連載
インディーズゲームの小部屋:Room#360「The Old City: Leviathan」
原稿を2行くらい書くたびに集中力が尽きて立ち上がり,周囲のスタッフにちょっかいをかけている迷惑千万な筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第360回は,PostMod Softworksの「The Old City: Leviathan」を紹介する。本作は,海外ではいわゆる“walking simulator”などと呼ばれる一人称視点のアドベンチャーゲームだ。ダメだー,煮詰まったー! もう書けないよー!
本作の舞台となるのは,大昔に放棄され,すっかり荒廃してしまった無人の都市。プレイヤーはただ“The Old City”とのみ呼ばれるこの都市を,主人公のモノローグを聞きながら歩き回るという内容だ。雰囲気としては,本連載の第221回で紹介した「Dear Esther」に近く,本作にはゲーム的な謎解きも戦闘も存在しない。ゲームを進めるために必要なほとんど唯一と言ってもいいアクションは,目の前にある扉を開けることくらいだ。
ゲームを開始すると真っ先に,「あなたの精神は壊れかけている。見たり聞いたりするものすべてが信用できるわけではない」というメッセージが表示されるとおり,ストーリーや設定は非常に謎めいている。というか,正直に言ってしまえば筆者にはさっぱり理解できない。
ゲームはどこかの下水システムから始まり,廃病院のような場所や荒れ果てた地下鉄駅,さらには屋外や謎の神殿まで,さまざまなシチュエーションが用意され,Unreal Engineによって描かれた,幻想的でありながらどこかぞっとさせるような美しさを持った風景がプレイヤーを魅了する。
これらの風景は,プレイヤーが再びそこを通りかかったときに不意に変化していることがあり,さっきまでは何もなかったところに突然死体の山が現れたりする。しかし,それもすべて気のせいかもしれない。
そもそも,この場所は一体何なのか。主人公はどうやってこの場所に来て,誰に向かって語りかけているのか。これらの問いに答えが用意されているのか,筆者には分からない。本作の開発元であるPostMod Softworksは,自分なりの物語を見つけるのがこのゲームの目的であるとしており,そのためには主人公のモノローグや,あちこちで見つけられるノートの切れ端に書かれた文章を深く理解する必要があるのは間違いない。
しかし,何も分からないながらも本作に引きつけられてしまうのは,絶妙に構築された,多彩で幻想的な世界観のなせる業と言ってもいいだろう。
ゲーム自体は2時間半ほどでクリアできるボリュームで,英語が理解できなくても雰囲気にはどっぷり浸れること間違いなしの本作。できれば,日本語化されたら嬉しいなあと思いつつ,もし英語が苦手でもスクリーンショットに思わず目を奪われてしまった人はトライしてみてはいかがだろうか。そんな本作はSteamにて,1480円で発売中だ。
■「The Old City Leviathan」公式サイト
http://postmodsoftworks.com/- この記事のURL:
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