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ArcheAge
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“闘病生活”だったMMORPG「ArcheAge」を振り返る。医師として治療を促した企画チームリーダー,ジョ・ヨンレ氏によるセッションをレポート
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印刷2017/04/26 15:52

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“闘病生活”だったMMORPG「ArcheAge」を振り返る。医師として治療を促した企画チームリーダー,ジョ・ヨンレ氏によるセッションをレポート

 韓国で開催中のゲーム開発者向けイベント「Nexon Developers Conference 17」(以下,NDC17)の初日となった2017年4月25日,「ライブサービス5周年目を迎える『ArcheAge』、ゲームランキングを好走中!」と題されたセッションが行われた。

 登壇したのは,XLGAMESでMMORPG「ArcheAge」の企画チームリーダーを務めるジョ・ヨンレ氏だ。氏は2007年5月に同社に参加し,2015年11月に企画チームリーダーに就任。以来,アップデートの方針や実施などを決定する立場にある人物だ。

ジョ・ヨンレ氏
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「ArcheAge」公式サイト



総合病院に入院した患者とその担当医師にたとえた

「ArcheAge」の“闘病生活”


 ジョ氏がまず語ったのは,自分がかつて経験した闘病生活だ。ジョ氏は父親をガンで亡くしており,自身も大腸ガンで入院した経験があるという。幸いなことに,大腸ガンは手術で克服したが,左目は現在,緑内障を患っているとのこと。緑内障は完治の難しい病気で,視力はすでに4分の1に低下し,薬で進行を遅らせることしかできないとジョ氏は述べた。

 ここでジョ氏は,自分の病気を紹介するために登壇したわけではないと微笑みながら続け,自分は,病状を正しく認識すれば,手術や治療を行ったり,進行を遅らせたりできるということを伝えたかったのだ話す。

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 そしてジョ氏は,「ArcheAge」の現在までを,入院患者と担当医師の関係にたとえて振り返った。上記のとおり,患者の病気を治療するためには,症状を正確に認識する必要がある。最初は問題を把握する段階だ。

 ドラマなどで主人公やその周辺の人が重い病名を医師から告げられたとき,それを信じないという場面が多い。オンラインゲームもこれと同じで,治療法としてのアップデートを告知されても,プレイヤーになかなか受け入れてもらえないとジョ氏は説明する。
 そのため,ゲームにおける実際の数値や統計資料を明らかにし,プレイヤーの意見なども総合的に踏まえたうえで,病状としての現状と,それに対する治療法としてのアップデートであることを明確にしなければならないのだ。

 しかし,アップデートの開発に投入される人材や時間といったリソースは当然限られているため,優先順位を決めて順次対応するしかない。そのため,どこがすぐに治療を施すべきなのを決める必要があるという。ジョ氏はこれに加えて,アップデートやパッチの内容はプレイヤーとの間で共有し,共感を得るべく努力することが重要だとした。

 ジョ氏が企画チームリーダーに就任したとき,まず診断したのは「自分達」だったという。企画チーム全体を見渡したとき,メンバー同士の関係が柔軟ではないと判断し,ニックネームで呼び合う制度を導入したそうだ。
 この制度は,ほかの多くの会社で採用されているが,導入時,チームメンバーの反発は非常に大きかったという。

 それでもお互いの意見を共有するために必要なことだとして強行したが,それは現在,当たり前のことになったと語る。反発した人には,ある航空会社の成功例を伝えて,納得させた。
 その航空会社には事故が多発した時期があり,海外の専門機関に調査を依頼したところ,一つの原因が浮き上がったという。それは,上司に対して意見を言えないことだった。韓国は縦社会の傾向が強く,副操縦士が機長に意見を伝えることが困難だった。そして,円滑なコミュニケーションがとれないことが事故につながったのだ。

 解決策として専門機関にアドバイスされたのが,英語でコミュニケーションすることだった。結果的に,これを実践したことで事故が大幅に減ったのだそうだ。

 ジョ氏の企画チームには現在約20人が所属しているが,定期的に情報を共有する場も設けた。それぞれが直接には関与しないほかのコンテンツについて知るための機会を作ったのだ。

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 診断のうえで治療を施した例としてジョ氏は,新たな種族や能力の追加といった内容の大型アップデート「オーキッドナ」を挙げた。発表したのはサービス開始から3年半が経過したあたりで,新規プレイヤーの誘致が最大の目的となっていた。

 それまで「ArcheAge」では,生活系のコンテンツを楽しむプレイヤーが約4分の1で,残りはPvPを好むプレイヤーだとされていた。ジョ氏は前者を「草食系プレイヤー」,後者を「肉食系プレイヤー」と呼ぶ。しかし,より正確な調査を行うと,99%が草食系プレイヤーで,この中のいくらかが,PvPコンテンツも合わせて楽しむという,今までとはまったく違う結果が出た。

 そこで,新規でキャラを作成するとレベル30まで急速にレベルアップすることを可能にしたうえで,プレイをやめたプレイヤーの復帰率や,継続率をチェックした。結果的に,復帰組や新規組の離脱率は減らすことができたという。

 「ArcheAge」のアップデートやパッチは,半年以上の長期的な動向を判断したうえで方針が決められるため,現在進行形でゲームを遊んでいるプレイヤーの目線では,すぐには理解できないこともあるとジョ氏は語る。そのため,そうした改善や変更を行うにあたっては,懇談会やイベントなどでプレイヤーと情報共有することを欠かさないという方針を取った。とくに気をつけたのは,プレイヤーの多くは長い文章を読んでくれないため,映像を用意した点だという。

 さらにジョ氏は「労働力」に関するシステムにもメスを入れ,新規プレイヤーが先発組を追いかけられるようにするため,生産をすべて1人で可能にするという要素と,いくつかの労働力回復アイテムの再使用待機時間を設定し直すといった施策を行った。

 また,経済活動において需要な役割を占めていた「貿易」を,もう少し余裕をもって進められるようにし,そののち本格的な変更を行った。当時,貿易による金貨の生成量は全体の60%程度だったが,ほかのコンテンツに比べてあまりに偏りすぎていると判断した結果であり,現在では40%ほどに減少したいう。

 さらにジョ氏は,武器の強化にも手を入れた。診断の結果,生産や強化に失敗したプレイヤーがそのまま引退してしまう確率が高かったための改善だったそうだ。
 
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 大規模な勢力戦争についてはプレイヤーのアクセス時間帯に合わせ,その時間帯には,関連するコンテンツを楽しめるように調整したという。今後の方針として,特定の勢力が戦場を独占するような状況の改善が挙げられた。

 講演の最後にジョ氏は,ペットである文鳥の写真を示しつつ,飼い始めた当時と現在の姿を比較した。顔はそんなに変わらないが,しっかりと愛情を注ぐことで綺麗に美しく成長したという。「ArcheAge」も同様に,成長させる過程で努力を惜しまなければ,より良い結果が生まれるはずだとしてセッションを締めくくった。
 
左がペットの文鳥。右はジョ氏の写真。ジョ氏は自分を指し,子供の頃と同様に顔は可愛らしいままでしょう? とジョークを飛ばし,会場の笑いを誘った
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