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印刷2011/08/04 00:00

インタビュー

「ACE COMBAT ASSAULT HOLIZON」,河野一聡氏をはじめとした6人のコアスタッフにインタビュー

 バンダイナムコゲームスから2011年10月13日に発売予定のPlayStation 3 / Xbox 360用フライトシューティングゲーム「ACE COMBAT ASSAULT HOLIZON」(エースコンバット アサルト・ホライゾン,以下「ACAH」)。
 以前「こちら」の記事で,メディア向けの先行体験会のレポートをお伝えしたが,会場では,プロデューサー兼ディレクターの河野一聡氏をはじめとした,PROECT ACESのコアスタッフ6名に,それぞれ15〜30分程度の短い時間ではあるが,個別にインタビューすることができた。
 「ACAH」について,作品にかける想いや開発秘話など,興味深い話をいろいろと聞けたので,ぜひ最後まで目をとおしてほしい。

河野一聡氏(プロデューサー兼エグゼクティブディレクター)
井崎夏樹氏(ゲームデザインディレクター)
大田黒鉄也氏"(リードプログラマー)
小林啓樹氏(サウンドディレクター)
糸見功輔氏(ビジュアルアートディレクター)
菅野昌人氏(アートディレクター)


ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」公式サイト



エースコンバットのブランドを“一段上”にするために勝負をかける


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 河野さんは全体を統括される立場ではあると思いますが,「ACAH」の制作にどのような形で携わっているのかを,あらためて教えてください。

河野一聡氏(以下,河野氏):
 プロデューサーとしては,商品を展開するために,どのターゲットにどのような戦略で売っていくかを考えました。あとエグゼクティブディレクターという肩書きもありますが,これは総監督のことで,ビジュアル,シナリオ,サウンド,ゲームを全部つないで一つの形にするときにディレクションをしていく,という仕事をしています。


4Gamer:
 「ブランドとして弱まっていた」エースコンバットというブランドを,今後も存続させていくために,あえて大きな挑戦に挑んだということなのでしょうか?

河野氏:
 エースコンバットシリーズは,100万人くらいのユーザーさんに支えられているんですが,ブランドの持つ世界観が濃くなっていて,周りから見ると分からない世界になっているんです。それと,海外ではエースコンバットの認知度が意外と低いんですね。それで「これは思った以上にブランド力が弱まっているな」と感じたんです。
 もし次にナンバリングで出したら,「エースコンバットを楽しむなら,前作や前々作も遊んでおかないと楽しみ尽くせないんだよ」という状態まで来ちゃっていると思うんです。「この1本だけじゃ楽しめない」という事態は好ましくないし,進化と挑戦がないままシリーズを重ねるのは,シリーズの消滅につながっていくのではないかと考え,「ACAH」では踏み切り直したんです。

4Gamer:
 それが,ブランドを“一段上のものにしたい”という意味ですか?

河野氏:
 そうですね。ここのところ,現行の家庭用ゲーム機では,海外産のゲームが一気にシェアを伸ばしていますよね。このままいくと,映画市場のように“洋ゲー”がメインストリームになってしまうでしょう。我々は“邦ゲー”として,これから先,好きな人だけがやるニッチなゲーム市場で皆で生きていかなきゃいけない。「でも,そうなっていいのか?」「悔しくないのか?」って思いがあり,勝負をかけることにしたんです。
 これは,本当は前作のときにやっておかなければいけなかったことだと思いますし,2011年10月発売では,勝負を仕掛けるタイミングとしては遅いかもしれません。それでも,このままエースコンバットがよりマイナーでニッチな物となっていき,いずれ消えていくような運命をたどらせるわけにはいきません。

4Gamer:
 「ACAH」では,エースコンバットシリーズ初のマルチプラットフォーム展開となりましたが,その理由を教えてください。

河野氏:
 エースコンバットを好きな方が新作を望んでくれているなら,ユーザーの皆さんが持っているハードに合わせて製品を提供するのは自然な形ですよね。「ACAH」では制作に時間をかけられたので,PlayStation 3とXbox 360両方で同時に提供する準備が整えられた,ということです。

4Gamer:
 今回は,シリーズとしては珍しく,実在の地名や団体などを彷彿とさせるものがベースで,現実味あふれるコンセプトになっているのは,やはり日本だけでなく,海外での展開を視野に入れてのことなのでしょうか?

河野氏:
 実在の地名をつけたのは,先ほどお話ししたとおり,世界市場を狙ってのことです。誰でも知っている世界を使った,国・文化を超えて共通認識の成り立つゲームを作りたかったんです。たとえば,物語の舞台が“ユージア”(※)と言っても,分かる人は最大で100万人でしょう。でも,ドバイといえば,知っている人はその何倍,何十倍もいるわけです。
 あとは,2011年10月のゲーム市場のトレンドがどのあたりにあるのかを考えたときに,「17年間守ってきたエースコンバットのブランドの世界観そのままで市場に出したとして,ファン以外の人も興味を持ってくれるのか?」と感じたんですよね。やはりシリーズものは,時代に合わせて呼吸して,進化しないと死んじゃうって思っているので,「2011年のエースコンバットはこうでしょう」と提示したんです。

※「ACE COMBAT04」「ACE COMBAT 5」の舞台となる架空の大陸

4Gamer:
 なるほど。

河野氏:
 エースコンバットシリーズはこれまで,実在の戦闘機を使っているのに架空の世界での物語という,実は不思議な設定のゲームだったんですよね。そのときは「ストレンジリアル」と名付けてみましたが,今回,僕は「ビリーバビリティ」と呼んでいます。
 「実在の国家,戦闘機でどこまでドラマチックでミステリアスな事件を描けるか」「嘘だけど,どこまで信じられるか,納得できるか」を,「ACAH」のストーリーのコンセプトにしているんです。

4Gamer:
 今回,アメリカの軍事作家であるジム・デフェリスさんがシナリオを担当したのも,北米など海外での展開を視野に入れたからでしょうか?

河野氏:
 そういう意味合いもあります。ただ,プレゼンのときもお話ししましたが,ジムさんに丸投げしたわけではなく,最終的にはPROJECT ACESがディレクションしたといえるものになっています。
 実際は,ジムさんと我々が合意して,お互いが面白いと納得できる落としどころが見つかったシナリオしか採用していないんですよ。ですから,ストーリーは海外だけを向いたものではなく,エンターテイメントが好きな人なら,世界の誰もが受け入れられるし,日本人が見ても面白いと納得できるものになっていると思います。

4Gamer:
 「ACAH」では,戦闘機だけでなく爆撃機や戦闘ヘリといったシチュエーションでの戦闘も含まれます。これらは,シリーズで定着した「戦闘機によるシューティング」というイメージも変えようという考えから生まれたものなのでしょうか?

河野氏:
 どうやったら一目でビジュアルショックを与えられるか,というのが大きいですね。
 「ACAH」を紹介するときに,「“エースコンバット7”という戦闘機のゲームです。破壊表現も入ってます」と展開するのと,「戦闘機に加えて,戦闘ヘリやドアガンナーなど,“すべての空戦”を入れました。破壊表現も入っています」と展開するのでは,最初の一目が違いますよね。当然,それはその後の注目のされ方,追われ方も変わってくるんです。
 弱っているエースコンバットブランドをもう一度,まず一目で注目されるものにするために,何が必要かを考えたとき,プロデューサーとしては,一目でビジュアルショックを与えられる要素だと感じたんです。
 もちろん,戦闘機だけを操縦したいってユーザーさんもいらっしゃいますから,リスクもあることは理解したうえでの選択です。
 戦略としては,まず一目でキャッチして,それから「戦闘機だけでなく,戦闘ヘリも爆撃機も操縦できます」「オンラインもありますよ」という感じですね。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
4Gamer:
 ちょっと話はそれますが,iPhoneアプリの「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON TRIGGER FINGER」はコンセプトが斬新でしたね。まさかiPhoneで飛行機ごっこができるとは思いませんでした(笑)。

河野氏:
 最初は,「どうやって『ACAH』を知ってもらおうか」という戦略の中で,トレイラーを観てもらうための“ハブ”となるものを用意したかったんです。
 そんなときにスマートフォンを見て,携帯電話の中に入れておけばいつでも見られるし,「これいいじゃん」って,トレイラーのハブ基地にすることを思いついたんです。
 ただ,トレイラーのリンク集だけだと誰も見てくれないので,もう一工夫を加える必要がありました。それを“飛行機ごっこ遊び”にしたのは,僕のただの思いつきなんですよ。周りには大反対されましたが(笑)。

4Gamer:
 「TRIGGER FINGER」の反響はどうでしたか? 河野さんの意図した役割を果たしていますか?

河野氏:
 無料ということもあって,けっこうダウンロードしていただけていますね。
 本当は,機体を増やすなどもっとバージョンアップをしたいんですけど,思ったより本編のほうが忙しくなってしまって。本編の制作に妥協したくないので,そこは申し訳なく思っています。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

4Gamer:
 ゲーム本編の話に戻りますが,オンラインモードでは,PS3版/Xbox 360版それぞれのサーバーはどうなるのでしょう? ワールドワイドで世界中のプレイヤーと遊べるものになる,という認識で合っていますか?

河野氏:
 そうですね。それぞれのサーバーで世界中の人と,戦闘機だけでなく,爆撃機や戦闘ヘリも同じマップで一緒にオンラインで遊べるので,楽しいですよ。これ以上はもう何も出ないくらい詰め込んでいます(笑)。

4Gamer:
 オンラインモードではスキルシステムが採用されていますが,これはどのような経緯で入ることになったのでしょうか?

河野氏:
 戦闘機の外装には,ライセンサー絡みで手を加えることができないので,スキルという形で対応しました。外装は変わらないけど,スキルによって能力が変えられますし,カラーパターンや煙や爆発の色も変えられるなど,かなりカスタマイズはできます。

4Gamer:
 カラーパターンなども,オンラインプレイ時には反映されるんですか?

河野氏:
 オンラインでもカスタマイズした機体に乗ることができるので,「これが俺の機体だ」とアピールできます。ちなみに,カラーは迷彩やノーマルなどの基本パターンごとにパレットが用意されていて,自由に色を組み合わせられるようになっています。

4Gamer:
 今回「ACAH」では新しい挑戦に取り組んで,さまざまな要素が加わったり変わったりしているわけですが,河野さんとしては,「これが変わらなければエースコンバットだ」という,根本はどこにあると考えていますか?

河野氏:
 すごく綺麗な3Dの空間を自在に飛び回れて,自分の判断でどの敵からでも好きな兵器で倒していける,そして最終的には「俺がエースパイロットだ」ってなるのが,エースコンバットの根本だと思います。

4Gamer:
 そういえば,体験会でプレイさせてもらったバージョンは「体験版」となっていましたが,配信の予定はいつ頃なんですか?

河野氏:
 今,考えているところです。実は体験版としてはほぼ完成しているのですが,配信すべきかどうか悩んでいるんです。……やはり配信しないとまずいですかね。

4Gamer:
 ぜひ配信してほしいです。やはりゲームのことが一番良く分かりますし。
 あと,シリーズ経験者にとっても,戦闘機のミッションはある程度想像がついても,戦闘ヘリのミッションなどはまるっきり違うゲームですし,遊んでみないと分からない部分もあるかなと。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

河野氏:
 今回はいっぱいゲームを作りましたからね(笑)。
 遊んでいただいたのはチュートリアルなので地形としては平坦でしたが,製品版では高層ビル群の間を戦闘ヘリ同士で戦うような,立体的なマップでのミッションもあるんですよ。上空にいるヘリコプターと戦ったり,地上の部隊を攻撃したりと,立体的なシューティングを楽しめます。

4Gamer:
 戦闘ヘリのミッションは,やはり兵士として人が出てくるのが新鮮でした。こちらに向かって銃やロケットランチャーを撃ってきたりして,戦闘機のミッションとは本当に別ゲームですよね。

河野氏:
 「これはエースコンバットなのか?」って感じですよね。戦闘機から降りたあと,歩兵戦が入ったら,戦闘を制覇しちゃう感じですよね(笑)。

4Gamer:
 将来的には,そういうことも実現しようと思っているんですか?

河野氏:
 それぐらい思い切ったことまで考えないと,一段上のブランドとして復活するというのは難しいと思います。「ACAH」もまだ出ていないので,何も現実味がないですけど,そういう未来も一つとしてはありですよね。

4Gamer:
 エースコンバットシリーズのファンや,本作で「ACAH」に興味を持った人に向けて,最後にメッセージをお願いします。

河野氏:
 「ACAH」はPROJECT ACESというチームが作っていて,そのメンバーは,これまでのエースコンバットシリーズを作ってきたコアスタッフです。
 普通であれば,それぞれがゲームタイトルの責任者になれるほど,キャリアを積んでいるメンバーですが,それを全員呼び戻しました。「ACAH」は,PROJECT ACES最高のスタッフ達が作っているので,「これがダメだったらエースコンバットチームはダメ」というくらいの力を入れて作っています。
 エースコンバットというフランチャイズが,ここまで大きく踏み切って変化することを,不安に感じているファンの方もいると思いますが,心配は無用です。ぜひ期待してください。
 また,初めてエースコンバットに興味を持っていただいた方へ,「ACAH」は,これまでエースコンバットシリーズをプレイしたことがない方でも自在に操作できて,短時間でカジュアルに遊べますし,作り込みは世界で勝負できるクオリティになっています。ストーリーも連続ドラマのように先が気になる作りになっていますので,秋の夜長に気軽に遊んでもらうのもいいかなと思います。ぜひ10月13日に発売されたら,手に取っていただきたいです。次の作品は何年後になるか分かりませんし(笑)。

4Gamer:
 ありがとうございました。


エースコンバットは変わるけれど,絶対に失望させない


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 井崎さんはゲームデザインディレクターとして,「ACAH」の制作ではどのような役割を担当しているのでしょうか?

井崎夏樹氏(井崎氏):
 「ACAH」におけるゲーム性の部分,入力して動かすゲームの面白さの部分を監督する立場です。

4Gamer:
 「ACAH」では,従来のエースコンバットシリーズとは異なり,戦闘ヘリ,ガンシップ,大型爆撃機といった戦闘機以外の航空機,またドアガンナーといった異なる操作も採用されています。それらを制作するというのは,素人目に見ても大変そうだと感じられるのですが,ゲームデザインとしては,どのような苦労がありましたか?

井崎氏:
 複数のゲームを同時に作っているような感じがしましたね。
 今までは「エースコンバットはこういう形だ,変えてはいけない」という考えのもとにやってきたんです。それを変えようとなったとき,やはり不安を感じたり,「これはゲームにならないのでは?」と,壁にぶつかったりしながら制作してきました。

4Gamer:
 エースコンバットシリーズは17年という長い歴史を持ちますが,シリーズとして積み上げてきたものを崩して,新たな挑戦をするというのはとてもリスキーなことだろうと思います。井崎さんは,それをどう受け止めたのでしょうか?

井崎氏:
 以前,とあるファンの方に,「我々はエースコンバットに投資してきた。変わらないでいるのはそれに対する裏切りだ」と言われたことがあるのですが,その言葉に象徴されるように,従来のエースコンバットのままでいることは,飽きられてしまうことに確実につながります。
 「ACAH」では,リスクを冒してでも新しく変えていこうという考えのもと,「エースコンバットは変わるけれど,絶対に失望させない」という確固たる意思を持って制作をしています。
 直接お客様にお会いするなどして,「どういう風に考えているのか」「こういうアイデアを取り入れたらどのような反応があるか」など,世界中で調査をしてきましたし,完成したものは歓迎していただける手応えを感じています。

4Gamer:
 E3 2011では,「ACAH」がプレイアブル展示されていましたが,そのときの反応はどうでしたか?

井崎氏:
 基本的には,我々が狙った大量破壊の爽快感,戦闘機ならではのマッハの空中戦といったものを,歓迎していただけたという印象です。
 試遊版では,新しいエースコンバットをデモンストレーションするということで,ドッグファイトモードが続く感じだったので,「昔のエースコンバットは消えてしまったのか?」と心配するシリーズファンの方もいらっしゃいましたが,シリーズの核となる部分は,きちんと残したうえで,ファンの方も新規の方も楽しんでいただけるように作っていますので,ご安心ください。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

4Gamer:
 「ACAH」では,新しい挑戦としてガラリと変えた部分が多いと思いますが,制作者として,エースコンバットとして変わらない,核となる部分はどこだと思っていますか?

井崎氏:
 戦闘機で空を自由に飛ぶっていうものがありますよね。これは敵をどの順番で倒すか,どの武器で倒すか,どういう戦術で倒すかって部分にも通じていて,それが戦闘機をモチーフにした一番の魅力だと思いますし,エースコンバットはそこを崩してはいけません。そこを保障したうえで,狙って撃って破壊する爽快感を実現するものだと思っています

4Gamer:
 戦闘機以外に登場する戦闘ヘリや大型爆撃機などは,どのようなプロセスで増えていったのでしょうか?

井崎氏:
 今回は破壊をウリにしていますし,「エースコンバットは変わるぞ」という明確なメッセージを出さなければなりませんでした。強力な航空兵器なら何が入って来てもおかしくなかったですし,「これを入れよう」「あれを入れよう」という感じで決まっていきました。
 戦闘ヘリに関しては,開発の上のほうの者が「入れる」と言い出して,開発チームとしても「確かに製品の狙いと合致する」ということで,導入が決まりました。

4Gamer:
 「ACAH」では実在の国家が舞台であるなど,既存シリーズよりも現実感あふれる設定となっていますが,架空の大型兵器といったものは登場するのでしょうか?

井崎氏:
 設定が実在の世界である以上,アイガイオンのような,全長何百メートルもある巨大な空中要塞は出ません。架空の兵器も登場しますが,ここ数年のうちに実現するであろうレベルのものにとどまっています。
 とはいえ,大型爆撃機との空中戦など,大型の敵機と戦う迫力ある戦闘は用意しています。新システムの「ドッグファイトモード」を使っているときは,敵が画面いっぱいに見えて,撃った破片を浴びるほどの至近距離での戦いになりますから,現実世界でありながら,アイガイオンと戦っている,もしくはそれ以上の迫力や,撃墜したときの手応えを味わえると思います。

4Gamer:
 システム面での新しい挑戦の一つとして「クロスレンジアサルト」がありますが,これはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
井崎氏:
 これは,いろいろなスタッフのイノベーションが集まったアイデアですね。最初,戦闘のビジョンを描いたのは,プロデューサーの一人である一柳と若いスタッフ達で,映画にあるドッグファイトのシーンにインスパイアされたところから始まりました。私は「ゲームに落とし込むとこういう形になる」と意見を出しながら,システムとして練りあげていきました。

4Gamer:
 それでは最後に,読者に向けてのメッセージをお願いします。

井崎氏:
 「ACAH」は,従来のエースコンバットの良さを約束したうえで,今まで味わえなかった戦闘機での破壊とスピードの爽快感,さまざまな航空機の魅力をとことん詰め込んだ作品です。今までで一番練りこまれたゲームエンジンを使って,その上でプレイヤーの皆さんが遊びやすく奥深い,驚きの体験をお届けするゲームシステムを乗せていますから,ぜひ楽しんでほしいです。
 シリーズのファンはもちろん,初めての方も楽しめるゲームとして満足していただけると思うので,発売を期待して待っていてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。


新規プレイヤーでも楽しめる,今までとは別次元の新しいエースコンバットになる



4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 まずは「ACAH」における,大田黒さんの担当を教えてください。

大田黒鉄也氏(以下,大田黒氏):
 私は「ACAH」のリードプログラマーを務めています。

4Gamer:
 試遊会で「ACAH」を実際にプレイして,既存シリーズ以上の破壊描写が実感できました。この破壊表現を制作するうえで,どのような点にこだわったのでしょうか?


大田黒氏:
 今までのエースコンバットにも破壊表現はもちろんありましたが,ゲームのプレイ感覚からすると,あまり機体がちぎれていく様を見る余裕がありませんでした。
 「ACAH」では,それを間近で見せられるような演出やカメラワークを充実させられたので,トレイラーやスクリーンショットでお見せしているような絵が,ゲームプレイでそのまま見せられるようになったんです。
 そこで,「破壊に関してもっと本気でやるべきじゃないか?」という話が出たんです。これは我々としても初めての試みで,モデルをどう作るか,破壊時の物理演算をどうするかなど,プログラマーとデザイナーが,長い期間をかけて検証しました。
 そして,試行錯誤しながら,「機体がちぎれる」「翼が折れる」といった表現を実現していったんです。

4Gamer:
 破壊描写では,実際に戦闘機を破壊してサンプルを取るわけにはいかないと思いますが,より“リアル”に表現するために,どのような工夫をしているのでしょうか?

大田黒氏:
 おっしゃるとおり,戦闘機を実際には壊せませんから,資料に頼るしかありませんでした。記録映像などを見て参考にしたり,映画を観たりしたりすることで,インスピレーションを受けました。
 その中から「翼がちぎれた断面」「オイルの漏れた感じ」など,とくに印象深いものをピックアップして,「自分達が見せたい部分を強調する」という形で表現しています。

4Gamer:
 機体がバラバラになって壊れるなど,「ACAH」での新しい表現もありますが,これを再現するためにゲームエンジンを刷新したりしたんですか?

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

大田黒氏:
 「ACE COMBAT 6 解放への戦火」でのノウハウもありましたが,機体に傷がついたりするような,今までのエンジンでは表現できなかった部分もありました。新しい描画エンジンや物理エンジンを組み合わせて,新規で作った表現はかなりありますね。

4Gamer:
 先程話に出た検証期間には,物理エンジンなどの制作も含まれていたんですか?

大田黒氏:
 そうですね。以前のエンジンをブラッシュアップして,新しい仕様に堪えられるように,追加をしていくという形で作っていました。

4Gamer:
 「ACAH」には,いくつものタイプが異なる航空機が登場しますが,苦労した点について教えてください。

大田黒氏:
 戦闘機以外の戦闘ヘリや爆撃機では,それぞれゲーム性が異なります。
 その中でも戦闘ヘリは,描画エンジンや人物を動かすモーションを制御するための仕組みなど,これまでとはまったく違う表現が必要だったので,新規に作ったものが特に多かったですね。オブジェクトや背景のディテールに関しても桁違いです。

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

4Gamer:
 具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

大田黒氏:
 戦闘機の場合は,その場所を高速で通過するので,その一瞬が綺麗に見えるよう調整をかけています。
 戦闘ヘリは,飛行スピードが飛行機に比べて遅いので,表現する範囲は狭くていいというのがあるんですが,ホバリングで止まってじっくり見られるので,マップの中が密に描き込まれている必要があります。破壊したアクションも手応えがあるものにしないといけなかったので,そこは苦労しました。

4Gamer:
 そういう意味では,戦闘ヘリは,これまでのエースコンバットとは別の挑戦を象徴する存在でもあるわけですね。
 ほかにも,TPSのような作りのドアガンナーもありますし,異なる複数のアプローチを1本のゲームにまとめ上げるのはすごく大変だと思います。まだ制作は終っていないそうですが,実際はどうだったんでしょうか?

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON
ACE COMBAT ASSAULT HORIZON

大田黒氏:
 人数でいうと,これまでの作品より規模は大きくなっています。今までのシリーズ以上のスタッフが関わっていますし,それだけのマンパワーが必要になるくらい広い範囲に手を出したんだという実感がありますね。

4Gamer:
 戦闘機のミッションでは,スピード感を出すために苦労した点などはありますか?

大田黒氏:
 エースコンバットでは,以前から部分的にまだスピード感が足りないのではないか,と言われていたんです。
 たとえば,スピードが出ていても,周りに対象物がないとゆっくりに感じてしまいます。そこをスピード感があるように見せるためにどうすべきかは,今までも苦労してきた部分で,「ACAH」でも,スピード感をどう出すかは課題の一つでしたね。
 また,HUDはシンプルで一目見て分かるようなもの,直接見なくても目の端で捉えて判断できるようなものにするよう,心がけています。

4Gamer:
 「ACAH」では,PlayStation 3とXbox 360のマルチプラットフォームとなりますが,プログラム面での苦労などはありましたか?

大田黒氏:
 破壊の描写を見たときに,機種によって違和感を覚えないような作りになるよう心がけて,両方ともほぼ同じ表現に落とし込めたと思います。PlayStation 3とXbox 360には,それぞれに得意分野があるんですよ。機種ごとに苦労はしていますから,「どちらがきつい」ということはなかったですね。

4Gamer:
 今回,「ACAH」でのさまざまな挑戦で,新たな要素を盛り込んだことで,既存のファンはもちろん,新規プレイヤーも楽しめるものになったという自信はありますか?

大田黒氏:
 もちろんです。今までとは別次元の新しいエースコンバットになると考えてもらっていいと思います。
 戦闘ヘリや爆撃機などの新しい要素は,ストーリーの展開上,見せたいものであったり,楽しんでもらいたいもので,オマケで入れたものではなく,それぞれ1本のゲームとして成立するくらい,真剣に作っています。
 現在は,こういった部分のどれか一つにでも興味を持ってプレイしていただけたなら,そこからほかのフライトシューティング要素にも興味を持ってもえらるようなゲームにできるように,努力し続けているところです。
 また,今回は3人称視点のカメラに凝っています。コックピットの視点も前作から手が加えられて,満足していただけるものになっていると思います。
 ただ,コックピット視点では,こちらで過剰な演出をすると,臨場感を損ねてしまう部分もあると思っています。そこのバランスも調整しながら作っていますので,ご期待ください。

4Gamer:
 ありがとうございました。


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