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ノルウェー現代史の闇に迫るインディーズゲーム「My Child: LebensBorn」とは
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印刷2016/04/30 16:11

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ノルウェー現代史の闇に迫るインディーズゲーム「My Child: LebensBorn」とは

 昨今は世界中どこでもインディーズゲームが開発されており,過当競争が問題視されるレベルに達している。だが,大手デベロッパでは発表しにくい(しかし興味深い)ゲームが生まれる母体として,インディーズゲームの隆盛は大変に好ましいものだといえるだろう。

 クロアチアで開催されているカンファレンス「Reboot Develop 2016」にもインディーズゲームの展示/試遊コーナーがあり,個性的なゲームがプレイ可能だ。本稿では筆者が気になった,印象的な作品についてレポートしよう。

 レーベンスボルンという組織(日本語ではしばしば「生命の泉」と訳される)は,1935年にハインリヒ・ヒムラーの手によって成立された。だが,ノルウェーにおいて「レーベンスボルン」という言葉は,別の意味を持つ。ナチスドイツに占領されたノルウェーでは,現地の女性とナチ党員の性交渉が推奨され,その結果として約1万2000人の子供が生まれた。この子供たちのことを,ノルウェーでは「レーベンスボルン」と呼ぶ。

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 ノルウェーにおけるレーベンスボルンは(その母親も含めて),端的に言って,不当な差別と弾圧の対象となってきた。これは民衆による差別ではなく,ノルウェー政府が公然と行った差別だという――極めて恣意的かつ不当な差別を,政府が率先して行うのだから,民衆の間における差別感情や抑圧がいかなるものであったかは想像を絶する。
 この問題は1999年にノルウェー国内で裁判となり,2000年〜2004年にかけて政府による公式な謝罪と補償がなされていった。だが,「そこで実際にどのような苛烈な差別と抑圧が行われたか」は,ノルウェー国内においても闇の深い歴史になっているという。

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 「My Child: LebensBorn」iOS / Android)は,ノルウェーにおけるレーベンスボルンをテーマとした作品だ。
 プレイヤーはレーベンスボルンの養育を引き受けた者となって(レーベンスボルンの母親の半数弱は強制収容所に入れられ,ナチ党員と結婚した女性はノルウェー国籍を剥奪された),その子と会話したり,食事を与えたりしていく。最終的に,その子に幸せな人生をもたらすのが,プレイヤーの目的となる。だが,そのためには当時のノルウェー社会が抱えていた偏見や差別意識と立ち向かわねばならない。
 プレイヤーの選択によってエンディングは変化し,また育てている子の父親が何をしていたかが判明するという。レーベンスボルンが歩んできた苦難の人生を追体験するというのとは少し違うが,彼らを育てる側としてその苦難を体験していくことになるわけだ。

 プラットフォームはiOSとAndroidだが,PC版の予定もある。現在はプロトタイプをノルウェーの子供たちにプレイしてもらい,問題点の洗い出しをしているという。この作品はある意味でシリアスゲームであり,ノルウェーの子供たちに自国が犯した過ちを学ばせるという目的もあるため,子供が遊んで理解でき,かつ面白いものでなくてはならないからだ。
 またそういった理由とは別に,「子供たちに遊んでもらうのが,ゲームを磨き上げるにあたっては一番良い」という側面もあるようで,このあたりは洋の東西を問わない部分がある。

 本作は本年中に発売される予定とのこと。また,このプロジェクトはドキュメンタリー映画の作成と同時進行しており,映画は来年初頭の発表になるという。
 ゲームと映画,両方のトレイラーを見せてもらったが,映画のほうは「衝撃的」の一言に尽きる。「何かを言おうとして,言葉にできないでいる」かつてのレーベンスボルン(今となっては皆老人だ)の姿は,心を揺さぶるものがある。プレイアブルデモの展示ではなかったので,ゲームが面白いものになるかどうかは未知数なところがあるが,映画とあわせて注目すべき作品かもしれない。

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