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「ベルセルク 黄金時代篇 I 覇王の卵」試写会で,「Dragon's Dogma」×「ベルセルク」コラボの詳細が明らかに。制作陣によるトークセッションをレポート
試写会では,映画「ベルセルク」が公開日に先駆けて披露されたのはもちろん,同作の監督を務める窪岡俊之氏と世界観監修の岩尾賢一氏,「Dragon's Dogma」のプロデューサー小林裕幸氏によるトークセッションが展開された。
映画「ベルセルク」と「Dragon's Dogma」のコラボレーションについては,以前「こちら」の記事でもお伝えしたが,今回その具体的な内容が明かになった。本稿では,両作品の制作秘話も語られたその模様をお伝えしていこう。
「ベルセルク 黄金時代篇 I 覇王の卵」公式サイト
「Dragon's Dogma(ドラゴンズドグマ)」公式サイト
「ベルセルク 黄金時代篇 I 覇王の卵」ストーリー
己の剣だけを信じてきた。友も家族も帰る故郷もない──孤独な剣士ガッツは、百年戦争に揺れる地を傭兵として渡り歩いていた。身の丈を超える長大な剣を自在に操り、強大な敵をいとも簡単に倒すガッツ。そんな彼に目をつけたのが、傭兵集団“鷹の団”を率いるグリフィス。美しい姿からは想像もつかない統率力を持ち、大いなる野望を秘めたグリフィスは、自らの夢を叶えるためにガッツを決闘で制し,鷹の団に引き入れる。
数々の激戦を共にくぐり抜けるうちに、信頼で結ばれていく仲間たち。なかでもグリフィスとガッツの絆は、今や特別なものとなっていた。やがて鷹の団はミッドランド王国の正規軍にのし上がるが、それはグリフィスの目指す頂点へのはじめの一歩にすぎなかった。一方ガッツは、グリフィスの「夢」に取り込まれ剣を振り回すだけの人生に疑問を抱
き始める。だが、ガッツはまだ知らない。果てなき夢が二人に与えた,恐るべき宿命を──。
映画「ベルセルク」は,20年以上におよぶ原作の物語すべてを映像化するという,ベルセルク「サーガプロジェクト」第1弾として発表された「黄金時代篇」全3部作の,1作めとなる。「サーガプロジェクト」の始まりであり,原作でも人気の高い「黄金時代篇」ということで,発表時から多くのファンの注目を集めてきた。
映画を観てまず感じたのは,最新CGを駆使した美麗な映像表現が素晴らしいということ。とくに序盤の群衆シーンなどは,ハリウッド映画にも引けを取らない迫力だった。加えて,巧みなカメラワークも大きなポイントだ。先に挙げた群衆の場面や,後半に登場するゾッドとの対峙シーンを始め,とにかくカメラワークの巧さに感心させられる場面が多い。またベルセルクといえば,リアルさを追求した過激なゴア表現もある意味で魅力の一つだが,映画でも,原作同様のかなりきわどいシーンが随所に見られた。「ここまでやっちゃっていいの?」と思うような場面もあるので,心臓の弱い人は注意したほうがいいかもしれない。
物語は,ガッツがグリフィスと出会い,鷹の団に入る場面から始まる。原作が忠実に再現されているので,熱心なベルセルクファンも満足のいく仕上がりになっていることを保証しよう。なお,コミックスでは第3巻から展開する「黄金時代篇」ではあるが,実質的には“ベルセルクの始まりの物語”なので,漫画を未読の人にもオススメだ。興味のある人はぜひ劇場に足を運んでみてほしい。
制作秘話が次々と明らかに。
「ベルセルク」と「Dragon's Dogma」の共通点とは?
トークセッションでは,最初に小林裕幸氏が登場して「Dragon's Dogma」の概要とその魅力を語る。オープンワールドの広大なマップを冒険するワクワク感や,モンスターに跳び乗って攻撃できる自由度の高いアクション性,最大4人で遊べるネットワークプレイなどをアピールしていた。
このコラボによって,Dragon's Dogma内に「白い鷹の装具」と「切り込み隊長の装具」が登場するという。ベルセルクファンには説明不要だが,前者はグリフィスの,後者は主人公のガッツが愛用している装備品だ。小林氏によると,Dragon's Dogmaのスタッフの中にはベルセルクのファンが多いらしく,かなり気合いを入れて制作されているとのこと。入手条件は明かされなかったが,こちらも近いうちに発表されるそうだ。また,リリース日程に関しても近いうちに明らかになるとのことなので,ファンは期待して待とう。
ベルセルクは日本発のファンタジーをモチーフとした作品ということもあり,海外でも話題となっている。それを踏まえて窪岡氏は,「ハリウッド作品に多々見られるような,少しおかしな(日本風の)時代劇のようにならないように心がけました」と,制作のポイントを明かした。
また制作では,原作者の三浦建太郎さんが企画の段階から参加しており,細かい打ち合わせを何度も重ねていたとのこと。三浦さんからは,「(設定などで)調べるべき部分は徹底して調べてほしいのですが,デザイン面はそこまでこだわらなくも大丈夫です」と言われ,ある程度は自由に制作できたという。ただ,変えるべき部分と変えられない部分のジャッジが難しかったとも語られていたので,やはり制作時には相当の苦労があったようである。
また岩尾氏によると,甲冑の付け方一つを取っても,それだけで人の動きが変わってくるため,甲冑の描き方にもかなりこだわったという。岩尾氏が見たところ,Dragon's Dogmaもそのあたりがしっかりと作られているそうで,ゴブリンのストラップの留め金が1個1個再現されている点など,非常にこだわりが感じられるとしていた。
続いては映像表現に関するトークへ。
まず窪岡氏は,「あの物量を再現するには,CGを使わなければ無理だった」と,3DCGを導入した理由を語った。一方で,顔のアップには手描きイラストを採用。主な理由としては,「上を向いた時に顔が崩れてしまうことがあるから」という点がを挙げられていた。逆に手描きだと難しいシーンは,「群衆シーン」や「カメラと連動するシーン」。加えて,ゾッドの毛の質感や,筋肉の表現,動いた時の“巨大感”なども手描きで表現するのは難しかったらしい。
一方岩尾氏は,ベルセルクについて「西洋剣術の流れが良くできた作品」だと話す。特に終盤の暗殺シーンなどはビックリするくらいの完成度に仕上がっていると絶賛。
岩尾氏曰く,鎧を攻撃するときは,装甲のつなぎ目を狙うのだという。しかし今作では,ガッツの力強さを出すために,装甲の上から皮膚を切り,肉を切り,骨を断っていくという表現を採用している。氏は,その一連の流れが見事だったと話していた。
ベルセルクとDragon's Dogmaの共通点について聞かれると,窪岡氏からは「世界の手触り感」との答えが出ていた。アニメとゲームという違いはあるが,リアリティを高めるという思想はまったく同じであるという。一方小林氏は,ベルセルクについて「アニメとCGの融合感がすごい」とコメント。セルの良さが出ており,暖かさを感じるという。
岩尾氏は,「両作とも職人魂をすごく感じる」とし,スケジュールによっては妥協しなければならない部分も出てくるが,「魂の部分だけは妥協しないぞ」という熱意があるため,作品に込めた愛を強く感じると語っていた。
トークはこのあたりで終了。最後に次作の見どころについて,窪岡氏は「今朝,第2部の編集が終了しました。アフレコもほぼ終わっています。ドルドレイのシーンはかなり力を入れて作っていますので,期待していて下さい。あと,次作は濡れ場なんかもあるので……たぶんウリになるのかなと(笑)。3部は半分くらいできている印象はありますが,具体的に何パーセントであるかなどは,まだ言える段階ではないですね。まだまだ大変ですが頑張ります。よろしくお願いします」とコメント。
岩尾氏は,「軍装や編成に関しては,非常に細かい部分まですでに決めてあります。そのうえで,実際に甲冑を当てはめて,どの断片を切り取ってもどこの部隊と戦っているか分かるようにします。ベルセルクの魅力であるモブシーンが炸裂するんじゃないかなと思っていますので,期待していてください」とした。
最後に小林氏は,「僕も一ファンとして第2部に期待しつつ,自分は『Dragon's Dogma』をちゃんと仕上げます。もうほぼできているので,もうすぐ発売日も発表できると思いますよ。また大きなタイアップなども発表しますので,お付き合いいただければと思います」とコメントして,試写会を締めくくった。
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