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「ゲームのふるさと」である日本にふさわしいタイトルを配信したい。iOS向けMOBA「Vainglory」を手がけるSuper Evil MegacorpのCEOインタビュー
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印刷2015/03/26 00:00

インタビュー

「ゲームのふるさと」である日本にふさわしいタイトルを配信したい。iOS向けMOBA「Vainglory」を手がけるSuper Evil MegacorpのCEOインタビュー

画像集 No.005のサムネイル画像 / 「ゲームのふるさと」である日本にふさわしいタイトルを配信したい。iOS向けMOBA「Vainglory」を手がけるSuper Evil MegacorpのCEOインタビュー
 2014年9月に開催されたAppleの発表会で披露され,話題を呼んだiOS向けMOBA「Vainglory」。北米などの地域ではすでに配信され,高い評価を受けている本作が,いよいよ日本での展開を開始する。

 先日開催されたGame Developers Conference 2015で,開発元であるSuper Evil MegacorpのCEO,Bo Daly氏(ボー・デーリー)氏に話をうかがうことができたので,その模様をお届けしよう。

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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今日は「Vainglory」についてお聞きしたいのですが,その前に,Dalyさんがこれまでどんなお仕事をされてきたのかを教えていただけますか。

Super Evil Megacorp CEO Bo Daly氏
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Bo Daly氏(以下,Daly氏):
 ゲーム業界には13年以上いて,エンジニアとビジネス分野の仕事を経験してきました。Super Evil Megacorp(以下,SEM)を立ち上げる前は,「Marvel Heroes 2015」などを手がけたGazillion Entertainmentで,ビジネス部門の海外パートナーシップを担当していました。

4Gamer:
 Dalyさんは日本語も堪能のようですが,その仕事で日本に来られたこともあるんですか。

Daly氏:
 ええ,日本に何度も行きましたので,「Vainglory」の仕事でまた日本に行く機会ができて嬉しいです。

4Gamer:
 エンジニアとしてはどんなお仕事をされていたんでしょうか。

Daly氏:
 Gazillion Entertainmentの前に,Rockstar Gamesで「Red Dead Revolver」と「Red Dead Redemption」に関わっていました。実は今もCEOとしての仕事のほかに,サーバー開発もやっているんです。小さい会社ですから,私以外のメンバーも複数の仕事をしています。

4Gamer:
 エンジニアリングとパートナーシップ関連の仕事だと,同じゲーム業界とはいえ,まったく違う内容の仕事になると思うのですが,なぜその2つを経験することになったのでしょうか。

Daly氏:
 Gazillion Entertainmentに入社したころから,いつか自分の会社を立ち上げたいと思っていたので,エンジニアリングだけでなく,ビジネス全般のことを学べるプロジェクトを希望したんです。

4Gamer:
 なるほど。SEMは念願叶っての設立だったんですね。

Daly氏:
 SEMのCTOを務めているTommy KrulとCCOのStephan Shermanは長年の友人で,いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。彼らはRiot Gamesにいたんですが,そこを離れることが決まったと聞いて,彼らと組んでゲーム会社を作ろうと決め,実行に移したんです。2012年から,本当に素晴らしい時間を過ごしてきました。

4Gamer:
 Dalyさんはそういう思い入れのある会社に,“超邪悪巨大企業”という意味の名前を付けたわけですが(笑),この社名の由来について聞かせてください。

Daly氏:
 いい質問ですね(笑)。私たちは,大きな組織で働くうちにアイデンティティを失い,クリエイティブなことができずにいるゲーム開発者達へメッセージを送りたいと思っていました。この会社は,デザインやテクノロジー,カスタマーサービスなど,さまざまな面でゲーム開発に携わる“職人”達にとって働きやすい場所で,小さい組織のまま,トップレベルの才能を持つ人たちの力になれるようサポートすると。

4Gamer:
 あぁ,ただ,それをストレートに伝えるような社名にしてしまったら面白くない,ということですね。

Daly氏:
 ええ,ユーモアを忘れずにいようという願いや,私達が「なりたくない姿」という自戒の意味も込めています。

4Gamer:
 それでは,「Vainglory」について聞かせてください。個人的にMOBAというと,まず思い浮かぶのはPC向けのタイトルで,スマートフォンやタブレット向けのタイトルはすぐには出てこないのですが,まだ競争相手が少ない市場を狙ったということでしょうか。

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Daly氏:
 私達の狙いは,コアゲームの体験をタッチスクリーンにもたらすことです。SEMのメンバーはいずれもコアゲームが好きで,それを通じてほかの人とリアルなつながりを築き,週末にはLANパーティーを楽しむなどして育ってきました。そんなわくわくするような体験を,新しいプラットフォームで生み出したいと思ったんです。

4Gamer:
 「スマートフォンやタブレットで受けそうなもの」を探したのではなく,自分達が面白いと思ったものを広めたい,ということなんですね。

Daly氏:
 はい。MOBAはコアゲームのエッセンスを備えている素晴らしいジャンルなので,最初の作品として挑戦することは自然な流れでした。タッチスクリーンでの直感的な操作によってプレイヤーがゲームに集中でき,もっとゲームが楽しくなると思っています。MOBAジャンルにも一石を投じる作品になるのではないでしょうか。

4Gamer:
 MOBAにはコアゲームのエッセンスがあるとのことですが,Dalyさんが考えるMOBAの面白さとは何でしょうか。

Daly氏:
 2つあると思います。まず,簡単に始められて誰でも楽しめるのに,競技性が高く,達人になるのが難しいというところ。また,生身の人間同士が戦うため,試合のパターンが無数に存在して,ほかのプレイヤーとのつながり,チームワークが重要になるところですね。MOBAにはいつも驚かされます。

4Gamer:
 なるほど。では,VaingloryがほかのMOBAタイトルと比べて大きく違うところ,特徴はどこになるでしょうか。

Daly氏:
 まず,何年もかけて作り上げた独自のゲームエンジン「E.V.I.L.」を使っているところを挙げたいですね。これによって,美麗なグラフィックスや視覚効果,そして素早い反応のコントロールをタッチスクリーン上で実現しました。
 また,1つのレーンと豊かなジャングルで構成されるマップも特徴です。プレイヤーは今までと違った方法でさまざまな戦略を立てたり,それに対応できるチームを組んだりする必要が出てくるはずです。

4Gamer:
 ほかのMOBAタイトルだと5対5の形式で,レーンが3つほど用意されているものが多いようですが,Vaingloryは3対3,レーンも1つというシンプルな構成ですよね。

Daly氏:
 小さいスクリーンのタッチデバイス向けに開発するにあたって,MOBAというものを1から見直した結果がこのマップです。私達はMOBAを必要以上にカジュアルにしたり,逆にPCやコンシューマゲーム機向けの仕様をそのまま移植したりするつもりはありませんでした。最終的にコンパクトなゲームになりましたが,奥深さは失わないよう細心の注意を払っています。

4Gamer:
 なるほど。このあたりはスマートフォンやタブレットに合わせた調整ということですね。

Daly氏:
 ヒーロー達も特徴的だと思います。Vaingloryでは,すべてのヒーローが複数の役割をこなせるんです。例えば「アダージオ」はサポート役として優秀ですが,盾役寄りのプレイも可能です。アイテムの取り方によって役割が変わるようなヒーローも用意しています。

4Gamer:
 そのヒーロー達の外見がバラエティに富んでいて面白く感じるのですが,このような世界観のアイデアはどこから得ているのでしょうか。

Daly氏:
 ありがとうございます(笑)。ヒーローを担当するチームは個性派揃いで,いろいろなところからインスピレーションを受けているようです。アートディレクターはゲームだけでなく,映画のキャラクターデザインの経験もあるのですが,彼は日本のRPGや格闘ゲームからアイデアを得ることもあると聞いています。

4Gamer:
 あぁ,格闘ゲームっぽいなと思ったキャラクターは確かにいました。

Daly氏:
 一番新しいヒーローである「アルダン」と「セレス」のアイデアは,ビデオコンテンツディレクターのPatrick “Ciderhelm” O’Callahanが考案したバックストーリーから生まれました。アルダンとセレスはバラバラになってしまった家族3人のうちの2人なんです。最後の1人は次にリリースされる「Vox」です。

アルダン
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セレス(上)とVox(下)
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4Gamer:
 ヒーローそれぞれのストーリーもしっかり考えられているんですね。毎月ヒーローが追加されていくようですが,最終的にはどれくらいまで増やしたいと思っていますか。

Daly氏:
 特に最終的な数は決めていませんが,このペースでどんどん出していくつもりです。

4Gamer:
 新しいキャラクターが次々に出てくると,有効な戦略も変わって,長く楽しめそうですね。ちょっとヒーローの話が長くなりましたが,そのほかのVaingloryの特徴についても教えてください。

Daly氏:
 はい。ほかのMOBAに無いポイントでは,ほかのプレイヤーと同じ部屋で楽しめるところも外せないですね。MOBAは素晴らしいゲームなので,1人でプレイするのもいいですが,友達と一緒にプレイするともっと楽しくなります。

4Gamer:
 確かにデスクトップPCやコンシューマゲーム機でのLANパーティは,機材のセッティングだけで一苦労ですけど,スマートフォンなら場所を選ばずにすぐ始められますね。
 今説明してもらった,本作独自の特徴をまとめ上げるのは,難しい作業だったと思うのですが。

Daly氏:
 はい。さきほどお話しした,Vainglory独自のマップには苦労しました。スマートフォンやタブレットでは,スクリーンと操作系が同じ場所になるので,キャラクターを操作する指が邪魔にならないよう,画面の見やすさと操作性を両立させるのが非常に難しかったです。

4Gamer:
 マップだけの問題ではなくて,操作系などと合わせた調整が必要だったんですね。

Daly氏:
 コアゲームにおいて,プレイヤーが操作方法に気を取られてゲームに集中できない事態は避けないといけません。スワイプや複数の指でのタップなど,さまざまな操作方法を試して,繰り返し検討した結果,一本指のタップが一番いいだろうということになりました。簡単かつ正確に,素早く操作できるものに仕上がったと満足しています。

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4Gamer:
 本作が初めて披露されたのは,2014年の9月に開かれたAppleの発表会でしたよね。ゲーム開発用の新技術「Metal」を活用したタイトルとして紹介されたのを覚えているのですが,Super Evil Megacorpは設立からそれほど時間が経っていなくて,知名度もそれほどない中,なぜあのような大きな場所で紹介されることになったのでしょうか。その経緯を聞かせてください。

Daly氏:
 独自のエンジンを使って開発していたため,汎用のゲームエンジンを使っているほかのデベロッパより自由にMetalやA8チップを活用できて,美しいグラフィックスを実現できたからではないでしょうか。そこがAppleの目にとまったのだと思います。私たちの技術力があったからだと自負していますが,それ以外にも,ちょうとMetalが発表されるタイミングに重なるという運の良さもありましたね。

4Gamer:
 それでは,日本での展開について聞かせてください。個人的に,日本ではほかの国に比べて,MOBAの盛り上がりがもう一つだと感じているのですが,日本のプレイヤーにアピールしたいところはどこですか。

Daly氏:
 Vaingloryは友達とプレイするチーム競技です。日本では「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズや「モンスターストライク」のような,友達と一緒にプレイするゲームや,サッカーや野球といったチームスポーツが人気ですが,その感覚に近いものだと思います。

4Gamer:
 友達とスマートフォンを持ち寄って一緒にプレイすると,より楽しくなると。基本プレイ無料のゲームですし,誘いやすいですね。

Daly氏:
 日本でのMOBA人気がほかの国に比べて低いということに,確固たる答えがあるわけではないのですが,PCやコンシューマゲーム機向けのMOBAにある,プレイヤーが1人ヘッドフォンをつけてプレイするような孤独感を生まないように気をつけました。Vaingloryを友達同士でランチ中のレストランやバー,友達の部屋といったところでプレイするのは,今までのMOBAと全く違う感覚です。

4Gamer:
 PCやコンシューマ機でプレイして,今ひとつ面白さを感じられなかった人でもVaingloryなら気に入るかもしれないと。

Daly氏:
 ぜひプレイしていただいて,気に入っていただけるかどうか評価を待つのみです。すでに配信されている北米などの地域では,Vaingloryは普段MOBAをプレイしていない人にも楽しんでいただいていますので。もちろん,既にMOBAを遊んでいる皆様への期待にも応えたいです。

4Gamer:
 配信時期はまだ確定してないようですが,そう遠くないうちということでよろしいですか。

Daly氏:
 はい。今年(2015年)春には開始したいですね。

インタビュー時に開発中の日本語版を見せてもらうことができた
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4Gamer:
 Android版のクローズドβテストが始まって,こちらに期待している人も多いと思います。iOS版のプレイヤーとも遊べるようになるのでしょうか。

Daly氏:
 最終的にはAndroidとiOSのプレイヤーがデバイスを問わず同じゲーム体験ができるようになり,一緒にプレイできるようにするつもりですが,まだAndroid版は開発の初期段階ですし,クオリティとゲームプレイの基準を満たすまではGoogle Playにリリースしない予定です。

4Gamer:
 Vaingloryの公式サイトは,チュートリアルなどが充実しているので,ゲーム本編だけでなくて,サイトのローカライズにも期待しているのですが,どうでしょうか。

Daly氏:
 いい質問ですね! サイトやチュートリアルビデオなど,コンテンツはできるだけローカライズしたいと思っています。

4Gamer:
 その公式サイトを見ると,Dalyさんをはじめとして,開発者のみなさんのプレイヤーネームが書いてありますね。日本からのプレイでもみなさんと対戦できるのでしょうか。

Daly氏:
 英語版の公式サイトに掲載されているプレイヤーネームは,北アメリカサーバーのものなので,日本のみなさんとはプレイできないのですが,日本語版の配信に合わせてプロフィールをアップデートして,日本のサーバーのものも追加したいですね。

4Gamer:
 それは楽しみです。それでは,Vaingloryのリリースを待っている日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

Daly氏:
 私達は任天堂のゲーム機やPlayStationで遊んで育ってきて,日本のゲームがとても大好きですので,日本でVaingloryを配信できることをとても嬉しく思っています。私達のゲームはコミュニティが中心です。フィードバックをいただいて,Vaingloryがみなさんにとってぴったりのゲームとなるよう成長させていきたいです。
 ただ,日本は「ゲームのふるさと」ですので,完璧に仕上げてから配信したいと思っています。配信日については,もうすぐ皆様にニュースをお届けできるはずです!

4Gamer:
 期待しています。本日はありがとうございました。

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