放置ゲームに重厚なストーリーを。スマートフォン向け放置型RPG「ここで死ぬわけにはいかない」を紹介する「（ほぼ）日刊スマホゲーム通信」第310回

スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが，「じゃあ，どれが面白いの？」「そもそも，数が多すぎて好みのタイトルが探せない！」と思っている人も少なくないはず。　そんな問題を解決すべく，スタートした連載が「（ほぼ）日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで，スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして（ほぼ）毎日お届けする。

　ダンジョンを指定し，武器や防具を装備させ，指定の時間まで放置することで冒険が完了する，いわゆる「放置型RPG」は，スマートフォンゲームでは非常に人気のあるジャンルとなっている。本日の「（ほぼ）日刊スマホゲーム通信」で紹介する「ここで死ぬわけにはいかない」（iOS / Android）もそんな放置型RPGのひとつだが，これまでの作品ではあまり見かけることのなかったストーリー性重視の意欲作だ。

本作は無料でダウンロード可能。ドットグラフィックスが美しい

iOS版「ここで死ぬわけにはいかない」ダウンロードサイト

Android版「ここで死ぬわけにはいかない」ダウンロードサイト

　平和な王国に突如として，強力な力を持つ魔王が復活したとの噂が流れる。それに合わせるように魔物たちの数が増え始め，被害も報告されるようになった。危険を察知した国王はすぐに討伐隊を結成。隊長である主人公は王命を受け，魔物討伐の旅へと赴く。
　討伐の途中で小さな集落「アインの村」を訪れた主人公たちだったが，村は魔物の襲撃を受け，壊滅寸前の状態だった。母親の亡骸にすがりつき，呆然とする少年を魔物たちから保護した主人公は，魔物の手から逃げ延びた国民を救いつつ，村からの脱出を試みるのであった……。

　……という，何とも重く，そして正義感がくすぐられるプロローグで幕を開ける本作。超大作RPGが始まってしまいそうな雰囲気だが，実際にやることは従来の放置型RPGと同じなので，そこはご安心を。
　本作は拠点へ赴いて国民を救出しながら，平和な王国を取り戻すことが目的となる。ひとつの拠点を攻略するたびにストーリーが進み，新たな救出地となる拠点が開放されるようになっているのだ。

アインの村で救った少年が徐々に心を取り戻す様子や，主人公に待ち受ける過酷な運命など，物語はなかなか熱い

　各種メニューの中でメインとなるのは「救出」。「アインの村」「貧民街ドライア」といった拠点を選択し，つぎに拠点内のどの区画まで救出活動を行うかを選択する。指定した拠点や区画によって，最終的に攻略にかかる時間が変化するあたりは，放置型RPGではお馴染みのシステムだ。

　なお，一般的な放置型RPGでは，ダンジョンへ向かう際，「武器」や「防具」といった装備品を設定するが，本作では武具に当たる要素が救出した「国民」たちとなっているのが面白い。
　たとえばアインの村では「気弱な農夫」「気丈な農婦」といった国民を救出することができるが，彼らにそれぞれ「攻撃力」と「防御力」が設定されているという具合だ。
　拠点救出には2人まで「お供」として国民を連れて行くことができ，彼らのステータスが主人公にプラスされることになる。また，国民には「ノーマル」「レア（R）」「スーパーレア（SR）」というランクがあり，当然ながらレア度が高いほどステータスも高く，とくにスーパーレアは桁違いの強さを持っている。

国民はある程度の区画まで攻略すれば救出できるほか，攻略中に発見した「宝箱」から入手（？）することもできる。また，国民の中には「＋○」と数字が割り振られているものも存在し，それはその数値分，ステータスが強化されている

　拠点攻略はすべて自動で行われ，モンスターとのバトルや発見した宝箱の中身などはログで確認可能。宝箱の中にはレアな国民や，拠点攻略時に装備できるステータス上昇系アイテム，Goldに換金できるコインなども眠っている。一度クリアした拠点は何度でも攻略可能なので，攻略を繰り返しアイテムや国民を補充していこう。ステータス上昇系アイテムは一度使うとなくなってしまうので，なるべく在庫を確保しておきたいところ。

救出作戦中は，リアルタイムでログが更新されていく。これを眺めているのも結構面白い

中盤以降は，ステータス上昇系アイテムによる強化が欠かせなくなってくる。2つまで装備できるので，上げたいステータスを絞って強化していこう

　序盤はそこまで苦労しないが，「フィアナ砦」辺りからモンスターの強さもかなりのものになってきて，レア以上の国民を救出していないと太刀打ちできない場面も増えてくる。基本的に新しい拠点に挑む際は，ひとつ前の拠点を繰り返し攻略し，レア，可能ならばスーパーレアの国民で固めて攻略に出るのが賢い戦い方だ。

　なお国民は，同じ職業の者同士ならば「特訓」で強化することができる。これはいわゆる合成で，たとえば「旅の商人」を特訓するならば，もう1人「旅の商人」を用意して，ベースとなる国民を素材となる国民で強化するという感じだ。
　また，＋○のような強化国民で特訓を行うと，その数値分，ベースとなった国民にプラスされる。たとえば旅の商人＋1に旅の商人＋4で特訓を行うと，旅の商人＋5になるのだ。これを繰り返せばどんどん強化が可能だが，強化には「特訓アイテム」「特訓費用」といった費用がかかるほか，特訓が終わるまで一定の時間待つ必要がある。また，国民によって強化の限界もあるので，事前に確認しておこう。

強化した国民はまさに主人公の手足となって活躍してくれるが，拠点攻略に失敗すると彼らも消えてしまうので，救出に向かう際はくれぐれも慎重に

　救出した国民や倒したモンスター，救出成功数などこれまでの各種情報をデータベースとして閲覧することもでき，コンプリート的要素もあるので好きな人にはたまらないだろう。全体的な難度は割りと低いので取っ付きやすいが，スーパーレア国民を救出しても，次の拠点のノーマル国民のほうが強かったりするため、訓練のタイミングがあまりないのは少々不満だ。
　また、終盤はモンスターが異常なほど強いので、この辺りのバランス加減は人によってはストレスを感じるかもしれない。

　とはいえ全体的なクオリティは高く，攻略も比較的サクサクと進むので，幅広くオススメしたい良作な放置型RPGだ。主人公が歩む激動の運命を，ぜひとも最後まで見届けてほしい。

著者紹介：トリスター/目代将規
　ゲームやアニメの書籍企画，編集，シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや，一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。

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