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【ヒャダイン】ファミコンのマイクのミステリアスを考える
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印刷2012/06/30 10:00

連載

【ヒャダイン】ファミコンのマイクのミステリアスを考える

ヒャダイン/前山田健一 /  歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー

画像集#001のサムネイル/【ヒャダイン】ファミコンのマイクのミステリアスを考える

ヒャダインの「あの時俺は若かった」

ブログ:http://ameblo.jp/hyadain/


第6回「ファミコンのマイクのミステリアスを考える」


 ども。ヒャダインこと前山田健一(©情熱大陸)です。
 はい。調子乗ってますね,すみません。6月3日オンエアの「情熱大陸」に出演させていただき,僕の情けない姿から肌荒れまで,くまなくお見せしたわけです。結果,たくさんの応援メッセージをいただくことになり,本当に感激しております。たくさんの人が応援してくれているのだなあ,とあらためて分かりました。みなさん,ありがとう!!!!

 さてさて。そんな情熱大陸でも映されましたが自称“ドブの時代”の写真をば。そう。中学高校の男子校時代。

画像集#002のサムネイル/【ヒャダイン】ファミコンのマイクのミステリアスを考える

 いやあ,我ながらこれは残念。この頃は学校に行って,家に帰ってはゲームばかりやっていたんです。手持ちのハードはスーパーファミコン止まりだったので,ひたすらファミコン,PCエンジン,スーパーファミコンの3機種で遊びまくっていました。
 その中でもファミコンのコントローラIIには,マイクが付いていましたよね。マイク。アレって本当に使うチャンスがなかった。マイクに向かってしゃべってみても,大したアンプが内蔵されているわけでもなく,テレビからはクリアな音声なんて聞こえてきやしない。むしろ子供なんて大声でマイクに向かって叫ぶもんだから,そっちの声自体が直接耳に飛び込んでくる始末。果たして本当にマイクとして機能しているのかどうかすらも分からなかった当時。
 2012年の今,アレについて考えてみたいな,とふと思ったわけです。

 まず,なぜマイクが付いたかを調べてみました。調べたっていっても,ネットで検索しただけなんですが,なんでも開発を担当していた任天堂のスタッフが,「テレビから自分の声が出てきたら面白いんじゃ?」と思いついたからなんだそうです。

 なるほど。これといった明確な必要性や目的があって付けられたものではなかったのか,マイクちゃん。ただなんとなく採用された感じのマイクちゃん。これが利用されるソフトも,決して多くはなかったと記憶しています。
 僕がコントローラIIを使ったのは,ハドソンの「ドラえもん」。これはマイクが大活躍でした。まずジャイアンを味方にした時コントローラIIのマイクに向かって「ぼえーーーーーーーーーー」と大声で叫んだら,画面上にいる敵(ボスキャラを含む)が全滅する,という機能。これは便利でした。
 ジャイアンステージの2番目に出てくる船のボスがとても強くて,小学生時分の僕には到底倒せない相手でした。そこで,ジャイアンのぼええええええええええええ。これは友達とも盛り上がりましたねえ。
 それにしても,どんな強敵をも全滅させるジャイアンこと剛田 武の歌唱力の殺傷力よ。鼓膜を突き破るのだろうか。それとも強烈な周波数で何かを狂わせるのだろうか。そもそも仲間のドラえもん達はダメージを受けないで済んだんだろうか。あ,耳栓か。
 あと,しずかちゃんステージで特定の場所に行き,マイクで「ドラミちゃーーーん」と叫ぶと,アイテムが全部揃うという裏ワザもありましたね。必死に滑舌よく「ドラミちゃーーーん」と叫んだものです。出て来なかったら「おかしいなあ,発音悪かったかなあ」って何回も「ドーラーミーちゃーーーん」とくり返し叫んでいました。

 大人になった今,少し考えたら分かるんですが,当時のファミリーコンピュータに音声認識機能が搭載されていたわけがないんでしょうね。要するに,「音が入ってきた」という「ON」,「音が入ってきていない」という「OFF」,この二つだけだったんでしょう。
 だから「ドラミちゃーーーん」じゃなくても「しずちゃーーーーーん」とか「ミイちゃーーーーーん」,果ては「ジャイ子―――――――――」,作品違うけど「花沢さぁーーーーーーーーん」でもきっと良かったんでしょう。うんうん。


 マイクといえば,歌。そこで思い出されるのがこれまたハドソンの「ボンバーキング」。このゲーム,主題歌があったんですよ。タイトル画面に「START」「CONTINUE」そして「THEME SONG」という選択肢がありました。
 で,THEME SONGを選ぶとイントロが流れだし,真っ黒な画面に歌詞だけが表示される,という。フォント扱いじゃないから歌詞もきっちり漢字で表記されていて,なかなか読みやすい。これきっと,コントローラIIのマイクで歌えという意図だったんじゃないかな,なんて思います。
 ひたすら歌詞のみが表示される画面を見ながら,コントローラIIのマイクで歌う。うん。なんてシュールな光景なんだろうか。そんなボンバーキングのテーマ曲,実際にとある歌手によって歌われていたんですよね。そう。ハドソンといえば,高橋名人!!!! 高橋名人が甘い歌声でボンバーキングのテーマを歌っていたのです。トラックもあえてファミコン音源にこだわったもので,なかなか聴き応えがあります。
 そうなんです。高橋名人,歌がうまいんです。代表作はやはり「Bugってハニー」。作曲はなんと小林亜星先生!! カーティス・メイフィールドのメロウさを思い出させるような曲調と甘い歌声。機会があればぜひぜひご一聴くださいませ。

 そうそう,マイクの話ですよね。前回も書いたことに関連するんですが,任天堂の底力には凄いものを感じます。何というか,「タダでは転ばない」というか。一度うまくいかなかったコンセプトでも,時代が変わればバッチリはまることを証明しようという姿勢が,息づいているような気がするんです。
 ファミコン時代に不遇を味わった(ような気がする)マイク機能も,ニンテンドーDSで見事に復活!! すごいなあ,ほんと。世代が変わってもスピリットは受け継がれていく。そしてリベンジ精神すらも。うっひゃー。その精神,見習わなきゃなあ,と思います。
 ニンテンドーDSのマイク機能はファミコンのそれよりもはるかに精度が高く,息をふきかけたり,手拍子に反応したり,ソフトによっては簡単な音声認識まで実現していたりと,バリエーション豊かに活躍してきました。
 そう考えたら「マイク機能」という考え方が,そもそも時代を先取りしすぎていたのかもしれませんね。インフラがアイデアに追いついていない一つの例だったのかもしれません。
 と考えると,もう長いことゲーム機を作り続けている任天堂は,その時点では世間に受け入れられないアイデアであっても,簡単に切り捨てるのではなく,次代に希望をつないできたのかもしれません。きっと,こういった姿勢があってこそ,日本のゲーム産業は発達していったんでしょうね。
 ニンテンドー3DSの3D立体視機能も,10年後,20年後にはそのときのハードで,もの凄い体験をさせてくれるための布石となるのかもしれません。

■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■
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