連載
結のほえほえゲーム演説:第57回「『ワイルドアームズ』『アークザラッド』『勇なま』『ワンダと巨像』『UNDERTALE』コンサートレポ
ごきげんよう,女優・タレントとして活動しております。結です。
幸せなことに,最近はゲーム音楽のオーケストラコンサート三昧の日々を送っております。
「ワイルドアームズ」「アークザラッド」「勇者のくせになまいきだ。」「ワンダと巨像」「UNDERTALE」と……なんと今月だけで5本も!
今回の連載では,私が参加してきたオーケストラコンサートの様子をレポートしていきたいと思います。
3月4日
GAME SYMPHONY JAPAN PREMIUM CONCERT「ワイルドアームズ」「アークザラッドI&II」「勇者のくせになまいきだ。」
今回の公演は三つのゲームタイトルにとって初となる単独コンサートです。
初代タイトルの発売から,「勇者のくせになまいきだ。」は10年,「ワイルドアームズ」は22年,「アークザラッド」は23年の時が経ちました。
2018年になって初めての単独コンサートが行われるという出来事に,タイトルを愛し続けてきたファンの感慨もひとしおです。
こちらのコンサートでは,各公演でMCを務めさせていただきました。ステージの袖でこっそり演奏を聴かせていただいていたのですが,その場所からは客席の方々の表情がとても良く見えます。
うっとりしていたり,微笑んでいたり,満面の笑顔だったり,ボロボロと涙を流していたり,泣かないようにグッと堪えていたり……。その表情を見ているだけで,タイトルに出会って,プレイをして,きっとずっと記憶の片隅から離れず,ここまでたどり着いたんだなぁと,想像が止まりませんでした。盗み見ながら怒涛のシンパシーを感じ,うんうんと頷きながらボロボロ泣くという。なんて勝手で一方的なのでしょうか。
しかし「あぁここにいる皆さん全員と友達になりたい……。」と願わずにはいられませんでした。ちなみに,公演の合間には日本橋三越本店で展開されていたコラボカフェへ遊びに行き,我慢できずお客さんとお話しちゃいました。
「ワイルドアームズ」では,オーケストラの演奏によって,原曲の壮大さに改めて気付かされました。「荒野の果てへ」「街」「世界にひとりぼっち」など,ぽつんと存在したひとりぼっちな私に,ずっと寄り添ってくれていた楽曲達。
舞台裏で,悶えるような表情をしながら一曲一曲噛みしめるように演奏を聴いていた作曲家のなるけみちこさん。いつも温かく優しい楽曲は,なるけみちこさんの愛情から作られているんだと強く実感しました。
大好きな作曲家なるけみちこさんと |
ワイルドアームズっぽいかな? と用意した衣装でした |
「アークザラッド」では,シリーズ企画,原案,ゲームデザインを担当された土田俊郎さんから,各都市の音楽の違いは「世界旅行をイメージした」というお話をうかがいました。
アークザラッドといえば,戦闘曲の多さが特徴。今回も,「戦闘1」「アークデーモン」「精霊」「戦闘2」「勝利のファンファーレ」の曲順で,戦闘曲をたっぷり堪能できたのが嬉しかったですね。
「勇者のくせになまいきだ。」では,ムスメ(CV:小清水亜美さん)が開演前からナレーションでしゃべりまくり!! この日のために収録された幕間のセリフがとんでもないボリュームでびっくりしました。可愛かった……。
シリーズプロデューサーの山本正美さんによる勇なまマル秘話は,どこをとってもユーモラスでシニカルな勇なまそのもの。
私は「勇者のくせになまいきだ:3D」のエンディング曲である「来たるべきセカイ」が大好きなのですが,いやはやもうたまりませんでした。いつもふざけてばっかりのアイツがふと見せる真剣な表情のようなズルさがあるんです。これは感動してしまう。ズルい。
Game Symphony Japan主宰の志村建一さんは,必ずゲームをプレイして選曲し,指揮をするというゲーム愛に溢れた方なのですが,それは間違いなくコンサートに反映されています。ステージと客席の境目がなく,空間すべてがゲームへの愛情に満たされていくのです。あぁゲームが好きで良かったと思う素晴らしい空間でした。
3月9日
Music 4Gamer #2「ワンダと巨像」ピアノ&オーケストラコンサート
そうそう,物販のTシャツとタオルがめちゃくちゃ可愛かったので会場に着くなり買いに走りましたよ。任天堂公認アパレルブランド「THE KING OF GAMES」などで知られるエディットモードさんが,今回はSIEタイトルのグッズを作ったという意味でも,かなりのレア物です。
コンサートは2部構成。第1部はピアノソロ,ピアノと弦楽オーケストラで構成されていました。ピアノソロは「ピアノってこんなにたくさんの音が鳴るの……?」「これ10本の指で演奏してるの?」「というかこれ本当にピアノなの?」と疑問に思ってしまうほど。
目の前の演奏が,豊かな表現が,一つの楽器と一人の奏者から作られているなんて。信じられないほどでした。
「荒ぶる邂逅 〜巨像との戦い〜」「甦る力 〜巨像との戦い〜」「静寂 〜巨像との戦い〜」「力への畏怖 〜巨像との戦い〜」のメドレーは,まさに目の前でワンダが戦っているかのような臨場感。オーケストラを聴きながら手に汗を握る日が来るとは。
派手な演出こそないものの,ゲーム音楽をド正面から真摯に演奏してくれたコンサートだと感じました。いちゲームファンとして,ゲーム音楽という文化が,一つの文化としてきっちり昇華してもらえたような,そんな幸せな気持ちでいっぱいになりました。
いつかの未来で,もしこの世からゲームという文化が滅んだとしても,ゲーム音楽という文化だけが独立して語り継がれ,今日のように演奏される日がやって来るかもしれません。
ゲーム音楽の力は,もちろんゲームあってのものですが,プレイヤーの想いと共に語り継がれていく未来を想像して,にやりと笑ってしまいました。そんな日が来るのも悪くないなぁと思える,そんなオーケストラコンサートでした。
3月17日
「UNDERTALE × JAGMO Orchestra Concert」
そんな私が「UNDERTALE」を初めてプレイしたのは2016年のこと。まだ2年しか経っていませんが,本作の楽曲たちは私にとってすでに特別な存在でした。
昨年のE3で日本語版の発売が発表されたときは,まさかその翌年,こんなにもたくさんのファンで客席が埋め尽くされたコンサートが日本で開催されるなんて,想像だにしていませんでした。だって,元々は海外のインディーズゲームなんですよ?
開演前のモニター表示やら,公演のオリジナルグッズやら,UNDERTALE成分が散りばめられている空間自体にとてつもなく興奮していました。
「Respite / 自由」の演奏で全七章のうち六章が終わると,スクリーンに退場を促すカウントダウンが表示されました。なるほど。これから演奏されるのは,ゲーム本編で相当な体力と精神力を要する場面での楽曲。それを避けたい人は退場を,最後まで楽しみたい人は少し休憩を……という演出だったのでしょう。
演奏中,ゲームのシーンを編集した映像がステージで流れていたのですが,チョイスのセンスが絶妙でニヤリとさせられます。ネタバレを含むシーンにはモザイクがかかっていましたが,とくに「MEGALOVANIA / MEGALOVANIA」の前のアイツのセリフは,おそらくあの場にいた全員の脳内で再生されたことでしょう。
もう二度とやりたくないと誓ったGルートでさえ,もう一度プレイしたくなる恐ろしい演出でした。
ゲーム音楽というものは,一つ一つの音にたくさんのドラマが込められています。
数百人が「よーし今からこのゲームをやろうぜ!」と言って,スタートからクリアまで同じゲーム体験をすることは難しいでしょう。
でも,こうして同じ体験をした数百人が集まり,演奏を通じて追体験して,感動を共有することができるんです。
発売から何十年経ったタイトルだろうが,関係なく,鮮やかに感動をよみがえらせてくれる。
生きているなかで,こんなにも純粋に“好き”が報われて,好きでいて良かったと思えることなんて,そうそうないと思いませんか?
最近プレイしているゲーム(2018/3/24)
PS4:「ワンダと巨像」
Nintendo Switch:「ゼノブレイド2」
ニンテンドー3DS:「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとしてフリーランスで活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。
3月24日(土)18:00からは,「結チャンネル人狼 #19 ふにゃごろーVS『実弾生活』役者陣」を配信予定。ゲストは千葉県船橋市の非公認キャラクター・ふなっしーの弟,ふなごろー。これを迎え撃つのは,コメディアンのインコさんがプロデュースするコムニバスコントライブ「実弾生活」の役者陣。果たしてどうなることやら……。
公式サイト:http://yui-monogatari.com/
公式Twitter:https://twitter.com/xxxjyururixxx
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