日本一ソフトウェアが11月18日に発売したPSP用ソフト「クリミナルガールズ」は，プレイヤーが地獄の指導教官（バイト）となり，現世で何かしらの罪を背負ったことにより地獄へと堕とされてしまった少女達を，“おしおき”で更生させながら“地獄の塔”の頂上へ導いていくという，一風変わったRPGだ。

　本稿では，筆者が仕事のスキを見つけてはちょくちょく遊んでいるクリミナルガールズの，ゲーム概要と魅力について紹介していこう。発売日から時間が経ってしまったが，RPG好きには一度は触れてもらいたい名作（迷作？）だ。「興味はあったけど怖くて手が出せなかった」という人は，この年末年始にぜひプレイしてみよう。

「クリミナルガールズ」公式サイト

見た目はギャルゲー

中身はムズゲー

　クリミナルガールズは，「世界樹の迷宮」や「セブンスドラゴン」などでコアなRPGファン達から高い評価を得ているゲームクリエイター，新納一哉氏が原案を務めた作品だ。可愛いキャラクターデザインとは裏腹に難度が高く，歯応えのあるやり込み系RPGの制作を得意とする新納氏だが，“少女おしおきRPG”と銘打たれた本作にも，その特徴が色濃く……濃すぎるくらいに反映されている。

　冒頭でもお伝えしたように，少女達を“おしおき”して更生させていくという，正当派RPGからかけ離れたコンセプトを持つ本作では，実に個性豊かなキャラクター達がゲームを盛り上げてくれる。

7人の少女達にはそれぞれ“罪状”が設定されている。左からユコ（怠惰），サコ（耽溺），トモエ（渇望），ラン（憤怒），キサラギ（強欲），アリス（異端），シン（傲慢）だ

　プレイヤーの分身である教官は彼女達を率い，“クリミナル”と呼ばれるモンスターが跋扈する地獄の塔を進んでいくことになるのだが……見た目だけなら完全にハーレム系のギャルゲーである。まぁ，実際にはそんなオイシイ話があるはずもなく，地獄に堕とされるだけあって（容姿は良くても）“性格に難アリ”な女の子ばかりだ。
　なお，とくに何をしたわけでもないのに，教官はゲーム開始時点から，彼女達に蛇蝎のごとく嫌われている。ハーレムでイチャイチャを期待していたプレイヤーは，速攻で甘い妄想を叩き壊されるわけだが，サディスティックに考えれば，それでこそおしおきのし甲斐があるというものである。

最初は全員，ツンデレのツンしかない状態。つまり教官は，ただ単に嫌われている。言うことを聞かない悪い子には愛のムチだ！

　RPGではお馴染みのランダムエンカウント方式が採用されている本作だが，戦闘システムは少々変わっている。プレイヤーが自由に指示できるオーソドックスなコマンド選択式ではなく，パーティメンバーの少女達がランダムに提案してくる行動の中から，スキルや魔法を選んでいくのだ。条件が整えば，協力攻撃や合体技を繰り出すことも可能で，パーティメンバーの組み合わせによってさまざまな掛け合いを楽しめる。

　ちなみに，教官が直接戦闘に参加することはない。できることと言えば，女の子への指示とアイテムの使用だけだ。決してヘタレではない。教官はエラいのだから，後ろでどっしり構えていればいいのである。バイトだけど。

ちょっとしたミスでも全滅に繋がる恐れがあるため，戦闘には常に緊張感を持って挑まなければならない。戦闘中にパーティメンバーを入れ替えることもできるので，状況に応じてチェンジしよう

とくにボス戦では，強力な範囲攻撃で一気に窮地に追い込まれてしまいがち。毎ターン必ず回復を行うくらいの心づもりでちょうどいい

　また，前述したように，難度の高さが新納作品の特徴でもあるのだが，本作の戦闘の歯応えもかなりのもので，雑魚相手でも決して油断はできないバランス。それに加えて運の要素まで絡んでくるものだから，毎回ギリギリの戦いを強いられることになる。強敵と相対したときに限ってサポート系のスキルを提案してくれない……といったこともあるため，回復アイテムをガンガン消費するハメになるだろう。アイテムを使うだけの簡単なお仕事に見えても，戦闘時の教官はそれなりに重要なポジションだったりするのである。

　ただ，勘違いしてほしくないのは，難度が高いと言っても理不尽な難しさではないということ。冷静な判断力さえ持っていれば，どんな強敵相手でも必ず切り抜けられる絶妙なバランスに仕上がっている。とはいえ，ゲームに慣れていないうちは全滅に追い込まれることもしばしば。セーブと回復はこまめに行おう。

おしおきで強くなる少女達

無属性？　いいえM属性です

　続いてお待ちかね，おしおきシステムについて紹介していこう。本作では敵との戦闘で経験値を得て，少女達をレベルアップさせていくのだが，レベルが上がっただけではスキルを獲得することができない。経験値とは別に入手できる“OP”を消費し，少女達におしおきを行い，別の意味での“経験”を積ませることで，新たなスキルを覚えさせるのである。

回復，おしおき，買い物，セーブなどはすべて“キャンプ”で行うことができる。内装がいかがわしいのは気のせいだ。多分

なおOPは，ゲーム内通貨としても活用できる。おしおきのしすぎで回復アイテムが買えない！　なんていうことのないように注意

筆者くらいの上級者（？）になると，むしろ虫食いの方がエロく感じることもある。これとかうまい具合に顔だけ隠れていて背徳感バツグンだ

　おしおきはミニゲーム仕立てになっており，獲得したスコアが高ければ高いほど得られる経験値も多くなる。また，かなりギリギリなご褒美画像も用意されているのだが……最初のうちは肝心の部分がちっとも見えなくてヤキモキさせられる。おしおきレベルを上げ，さらに高いスコアを出すほどに，画像の虫食い部分が増えていく仕組みなので，紳士諸君には焦らしプレイにめげず頑張ってほしい。

　ちなみに，最初は“スパンキング”しか存在しないおしおきの手段だが，ストーリーの進行に伴って，その種類は増えていく。“電気パッチン”や“ぬるぬる調教”“さわさわ指導”など，非常にアレな内容ばかりだ。しかもフルボイスで女の子が悲鳴を上げたり喘いだりするもんだから，なるべくなら自宅でイヤホンをしてプレイしたほうがいい。学校や職場でプレイするのは避けよう。

おしおきの結果はMISS / GOOD / VERYGOODの3段階評価になっている。すべての段階でVERYGOODを叩き出せば，経験値はMAXの200ポイントを得られるし，ご褒美画像もムフフな感じになって良いことだらけだ

　それにしても，これまでさまざまな作品をプレイしてきた筆者でも，RPGでスパンキングという単語を目にするのは初めてだ。本作はゲーマーのみならず，三度の飯よりもスパンキングが好きだというスパンカーにもオススメである。
　あと，スパンカーは語感が良いから使ってみただけで，ググってもほとんど釣りとかの話しか出ない。純情ボーイ達はエッチな期待をしないように。
　
　さて，ここまでおしおきの話ばかりだが，ムチだけでは人を更生させることなどできないのがこの世の理というもの。たまにはアメも与えてやらなければいけない。
　そこで，重要になってくるのが“ガールズオーダー”というシステムだ。おしおきを繰り返していると，やがて女の子から頼まれごとをされるのだが，その願いを叶えてやると，さまざまな恩恵が受けられるのである。サブクエストのような扱いではあるが，スキル使用時の消費MPが減少するなどの恩恵は，ゲームを進めていくうえでかなり重要になるので，積極的にこなしていこう。

少女達の素直な一面が見られる貴重なイベントでもある。教官は厳しさの中に優しさを見え隠れさせるニクい奴だ

　それにしても，おしおきを繰り返すことで，頼みごとをしてくるまでに心を開いてくれる少女達……なんかドキドキする。調教の賜物ってやつだろうか。なにやら「ここまでやって，まだRPGを名乗るつもりか」というツッコミが読者から聞こえてきそうだが，勘違いしないでほしい。本作は非常に良くできた“少女おしおきRPG”なのである。

ある意味ギャップ萌え？

腰を据えて遊びたい良作

　完膚なきまでにイロモノに見えがちな本作だが，一度プレイしてみれば，ゲーム的にはしっかり作られていることが分かるだろう。可愛いキャラクター＋辛めの難度設定という組み合わせに，新納作品に慣れていないプレイヤーは戸惑うかもしれないが，プレイを進めていけば，そのギャップもまた魅力なのだということが理解できるはずだ。

　おしおきで新たなスキルを覚えていくというシステムの都合上，ゲーム序盤でやれることが少々少なく，そこに不満を抱く人もいるかもしれないが，少女達への調教が進み，戦力が整ってきてからがクリミナルガールズの本番。行動にバリエーションが出てきて，戦闘が一気に楽しくなる。本作を遊ぶときは，少女達へのおしおきだけでなく，ゲーム中盤以降の戦闘の歯応えにも注目し，腰を据えてじっくりとプレイしてみてほしい。

「クリミナルガールズ」公式サイト