2017年1月22日,eスポーツコミュニケーションズ合同会社が主催する
「日本eスポーツリーグ」の
オフライン決勝戦が,東京アニメ・声優専門学校 北葛西校舎にて行われた。
本大会には,
「ナチュラルズ北海道」「東京ヴェルディ」「名古屋OJA」「インフィニティ大阪」「CYCLOPS OSAKA athlete gaming」「iGS福岡」の計6チームが参加し,昨年2016年11月26日に予選となるオンラインリーグがスタート。
「FIFA17」(PS4),
「BLAZBLUE CENTRALFICTION」(PS4),
「Overwatch」(PC)の3タイトルで,それぞれ総当たりのリーグ戦が行われた。
その結果,決勝戦へとコマを進めたのは,「FIFA17」の予選で全勝を果たした1位通過の
CYCLOPS OSAKA athlete gamingと,同じく「Overwatch」の予選で負けなしの2位
東京ヴェルディとなった。本稿では,この2チームによる激闘の様子をレポートする。
予選オンラインリーグの結果。規定によりCYCLOPS OSAKA athlete gamingが予選1位となったが,東京ヴェルディとの勝ち点は同じ
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決勝は「FIFA17」「BLAZBLUE CENTRALFICTION」「Overwatch」の順に戦い,勝った競技の多いチームが勝利となる
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決勝戦の開会にあたって登壇した,eスポーツ協会理事の平方 彰氏。第1回にわずか13チームしか出場しなかったワールドカップを引き合いにだし,「日本eスポーツリーグ」も同じようにこれから発展させていきたいと抱負を述べた
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本大会のオフィシャルサポーター・矢口真里さんがビデオメッセージで登場。実力が拮抗している2チームの東西対決を楽しみにしつつ,「全力で応援するので,熱い戦いを繰り広げてください!」と,両チームにエールを送った
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「FIFA17」決勝。王者の風格を見せつけた黒豆選手
本大会の皮きりとなる「FIFA17」では,予選と同じくCYCLOPS OSAKA athlete gamingは
黒豆選手,東京ヴェルディは
KEN選手が出場した。それぞれの予選の勝敗は以下のとおりだ。
予選を全勝している黒豆選手の勝利が手堅く思えるが,KEN選手は予選で唯一,黒豆選手から点を奪った実績を持つ。決勝に向けて,黒豆選手を研究してきた成果が見せられるかどうかが,勝敗を分けるカギとなりそうである。
決勝でのルール。2試合行われ,得失点差で勝敗が決定する
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1試合目,黒豆選手はバイエルン・ミュンヘン,KEN選手はレアル・マドリードを選択。バイエルン・ミュンヘンは国内タイトルを総なめしているドイツの超名門チームで,昨年もブンデスリーガの覇者に輝いている。「FIFA17」においても選手層が厚く,レーティング90のレバンドフスキとボアテング,そしてレーティング92のGKノイアーを擁し,攻守に隙のないチームとなっている。一方のレアル・マドリードも,バロンドールを受賞したクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に一流選手が勢ぞろい。実際のクラブワールドカップを彷彿とさせる,注目の一戦となった。
チームの総合力ではほぼ互角
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エース,ロナウドを用い,押し気味に展開していたKEN選手は,前半22分に得意のカウンターから先制点を奪取。しかし,前半終了間際,黒豆選手もPKで同点に追いつく。
前線への正確なパスと豪快なドリブルで,強烈なカウンターを仕掛けるKEN選手に対し,要所を押さえたフェイントで,じりじりとゴールへと近づく黒豆選手
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後半もKEN選手のペースで進み,ロナウドのカウンターで2対1に。それでも落ち着いていた黒豆選手は,KEN選手のお株を奪うカウンターで同点。これでペースをつかんだ黒豆選手は立て続けに得点を重ね,4対2で1戦目を勝利した。
バイエルンのエース,レバンドフスキは,1アシスト3ゴールの大活躍
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2試合目,勝利には3点差が必要のKEN選手は,プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティを選択,逆転を狙う。迎える黒豆選手が選んだのは,キエッリーニやボヌッチなど,強力なCBを擁するユベントス。さらに5バック態勢で,勝利を確実なものとすべく鉄壁の布陣を敷く。
カウンターで,ユベントスの堅い守りをこじ開けられるかがカギ
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カウンターにサイドアタックと,終始攻め続けるKEN選手だが,黒豆選手の堅い守りに阻まれ,後半まで0対0が続く。このままでは負けが確定するKEN選手は,ウルトラアタッキングに変更。それを見た黒豆選手はアタッキングに変更し,カウンター狙いに。全員でゴールを狙いにいくKEN選手だが,しかしユベントスの壁は崩れず。逆に,ウルトラアタッキングの弱点であるカウンターで失点,2対0で2試合目も黒豆選手が勝利した。
「追加点が取れなかったのが敗因」と悔しさをにじませるKEN選手(画像右)。黒豆選手(画像左)は前半押されていたが,シュートまではいけていたので,勝つことはできると焦らずに構えていたのが功を奏したそうだ
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オンラインだった予選と異なり,多くの観客が間近で観戦するオフライン大会は,一種独特の雰囲気を持つ。KEN選手,黒豆選手とも,その雰囲気にのまれ,かなり緊張したそうだ。今回の大会では,このオフライン会場が持つ空気も,勝敗に関係するかもしれない。
因縁の対決を制するのは!? 「BLAZBLUE CENTRALFICTION」決勝
続いて行われた「BLAZBLUE CENTRALFICTION」の決勝戦。CYCLOPS OSAKA athlete gamingは
どぐら選手,東京ヴェルディは
ソウジ選手が出場した。なお,オンライン予選での結果は以下のとおり。
予選ではソウジ選手が4勝1敗,どぐら選手が2勝3敗の成績を残している。どぐら選手に予選で勝利しているソウジ選手だが,個人対策によって有利不利があっけなくひっくり返るのが格闘ゲーム。今回,研究を重ねてきたどぐら選手が,どこまでソウジ選手に肉薄するかに注目が集まった。
決勝でのルール。2ラウンド先取で1セットとし,最初に10セット取ったほうが勝利となる
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両選手が選択したキャラクターは,ソウジ選手がアラクネ,どぐら選手がアズラエル。アラクネは,内部に蟲を宿したトリッキーなキャラクターで,特定の技を相手にヒットさせることで“烙印”ゲージが上昇。ゲージが溜まれば烙印状態になり,蟲を使った攻撃で相手を蹂躙できるようになる。一方のアズラエルはパワータイプのキャラクターで,一撃の重さが特徴。ドライブ技を命中させると敵に弱点を付与することができ,コンボがさらに強力になる。
接近戦が苦手なアラクネに,アズラエルがどこまで肉薄できるかがポイントだ
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定番どおり,烙印状態から大ダメージコンボを狙うソウジ選手だったが,どぐら選手のガードは堅く,なかなか思うようにはいかない。空中からの飛び込みもジャンプ攻撃でことごとく潰されてしまい,そのまま2本連続でどぐら選手がリードを奪った。
蟲と本体の同時攻撃を完璧にガードし,思わず会場で喝采があがることも
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烙印状態の猛攻を凌ぎつつ,チャンスとみるや確実にコンボを決めるどぐら選手
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半分の5本を先に取ったのはどぐら選手。中盤になって,ソウジ選手もジャンプのタイミングなどを修正し,2連取するなど流れを引き戻すも,9セット目をどぐら選手が奪取しマッチポイントへ。
ひとたび決まれば,一気に大ダメージを奪える烙印状態でのコンボだが,どぐら選手は臆することなく,常に攻めの姿勢を忘れなかった
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烙印状態からのコンボでソウジ選手が1本取り返すも,反撃はそこまで。最後は,怒涛の攻めでパーフェクトの勝利を収め,どぐら選手の勝利となった。
ソウジ選手(画像右)は「最初にリードを奪われたのが厳しかった」とコメント。今回は力を出し切ったと言い,納得の敗北だったようだ。また,どぐら選手(画像左)もリードはしていたが,焦っていたことを告白。途中で動きを読まれていることに気付き,その都度修正していったという
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2試合が終了し,CYCLOPS OSAKA athlete gamingが2連勝を達成。いよいよ戦いは「Overwatch」を残すのみとなった。
「Overwatch」決勝。予選全勝の東京ヴェルディにCYCLOPS OSAKAが挑む
最後の競技となった「Overwatch」。CYCLOPS OSAKA athlete gamingは
RYOYA選手,東京ヴェルディは
VADER選手をリーダーに,それぞれ6人ずつが出場するチームでの対決となる。オンライン予選の結果は以下のとおり。
予選では東京ヴェルディが5戦全勝とほかのチームを圧倒。ただ「CYCLOPS OSAKA」も着実に力をつけてきており,どこまで東京ヴェルディにプレッシャーを与えられるかが注目された。
決勝のルール。5つのマップで争い,先に3本先取したほうの勝利となる
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1戦目の戦いの舞台はDorado。マッププールはエスコートで,制限時間内にペイロードを目標地点まで運ぶと攻撃側の勝利となる。また2つのチェックポイントがあり,そこにペイロードが到達すると制限時間が延長される。防衛側は,制限時間まで攻撃側の進行を抑えれば勝ちだ。
Doradoは建物が入り組んだ高低差の激しいステージ。第1ポイントまでの直線が見晴らしがよく,その手前の広場が激戦区になりやすい
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1戦目,東京ヴェルディの攻撃でスタート。ラインハルトのバリアフィールドを使用し,定石どおり進んでいく。そこに攻撃を仕掛けるCYCLOPS OSAKAだが,連携に阻まれ,なかなか相手を倒すことができない。逆にアルティメットアビリティで一気に倒されてしまい,態勢を立て直す間もなく進行されてしまうことが続く。
乱戦の中でも,瀕死の敵を確実に仕留めていく東京ヴェルディ。また,自分達が瀕死になったときも,協力して逃がそうとする。チーム間の連携が高いレベルでとれているように思えた
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1戦目,最初は東京ヴェルディが目標を達成。続いてCYCLOPS OSAKAが,攻撃側でスタートする。しかし,東京ヴェルディの連携の前にペイロードは遅々として進まない。アルティメットアビリティで人数差を作るも,東京ヴェルディはシンメトラのテレポーターで即座に復帰し,進む隙を与えない。そのまま時間切れとなり,1戦目のDoradoは東京ヴェルディの勝利となった。
2戦目の舞台はHOLLYWOOD。制限時間内に拠点を制圧し,その後でペイロードを目標地点まで運ぶと勝利となるハイブリッドタイプのマップだ。Doradoと同じく,高低差があり,攻撃側のスタート地点近くが激戦区になりやすい。
序盤から激しいバトルが展開
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最初に東京ヴェルディが攻撃側でスタート。1戦目と同じく,手堅い連携で確実にキルを取っていく東京ヴェルディ。危なげなく,ペイロードを目標地点に到達させる。そしてCYCLOPS OSAKAが攻撃側にチェンジ。何としても落としたくないCYCLOPS OSAKAは,激しい攻めで確実にペイロードを進めていく。しかし,東京ヴェルディの攻撃で一気に人数差をつけられてしまい,ギリギリのところでエスコート失敗。2戦目も東京ヴェルディの勝利となった。
東京ヴェルディは,誰かがキルされても即座にチーム全体の態勢を整え,連続キルを防ぐような動きを見せる。そのため,バトル全体で押し負けることが少なく,人数差も最低限に抑えていた
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3戦目の舞台はKING’S ROW。HOLLYWOODと同じく,ハイブリッドのマップだ。すでに2勝している東京ヴェルディは,ここで勝利すれば「Overwatch」部門で勝利となる。
銅像まわりか,拠点付近で戦う,2つのパターンがあるKING'S ROW
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最初の攻撃側,東京ヴェルディはダイブ構成を採用,序盤からガンガン敵陣へと飛び込んでいく。それを迎え撃つCYCLOPS OSAKAだが,連携に勝る東京ヴェルディが終始圧倒。アリティメットアビリティでCYCLOPS OSAKAメンバーを何度も同時複数撃破し,危なげなくエスコートを成功させた。後がないCYCLOPS OSAKAだが,東京ヴェルディの勢いは止まらない。拠点を制圧しようとするCYCLOPS OSAKAを完璧に抑え,さらにアルティメットアビリティによる突破も耐え抜き,反撃でCYCLOPS OSAKAを全滅させて文字どおり完勝した。
付け入る隙を一分も見せず,完璧な勝利を見せつけた東京ヴェルディ。3対0で「Overwatch」決勝を制した
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常に声をだしていた東京ヴェルディは,アルティメットの使用状況,どの敵が瀕死か,そして自分の状態など,ありとあらゆる情報をチャットや実際に声を掛け合うことで,チーム全員で共有していた。東京ヴェルディのVADER選手いわく,それが今回の作戦だったそうだ。一方,CYCLOPS OSAKAのRYOYA選手は,今回はあまりチームワークが取れていなかったことを反省しており,「Overwatch」におけるコミュニケーションの必要性の高さが明らかになった一戦だったように思える。
優勝は「CYCLOPS OSAKA athlete gaming」。そして戦いは次のステージへ
「FIFA17」「BLAZBLUE CENTRALFICTION」「Overwatch」,3つの戦いがすべて終了し,いよいよ表彰式を残すのみとなった「日本eスポーツリーグ」。まず最初に,それぞれのタイトルごとに,個人に対して部門賞が贈られた。
「FIFA17」では,予選,決勝共に全勝を果たした黒豆選手が部門賞に選ばれた
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「BLAZBLUE CENTRALFICTION」の部門賞は,予選で全勝を果たした「インフィニティ大阪」のフェンリっち選手に贈られた
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「Overwatch」部門は,予選と決勝で圧倒的な力を見せつけた東京ヴェルディチームに贈られた
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そして「日本eスポーツリーグ」で最初の優勝チームになる栄冠を勝ち取ったのは,「FIFA17」と「BLAZBLUE CENTRALFICTION」で2勝したCYCLOPS OSAKA athlete gamingだ。
見事,優勝を果たしたCYCLOPS OSAKA athlete gamingには,その栄光と共に優勝トロフィーが贈られた
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さらに,スポンサーによって選別された特別賞も発表されたので,まとめて紹介しよう。
ガレリア特別賞には,「Overwatch」CYCLOPS OSAKAリーダーのRyoya選手,BitCash特別賞に,CYCLOPS OSAKAから「BLAZBLUE CENTRALFICTION」に出場したどぐら選手,そして毎日新聞社特別賞に,東京ヴェルディから「FIFA17」に出場したKEN選手が選ばれた
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表彰式の後,eスポーツコミュニケーションズ合同会社代表,
筧 誠一郎氏が登壇。選手達に激励を述べると共に,新たな情報として「日本eスポーツリーグ2017 summer」が,今年の5月から開催されることを発表した。今回は6チームの参加だったが,「日本eスポーツリーグ2017 summer」ではさらにチーム数が増えるそうだ。筧氏は,将来的には47都道府県でチームが作れるように努力したいと語り,e-Sportsのさらなる発展を願いつつ,本大会は終了となった。
海外と比較し,盛り上がりに欠けると言われてきた日本のe-Sports。今回行われた「日本eスポーツリーグ」が,ワールドカップのような偉大な一歩となるかどうかは,選手やスポンサーのみならず,一般プレイヤーやメディアなど,ゲームに関わるすべての人々にかかっている。ゲームで一時代を築いた日本が,いつまでも“e-Sports後進国”と呼ばれ続けないよう,変えるのは今なのかもしれない。