素を20に分けて細かく調べたところ,満足度が低い部分がいくつか明らかになったという。
 あとは,これらを直すだけ……とこれで問題が解決したように見えるが,これは「満足度が低く,早急に改善すべき部分」と「満足度は低いが,改修は急がなくて良い部分」が一緒になった状態だ。順にすべてを改善すればいいのだが,使える労力は限られており,時間もかかる。全体的な満足度を高めるには,まずどこを改めればいいのかをピックアップする必要があった。

[CEDEC 2016]感情を伴うデータで,より的確な運営を。「スマホゲーム分析の一歩先へ 〜ユーザー行動ログとユーザーの感情を結びつける新しい分析手法〜」をレポート
まずは,遊んでいる人がゲームに満足しているかどうかをアンケート調査(上)。さらに,ゲーム内要素を細かく調査(下左)したところ,満足度の低い部分が明らかになった(下右)
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 ここで片瀬氏達が使ったのが,「CSポートフォリオ分析」だ。かいつまんでいうと,それぞれの要素に対する満足感と,全体的な満足感を関連づけるという手法になる。「ある要素への満足感が,ゲーム全体に対して感じる満足度にどれだけ影響しているか」とも言い換られる。

「CSポートフォリオ分析」で各要素の満足度と重要度(その要素がゲーム全体の満足度にどれだけ影響しているか)を分析する。そして,重要度は高いが満足度が低いという要素を洗い出し,優先的に改修を行う
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 一口に「出来が良くない」(満足度が低い)と言っても,その性質はいろいろだ。枝葉末節の出来が少々悪くても,全体の評価にはさして影響を与えないので,急いで直す必要性は低い。しかし,出来の悪さがゲームの根幹に関わる部分なら,早急な修正が必要になる。「CSポートフォリオ分析」を使えば,その両者を見極めることができるというわけだ。
 結果として,修正後のアンケートでは総合満足度もアップしたことが確認できたという。

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■「キン肉マン マッスルショット」の事例
―誰に向けて,どんなCMを作るべき?―


 「キン肉マン マッスルショット」で,サービス開始から1周年を記念してテレビCMを放映することになった。問題になるのは「どんなCMを作るべきか」という点だ。

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 キン肉マンのファンに向けたものであることは当然だが,では,彼らはどんな人達で,どうすればゲームをダウンロードしてくれるのだろうか。原作マンガは37年の歴史を持ち,そのためファン層も多様。また,CMの長さはわずか15秒で,無駄な要素を入れる余裕はない。

[CEDEC 2016]感情を伴うデータで,より的確な運営を。「スマホゲーム分析の一歩先へ 〜ユーザー行動ログとユーザーの感情を結びつける新しい分析手法〜」をレポート
 アピールすべき候補として挙がったのが,「キン肉マンでは珍しいスマホゲームであること」「おなじみの必殺技がゲームに登場すること」「超人達を引っ張ってぶつけるゲーム性」「超人達のミニキャラが登場すること」などだ。どれを中心に据えるべきか,スマホゲーマーを対象にしたアンケートが行われることになった。

 しかし,漠然としたアンケートでは,あまり参考にならないデータが集まってしまう。精度を上げるにはセグメンテーション(分類)が重要になると片瀬氏は言う。
 そのためアンケートでは,回答者をキン肉マンのファン別に「コア」「ミドル」「ライト」「認知だけ」に分けた。

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 アンケートの対象者数としては「認知だけ」が最も多くなり,「コア」なファンになるほど数が減る。しかし,大切なのはそれぞれのセグメントで,どれだけの人がゲームを遊びたいと思っているかだ。その比率は,認知しているだけの層で1%になのに対し,コアファンは90%に達した。この結果を踏まえて,CMはコアファンをターゲットにすることとなった。

「認知だけ」の層は数こそ多いものの,ゲームを遊びたいと思っている人の割合は低い。「コア」層はその逆だ。数だけを見れば「認知だけ」の層に訴求すべきであるように思えるが,プロモーションの効率は良くない
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 また,コアなファンが最も強く反応したのが「超人達のミニキャラが登場すること」だったため,CMでもミニキャラが前面に押し出されることとなった。

コアファンが食いついた超人達のミニキャラを前面に押し出したテレビCM
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 放映後の追跡調査では,目標を上回る新規ダウンロードを達成したうえ,増えたユーザーの中で最も多かったのがコアなファンだった。そして彼らの多くがダウンロードの理由として「ミニキャラが動いている」ことを挙げているという。

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 以上から片瀬氏は,適切にセグメンテーションしたうえでそれぞれに質問を投げかけることにより,「絶対数は少ないかもしれないが,ゲームを遊ぶ意欲が高い人の割合が大きい」層を浮き彫りにできたと述べた。


行動ログとアンケートを組み合わせて必要な情報を得る


 ここまでアンケートの有用性を解説してきた片瀬氏だが,アンケートには弱点もあると指摘する。
 例えば,「どれだけ戦闘を行ったか」といったゲーム内の行動については,記憶を頼りに答えなければならないので,正確なデータは取りにくい。
 また,ユーザーをログインの頻度で分類したい場合,アンケートに「あなたはヘビーユーザーですか?」という項目を設けても,正確性は低い。どこからがヘビーユーザーなのかは,人によって基準が違うためだ。

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 ここで役立つのが,ユーザーがゲーム内でどんな行動を取ったかのを記録した「行動ログ」で,アンケートではうまく抽出できないようなデータも,行動ログなら一目瞭然になる。「どれだけ戦闘を行ったか」は正確な回数が記録され,「ヘビーユーザーであるかどうか」はログイン頻度や時間を見ればいい。
 行動ログを元にセグメンテーションを行い,満足度など,ユーザーの感情を掴むためにはアンケートを使う。両者を組み合わせれば,ユーザーをより深く理解できるのだ。

ユーザーが何をしたのかを記録した行動ログとアンケートを結びつけることによって,生きたデータが得られる
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DeNAでは,定期的にアンケートを行い,行動ログと組み合わせることでゲームの改善点を探っているという
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行動ログにより,ユーザーをログイン日数で分類。ここにアンケートによって得られた年齢や性別のデータを組み合わせれば,より効果的な施策を展開できる
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同じ分類でも,満足度に関するアンケートを行えば,不満を抱えているのがどの層であるかが分かる
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ログイン日数による分類と満足度に関するアンケートを定期的に行えば,層ごとにおける満足度の推移が把握できる。何らかの施策を行った場合,どの層にどういった反応を引き起こしたかも分かるという
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イベントに関する調査の一例。単に行動ログで「イベント参加率」だけを追った場合,ユーザーがイベントをどう思っていたかは分からないが,満足度に関するアンケートを組み合わせることで,仕方なく参加していたようなイベントもピックアップできる
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 ここからさらに問題を追及していくことも可能だ。例えば,満足度の低いイベントに参加していたユーザーを行動ログでピックアップし,ログイン日数などで「ヘビー」「ミドル」「ライト」に分類。そのうえで,イベントの不満点をアンケートで探れば,それぞれの層が抱えている異なる不満が抽出できる。

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 さて,開発者として気になるのが,「なぜゲームを止めてしまったのか」というものだろう。これはなかなか探りづらく,アンケートを取りたくても,対象となる人はもうゲームをやっていないし,かつてのユーザーを集めるにも限界がある。
 とはいえ,行動ログと定期的なアンケートを組み合わせれば,その理由はある程度推察できると片瀬氏は言う。行動ログでゲームを止めたユーザーを見つけ,その人が以前,アンケートにどう答えていたかを調べるのだ

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 最後に片瀬氏は,アンケートとデータ分析,行動ログを組み合わせたマーケティングリサーチは,ゲームの開発や運営だけでなく,プロモーションなどにも役立てられると総括して,講演を締めくくった。

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「CEDEC 2016」公式サイト

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