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辻本良三氏と古坂大魔王さんのトークセッションが行われた,「モンハン音楽部 第1回クラブ活動」イベントレポートを掲載
これは,9月30日に発売された音楽CD「モンハン音楽部〜MONSTER HUNTER 5th ANNIVERSARY〜」の発売を記念して行われたもの。関東近郊のタワーレコード25店舗および@TOWERの対象店舗で本CDを購入した人の中から抽選で選ばれた人のみ参加できたという,シークレットイベントである。
本イベントには,「モンハン音楽部」に楽曲を提供した古坂大魔王さん,「モンスターハンター3(トライ)」プロデューサーの辻本良三氏が出演し,トークセッションが行われた。ここでは,その模様をお届けしよう。
古坂さんからこの日のプログラム全体の説明がなされたあと,早速辻本氏が登場してのトークセッションが行われた。
最初に,モンハン関連イベントではおなじみともいえる(?)通算プレイ時間について古坂さんが来場者に質問したところ,中には5000時間以上という,次長課長の井上 聡さん並みのツワモノがいることが判明した。
基本的には,古坂さんの質問に辻本氏が答える形で進行した。ここでは,トークセッションの内容をダイジェスト形式でお届けしよう。古坂さんの質問は,ユーザー視点ではあったものの,正直なところ記者顔負けの鋭い質問ばかりだったので,一部の雑談以外はほぼそのまま掲載している。ファンはぜひ目をとおしてほしい。
古坂さん:
「モンスターハンター」に最初に携わったのはいつ頃になるんですか?
もともとはネットワークなどを担当していたんですけど,プロデューサーという役割についたのは「モンスターハンターポータブル 2nd」からです。
古坂さん:
「モンスターハンター」というゲームの中で,自分が一番大事に思っている部分は何だと思いましたか?
辻本氏:
協力するゲームなので,コミュニケーションが取れるというところはすごく重要視しています。また,殺伐とした雰囲気にはしたくなかったので,ちょっとコミカルな部分,笑える部分が入っているというところがありますね。
古坂さん:
確かに,オンラインでつながっていたり,皆で楽しく対戦しよう協力しようというゲームはありましたけど,「モンハン」ってより人間性が出るし。
辻本氏:
そうですね,性格がものすごく出ますからね。
古坂さん:
生命の粉塵を使ってくれて「お前いいヤツだなあ」みたいな。
辻本氏:
粉塵使ってくれない人もいるじゃないですか。
古坂さん:
持っても来ないヤツとかね。
辻本氏:
僕ですね,それ(笑)。
ここで「モンハン」を通じた出会いの話になり,古坂さんは,「モンハン」をプレイすることを「分かってもらえないと付き合えないよね」と断言。「たとえば山手線に乗っていて渋谷で降りるときでも,もう1周しようって思いますもんね。こないだ2周しましたよ」と,よく分かるような分からないようなたとえを出していた。
辻本さんはゲームやっているんですよね。やっぱりメチャメチャ上手いんですか?
辻本氏:
僕はすごいですよ,メチャメチャ下手です(笑)。
古坂さん:
ちなみに,武器は何を使っているんですか?
辻本氏:
僕は「2nd G」では弓を使っていて,「3(トライ)」ではハンマーですね。要はガードがあまり好きじゃないということです(笑)。
僕は,曲でも「ガンランスよ永遠に」と書いたくらいですから,本当にガンランスしか使っていないんですよ。トータルが600時間くらいなんですけど,ガンランスが560時間。ほかは訓練とかだけですね。
辻本氏:
本当にガンランス一筋なんですね。
古坂さん:
ニコニコ動画で「ガンランスを作ってみた」って動画があるんですけど,僕,あの人にメールして「売ってください」って言いましたからね。値段を聞いて「無理です」ってあきらめましたけど。
ところで辻本さんは「モンスターハンター」を作っていくうえで,実はここにこだわっているというところはありますか?
モンスターの動きとかは,すごくこだわって作っているところがありますね。リアル感が出ながらも,ゲームとしてもすごく面白いモンスターにしないといけないので。いろんな生物の資料を集めるとか。
古坂さん:
何かの動物からモンスターが生まれているっていうのは分かると思うんですけど,やっぱりそういうところを研究しているんですか?
辻本氏:
もちろんそうですね。モンハンラジオにデザイナーが出て,骨格の研究をされている教授と話をする回があるんですけど,聞いていただけたら,「こんな風に考えて作っているんだ」とか分かると思います。話自体はすごいマニアックなんで,それを覚悟していただければ(笑)。すごい面白いですよ。
「こういう動きをするんだったら骨格はこうなっているだろう」とか「こういう行動を起こすのに,脚が極端に細いわけはないだろう」とか,実際にいる生物を研究しながら,それをゲームのモンスターに変換していったときにどうなっていくのかという。動物園とか水族館とか,モンスターを作っているスタッフは研究していますよ。
ここで,辻本氏がカプコンに入ってからどのようなゲームに携わってきたかという話題になった。辻本氏は「モンハン」以前,アーケードの対戦格闘「超鋼戦紀キカイオー」,レースゲーム「アウトモデリスタ」などのタイトルの開発に携わってきたとのこと。
なお「3(トライ)」ディレクターの藤岡 要氏,「2nd G」ディレクターの一瀬泰範氏,「3(トライ)」アシスタントプロデューサーの小嶋慎太郎氏ら,「モンスターハンター」の主要スタッフは皆,以前アーケードゲームを作っていたそうだ。
次に古坂氏から「モンハン音楽部」ということで,話題は「モンハン」の音楽へとシフトした。
「モンハン」の音楽を全部聞かせてもらったんですけど,やっぱりすごく“色”がありますよね。専門的にいうとトライバルというか,民族音楽的な曲が多いじゃないですか。ロックとかポップスとかハウスといった曲はあまりなくて。これはそこに集中しようということだったんですか?
辻本氏:
そうですね。世界観を出すときに,すごくネイティブ感を出したいというのがあって,それを出すためにはどのような楽器が合うのか,テンポが合うのか,音が合うのかって。ゲームの中で音ってすごく重要なポジションを占めているんですね。
古坂さん:
僕はmihimaru GTに勧められてモンハンを始めたんですけど,最初は怖いじゃないですか。何が来るか分からないし。デカいモンスターが来たときに「ジャーン」って音が鳴るのが怖くて怖くて。
映画とかでもそうですけど,音楽って相当重要ですもんね。
辻本氏:
もちろんそうですね。やっぱり,気分を盛り上げるというか,ゲームを演出してくれる大きな要素の一つなので,そこはすごくこだわっていますし,当然,ステージによってコンセプトを変えた曲になっています。
「モンスターハンター」にはいろんなステージが入っていて,そのステージに合わせて曲の“色”が変わったりとか,一つのゲームの中にいろんなジャンルというかタイプの曲が入っているとか,ゲームならではっていうところがあるんですね。テンポであったり,楽器であったりということは出てくるんですけど,まずはステージでのイメージを固めるところからですね。
古坂さん:
モンスターハンターの世界観というのは,国も時代も分からないじゃないですか。日本でもヨーロッパでもないし,アメリカでもないしっていう。なんか分からないけど,“あの世界の人”が演奏している感じがするんですね。
辻本氏:
そうですね。そういうところでは世界観の広がりというところを,「本当にこういう世界があるんじゃないか」っていう風に思ってもらえたらな,という部分がありますね。
古坂さん:
ゲームミュージックっていうのは,そのゲームを決める根幹に近いと僕は思うんですね。モンハンも頭にバーンっていう音楽が流れたりとか,ラージャンが登場したときの曲はラージャンっぽかったりとか。
辻本氏:
そうですね,ラージャンっぽいですね(笑)。やっぱり,そう思ってもらえるところに持っていくのが,いわゆるイメージなんですよね。イメージが合うものにしないといけないので。
古坂さん:
ちなみに,個人的に辻本さんは,いろいろある曲の中で一番何が好きなんですか?
僕はやっぱりメインテーマの「英雄の証」が好きですね。「3(トライ)」のメインテーマというのもあるんですけど,そっちもだいぶ気に入っていますね。
古坂さん:
近いんですけど,やっぱりちょっと違いますよね。
辻本氏:
そうですね。「英雄の証」が主観的な目線というかイメージの音で,「3(トライ)」のほうはけっこう俯瞰というか,ちょっと引いた位置からモンスターハンターの世界を見ているイメージの曲みたいな感じがして。その2曲が特別で,両方ともすごく気に入っています。
古坂さん:
僕はリミックスでも使ったんですけど,シェンガオレンの曲が好きなんですよ。モンスター的にはそんなに好きじゃないんですけど(笑)。
辻本氏:
それが,トータル的にモンスターも演出してくれているということですね。
ちなみに,古坂さんが今回リミックスで作っていただいた曲,あれすごくいいですよね。僕は最近,移動中はずっと「モンハン音楽部」の曲を聴いているんです。古坂さんの曲って,すごくバリエーションが豊かじゃないですか。テンポが速いところがあって,ゆったりなところがあって,ちょっと昔のゲームっぽいところがあってと飽きないんですよね。
古坂さん:
僕は「モンハン音楽部」で2曲やらせてもらったんですが,MECHA KIJIN MIXは双剣の鬼人化のイメージで作って,もう1曲は僕のガンランスへの愛情だったんです。ここで直接言わせてもらいますけど,ガンランス復活させてください!
辻本氏:
(笑)
古坂さん:
ゲームミュージック好きとダンスミュージック好きって,近いようで全然近くなくて,ゲーム好きの人はメロディとか基本に忠実なものを求めるじゃないですか。だから「変えすぎだ」ってところでは批判も意外と多いんですけど。
僕の中では,ドラクエとかマリオと匹敵するくらい壮大だし,メロディを何度聴いても飽きないと思ったんですよ。そこで,80年代くらいの「ダッダッダッドゥードゥ」ってのを合わせて,133BPM(Beats Per Minute)にして。
人間が運動すると心臓の心拍数も133くらいになるんで,そことリンクしてよくトランスするっていうところに持っていくBPMなんです。やっぱりファミコン世代なんで,どこかでファミコンも入れたい,どこかでシェンガオレンも入れたいとか,いろんなのを考えていって,ああなったんです。なによりも,クラブとかで流れてほしいなってすごく思っていましたね。
辻本氏:
合いますよね。
ライブでもよくやるんですけど,僕が回復飲むマネをしたり,マイクを砥石で研ぐマネをしたりしてもそんなに盛り上がらないんです。でも曲としてはすごく盛り上がるんです。
実は,最初は僕が勝手にリミックスしていたんです。あまりにもモンハンが好きで,自分のライブでモンハンを広めようと思って。そうしたら,「モンハン音楽部」の担当の人が見つけてくれて,今の曲にリミックスしてCDになったんですよ。1年くらいかかりましたよね。
辻本氏:
そうですね。この話をいただいたのは去年の8月で,今年の9月30日発売なんで,ほぼ1年ですね。
古坂さん:
なかなかモンハンでこういうのはなかったですよね。
辻本氏:
そうですね,こういう感じの遊び心のあるチャレンジをしたかったときにお話をいただいて。作品自体もすごく気に入っていますんで,実現できてよかったなと思います。
この前,カラオケにSEAMOさんの曲が入っていて,モンスターハンターに関わって作っていただいた曲がカラオケに入っているというのは特別な感覚ですよね。
古坂さん:
辻本さんはモンハンに携わった段階で,こんなに大ブレイクすると思っていましたか?
辻本氏:
正直なところでいうと,いろんな人に遊んでもらえる可能性があるなというところはあったんですけど,今でいうと,360万本とか具体的な数字までは。
当時,まず目安としては100万本までいけたらいいな,いけるようにがんばりたいと思っていたんですけど,その先までは正直想像していなかった部分はあります。
古坂さん:
芸能界に関しては,こんなにブレイクしたゲームはなかったですね。本当に。
ここで,来場者からあらかじめ寄せられた質問に辻本氏が答えることになった。当然,現段階では辻本さんが答えられない質問もあったわけだが,質問を変えて聞きたいことをうまく引き出している古坂さんの話術にも注目してほしい。
古坂さん:
最初の質問は,「次回作の予定はありますか? あるとして意気込みは?」ということです。これは僕も聞きたいです。もちろん,「3(トライ)」が出たばっかりですから,今からその話をするのはどうかなと思う半面,聞きたいよね。
まあ,早速NG質問ですね(笑)。
こんなん言った日には,僕どうなるか分かんないですよ(笑)。
古坂さん:
今回の「3(トライ)」で終わりではないですよね?
辻本氏:
当然そうですね。シリーズが「3(トライ)」で終わるわけではないので。
古坂さん:
いつ頃だったりとか,ハードがなにかだったりとか,そういうのに関しては言えないと。
辻本氏:
そうですね。ただ皆さんがモンスターハンターで遊んでくださる限りは,モンスターハンターシリーズは続いていきますんで。……これ以上言ったら危ないですけど(笑)。
古坂さん:
ぜひともガンランスを入れてください。お願いします。
続いてはこちら。「全体的に操作性が複雑なのはどうしてですか?」……確かに。あれ,50時間くらい慣れないよね。とくに僕は一発目からガンランスでいったんで,まあ慣れなくてオチるオチる。……難しいですよね?
アクションゲームとしてプレイヤーにやってもらいたいことというのを詰め込んでいった結果です。やはり操作をあまりオートにしていくわけにもいかないという部分がありまして。アクション中に視点も変えたいですし,避ける行動をしたり攻撃をしたり,攻撃にも数パターンあるとなると,どうしても全部のボタンを使うという仕様になってしまうんですね。
毎回,いい操作性にしようというところで,シリーズを経るごとに,当初の操作方法からかなり変化している部分があります。今はこれがベストな形かなと思っています。
全部のボタンを使いますんで,今からプレイする人はすごく難しく感じると思うんですけど,そのときは操作を教えてあげてください(笑)。
古坂さん:
難しいからこそ慣れたときにすごい達成感がありますよね。
辻本氏:
そうですね。やっぱりアクションゲームなので,自分の思ったことを最終的にできるようになってほしいというのがありますんで,ああいう形になっています。
古坂さん:
ラストの質問です。「チャチャのお面の下はどんな顔なんでしょうか?」。可愛い質問ですね。
辻本氏:
開発中でもお面を絶対外さないヤツだったので,チャチャのお面の下は,僕も見たことないです。どうなっているんですかね。それをディレクターの藤岡に聞いたことがあるんですけど,一切答えてくれなかったですね(笑)。ご想像にお任せいたします。
というわけで,質問タイムは以上で終了となった。古坂さんはトークの合間合間にギャグを挟んで辻本氏や来場者を笑わせていたのだが,筆者のつたない文章では伝えきれないので,申し訳ないが割愛させてもらった。
続けては,ステージ上のスクリーンで,abingdon boys schoolとSEAMOさんからのビデオメッセージが上映された。
abingdon boys schoolからのメッセージでは,西川貴教さんはメイン武器に太刀,サブ武器にライトボウガンを使っており,SUNAOさんは太刀使いで,岸 利至さんは最近「3(トライ)」を始めたとのコメントが出た。
SEAMOさんからは,「モンハン音楽部」に収録した書き下ろしの新曲「おかえり」について解説のコメントがあった。SEAMOさんによれば,「おかえり」はポッケ村の音楽をサンプリングして作った曲で,クエストに出てモンスターを狩猟したあとに,疲れ果てて村に帰ってきたときのほっとした感じを歌にしたと説明していた。また,来場者にSEAMOさんが育てたオトモアイルー“ベンケイ”をプレゼントするというお知らせもあった。
そのあとは,ステージで「モンスターハンターポータブル 2nd G」の闘技訓練大会が実施された。古坂さんと来場者3人の合計4人でクリアタイムの早さを競うというもので,古坂さんのクリアタイムを上回った人には,モンスターハンター関連書籍がプレゼントされた。
最後に,古坂さんがこの日のためにリミックスをリミックスしたという特別版の「MONSUTER HUNTER(ガンランスよ,永遠に・・・涙の竜撃砲MIX)」のミニライブが行われ,約2時間にわたるイベントの幕が閉じた。
- 関連タイトル:
モンスターハンター3(トライ)
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モンスターハンターG
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モンスターハンターポータブル 2nd G
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モンスターハンターポータブル PSP the Best
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モンハン日記 ぽかぽかアイルー村
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