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「GF100」のための技術デモ「Supersonic Sled」。その技術的背景をムービーでチェックする
物理シミュレーションとテッセレーション
ポストプロセッシング処理の固まりとなる新作デモ
NVIDIAがSupersonic Sledでモチーフにしたのは,かつて米軍がジェット戦闘機の脱出シュートを開発するため実際に用いていたという「音速で地上を滑走するソリ」だ。実際の開発テストでは人形が用いられていたが,Supersonic Sledでは,ゲーム性を持たせるため,表情や動きを持たせたパイロットのキャラクターをソリに座らせている。
そんなSupersonic Sledが持つ最大の特徴は,「あらゆる部分に物理シミュレーションを採用している」点にあるといっていい。
これらシミュレーションはGPUだけで処理している……かというとそうでもなく,例えばソリとレールのジョイント部における動きのシミュレートなど,細かな部分の演算にはCPUを,煙や炎のシミュレーションといった,並列演算性能が問われる部分にはGPUをといった具合に使い分けられている。
パイロットの動きにも,もちろん物理演算は採用。さすがに表情まではこなせないものの,ソリの速度と,パイロットの顔や身体の向きを算出し,それぞれのシチュエーションに最適なアニメーションが利用される仕組みだ。これにより,コミカルでいて自然なパイロットの反応を見ることができる。
一方,背景となる,いかにも北米大陸っぽい渓谷の表現には,テッセレーションやLoD(Level of Detail),ポストプロセッシングによる表現手法が効果的に用いられている。
高くそびえる岩山はLoD技法で描かれ,近づくにつれ,テッセレーションによってポリゴン数が増えていく。また,遠くがかすむ様子は,ブラー(※レンズの被写界深度効果のように,まわりをぼかす手法)によって実現されたもの。猛スピードで走るソリがぶれたりぼけたり見える効果にも,ブラーの効果は確認できよう。
背景描画ではLoDとテッセレーションを使い,緻密な描画とグラフィックス負荷の低減を両立 | |
遠景は,ブラーの手法を使うことで,色や輪郭がかすんで見えるよう処理されている |
NVIDIAとしては,Supersonic Sledを通じて,「GF100の能力と性能を持ってすれば,従来よりもさらにリアリスティックなゲーム表現が可能になる」とアピールしたいわけである。
荒野を猛スピードで疾走するというシンプルなテーマだが,これまでのグラフィックスデモにはない,緻密な物理シミュレーションが施されている点は要注目だ。
- 関連タイトル:
GeForce GTX 400
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