プレイレポート
「なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!」は,独自のワイヤーアクションとレトロテイストが楽しい,快作アクションゲームだ
「なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!」
公式サイト
おしりの「ヒップラグ」でくり出す
自由自在のなげなわアクション
まずは本作の主人公,ちびロボについて紹介しよう。今から10年前に発売されたニンテンドー ゲームキューブ用「ちびロボ!」で初登場した彼(!?)は,身長10cmの,オレンジ社製のお手伝いロボット。おしりに付いた「ヒップラグ」から,電力(ワッツ)を充電して活動する自立型ロボットである。そんなちびロボが,本作では地球に突如襲来した宇宙人を撃退するべく,世界を駆けめぐることになるのだ。
本作で大きくフィーチャーされているのが,タイトルにもある「なげなわアクション」だ。おしりにあるヒップラグを投げ縄のようにグルグルと回して放り投げることで,ちびロボならではのワイヤーアクションが行える。
ゲームでのワイヤーアクションというと,天井などにぶら下がって自在に移動する様子を思い浮かべる人も少なくないだろうが,ちびロボのなげなわアクションは敵を攻撃したり,アイテムを取ったり,ギミックを動かしたりと,移動以外のアクションにも対応している。
ヒップラグの使い方には2種類あり,この使い分けがゲームをさらに面白くしている印象だ。
その一つは「クイックスロー」。Xボタンを押すことでヒップラグを素早く投げるアクションで,移動しながら投げたり,連続して投げたりすることができる一方,投げる方向がちびロボの前方と前斜め上と決まっている。普段は目の前の敵を攻撃したり,ヒップラグを挿してジャンプできるパネルを連続で移動したりするときなどに使用することになるだろう。
ジャンプや落下中にXボタンを押しっぱなしにすると,ヒップラグをグルグルと回して,一定時間空中をホバリングできるのも大きな特徴だ。
ヒップラグを当てるとマネ(コイン)が出てくるブロックには,素早く何度もぶつけられるクイックスローが向いている |
ホバリングは足場の少ない場所では重要なテクニック。それほど長くは飛べないので,使いどころを考えよう |
もう一つの「パワースロー」は,いわゆる「ため撃ち」的なアクションで,Yボタンを押しっぱなしにするとちびロボがその場にとどまってヒップラグを回し,画面に現れるカーソルを動かした方向に飛ばすことができる。自由な方向に飛ばせるほか,その名のとおりパワーがあるので,硬いブロックを壊したり,複数の敵をまとめて倒したりできる。ただし,くり出すまでに一定のため時間が必要で,空中で使うこともできないので,使用できる場所は限られている。
また,パワースローで投げたヒップラグは壁にぶつかると反射するという性質を持っていて,ビリヤードの要領で角度を計算することで,まっすぐ投げるだけでは届かない場所にヒップラグを投げることも可能だ。
ゲームを少し進めると使えるようになるパワースロー。足場があるところだけで使え,自在に方向を決められる |
パワーがあるので,複数のブロックを一気に壊せたり,耐久力の低い敵をまとめて倒せる |
両者は押すボタンが違うので,最初は若干戸惑うかもしれないが,ジャンプボタン(Aボタン)に近いほうがクイックスロー(Xボタン),遠いほうがパワースロー(Yボタン)という感覚で覚えれば,慣れるのも早いのではないだろうか。
ボールを取るとヒップラグのコードが伸びていく。レッドボールはクイックスローとパワースロー,ブルーボールはパワースローに対応 |
ヒップラグの軌道上にあるアイテムは取ることができるので,ちびロボが行けない場所にあってもコードを長くしていれば問題ない |
なげなわアクションを
存分に楽しめるコースが満載
ちびロボが旅するのは,世界各国の六つのワールドで,それぞれに六つのコースが用意されている。
各コースをクリアするとルーレットの画面が現れ,そこで出た数字の分だけ進んだところにあるコースをプレイできるという変わった仕組みになっており,すべてのコースをクリアすると,そのワールドのボスステージが登場する。
コースはルーレットで決まる。クリア済みのコースに止まると,もう一度コースをプレイする必要がある |
コースに時折設置されているコンセントは,ワッツメーター回復のチャンス。体力だけでなく活動時間も回復する |
身長10cmのちびロボが挑む世界だけあって実はかなり小さい。背景に見えるオブジェクトや道中で拾うゴミ,充電(ワッツメーター=エネルギーの回復)に使うコンセントなどから,その大きさを感じることができるだろう。
各コースはクリアするだけなら,ゴールに向かって進めばいいのだが,道中には「でかマネ」(アイテムを買うためのマネ=コインの中で最大のもの)や「ちびちび」(ちびロボよりもさらに小さなロボット)など,任天堂のこの手のアクションゲームでは定番の,探索を促す収集要素がそこかしこに散らばっている。
その中でも「お菓子」は本作の見どころの一つで,国内外の実在するメーカーとコラボレーションし,現在も売られている著名なお菓子100種類を宝箱から入手できる。
本作の公式サイトでも銘柄の一部が見られるが,いわゆる特定のメーカーとのプロモーションがらみのタイアップとは違うため,見た目もバラエティに富んでいて,さらに筆者のようなアラフォー世代にもヒットする,昭和の時代から現在まで売られているロングセラー商品が並ぶのもツボだ。
お菓子はコースに隠された宝箱に入っている。思わずコンビニに走って買いに行きたくなる完成度だ |
入手したお菓子は,拠点のちびロボハウスにある「ちびPC」の「ずかん」に集められていく。パッケージや中身を自由な角度や大きさで閲覧できる |
ちびロボがお菓子を手に入れると,パッケージとともにお菓子本体のCGが現れるのもまたユニーク。我々見るほうにとっても初めての体験だが,開発陣も実在するお菓子のCGモデルをこれほど多く制作したのは,きっと初めての経験だったのではないだろうか。
これらの収集要素を探すのために活躍するのが,やはりヒップラグである。ヒップラグのパワースローは,アイテムを取ってコードを長くしておくと,カーソルが出ている間カメラがグッと引きになるので,画面外に隠されたものを見つけやすくなる。また壁に反射させたときに,思わぬ通路が発見できることもある。
「この空間は怪しいな」と思ったときは,パワースローを試してみると,たいていの場合アイテムそのものや,そこにたどり着くためのルートが自然に発見できる。このレベルデザインは秀逸で,思わず繰り返し遊びたい衝動に駆られてしまうほどだ。ボスを倒してワールドをクリアすれば,そのワールドのコースを自由に選んで再挑戦できるようになるので,しっかりやり込みたい人も満足できるのではないだろうか。
さりげなく盛り込まれたレトロテイストが楽しい
アクションゲームの快作
ゲームは残機制ではなく,ちびロボがやられたときは,画面左下のワッツメーターが一定量減るという親切仕様ながら,コースによっては一発アウトの場所もあり,そういうところに限って強制スクロールのいわゆる「初見殺し」的なコースだったりするので,意外に気の抜けない難度でもある。何度かミスをすると手持ちのマネを払ってクリアできるという救済処置もあるので,あまり心配する必要はないが,念のためお伝えしておきたい。
ちびロボのデザインや登場する懐かしのお菓子,コース中に落ちているゴミなど,そこはかとないレトロデザインが演出として心地いいアクセントになっていて,ゲームのプレイのモチベーションを促進してくれる。筆者のような世代に限らず,グッとくるプレイヤーは多いことだろう。
また,サイドビューのアクションゲームになったことで,これまでのシリーズのファンに限らない層が,ちびロボ!の世界観に触れるきっかけになるのではないかと思う。現在は体験版も配信中なので,まずはそちらを試してみてほしい。
「なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!」
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