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「World of Tanks」,最新アップデートで登場する日本戦車の詳細が明らかに。秋葉原で開催されたイベントの模様も合わせてお伝え
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これは,UDX サボニウム広場で「World of Tanks」とアニメ「ガールズ&パンツァー」をイメージしたクリスマスツリー「戦車ツリー」の点灯が行われるほか,秋葉原の対象店舗で買い物をすると,オリジナルポスターや特製ステッカーがもらえたりするという,かなり大規模なもの。
そんなイベントのスタートに先立ち,同社はメディアを対象にした「アップデート8.10」の説明会を開催した。「World of Tanks」の最新アップデートである8.10だが,(日本人プレイヤーにとっての)最大のポイントは,「日本戦車ツリー」の導入だろう。11月27日の記事でもお知らせしたように,Tier 1の「九五式軽戦車 ハ号」から,Tier 10の「STB-1」まで,計14種類の日本戦車が新たに使用可能になるのだ。
アップデート8.10では,そのほかソ連戦車のラインナップも増えたりするのだが,説明会では,もっぱら日本の戦車を中心に,そもそも戦車とはなんなのか,そして世界の戦車シーンの中で日本戦車の立ち位置はどこになるのかといった解説が行われた。
内容的にかなり専門的で,知らない人が見たら,およそゲームの説明会には見えなかったんじゃないかと思うが,説明を担当したのはウォーゲーミングジャパンでミリタリーアドバイザーを担当する宮永忠将氏。もう,書いててなんの記事なのか分からなくなりそうだが,しばしお付き合いを。
「World of Tanks meets ガールズ&パンツァー 秋葉原上陸作戦」特設サイト
「World of Tanks」公式サイト
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新兵器「機関銃」などの登場により,一回の突撃で10万人の軍隊が5万人に減ってしまうなど,それ以前の戦争では考えられなかったような大量の戦死者を出したため,1915年頃からその打開策が模索されるようになった。
その一つが,トラクターなどの装軌式車両にヒントを得たもので,イギリス海軍の陸上軍艦委員会が開発に本腰を入れるようになる。要するに,海上の軍艦のように装甲で兵士を守りつつ,不整地走破性の高い履帯(一般的にはキャタピラと呼ばれる)で移動,攻撃をする新兵器で,敵にバレないように,開発中の戦車は「特殊水槽」(Water Tank)と呼ばれた。戦車を英語でTankと言うのは,それに由来している。
目的は敵の塹壕突破と歩兵の支援で,速度は歩兵に合わせて遅い。武器は大砲で,装甲は敵の小銃や機関銃,および炸裂した砲弾の破片に耐える程度(砲弾の直撃を受けるとダメ)のものが作られた。第一次世界大戦の戦車としては,イギリスの菱形戦車Mark Iや,ドイツのA7Vなどが有名だが,砲塔ではなく車体に砲が据え付けられているあたり,もともとのアイデアが陸上軍艦だったことをうかがわせる。
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海外調達を主張するグループと,独自開発を謳うグループの政治的な駆け引きがあったようだが,1925年に独自戦車開発計画が始動し,試製一号戦車が完成。1931年には八九式中戦車の量産がスタートした。
1931年には満州事変が,さらに1937年には盧溝橋事件が勃発しているが,投入された九五式軽戦車(1935年),九七式中戦車(1937年)は,当時としては世界第一級の性能を持ち,世界初のディーゼルエンジン採用など,日本の独自技術も盛り込まれていた。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて被弾した際に燃えにくく,また一回の燃料補給でより長い距離を移動できた。
しかし,第二次世界大戦における日本の戦車は,一般に「弱い」と思われている。
これは,第一次世界大戦から第二次世界大戦までの約20年間(戦間期),戦車の使用法について世界的な迷走があり,指導者達が判断を下せなかったためだ。戦車は歩兵の直協として使うべきか,あるいは独立した兵器にすべきか。さらに,歩兵師団に随伴する個別的な使用が適切なのか,それとも戦車師団による集団運用がいいのか,国によってさまざまに異なる考えがあり,侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が戦わされた。
決着を付けたのは,ナチス政権下のドイツで,ドイツ軍のハインツ・グデーリアン将軍が主張したのは,歩兵も砲兵も,あるいは航空兵力もすべて戦車を支援するために存在する戦車中心の編成であり,かつての塹壕戦のように全方面で戦うのではなく,快速を活かして戦線の脆弱部や敵の司令部,兵站などを攻撃し,戦う能力を奪うという考え方だった。
こうした戦車の集中運用によりドイツは,ポーランドをわずか1週間で,さらに当時,ドイツ以上の大国であったフランスを実質2週間で席巻してしまった。これがいわゆる「電撃戦」であり,各国ともたちまち電撃戦への対応を迫られたため,戦車は性能,運用とも一気に進化した。
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しかし,日本では電撃戦が繰り広げられている1931年〜1941年,戦車開発はまったくといっていいほど停滞していた。唯一のチャンスは,1939年のノモンハン事件だったが,ソ連戦車にさんざん叩かれたにも関わらず,軍部は九七式中戦車の武装を強化した,「九七式中戦車改」の開発という,いわば小手先の対応で終わらせてしまい,急速に進む欧米の戦車には,以降ついていけなくなったという。
以上,戦車および日本戦車の歴史についてはだいたい理解していただけたかと思う。続いて,アップデートで新たに登場した個々の日本戦車について,宮永氏から説明が行われた。宮永氏は,今回の日本戦車ツリーについてベラルーシのWargaming本社ともやりとりしているとのことで,導入意図やゲームでの立ち位置なども語られた。
■軽戦車 Tier 1
■Renault Otsu(ルノーNC 乙型)
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戦車独自開発の道を選んだ日本だったが,参考のために海外から戦車の輸入も行っており,その一つがこのルノーNC 乙型だ。ほかにルノーFTも輸入しており,それが「ルノー甲型」と呼ばれたため,区別のために「乙」の文字が付けられた。ちなみに,NCとはフランス語で「新型戦車」という意味。
Tier 1としては無難な選択だが,特徴であるスプリング式のサスペンションは現実では大失敗作。したがって,ゲームでも不整地走破性能が悪い可能性があるとのこと。
余談ながら,本車が戦場に姿を現すと,きっと「乙です」というチャットが飛び交う予感がする。
■軽戦車 Tier 2
■95 Light Tank Ha-GoType(九五式軽戦車 ハ号)
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機動性を重視した軽戦車で,ほかにイ号(八九式軽戦車)と,ロ号(九二式重装甲車)が同時期に開発されている。カタカナ二文字で呼ばれることの多い日本の戦車だが,この戦車が作られた1930年代はまだ,統一した命名法が決まっていなかった。
速度は申し分ないが,主砲は37mm戦車砲で,対戦車戦闘では不利。弾種も榴弾なので,使いこなしにはテクニックが必要かもしれないとのこと。
■軽戦車 Tier 3
■Type 98 Light Tank Ke-Ni(九八式軽戦車 ケニ)
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九五式軽戦車 ハ号のバージョンアップという戦車で,装甲がハ号のリベット接合から溶接になっている。実は,ケニにはその改良型である二式軽戦車 ケトがあり,宮永氏はこちらもなんとかツリーに入れたかったのだが,うまく収まる場所がなかったと話していた。
その代わり,成長させると改良型である二式軽戦車ぐらいの能力を発揮するとのことで,「なんで二式がないんだ!」などと言わないでほしいと宮永氏。
■軽戦車 Tier 4
■Type 5 Light Tank Ke-Ho(五式軽戦車 ケホ)
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強敵であるアメリカ軍のM3リー中戦車を倒す,「M3キラー」として開発された,というところが微妙に悲しい五式軽戦車 ケホ。欧州ではあっという間に第一線から退いたM3だが,太平洋ではまだまだ活躍していたのだ。ゲームでもM3相手には強いかもしれない。
■中戦車 Tier 2
■Type 97 Test Medium Tank Chi-Ni(試製九七式中戦車 チニ)
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「ガールズ&パンツァー」のアヒルさんチームが使用していた八九式中戦車の代替を狙って開発された試製九七式中戦車 チニ。主砲は57mm戦車砲なので,対戦車能力はそれなりにある。
■中戦車 Tier 3
■Type 97 Medium Tank Chi-Ha(九七式中戦車 チハ)
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日本軍の主力を務めた九七式中戦車 チハは,試製九七式中戦車 チニの豪華版。走行性能は高いが,対戦車能力はそれなりとのこと。
■中戦車 Tier 4
■Type 1 Medium Tank Chi-He(一式中戦車 チヘ)
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九七式中戦車 チハを改良し,装甲および攻撃力を高めたが,量産と部隊配備が始まったのは大戦末期の1944年で,すでに活躍の場はなかった。
■中戦車 Tier 5
■Type 3 medium Tank Chi-Nu(三式中戦車 チヌ)
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プレミアム戦車(課金戦車)としてすでにゲームに登場している「三式中戦車 チヌ改」の母体となった戦車で,75mm戦車砲を搭載している。車体は,三式中戦車 チヌ改と同一で,車体装甲の薄さがネックか。
■中戦車 Tier 5
■Type 3 medium Tank Chi-Nu Kai(三式中戦車 チヌ改)
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こちらがその三式中戦車 チヌ改。三式中戦車 チヌの足回りと主砲を,四式中戦車で使用する予定だったのものに変えている。
■中戦車 Tier 6
■Type 4 Medium Tank Chi-To(四式中戦車 チト)
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対空砲をベースにした75mm戦車砲を搭載しているため,威力は抜群。ただし,同じTierでは,車体が1ランク低い。
■中戦車 Tier 7
■Type 5 Medium Tank Chi-Ri(五式中戦車 チリ)
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主砲は75mm戦車砲で,半自動装填装置を装備しているため,3発を約9秒で一気に装填でき,1秒おきに3発連射できる。一発の威力はそれほどでもないかもしれないが,一瞬の火力についていえば,同Tierではトップクラスだ。
■中戦車 Tier 8
■STA-1
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陸上自衛隊で使用していた61式戦車の試作車STA-1が,Tier 8に登場。61式に比べて,シルエットがかなり低い。車高を低くすることを主眼に試作されたものの,いろいろと不都合が発生したため,結局は採用されなかった。
■中戦車 Tier 9
■Type 61 Tank(61式中戦車)
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怪獣映画で怪獣にやられるのは,たいていこの61式中戦車だが,掲載したスクリーンショットでは特徴的な煙突形のマズルブレーキが見あたらない。実はこの姿がゲームの最終進化バージョンで,74式戦車と同じ105mm戦車砲の使用が可能になるのだ。現実でも,換装計画があったという。
■中戦車 Tier 10
■STB-1
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現在も陸上自衛隊が使用中の74式戦車,その試作車がSTB-1だ。
油気圧サスペンションを採用しており,前後左右に車体を傾斜できる。ゲームでそのグラフィックスが再現されるかはハッキリしないが,そのため主砲に大きな俯角をかけることができ,「World of Tanks」の最重要テクニックの一つである稜線射撃で,高い威力を発揮する。
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各戦車の説明のあと,ロシアのテストサーバーを使った日本戦車のデモンストレーションが行われた。使用されたのはSTB-1で,上にも書いたように,車体を前傾しての稜線射撃が披露された。相手になるのはTier 10戦車が中心だが,砲塔が丸みを帯びているため,Tier 10戦車の強力な主砲を食らっても,はじき返すことができる。もっとも,車体装甲はそれほど厚くないので,車体への被弾はまずいとのこと。
砲弾はAPCR(高速徹甲弾)と徹甲榴弾,および榴弾だが,105mm砲の攻撃力は非常に高く,数発で敵のマウス戦車を葬ってみせた。移動力も高く,スピードは不整地で40km/h,道路上なら70km/hほどになるという。さらに,照準が収束するスピードも速く,場合によっては行進間射撃さえ有効だと言うから驚きだ。
時代的に卑怯(STB-1の製作は,戦後25年が経過した1969年)という感じがしてくるほどだが,なにせ,低Tierの日本戦車がちょっとパッとしないだけに,苦労の結果として得られるSTB-1はまさにご褒美という感じだろうか。いやー,使ってみたい。
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また,新たに実装された日本マップを使って,アップデート8.10のそのほかの部分が紹介された。「Hidden Village」と名付けられた日本マップは,ちょっと輪郭がゴツゴツした富士山に,なんの脈絡もなく建つ五重の塔,さらに真っ赤な鳥居など,まさに日本としか言いようがないが,まあ,なんでも,いいです。桜も咲いているし。
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ゲーム的に重要なのは,これまでと違い,薄い壁ならそれを撃ち抜いてその向こうにいる敵にヒットするという点だ。もちろん,壁を撃ち抜いた分,砲弾の速度が低下するため,ダメージが低下する。
また,爆発エフェクトも改善されているほか,エンジン部にダメージを受けると,砲塔が吹き飛ぶという演出も施されているという。
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以上,思いがけなく長くなってしまったが,説明会のあと,秋葉原で開催された「戦車ツリー」点灯式では,アップデート8.10の配信開始が2013年12月24日になるということが発表されている。もちろん,日本戦車の実装がこれで終わるわけではない。11月27日の記事で掲載したツリーと,今回公開されたツリーでは,ベースとなるルノーNC 乙型の位置がグッと下がっており,いかにも重戦車や駆逐戦車,自走砲などが相次いで登場しそな気配なのだ。
というわけで,以下に「World of Tanks meets ガールズ&パンツァー 秋葉原上陸作戦」,18日の模様を写真とキャプションで紹介して終わりとしたい。パンツァー・フォー!
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