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[TGS 2013]アジア圏のゲームマーケットについて語り合う「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013」が東京ゲームショウ2013にて開催
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印刷2013/09/20 02:16

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[TGS 2013]アジア圏のゲームマーケットについて語り合う「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013」が東京ゲームショウ2013にて開催

画像集#001のサムネイル/[TGS 2013]アジア圏のゲームマーケットについて語り合う「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013」が東京ゲームショウ2013にて開催
 東京ゲームショウ2013の会期初日(2013年9月19日),「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013」が行われた。これはインドネシア,マレーシア,タイ,韓国,台湾,そして日本といったアジア各国の大手パブリッシャ・デベロッパの経営者が一堂に会し,アジア圏におけるゲームビジネスの将来像について語り合うという内容だ。

 今回の東京ゲームショウ2013には,33か国から162社ものゲームメーカーが出展しており,その中には日本にとって近隣であるアジアの国々も多い。アジア各国のゲームマーケットについてお互い学びあうことで,グローバル化の推進を行うというのが本サミットの主旨である。今回のサミットは4度目の開催で,ステージに登壇したのは以下の6名。

・Dien Wong氏(インドネシア:Altermyth CEO)
・Ganesan Velayathan氏(マレーシア:Fun & Cool Ventures, CEO)
・Chanvit Vitayasamrit氏(タイ:Milk Studio, CEO)
・チョン・ウジン氏(韓国:NHN Entertainment ゲーム事業センター/総括ディレクター)
・許 金龍氏(台湾:XPEC Entertainment 会長)
・鵜之澤 伸氏(日本:コンピュータエンターテインメント協会 会長)

写真左から,モデレータを務めた浅見直樹氏,Dien Wong氏,Ganesan Velayathan氏,Chanvit Vitayasamrit,チョン・ウジン氏,許 金龍氏,鵜之澤 伸氏
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アジア各国におけるゲーム産業の現状は?


 6つの会社についての業務紹介がひととおり行なわれた後,各国のゲーム産業の現状についてそれぞれ語られた。

 インドネシアは現在の人口が世界第4位で,GDPも非常に高い。その一方で,ゲーム産業は全体的に遅れているのだが,これは言い換えると,大きなポテンシャルを秘めていることを示している。ただし大きな課題もあり,具体的にはモバイルゲームの売上を伸ばすのと同時に,海賊版への対策が急務とのこと。

 この国のゲーム産業が盛り上がる兆候は,すでにいくつも見えており,その一つとしてモバイル機器が深く浸透していることが挙げられた。たとえば首都のジャカルタは,現在世界で最も多くTwitterによるツイートが行なわれる都市とのこと。複数のモバイル機器を使いこなしている人も当たり前のようにいて,モバイルの人口全体は,ジャカルタの総人口を大きく上回っているそうだ。また,国民のデジタル文化への理解が深く,インドネシアの各地にはゲームをはじめ海外メーカーの開発拠点も点在しているとのことだ。

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 マレーシアのゲーム産業は日本の約1/10の規模で,金額にして約300〜400億円だという。国民のコンテンツの消費量(売上)は高いが,一方でコンテンツ開発に携わる人数が約700〜1000名と少なく,これをいかに増やしていくかが今後の課題だそうだ。

 デジタルコンテンツ全体の成長率が高いが,それらの中でもスマートフォンの普及率が突出しているという。たとえば都会では,目にするほとんどの人がスマートフォンで「Candy Crush」などのゲームを遊んでいるという。そのほかマレーシアならではの傾向として,富裕層における中国語の識字率が高く,中国で開発されたゲームをそのまま遊ぶ人が多いとのこと。

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 タイのゲーム産業ではPCオンラインゲーム,とくにMMORPGの人気が高く,現在65%のシェアを占めている。ただしMMORPGの成長率はそれほど高くなく,ほぼ飽和状態に達しているそうだ。その代わりにスマートフォンやタブレット向けのゲームが大きく伸びているのが特徴で,またコンソール機の成長率も著しいそうだ。

 現在の課題としては,ほかの多くのアジア諸国と同様に海賊版対策を挙げ,これが行いやすいがためにゲームメーカー各社がオンライン対応へ移行しつつある。次世代コンソール機のPlayStation 4やXbox Oneがオンライン認証を重視するスタンスは,大いに歓迎しているようだ。

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 韓国のゲーム産業は2012年から2013年にかけて,約20%程度の成長率を見せているという。全体としてはオンラインゲームの比重が依然として大きいものの,実はこちらの成長率はそれほど高くない。産業を大きく牽引しているのは,モバイルゲームだそうだ。こういった状況を受け,既存のオンラインゲームメーカーの多くが,モバイルゲーム市場に参入しつつあるという。

 オンラインゲームにおける人気のゲームジャンルとしては,やはりMMORPGが堅調。しかしその一方で,「League of Legend」のシェアが急拡大しており,その理由を「PC房で1回15〜20分でプレイできる手軽さ」と指摘。いかにしてLoLを超えるゲームを作り出すか,韓国ゲーム業界が躍起になっているそうだ。

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 台湾のゲーム産業は,PCオンラインゲームのシェアが約62%と最も高い。しかしほかのアジア諸国と同様,モバイルゲームの伸び率が著しいという。
 モバイルゲームにおける人気ジャンルは,カジュアル系に集中しているとのこと。モバイル機器の普及率が高く,カジュアルゲームを老若男女の誰もが楽しめる状況にある。そのため,モバイル機器の用途について,一般的なアプリよりゲームのほうがダントツに高いのだそうだ。

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鵜之澤 伸氏
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 ここまでの5か国の現状を聞く限り,モバイルゲームが飛ぶ鳥を落とす勢いといったところだが,最後に解説した鵜之澤氏は「日本はほかの国と結構違う感じ」だと語る。

 コンシューマに関しては,2012年に最もヒットした「とびだせ どうぶつの森」や,先日発売された「モンスターハンター4」などを例に挙げ,モバイルゲームにシェアが奪われている実感はないとのこと。またその一方で,「パズル&ドラゴンズ」iOS/Android)のダウンロード数が1900万に達し,さらには「LINE GAME」などのモバイルゲームも急成長を見せている。

 つまり,従来のコンシューマゲームに,モバイル系の新たな分野が重なることで,日本のゲーム産業そのものが拡大していると分析する。実際,東南アジア諸国では日本のゲームや漫画などのコンテンツが当たり前のように普及しており,「クールジャパン」の手ごたえを感じているそうだ。

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 各国のゲーム産業の現状について語り合ったあとは,各出席者に対して,「海外展開を行う際にどこが戦略上もっとも重要か?」という質問がなされた。
 回答は6名中5名が「アジア」で,さらに詳しく尋ねると「中国」を挙げる人が最も多かった。ただし中国は,市場の可能性があると同時に,規制などにより海外資本の会社が参入するハードルが高いと,誰もが口を揃えていた。市場としては魅力的だが,中国を攻略するための糸口が見えず,違う国へ目を向けたほうがよいのでは,という回答する人も。鵜之澤氏も,市場の熱意やキャラクタービジネスという観点では,東南アジアの市場も魅力的だと評価していた。

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「東京ゲームショウ2013」公式サイト

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