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[TGS 2016]「バイオハザード」の20周年を振り返るイベントが開催。L'Arc-en-Cielとのコラボや新作映画の見どころをレポート
最初に登壇したのは「バイオハザード」のシリーズプロデューサーを務めるカプコンの小林裕幸氏と川田将央氏。両プロデューサーは,「バイオハザード」シリーズの20年を振り返りながら,当時の思い出話を披露した。
「バイオハザード」シリーズプロデューサーの小林裕幸氏 |
同じく「バイオハザード」シリーズプロデューサーの川田将央氏 |
1996年3月に発売された初代「バイオハザード」は,小林氏のゲームクリエイターとしてのデビュー作だったとのこと。ちなみに当時はプログラマーとして,敵のAIなどを制作していたそうだ。
一方,川田氏はすでにカプコンに入社してはいたものの,どちらかと言えば1人のプレイヤーとして「バイオハザード」に接しており,「ウチの会社すごいな」と感心していたそうだ。
次の「バイオハザード2」はラクーンシティが舞台となるなど,前作から大きく発展したこともあり,多くのファンにとって初めての「バイオハザード」体験になったのではないかと小林氏は述べる。
また川田氏は,グラフィッカーとして初めて開発に関わった「バイオハザード3」が強く印象に残っていると話していた。
これに続いてリリースされた「バイオハザード CODE:Veronica」は,南極を舞台にクリスとクレアの活躍を描いた意欲作である。
2002年には,初代「バイオハザード」のリメイク版と,その前日譚を描いた「バイオハザード0」が発売に。当時の川田氏は,背景にアニメーションを使った演出を施そうと,熱心に取り組んでいたという。
また両タイトルでプロデューサーを務めた小林氏は,とくに自分が携わった初代「バイオハザード」をリメイクしたのが感慨深かったとのこと。小林氏自身,手応えを感じていたタイトルということもあり,「ぜひHDリマスターなどでプレイしてほしい」と語っていた。
また,もう一方の「バイオハザード0」に関しては,それまでにリリースしたシリーズのノウハウを用いて開発した,やはり自信作であるそうだ。
そして2005年には,シリーズ最高傑作との呼び声が高い「バイオハザード4」が発売された。小林氏は,本作の開発が難航して発売に漕ぎ着けるまで4年もかかり,実際に製品版として発売されたのは,何度も作り直しを繰り返し,実際に製品版となったのは4回目の作り直しバージョンだったと振り返る。
2009年には「バイオハザード5」,翌2010年には「バイオハザード5 オルタナティブエディション」が登場。前作からあまり時間を置くことなく発売することを目指した「バイオハザード5」だったが,結局はリリースまで4年もかかってしまったと川田氏。しかし,そのおかげで,当時としては優れたグラフィックスを実現できたとポジティブな面にも触れている。
一方,小林氏は,シリーズ初のCo-opプレイが好評だったことに言及。川田氏も「新しい遊び方を提案できた」と同意した。
2012年には「バイオハザード リベレーションズ」と「バイオハザード6」が発売された。前者について川田氏は,「バイオハザード」シリーズの原点回帰を目指して開発を進め,佐藤 大氏の手がけたシナリオも面白く仕上がったと述べる。
また,小林氏は,「バイオハザード6」にて群像劇にチャレンジしたと説明。そのため,レオンとクリスの対比を描くとともに,エイダや新キャラ・ジェイクのストーリーもあり,それぞれの進行が絡み合っていく展開を描けたと振り返っていた。
2015年に発売された「バイオハザード リベレーションズ2」では,エピソードの毎週配信に挑戦。各エピソードの制作は大変だったが,そのぶんプレイヤーには喜んでもらえたと川田氏は語っていた。また海外で人気のバリーを登場させたことにも反響があったという。
そして2017年1月26日には,最新ナンバリングタイトルとして「バイオハザード7 レジデント イービル」が発売される予定だ。「ホラー」をテーマに掲げたその概要は別記事を参照してもらうとして,ステージで川田氏は,「皆でワイワイしながら楽しむホラーゲームもいいんじゃないか」と話していた。
駆け足で「バイオハザード」の20年を振り返った川田氏は,「長かったようであっという間。気がついたら25周年,30周年が来ているんじゃないかと思いますが,これもひとえにシリーズを支えてくださったファンの皆さんのおかげです。我々もそれに応えるべく引き続き頑張っていきます。まずは『バイオハザード7』にご期待ください」と述べる。
一方の小林氏は,「昔のシリーズも,リメイクやHDリマスターによって現行機でも遊べるようになっているので,『バイオハザード6』など最近のシリーズタイトルしか知らない人も,ぜひ古いタイトルも遊んでほしい」とコメント。また映画や舞台などさまざまな形でシリーズを展開していることにも言及し,どんどん広がっていく「バイオハザード」をぜひ楽しんでほしいとした。
9月29日には,「バイオハザード バリューパック」が発売される予定だ。このパッケージには,「バイオハザード0」と「バイオハザード」のHDリマスター版がセットとなった「バイオハザード オリジンズコレクション」のディスク版と,「バイオハザード4」「5」「6」それぞれのHDリマスター版のダウンロードコードが同梱されているので,これを機に,旧作にあらためて触れてみるのもいいかもしれない。
L'Arc-en-Cielのメンバーが精密なCGモデルになって登場
続いてステージには,ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアの多田浩二氏とKi/oon Musicの古川裕理氏が登壇し,9月13日の「2016 PlayStation Press Conference in Japan」で発表されたVRミュージックビデオ「Don't be Afraid -Biohazard×L'Arc-en-Ciel on PlayStation VR-」(以下,Don't be Afraid)に関するトークが行われた。
Don't be Afraidは,「バイオハザード」シリーズとロックバンド・L'Arc-en-Cielのコラボレーションによるもので,PlayStation VRで視聴が可能なものだ。古川氏によると,L'Arc-en-Cielが結成25周年を迎えるにあたって,新たなチャレンジを模索していたところ,「バイオハザード」が20周年を迎えたことを知り,さらにPS VRが同じ年に発売されることも手伝って,今回の企画として実現したのだという。
L'Arc-en-Cielのメンバーも「バイオハザード」シリーズの大ファンとのことで,楽曲は,この企画のために書き下ろした新曲となるそうだ。
映像に登場するL'Arc-en-Cielのメンバー達は,「バイオハザード7」にも用いられている「フォトスキャン」と呼ばれる技術で,精密に3Dモデル化されているほか,セリフをしゃべるシーンもあるという。川田氏は「これまでのコラボと一味違い,良い意味でユニークな企画になった」と述べていた。
多田氏によると,このミュージックビデオでは,楽曲を聴きながらゾンビと死闘を繰り広げるモードと,ソーシャルコンテンツ,そして緻密なCG映像を鑑賞するモードが用意されているという。もちろん,映像は360度のVR映像として鑑賞できる。
また,多田氏はPS VRについて,「ゲームに留まらず,こうした企画も数多く展開していきたい」と述べていた。
クリスとレオンの後日談が描かれるアニメ映画
「バイオハザード:ヴェンデッタ」
ステージの最後には,2017年春公開予定の長編フルCGアニメーション映画「バイオハザード:ヴェンデッタ」のスタッフによるトークが行われた。登壇したのは,本作品のエグゼクティブ・プロデューサーを務める清水 崇氏と監督の辻本貴則氏,原作監修を手がける小林氏,そしてステージのMCを務めるジャンクハンター吉田氏の4名である。
ステージでは,「バイオハザード:ヴェンデッタ」の映像が世界初公開となったのだが,残念ながら撮影は一切禁止。一刻も早く見てみたいという人は,TGS 2016のカプコンブースで上映されているので,ぜひ足を運んでほしいとのことである。
清水氏は今回披露した映像について,「これまで公開されてきた情報とは,ちょっと違う匂いも感じていただけたのではないか」とコメント。また辻本氏も,「今回は『バイオハザード』の原点回帰を目指しました。まだ触りの段階だが,清水さんの得意なホラーの雰囲気が出ていると思います」と述べたうえで,「僕の得意なアクションにも期待してほしい」と語っていた。
また,カプコン側の小林氏は,「『バイオハザード6』におけるクリスとレオンの後日談が描かれているので,ゲーム本編のファンも期待してほしい」と述べている。
ちなみに本作品は,CG映画としては,これまでにないほどゴア表現に注力しているという。とくに清水氏と辻本氏が暴走しがちで,小林氏が止めに入ることもあるそうだ。
3人によると,本作品の見どころは,クリスを中心にレオンが協力するストーリー展開にあり,ゲーム本編とは違った側面が垣間見られる点であるという。とくに清水氏と辻本氏は,それぞれホラー映画やアクション映画の実績を買われて起用されたにもかかわらず,ドラマにこだわってしまったと語っていた。ただし「フタを開けてみればいつものバイオ」と言われるような仕上がりにはなっているので,「バイオハザード」ファンは安心してほしいとのことだ。
また映画には,人気キャラのレベッカも登場するという。設定年齢は30歳と,作品世界の時間経過を反映した年齢になっているが,外見は20歳後半といったところで,ゲーム本編に登場した頃よりも“いい感じ”に成長しているそうだ。
肝心のストーリーについては,敵として登場するテロリストの人生が描かれるという。そこに「復讐」の意味を持つ「ヴェンデッタ」というサブタイトルが付けられていることに,意味を見出してほしいとのこと。さらなる情報は,公開に向けて順次明かされていくそうだ。
最後に清水氏と辻本氏,小林氏は,ゲームとも実写映画とも異なるオリジナル映画として鋭意制作中であると述べ,「バイオハザード」ファンであれば確実に満足できる内容となっているので期待してほしいとアピールして,トークを締めくくった。
バイオハザードシリーズ公式Webサイト
4Gamer「東京ゲームショウ2016」特設サイト
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バイオハザード7 レジデント イービル
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